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戌申雉
3つの願い×30=90の願い=∞
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前回までのあらすじ。
ブラストンとエメラル・海・イカダ・目的地魔王城・敵。
───────────
敵である戌申雉と名乗りし、キメラ生物は自分の事を聖マジメ帝都学園の生徒だと言った。
つまり、ブラストン達の敵である。
「私は『ランプ魔法』使い。お前たちを抹消しに来たのだ!!」(戌申雉)
戌申雉は最初にエメラルから殺すつもりのようだった。
怯えるエメラルを庇うかのようにブラストンは一歩前に出て剣を構える。
「刺客というわけか。1つ聞こう!!
ランプ魔法とはなんだ?」(ブラストン)
「ランプ魔法は3つまで相手の願いを叶える能力がある」(戌申雉)
「相手の願いをかなえる?」(エメラル)
「だが、ただ叶えるだけではない。3つの願いを叶え終わった後。相手に恐ろしい代償が与えられるのさ!!」(戌申雉)
相手の願いを叶えて代償を与える能力。
エメラルはその事を聞いて「ハッ!?」と気づいた。
前回、海からスイカが採れたのも病院がイカダの上に現れたのも……。
全てがこいつの魔法によるものだった。ブラストンの頭のおかしい世界観ではなかったのだ。
そして、それを願ったのはブラストン。
つまり、ブラストンがあと1回願いを言ってしまえば恐ろしい代償が与えられるのである。
「ブラストンさん!!
もう何も願っちゃダ 」(エメラル)
「イカマシュマロどんぶりが喰いたい!!」(ブラストン)
「ブラストンさーーーーん??」(エメラル)
エメラルの忠告もむなしく。
海の上にプカプカとイカマシュマロどんぶりが浮かんでいるのをブラストンは発見した。
ブラストンの願いが叶ったのである。
「やったーーイカマシュマロどんぶりだーー」(ブラストン)
喜びのあまり、海の中へと飛び込んでしまうブラストン。
ブラストンが泳ぎながら、どんぶりの蓋を開けると中にはイカマシュマロどんぶりが……。
「いただきまーす」(ブラストン)
ブラストンはそれを海に浮かびながら食べ始める。
それをイカダの上から眺めている2人。
エメラルは(そもそもイカマシュマロどんぶりってなんだろう?)などと考えながら、彼女を見つめていたのだが。
戌申雉の堪えるような笑い声が聞こえてくると注意をそちらに向けた。
「 ブラストン。お前はもう終わりだ!!」(戌申雉)
戌申雉がそう呟いた瞬間である。
ブラストンの泳いでいた海が急に渦巻き始めた。
まるでブラストンを引きずりこもうとしているかのように、海が荒れている。
「うわああああ!!
助けてくれーー」(ブラストン)
もがく。泳ぐ。
しかし、渦の力は凄かった。
どんどん巻き込まれていくブラストンの体。
「トイレの流れるアレみたいだぞこれ!!」(ブラストン)
どんどんどんどん渦の下へと移動している。
「ブラストンさーーーーん!!!」(エメラル)
「海の海蘊酢となれブラストンーーーー」(戌申雉)
ブラストンの体が渦の中心付近へと到達した後。
ブラストンの体は見えなくなった。
そして、もう二度と彼女は海の中から上がってこれることはないのだろう。
渦巻いていた海は再び平穏な海に戻った。
ブラストンは海の中から浮かび上がってこない。
20分待っても上がってくる気配はない。
「さてさて~。次はお前の番だな。エメラル~?」(戌申雉)
「くそっ、ブラストンさんを返せ!!」(エメラル)
近づいてくる戌申雉にエメラルは恨みを込めて飛びかかろうとするが、戌申雉は楽々とそれを避けて彼の背中を蹴飛ばす。
「ギャッ!?」(エメラル)
「フハハハハ。無駄無駄。動くだけ体力の無駄ァ。
1つ教えておいてやろう。もしもお前が私に『死ね』と願っても~。ブラストンが蘇ることはなーい。
私の作る願いは偽物!!
私は『ランプ魔法』使いではなーい。『偽物魔法』使いなのだ~~」(戌申雉)
そう言って戌申雉はエメラルの襟を掴む。
力強く襟を掴まれて苦しそうな表情を浮かべるエメラルに戌申雉は言った。
「さぁ。願いを言えよ。後悔のないように3つの願いだ。
早く言わないと海に突き落とすぞ~?」(戌申雉)
イカダの端までエメラルの襟を掴んだまま移動した戌申雉。
「言えよ。早く言え……」(戌申雉)
襟を掴まれてエメラルは宙に浮かばされている。
下は海、上は太陽。目の前にはキメラ生物。
ここにはエメラルを救ってくれる者はいない。
「言うよ……」(エメラル)
「なんだよエメラル。お前の願いはなんだ?」(戌申雉)
脳裏に浮かぶのはエメラルの過ごしてきた過去の風景。
実はエメラルには“本当に叶えたい願い”があった。
それがもう二度と戻らない願いだというのはエメラル自身も理解している。
だから、その願いはこんな風に叶えるべき願いでは断じてない。そこまで軽んじて良い願いではない!!
