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106話 出発
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そして魔法遠征当日。各班の班長は当日の朝。誰よりも早く集められました。眠い。
各班長はそれぞれその班で一番地位の高い人間が選ばれているように見えます。もっとリーダーシップで選べばいいのに。平民しかいない班でも、大きな商会の会長子息などが選ばれています。
適性で選ぶのではなく、生まれで選ぶのはこの時代では仕方ないのかもしれないわね。満場一致で私が担ぎ上げられたのも頷けるわ。
その中でもこれから向かうロポポロ公国は、元々は緑豊かな土地でしたが、原因不明の砂漠化により土地は枯れはて、数年続いた飢饉により当時栄えていた文明は崩壊の危機を迎えました。しかし、突如現れた救世主により、新たな特産品などを用意して何とか他国との交流を持ち直し今では貿易などにより国民の生活を維持してきた国でもある。
最初に集められた私たちはA班となり、それ以降も班決めが決まった順番にアルファベット順に班が決定していった。アルファベットか。前世とちょっと形が違うから、たまにクリスティーン姫は独特な文字を書きますよねって言われるんですよね。ゲームの世界なんですから異世界でもアルファベットくらい使わせなさいよ。
魔法遠征という名前なのですから、前世の修学旅行みたいにただ遊びに行くような行事ではないわよね。…………修学旅行って遊びに行く行事じゃなかったような気がするけど。
それにあの同意書。どう考えても危険な地域に行くって言っているようなものだわ。
班長は班員全員分の装備を受け取り、全員が集合する時間まで待機。装備品は時空魔法で指輪の形に変形しており、それぞれ魔力を流すことで防具に変形するようにできているらしい。時空魔法は時間だけでなく空間すらも捻じ曲げる為、男子たちがよく教室や食堂で騒ぎ出す最強の魔法論争では必ず名前が上がる魔法だ。
でもこういうのって強さっていうより便利さよね。人間などを空間ごと歪めるのは難しい。一般的に魔力を持った生物に対して魔法で干渉するには、相手の魔力の数十倍以上の魔力を消費する必要があるからだ。
だからこそ、浄化魔法のような魔法を使う場合には完全詠唱が必要になるし、相手にダメージを与える波動魔法も魔力そのものを物理的にぶつける魔法だからこそ効いている。
つまり何が言いたいかと言えば、魔法で他人に干渉できるのは、浄化魔法とそもそもその部分に特化した付与魔法、状態魔法だけである。
当然例外もあり、大人が子供に魔法をかけるなどは、魔力量の少ない子供相手の為成功しやすく、誘拐などされる場合は決まって子供を時空魔法で閉じ込めたり、動きを止められたりすることが多いのです。私が昔クレメンティエフ領でアレクシスと誘拐されそうになった時とかね。
そして全員集合し、それぞれに指輪を渡す。渡された指輪自体は過去に授業で使用しているため、皆装着して馬車に乗り込みました。
男子と女子で前後に別れて座り、男子たちが馬車の進行方向に背を向けて座り、私達が男子たちと向かい合う様に座ります。
男子は奥からリビオ、オリバー、ジョアサン、ミゲル。女子はビルジニ、私、カトリーヌさん、ジャンヌさんと座ります。座り方には地位で決まっていて、私やオリバーのように王族皇族は大人数で座る場合、左右に座ってはいけないのです。窓際が良かった。
ちなみに今回、従者の皆様はお休みである。スザンヌは私と離れ離れになることがよほど心配だったのか、不安そうでしたが、私が何を言っても逆効果だと思い、私も特に彼女に言うことはありませんでした。
友人同士の旅行やお出かけで馬車に乗る時は無視しますが、あくまで今は学校行事の為、きちんとした席に座ることになりました。
「とりあえず日程の確認をしましょう? 初日から三日間はは馬車移動と宿泊のみ。目的地はここから馬車で三日かかるロポポロ公国との国境にある貿易都市ですね。魔法遠征と言っても、最初は商業や流通を学ぶところからみたいね」
「三日も馬車に乗せられるのね」
言葉とは裏腹になぜかそわそわしているカトリーヌさん。それほど友達と一緒に行動するのが楽しみだったのね。今度一緒に王都で買い物しましょうね?
