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101話 魔法遠征
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二つのワンダーオーブを手に入れた夜、ブランクが私の前に現れることはありませんでした。あら残念。せっかくいい報告になったかもしれませんのに。
ですが、【緑】のワンダーオーブは持主に尋常じゃない魔力を与える魔道具でもあります。なるべく手放したくないワンダーオーブよね。
あの後も少しだけ禁書を読み進めたところ、ワンダーオーブの恩恵を受けるにはそのワンダーオーブを身につける必要があります。一応、握っている状態でも良いみたいですが、先ほど試してみましたが、瓶の中にある状態ではダメみたい。体感でも自身の魔力量に変化を感じました。
「アクセサリーみたいに加工…………はまずいわよね。多分」
ワンダーオーブに傷をつけるのはまずいでしょうから、この球体のまま何かにはめ込んでアクセサリーにするしかなさそうですね。それでも、何かの拍子で落としそうですし、普段から身につける訳にはいかないか。
小瓶に入った緑と藍のワンダーオーブを眺めてからその日は眠りについた。
翌朝。いつも通りスザンヌに雑な起こされ方をしては、家族と朝食をとり急いで馬車に向かいました。しかし、そこにあったのは馬車と呼ぼうにも、そう呼べない代物が停まっていました。
「え? ウィルフリード?」
「はい、せっかく大きくなりましたので、狼車を作りました」
狼車とはまあニュアンスでわからなくもない。つまり、馬車の魔狼版だ。ウィルフリードの体格が大きくなってから数日も経過しましたし、確かに狼車くらい用意するのも容易かったのでしょう。
「よろしくねウィルフリード!」
「がう!」
ウィルフリードの野太く雄々しい鳴き声は、「任せろ!」と、強い意志表示に感じます。ウィルフリードも久しぶりの学園で嬉しいのかしら。尻尾のフリが勢い良くて…………狼車をバシバシ叩くのやめて欲しい。すごく揺れるから。
「改善が必要ですね…………」
スザンヌが気持ち悪そうに呟く。酔ってしまいましたか。私はいつの間にか平衡感覚を取り戻していました。
「もしかしてこれも貴女の付与魔法かしら?」
揺れを一切感じない。いえ、物理的に感じることは感じるのですが、それによって三半規管に影響がないといいますか。これは明らかに魔法だ。
「はい…………付与魔法、平行です」
「何ができないのよ付与魔法」
「しいていえば…………自分に使えない…………とかですね」
こんな時、本当は私も付与魔法を使えるということをスザンヌも知っていれば、どれほど彼女を楽させることができたのでしょうか。ぐわんぐわんと左右に揺れる狼車で学園に到着。周囲の生徒がどよめく中、私とスザンヌは狼車から降りました。降りる頃にはさすがはスザンヌ。一瞬で具合の悪そうな真っ青な顔を、誰にも気づかれない様にいつも通りの血色の良さそうな顔にしています。
「おや? この狼君はもしかしてウィル君かい?」
男口調ですが、明らかに綺麗な女性の声。振り返るとそこにいたのは栗色のさらさらとした髪を腰まで伸ばし、男子の制服を着た女子生徒。ビルジニ・ド・タグマウイだ。私より水色に近い青い瞳は、嬉しそうな表情を浮かべながら私を見つめる。
「おはようビルジニ。そうよ、この子はあの小さかったウィルフリード。やっぱり魔狼って成長が早いのね」
「そういうレベルではないと思うけどね。クリスティーン姫がしたいことをするといい。本当に危ない時は僕が護るよ」
あら? ビルジニって自分のことを僕って呼んでいたかしら。心境の変化とか? 彼女は日々男らしくというよりは、紳士らしい振る舞いをするようになっています。別にそれは構わないのですが、男受け悪いですし、行き遅れないかだけ心配です。
まあ、侯爵令嬢ですし、顔の造りは良いし、私と違って十四でスタイルもいいし大丈夫でしょう。平気平気。私はスタイルの良い母親から生まれているから。平気平気。本当に気にしてませんからね?????