戌申雉によって叶えられるべきではなく、もう二度と戻らないと改めて自覚した。
せっかくのチャンスを水に流した。
そして彼は叫ぶ。
過去という雑念を振り切り、今求めるべき彼女の名前を!!
「ごめんみんな。
………ブラストンさんを甦らせろ!!!」(エメラル)
エメラルが1つ目の願いを口にした瞬間である。
ピカーーーッと海の中で光がキラキラと輝いていた。
戌申雉の偽物魔法でブラストンを生き返らせる儀式が始まったのである。
「バカだぜエメラル。私は『偽物魔法』を操る者。出てくるブラストンは偽物さ。
お前の敵であるブラストンさ!!」(戌申雉)
海中から出てきた手がイカダの縁を掴む。
エメラルの願い通りに偽物ブラストンが海の底から現れたのである。
海の中から颯爽と飛び出してきたのは偽物魔法で作られた偽物ブラストン。
「ブラストン参上」
海水に濡れた姿ではあるがイカダの上に華麗に着地し、戌申雉の側に立つ。
「フハハハハ。見たか?
ブラストンがお前の敵なのだよエメラル」(戌申雉)
「…………」(偽物ブラストン)
「ブラストンさん……」(エメラル)
「さあ殺ってしまえ!!ブラストンよ!!」(戌申雉)
戌申雉の命令。ブラストンがエメラルを殺すために動き出そうとする。
────その時であった!!
「ブラストン参上」
「「えっ?」」(エメラル&戌申雉)
海の中からまたブラストン。
そしてそれは壊れたコピー機のように次々と海の中から飛び出してきたのだ。
「ブラストン参上」「ブラストン参上」「ブラストン参上」「ブラストン参上」「かき揚げ大好き」「ブラストン参上」etc.
「30人ブラストン戦隊!!」(ブラストン達)
突然イカダの上に現れた大量のブラストン。
驚いている様子から見ても、戌申雉はさすがにこの数のブラストンが現れることを予想してはいなかったようだ。
「なぜこんなにもたくさんのブラストンが?
いや、待てよ。こんなにもたくさんのブラストンがいるなら【聖徒会】への推薦も思うがまま……くくく」(戌申雉)
「その前にさ。いいか?」(ブラストン:レッド)
「なんだ? ブラストン?」(戌申雉)
「私たちの願いがまだ叶えてもらっていないんだけど……?」(ブラストン達)
「えっっと??」(戌申雉)
「叶わせてもらうぜ。戌申雉さんよぉ~?」(ブラストン達)
ブラストン達が戌申雉を囲うように並ぶ。
まるでカツアゲを行うヤンキーのように、集団で戌申雉を睨み付けている。
「待て。この人数はさすがに……まさかお前ら本物のブラストンか?
おい待てこら来るな無理だ諦めろくそっ押すなおいエメラルこいつを止め……待てブラストン待てステイ頼むごめん許していやイヤァあああああああああああああああああ!!!!!」(戌申雉)
戌申雉の断末魔が響き渡る。
けれど、その声も波の音にかき消されてしまうのであった……。
ブラストンとエメラル・海・イカダ・目的地魔王城・敵。
───────────
敵である戌申雉と名乗りし、キメラ生物は自分の事を聖マジメ帝都学園の生徒だと言った。
つまり、ブラストン達の敵である。
「私は『ランプ魔法』使い。お前たちを抹消しに来たのだ!!」(戌申雉)
戌申雉は最初にエメラルから殺すつもりのようだった。
怯えるエメラルを庇うかのようにブラストンは一歩前に出て剣を構える。
「刺客というわけか。1つ聞こう!!
ランプ魔法とはなんだ?」(ブラストン)
「ランプ魔法は3つまで相手の願いを叶える能力がある」(戌申雉)
「相手の願いをかなえる?」(エメラル)
「だが、ただ叶えるだけではない。3つの願いを叶え終わった後。相手に恐ろしい代償が与えられるのさ!!」(戌申雉)
相手の願いを叶えて代償を与える能力。
エメラルはその事を聞いて「ハッ!?」と気づいた。
前回、海からスイカが採れたのも病院がイカダの上に現れたのも……。
全てがこいつの魔法によるものだった。ブラストンの頭のおかしい世界観ではなかったのだ。
そして、それを願ったのはブラストン。
つまり、ブラストンがあと1回願いを言ってしまえば恐ろしい代償が与えられるのである。
「ブラストンさん!!