「定期的に降りて宿泊されますから座りっぱなしってことはないですけど、結構大変ですよね」
聖書を開いていたジョアサンがカトリーヌさんの言葉に返事する。返事しながらもページをめくっている辺り、ぶれないわね。あと、馬車酔いしないの? よく見ればリビオも本を読んでいますし、二人にとって揺れる場所の上でも読書の妨げにもならないのね。
「最初の停留は昼食ね。王都から真南にあるラピーズ領の騎士団養成所でお世話になるわ」
馬車に揺れながらなんとか予定表を読み上げる私。ウィルフリードの狼車に比べれば揺れも少ないので、このくらいの文章なら気持ち悪くなることはありませんでした。
「騎士団養成所の昼食ね。雑草鍋じゃないと良いんですけどね」
リビオが本を読んでいた手を一端止めて私の話に返事をした。そう言われていの一番に反応したのは騎士団長の息子のミゲル。騎士団と魔法省は仲が悪いからと言って、何も子供たちまで喧嘩することないのに。
「雑草鍋かはともかく、実戦に騎士団が野営の為に食べる料理か、あるいは稽古の合間に食べる栄養豊富で体力をつける料理などが出てきそうだね。どんな食事であれ、僕らは感謝して頂くとしよう」
ビルジニが私の方に視線を向けながら言い、私もええ、そうねと微笑み返す。ビルジニは所作から娑婆り方までどんどん紳士らしくなってきていますけど、入学当初から何か心境の変化でもあったのかしら。
各班長はそれぞれその班で一番地位の高い人間が選ばれているように見えます。もっとリーダーシップで選べばいいのに。平民しかいない班でも、大きな商会の会長子息などが選ばれています。
適性で選ぶのではなく、生まれで選ぶのはこの時代では仕方ないのかもしれないわね。満場一致で私が担ぎ上げられたのも頷けるわ。
その中でもこれから向かうロポポロ公国は、元々は緑豊かな土地でしたが、原因不明の砂漠化により土地は枯れはて、数年続いた飢饉により当時栄えていた文明は崩壊の危機を迎えました。しかし、突如現れた救世主により、新たな特産品などを用意して何とか他国との交流を持ち直し今では貿易などにより国民の生活を維持してきた国でもある。
最初に集められた私たちはA班となり、それ以降も班決めが決まった順番にアルファベット順に班が決定していった。アルファベットか。前世とちょっと形が違うから、たまにクリスティーン姫は独特な文字を書きますよねって言われるんですよね。ゲームの世界なんですから異世界でもアルファベットくらい使わせなさいよ。
魔法遠征という名前なのですから、前世の修学旅行みたいにただ遊びに行くような行事ではないわよね。…………修学旅行って遊びに行く行事じゃなかったような気がするけど。
それにあの同意書。どう考えても危険な地域に行くって言っているようなものだわ。
班長は班員全員分の装備を受け取り、全員が集合する時間まで待機。装備品は時空魔法で指輪の形に変形しており、それぞれ魔力を流すことで防具に変形するようにできているらしい。時空魔法は時間だけでなく空間すらも捻じ曲げる為、男子たちがよく教室や食堂で騒ぎ出す最強の魔法論争では必ず名前が上がる魔法だ。
でもこういうのって強さっていうより便利さよね。人間などを空間ごと歪めるのは難しい。一般的に魔力を持った生物に対して魔法で干渉するには、相手の魔力の数十倍以上の魔力を消費する必要があるからだ。
だからこそ、浄化魔法のような魔法を使う場合には完全詠唱が必要になるし、相手にダメージを与える波動魔法も魔力そのものを物理的にぶつける魔法だからこそ効いている。
つまり何が言いたいかと言えば、魔法で他人に干渉できるのは、浄化魔法とそもそもその部分に特化した付与魔法、状態魔法だけである。
当然例外もあり、大人が子供に魔法をかけるなどは、魔力量の少ない子供相手の為成功しやすく、誘拐などされる場合は決まって子供を時空魔法で閉じ込めたり、動きを止められたりすることが多いのです。私が昔クレメンティエフ領でアレクシスと誘拐されそうになった時とかね。
そして全員集合し、それぞれに指輪を渡す。渡された指輪自体は過去に授業で使用しているため、皆装着して馬車に乗り込みました。
男子と女子で前後に別れて座り、男子たちが馬車の進行方向に背を向けて座り、私達が男子たちと向かい合う様に座ります。
男子は奥からリビオ、オリバー、ジョアサン、ミゲル。女子はビルジニ、私、カトリーヌさん、ジャンヌさんと座ります。座り方には地位で決まっていて、私やオリバーのように王族皇族は大人数で座る場合、左右に座ってはいけないのです。窓際が良かった。
ちなみに今回、従者の皆様はお休みである。スザンヌは私と離れ離れになることがよほど心配だったのか、不安そうでしたが、私が何を言っても逆効果だと思い、私も特に彼女に言うことはありませんでした。
友人同士の旅行やお出かけで馬車に乗る時は無視しますが、あくまで今は学校行事の為、きちんとした席に座ることになりました。
「とりあえず日程の確認をしましょう? 初日から三日間はは馬車移動と宿泊のみ。目的地はここから馬車で三日かかるロポポロ公国との国境にある貿易都市ですね。魔法遠征と言っても、最初は商業や流通を学ぶところからみたいね」
「三日も馬車に乗せられるのね」
言葉とは裏腹になぜかそわそわしているカトリーヌさん。それほど友達と一緒に行動するのが楽しみだったのね。今度一緒に王都で買い物しましょうね?
「定期的に降りて宿泊されますから座りっぱなしってことはないですけど、結構大変ですよね」
聖書を開いていたジョアサンがカトリーヌさんの言葉に返事する。返事しながらもページをめくっている辺り、ぶれないわね。あと、馬車酔いしないの? よく見ればリビオも本を読んでいますし、二人にとって揺れる場所の上でも読書の妨げにもならないのね。
「最初の停留は昼食ね。王都から真南にあるラピーズ領の騎士団養成所でお世話になるわ」
馬車に揺れながらなんとか予定表を読み上げる私。ウィルフリードの狼車に比べれば揺れも少ないので、このくらいの文章なら気持ち悪くなることはありませんでした。
「騎士団養成所の昼食ね。雑草鍋じゃないと良いんですけどね」
リビオが本を読んでいた手を一端止めて私の話に返事をした。そう言われていの一番に反応したのは騎士団長の息子のミゲル。騎士団と魔法省は仲が悪いからと言って、何も子供たちまで喧嘩することないのに。
「雑草鍋かはともかく、実戦に騎士団が野営の為に食べる料理か、あるいは稽古の合間に食べる栄養豊富で体力をつける料理などが出てきそうだね。どんな食事であれ、僕らは感謝して頂くとしよう」
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