そして私はAクラスの教室前でビルジニと別れ、教室に入りカトリーヌさんと軽い挨拶をしてからしばらくしてアンヌ先生が教室に入ってきました。
「はいはぁい。皆さん注目ぅ~」
アンヌ先生が生徒の視線を集めると、教室のがやがやとした音は一瞬で消え去り、皆が先生の方に顔を向ける。さすがに不良みたいな生徒っていないものですね。
「皆さんに素敵なお知らせがありますぅ~。それはぁ~、今年度から魔法遠征という行事が追加されちゃいましたぁ~! はい拍手ぅ~」
誰も拍手はしない。魔法遠征? 知らないイベントですね。って今年度からやるのでしたら知らなくて当然か。その後もアンヌ先生から魔法遠征の説明を一通り受けました。
「学年内で男子四名、女子四名のグループを作っちゃってくださいねぇ~。別クラスでもいいですよぉ~」
え? 自分たちで班を作るのですか? とりあえずみんなを誘えば良いのかしら。
女子は私とビルジニ。カトリーヌさんとジャンヌさん? これで四人ね。男子はミゲルにリビオ。それからジョアサンも来てくれるかしら。…………アレクシスってば学年が違うのよね。…………あとは男子一人か。…………オリバーは誘ってきてくれるのかしら。
ですが、【緑】のワンダーオーブは持主に尋常じゃない魔力を与える魔道具でもあります。なるべく手放したくないワンダーオーブよね。
あの後も少しだけ禁書を読み進めたところ、ワンダーオーブの恩恵を受けるにはそのワンダーオーブを身につける必要があります。一応、握っている状態でも良いみたいですが、先ほど試してみましたが、瓶の中にある状態ではダメみたい。体感でも自身の魔力量に変化を感じました。
「アクセサリーみたいに加工…………はまずいわよね。多分」
ワンダーオーブに傷をつけるのはまずいでしょうから、この球体のまま何かにはめ込んでアクセサリーにするしかなさそうですね。それでも、何かの拍子で落としそうですし、普段から身につける訳にはいかないか。
小瓶に入った緑と藍のワンダーオーブを眺めてからその日は眠りについた。
翌朝。いつも通りスザンヌに雑な起こされ方をしては、家族と朝食をとり急いで馬車に向かいました。しかし、そこにあったのは馬車と呼ぼうにも、そう呼べない代物が停まっていました。
「え? ウィルフリード?」
「はい、せっかく大きくなりましたので、狼車を作りました」
狼車とはまあニュアンスでわからなくもない。つまり、馬車の魔狼版だ。ウィルフリードの体格が大きくなってから数日も経過しましたし、確かに狼車くらい用意するのも容易かったのでしょう。
「よろしくねウィルフリード!」
「がう!」
ウィルフリードの野太く雄々しい鳴き声は、「任せろ!」と、強い意志表示に感じます。ウィルフリードも久しぶりの学園で嬉しいのかしら。尻尾のフリが勢い良くて…………狼車をバシバシ叩くのやめて欲しい。すごく揺れるから。
「改善が必要ですね…………」
スザンヌが気持ち悪そうに呟く。酔ってしまいましたか。私はいつの間にか平衡感覚を取り戻していました。
「もしかしてこれも貴女の付与魔法かしら?」
揺れを一切感じない。いえ、物理的に感じることは感じるのですが、それによって三半規管に影響がないといいますか。これは明らかに魔法だ。
「はい…………付与魔法、平行です」
「何ができないのよ付与魔法」
「しいていえば…………自分に使えない…………とかですね」
こんな時、本当は私も付与魔法を使えるということをスザンヌも知っていれば、どれほど彼女を楽させることができたのでしょうか。ぐわんぐわんと左右に揺れる狼車で学園に到着。周囲の生徒がどよめく中、私とスザンヌは狼車から降りました。降りる頃にはさすがはスザンヌ。一瞬で具合の悪そうな真っ青な顔を、誰にも気づかれない様にいつも通りの血色の良さそうな顔にしています。
「おや? この狼君はもしかしてウィル君かい?」
男口調ですが、明らかに綺麗な女性の声。振り返るとそこにいたのは栗色のさらさらとした髪を腰まで伸ばし、男子の制服を着た女子生徒。ビルジニ・ド・タグマウイだ。私より水色に近い青い瞳は、嬉しそうな表情を浮かべながら私を見つめる。
「おはようビルジニ。そうよ、この子はあの小さかったウィルフリード。やっぱり魔狼って成長が早いのね」
「そういうレベルではないと思うけどね。クリスティーン姫がしたいことをするといい。本当に危ない時は僕が護るよ」
あら? ビルジニって自分のことを僕って呼んでいたかしら。心境の変化とか? 彼女は日々男らしくというよりは、紳士らしい振る舞いをするようになっています。別にそれは構わないのですが、男受け悪いですし、行き遅れないかだけ心配です。
まあ、侯爵令嬢ですし、顔の造りは良いし、私と違って十四でスタイルもいいし大丈夫でしょう。平気平気。私はスタイルの良い母親から生まれているから。平気平気。本当に気にしてませんからね?????
そして私はAクラスの教室前でビルジニと別れ、教室に入りカトリーヌさんと軽い挨拶をしてからしばらくしてアンヌ先生が教室に入ってきました。
「はいはぁい。皆さん注目ぅ~」
アンヌ先生が生徒の視線を集めると、教室のがやがやとした音は一瞬で消え去り、皆が先生の方に顔を向ける。さすがに不良みたいな生徒っていないものですね。
「皆さんに素敵なお知らせがありますぅ~。それはぁ~、今年度から魔法遠征という行事が追加されちゃいましたぁ~! はい拍手ぅ~」
誰も拍手はしない。魔法遠征? 知らないイベントですね。って今年度からやるのでしたら知らなくて当然か。その後もアンヌ先生から魔法遠征の説明を一通り受けました。
「学年内で男子四名、女子四名のグループを作っちゃってくださいねぇ~。別クラスでもいいですよぉ~」
え? 自分たちで班を作るのですか? とりあえずみんなを誘えば良いのかしら。
女子は私とビルジニ。カトリーヌさんとジャンヌさん? これで四人ね。男子はミゲルにリビオ。それからジョアサンも来てくれるかしら。…………アレクシスってば学年が違うのよね。…………あとは男子一人か。…………オリバーは誘ってきてくれるのかしら。
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