BAD END STORY ~父はメインヒーローで母は悪役令嬢。そしてヒロインは最悪の魔女!?~

大鳳葵生

文字の大きさ
108 / 228

104話 読めないわからない知りたい

しおりを挟む
 班決めは無事に終わり、ジャンヌさんからジョアサンのオーケーの返事を頂きました。何故か班長に担ぎ上げられた私は、アンヌ先生に班員の名簿を提出していました。

 名簿を受け取るアンヌ先生はさすが姫様。一番ですね、と笑って言った。さすがって何? 権力で集めた訳じゃないわよ? 多分。

「はぁーいぃ。クリスティーンさんの班は豪華ですねぇ」

「…………教師なんですから生徒を豪華かどうかで判断しないでください」

 確かにメンバーは隣国の皇子から公爵令嬢と侯爵令嬢。魔法省の大臣の息子に騎士団長の息子。それから大司教の息子までいる。あとは姫の私と平民のジャンヌさんね。

 アンヌ先生は受け取った名簿に問題なしと判断して魔力を込めた人差し指で名簿の書かれた用紙を叩いた。するとそこに人差し指で触れた面積より、少しだけ大きい赤い丸が、ジワリと浮き出てきた。

 この世界では一般的に承認の証として、書類に自らの魔力を込める。しかし、それは何度見ても忌まわしきハンコ文化でしかなかった。あんまり押した記憶なんてないんですけどね。

「あ、そうそう。魔力遠征ですがぁ~。危険な場所に行くこともある為、同意書を班員に配ってきてくださいねぇ~。まあ、私がいる以上、危険な目には合わせはしませんけどねぇ~」

 そう言われ、私は八枚の用紙を受け取り、アンヌ先生は楽し気にどこかに出かけてしまいました。危険って何? そんなのきいていないんですけど。

 人選は大丈夫かしら。ミゲルもリビオもジョアサンもオリバーも優秀。男性陣は問題なしよね。カトリーヌさんやビルジニだってすごい魔法使いですし…………ジャンヌさん!?

「いえ、むしろ私達の班だからこそ、彼女を護れると思いましょう。そう、むしろこうするべきだった。違いないわ」

 私は何かを言い聞かせるようにぶつぶつと呟いた。隣にいたスザンヌは涼しい顔でしたが、あれは絶対内心笑っています。

 クラスメイトであるミゲル、ジャンヌさん、カトリーヌさんは当然講義が終わり次第捕まえて書かせました。オリバーに至っては予め同意書の存在を知っていたかのように放課後すぐに教室に現れたから助かりましたわ。

 そして午後の授業を受けた私たちは、その日会えた人間にだけ同意書を書いてもらい、会えなかった人は明日に回すことにして帰宅することにしました。

 帰る途中にジョアサンを発見し、馬車に拉致して同意書を書かせ、そして帰宅後すぐに王宮にある離れにて、リビオに同意書を書いてもらいました。割と順調に七枚の記入済みの同意書を手に入れます。

「あとは…………ビルジニだけね」

 ビルジニには明日書いてもらってアンヌ先生に提出すればオッケーね。

 そして私が自室に入ると、いつものように黒い靄が人型を象り始める。この現象はあれね。あのバカの登場ね。なんだか久しぶりかもね。最後にあったのはカトリーヌさんが王宮に来た日だったかしら。

「よお! 久しぶりだな姫さん」

「本当に久しぶり。今までどこに行っていたのよ」

 普段でしたらジョアサンが逃げ出すくらい私に付きまとっているくせに。

「お? いなくなってたことに気付いたのか?」

「…………ワンダーオーブを手に入れたのにしばらく現れなかったじゃない」

「なるほど二つ目も手に入れていたか」

 私は鞄からワンダーオーブの入った小瓶を取り出すと、ブランクはそれを受け取る。二つ目のワンダーオーブを手にしたブランクはしばらくそれを見つめてすぐに小瓶に戻してしまった。

 そして小瓶は急に浮いたかと思えばゆっくりと私の手前まで飛んできた。私が小瓶を掴むと、小瓶の浮く力がなくなったのか急に質量を感じるようになりました。

「本当に貴方はワンダーオーブが欲しいの? あれでもないこれでもないって」

「仕方ないだろ? 違うものは違う」

 まあ、確かにワンダーオーブにはそれぞれ使える浄化魔法や、与えられる力が異なりますが、彼が言っていた記憶を取り戻すというものがいまいちピンときません。本当にそれはワンダーオーブでできるのでしょうか。それとも、禁書に書かれていた色の読めないワンダーオーブ…………まさかね。

 ブランクはまだ靄になって消えようとしない。いつもならこんなに長居することなんてないのに珍しい。

「そういえば貴方って飲食はできるの?」

「あ? 昔建国祭を一緒に回っただろ」

 そういえば、そんなこともあったわね。あれから何度か建国祭に出席することはありましたが、当然私は王族として用意された席に座り、ただ黙って式典を眺めていました。

 建国祭を楽しいと思えたのは、後にも先にも五歳の時にお忍びで行ったあの時だけだったのかもしれないわね。

「何笑ってんだ?」

「あら? 私は今笑っていたのね。ごめんなさいそろそろ家族と食事の時間だから私は出ていくわ」

「おう、俺は眠るわ」

 彼が靄になって消えるのを待ち、それを確認してから私は部屋を出た。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...