BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
107 / 228

103話 貴方に期待はしていませんでしたが

しおりを挟む
 食堂まで向かう最中。周囲の女子生徒からのビルジニの評価を改めて知ることができました。一番多いのは下手な男子生徒より人気があること。彼女の取り合いになっていること。

 何より、食堂では彼女と同じ班になろうとして群がっている集団が目に入っていることが決めてになりました。これは誘いにくいわね。今まで知る機会が一切なかったのは、私に普通の友人がいなかったから女子同士の会話が壊滅的だったことが原因なのでしょう。

「あ、私は平民食堂の方に向かいますので」

「ジャンヌさん!」

「何でしょうか?」

「男子メンバーでジョアサンを誘いたいの。声をかけておいてくださるかしら。どうせ食事を終えたら彼は平民食堂に移動するわ」

「わかりました!」

 そしてジャンヌさんは貴族の集まる食堂から外れた位置にある平民食堂に向かいます。

「私も大人しく公爵家が許されている席に向かうわ。もっとも貴女しか話し相手のいないテーブルに行く気もありませんけどね」

 一応カトリーヌさんの中では私を話し相手としてカウントしてくださっているのですね。それぞれ互いの身分にあった席に移動し、私は王族皇族などしかいない寂しいテーブルでいつも通り食事を始めようとした時でした。

 いつもでしたら必ず遠くの席に座る男が黙って私の隣に座ります。

「どういう風の吹き回しかしら?」

 こげ茶色の髪にライトグリーンの瞳の少年。オリバー・アーバスノット・コリングウッド皇子だ。いつもの老紳士を連れて私の隣に座る皇子は、私の問いかけを無視して食事を続けます。まるで私が無視されたみたいだわ。失礼な男ね。この男と会話していると、どういう訳かどっかの誰かさんを思い出します。

 いえ、まあ私に対して横暴な態度を取れる人間なんてごく少数ですし? そりゃあ似たような悪感情は抱きますが、オリバーはまだ隣国の王族として扱ってくれているだけましでしょう。

 私も彼のことを無視することを決めて食事を続けます。結局オリバーは私が食事を終える最後の一口まで、私に話しかけてくることはありませんでした。

「話しかけるのは、最初の一言だけでしょうか?」

「聞こえていたなら返事をしなさいよね?」

 つい声を荒げてしまいましたが、周囲は完全に無視。王国の姫と帝国の皇子の間に入ってこようと思う人間なんて誰一人としていないのだ。

「ああ、申し訳ない。一度姫様を無視してみたかったんですよ」

「一周回って好きでしょ私のこと」

「一周回ったら本当に好きと言えるのでしょうか? ああ、そうそう今日は笑いに来ただけです。もう用はありません」

 嫌っている人間の隣に来て食事するか普通? 私は嫌だね。人としてあり得ない男ですがこれでも【紫】のワンダーオーブを手に入れる為に機嫌を取らなければいけない。

「へ、へえ。楽しんで頂けて……ぬぁ、何よりですわ。オホホホホホホ」

 私の返事を聞いたオリバーは、その場で噴出しおなかを抱えて蹲った。あーら、私いつの間に爆笑必死のギャグを披露したのかしら。今のは名監督が、感動のあまり涙を流すほどの迫真の演技だったつもりなんですけどねーオホホホホホホ。…………ハァ。ちょっとは演技を練習しましょうか。

「…………はぁはぁ。久々に笑わせて貰いましたよ。本当に貴女は面白い人です。せっかくですし、魔法遠征の班決めですが、男子メンバーとしてご一緒させてくれませんか?」

「へ!? ま、まあいいですけど?」

 オリバーから誘われるなんて、後ろから刺されたりしないかしら?? いえ、元々こちらから誘うつもりでしたし構いませんが。私はオリバーに既に決まっているメンバーを教えると、オリバーは問題ないとだけ答え、これか誘うメンバーも特に異論はないと答えを頂きました。

「さてと、あとはミゲルにビルジニ、リビオとジョアサンね」

 まあ、このメンツを誘いたい最大の理由はワンダーオーブのこともありますが、何よりも私に親しい友人がいないから先に取られたら困るのよ。本当に困るの。

 早速ビルジニに声をかけると、彼女は二つ返事でオーケーをくれた。

「むしろ君からの誘いを待って他のみんなの誘いを保留にさせてもらっていたよ」

「一応確認するけど、ビルジニって女子カウントでいいのよね?」

「気持ちじゃどうしよもならない事実だからね」

 二人でリビオとミゲルに声をかけると二人もあっさり了承。みんな、友達いないのかしら? ビルジニはものすごく誘われていたのに申し訳ないわね。あとはジャンヌさんにお願いしたジョアサンだけね。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

処理中です...