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107話 それぞれできることが違うから
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三日間の馬車移動の最中。最初の昼食では豪華とは言い難いが、とにかくごつごつと肉や野菜を煮込んだ鍋料理を食べました。
また騎士団養成所で大量の保存食を頂くことになりますが、条件があり、貰う時に自分たちで好きなだけ持っていくこと。ただし、余らせるのも捨てるのも禁止。以降二日間は食糧の配布はなしと宣告されました。
「私は二日位食べなくても平気です!」
「そういう問題じゃないのよジャンヌさん」
食糧を好きなだけ持っていけるとしても、積み荷にも限度はあります。八人二日分の食糧と考えれば、多めに見積もっても馬車の積載量を超えたり、速度を落とすなんてことにはならないでしょう。
飲料などは定期的に配布されるらしいので、とにかく今日を含めて二日間はこの保存食でやりくりしなきゃいけないのね。もっと魔法使いらしい遠征になると思っていましたが、馬車の移動期間は魔法に関わるカリキュラムを組むことができなかったのね。
いえ、むしろ関りがないと思っているのは私たちだけなのではないでしょうか。私達は言われた通りのことだけをしていたら、もしかしたらずっと魔法を使わないのではないでしょうか。
もし生徒たちに自主的に魔法を使わせることを促すことが目的だとしたら、いえ、それはあり得ないわ。クラス同士で固まってしまえば魔法の適性が偏ります。
そもそも、この班を自由でっていうのは、仲良しこよしで集まるんじゃなくて、魔法適正をバラバラにして集めるのが大前提だとしたら…………班決めをそこまで考慮できるかまで視られているとしたら?
私は班員の顔をぐるりと見渡すと、不安は一瞬で消え去った。そう、私達八人で使えない魔法適正がなかったのである。唯一最も得意な魔法が時空魔法の生徒はいませんが、それは問題ありません。なぜなら私の表向きの適正は波動魔法と時空魔法だからです。
守護魔法はミゲル、付与魔法はビルジニ、状態魔法はリビオ、回復魔法はジョアサン、幻惑魔法はオリバーね。私が時空魔法を担当するなら波動魔法はカトリーヌさんね。ジャンヌさん? …………彼女は、彼女は癒しよ。
となると保存食は何もカチカチの干し肉やドライフルーツである必要はない。なぜなら私の時空魔法なら鮮度を保ったまま二日三日くらい余裕だ。この世界にはありませんが、アイスクリームだって三日後に冷え冷えの状態で提供できるわ。
みんなに時空魔法で保存することを提案するとビルジニが何かを思いついたように喋り始めた。
「魔法を駆使するね。面白い発想だよ。さすが我らが姫君。だったらこういうのはどうだろう」
そういってビルジニは水の入った木製のコップに小さく呟いて私に手渡す。
「飲んでご覧。きっと驚くから」
「…………? 頂くわ」
きっと何かしらの魔法がかけられているのでしょう。私はコップの中の透明な水を口にすると、口の中に広がるのは砂糖のような甘みだった。
「え? もしかしてこれも付与魔法?」
「そうさ、これは僕オリジナルの魔法。食べ物や飲み物の味を変えようとした付与魔法使いは表向きでは過去にもいないみたいだからね。やり方も僕しか知らないよ。姫君が付与魔法を使えれば教えられたんだけどね」
つまり、どんな食材でも味のリクエストし放題なのね。ちょっと楽しくなってきたわ。あと、表向きじゃないですけど、付与魔法使えるから超教えて欲しい。なんならスザンヌに教えて欲しい。その現場を見せてくれればいいから。
この世界で食べられなくなった味がたくさんあるのよ。再現できるんでしょ? ねえ、教えてよ。ねえってば。…………は!? 危うく前世の食べ物の記憶で目の前のことが分からなくなるところだったわ。
でもいつかじっくり話を聞きたい魔法ね。
私達の班は食材は比較的に柔らかく味のないものを大量に選ぶものですから、他の班も騎士団の皆様も目を丸くしていました。
「でも見た目はもう少し何とかしたいわね」
私が兵糧として戦場で食べられることのある土みたいな色をした麦の団子を眺めていると、オリバーがそれを白玉のように真っ白に変えてみせる。
「姫様が土下座するなら幻惑魔法で見た目くらい変えてあげますが?」
「……なんでそこは協力してくれないのよ」
「さすがに冗談ですよ。今回はクリスティーン姫にも世話になることですしね」
本当に冗談なんでしょうね。私は内心では彼をツッコミつつも、声をあげて指摘することはできなかった。とにかく馬車移動の二日間。私の時空魔法で保存し、ビルジニの付与魔法で味を変え、オリバーの幻惑魔法で見た目も変える作戦で食糧問題は解決しました。
後は条件通り食べきることと、捨てないことですね。
また騎士団養成所で大量の保存食を頂くことになりますが、条件があり、貰う時に自分たちで好きなだけ持っていくこと。ただし、余らせるのも捨てるのも禁止。以降二日間は食糧の配布はなしと宣告されました。
「私は二日位食べなくても平気です!」
「そういう問題じゃないのよジャンヌさん」
食糧を好きなだけ持っていけるとしても、積み荷にも限度はあります。八人二日分の食糧と考えれば、多めに見積もっても馬車の積載量を超えたり、速度を落とすなんてことにはならないでしょう。
飲料などは定期的に配布されるらしいので、とにかく今日を含めて二日間はこの保存食でやりくりしなきゃいけないのね。もっと魔法使いらしい遠征になると思っていましたが、馬車の移動期間は魔法に関わるカリキュラムを組むことができなかったのね。
いえ、むしろ関りがないと思っているのは私たちだけなのではないでしょうか。私達は言われた通りのことだけをしていたら、もしかしたらずっと魔法を使わないのではないでしょうか。
もし生徒たちに自主的に魔法を使わせることを促すことが目的だとしたら、いえ、それはあり得ないわ。クラス同士で固まってしまえば魔法の適性が偏ります。
そもそも、この班を自由でっていうのは、仲良しこよしで集まるんじゃなくて、魔法適正をバラバラにして集めるのが大前提だとしたら…………班決めをそこまで考慮できるかまで視られているとしたら?
私は班員の顔をぐるりと見渡すと、不安は一瞬で消え去った。そう、私達八人で使えない魔法適正がなかったのである。唯一最も得意な魔法が時空魔法の生徒はいませんが、それは問題ありません。なぜなら私の表向きの適正は波動魔法と時空魔法だからです。
守護魔法はミゲル、付与魔法はビルジニ、状態魔法はリビオ、回復魔法はジョアサン、幻惑魔法はオリバーね。私が時空魔法を担当するなら波動魔法はカトリーヌさんね。ジャンヌさん? …………彼女は、彼女は癒しよ。
となると保存食は何もカチカチの干し肉やドライフルーツである必要はない。なぜなら私の時空魔法なら鮮度を保ったまま二日三日くらい余裕だ。この世界にはありませんが、アイスクリームだって三日後に冷え冷えの状態で提供できるわ。
みんなに時空魔法で保存することを提案するとビルジニが何かを思いついたように喋り始めた。
「魔法を駆使するね。面白い発想だよ。さすが我らが姫君。だったらこういうのはどうだろう」
そういってビルジニは水の入った木製のコップに小さく呟いて私に手渡す。
「飲んでご覧。きっと驚くから」
「…………? 頂くわ」
きっと何かしらの魔法がかけられているのでしょう。私はコップの中の透明な水を口にすると、口の中に広がるのは砂糖のような甘みだった。
「え? もしかしてこれも付与魔法?」
「そうさ、これは僕オリジナルの魔法。食べ物や飲み物の味を変えようとした付与魔法使いは表向きでは過去にもいないみたいだからね。やり方も僕しか知らないよ。姫君が付与魔法を使えれば教えられたんだけどね」
つまり、どんな食材でも味のリクエストし放題なのね。ちょっと楽しくなってきたわ。あと、表向きじゃないですけど、付与魔法使えるから超教えて欲しい。なんならスザンヌに教えて欲しい。その現場を見せてくれればいいから。
この世界で食べられなくなった味がたくさんあるのよ。再現できるんでしょ? ねえ、教えてよ。ねえってば。…………は!? 危うく前世の食べ物の記憶で目の前のことが分からなくなるところだったわ。
でもいつかじっくり話を聞きたい魔法ね。
私達の班は食材は比較的に柔らかく味のないものを大量に選ぶものですから、他の班も騎士団の皆様も目を丸くしていました。
「でも見た目はもう少し何とかしたいわね」
私が兵糧として戦場で食べられることのある土みたいな色をした麦の団子を眺めていると、オリバーがそれを白玉のように真っ白に変えてみせる。
「姫様が土下座するなら幻惑魔法で見た目くらい変えてあげますが?」
「……なんでそこは協力してくれないのよ」
「さすがに冗談ですよ。今回はクリスティーン姫にも世話になることですしね」
本当に冗談なんでしょうね。私は内心では彼をツッコミつつも、声をあげて指摘することはできなかった。とにかく馬車移動の二日間。私の時空魔法で保存し、ビルジニの付与魔法で味を変え、オリバーの幻惑魔法で見た目も変える作戦で食糧問題は解決しました。
後は条件通り食べきることと、捨てないことですね。
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