もう何も願っちゃダ 」(エメラル)
「イカマシュマロどんぶりが喰いたい!!」(ブラストン)
「ブラストンさーーーーん??」(エメラル)
エメラルの忠告もむなしく。
海の上にプカプカとイカマシュマロどんぶりが浮かんでいるのをブラストンは発見した。
ブラストンの願いが叶ったのである。
「やったーーイカマシュマロどんぶりだーー」(ブラストン)
喜びのあまり、海の中へと飛び込んでしまうブラストン。
ブラストンが泳ぎながら、どんぶりの蓋を開けると中にはイカマシュマロどんぶりが……。
「いただきまーす」(ブラストン)
ブラストンはそれを海に浮かびながら食べ始める。
それをイカダの上から眺めている2人。
エメラルは(そもそもイカマシュマロどんぶりってなんだろう?)などと考えながら、彼女を見つめていたのだが。
戌申雉の堪えるような笑い声が聞こえてくると注意をそちらに向けた。
「 ブラストン。お前はもう終わりだ!!」(戌申雉)
戌申雉がそう呟いた瞬間である。
ブラストンの泳いでいた海が急に渦巻き始めた。
まるでブラストンを引きずりこもうとしているかのように、海が荒れている。
「うわああああ!!
助けてくれーー」(ブラストン)
もがく。泳ぐ。
しかし、渦の力は凄かった。
どんどん巻き込まれていくブラストンの体。
「トイレの流れるアレみたいだぞこれ!!」(ブラストン)
どんどんどんどん渦の下へと移動している。
「ブラストンさーーーーん!!!」(エメラル)
「海の海蘊酢となれブラストンーーーー」(戌申雉)
ブラストンの体が渦の中心付近へと到達した後。
ブラストンの体は見えなくなった。
そして、もう二度と彼女は海の中から上がってこれることはないのだろう。
渦巻いていた海は再び平穏な海に戻った。
ブラストンは海の中から浮かび上がってこない。
20分待っても上がってくる気配はない。
「さてさて~。次はお前の番だな。エメラル~?」(戌申雉)
「くそっ、ブラストンさんを返せ!!」(エメラル)
近づいてくる戌申雉にエメラルは恨みを込めて飛びかかろうとするが、戌申雉は楽々とそれを避けて彼の背中を蹴飛ばす。
「ギャッ!?」(エメラル)
「フハハハハ。無駄無駄。動くだけ体力の無駄ァ。
1つ教えておいてやろう。もしもお前が私に『死ね』と願っても~。ブラストンが蘇ることはなーい。
私の作る願いは偽物!!
私は『ランプ魔法』使いではなーい。『偽物魔法』使いなのだ~~」(戌申雉)
そう言って戌申雉はエメラルの襟を掴む。
力強く襟を掴まれて苦しそうな表情を浮かべるエメラルに戌申雉は言った。
「さぁ。願いを言えよ。後悔のないように3つの願いだ。
早く言わないと海に突き落とすぞ~?」(戌申雉)
イカダの端までエメラルの襟を掴んだまま移動した戌申雉。
「言えよ。早く言え……」(戌申雉)
襟を掴まれてエメラルは宙に浮かばされている。
下は海、上は太陽。目の前にはキメラ生物。
ここにはエメラルを救ってくれる者はいない。
「言うよ……」(エメラル)
「なんだよエメラル。お前の願いはなんだ?」(戌申雉)
脳裏に浮かぶのはエメラルの過ごしてきた過去の風景。
実はエメラルには“本当に叶えたい願い”があった。
それがもう二度と戻らない願いだというのはエメラル自身も理解している。
だから、その願いはこんな風に叶えるべき願いでは断じてない。そこまで軽んじて良い願いではない!!
戌申雉によって叶えられるべきではなく、もう二度と戻らないと改めて自覚した。
せっかくのチャンスを水に流した。
そして彼は叫ぶ。
過去という雑念を振り切り、今求めるべき彼女の名前を!!
「ごめんみんな。
………ブラストンさんを甦らせろ!!!」(エメラル)
エメラルが1つ目の願いを口にした瞬間である。
ピカーーーッと海の中で光がキラキラと輝いていた。
戌申雉の偽物魔法でブラストンを生き返らせる儀式が始まったのである。
「バカだぜエメラル。私は『偽物魔法』を操る者。出てくるブラストンは偽物さ。
お前の敵であるブラストンさ!!」(戌申雉)
海中から出てきた手がイカダの縁を掴む。
エメラルの願い通りに偽物ブラストンが海の底から現れたのである。
海の中から颯爽と飛び出してきたのは偽物魔法で作られた偽物ブラストン。
「ブラストン参上」
海水に濡れた姿ではあるがイカダの上に華麗に着地し、戌申雉の側に立つ。
「フハハハハ。見たか?
ブラストンがお前の敵なのだよエメラル」(戌申雉)
「…………」(偽物ブラストン)
「ブラストンさん……」(エメラル)
「さあ殺ってしまえ!!ブラストンよ!!」(戌申雉)
戌申雉の命令。ブラストンがエメラルを殺すために動き出そうとする。
────その時であった!!
「ブラストン参上」
「「えっ?」」(エメラル&戌申雉)
海の中からまたブラストン。
そしてそれは壊れたコピー機のように次々と海の中から飛び出してきたのだ。
「ブラストン参上」「ブラストン参上」「ブラストン参上」「ブラストン参上」「かき揚げ大好き」「ブラストン参上」etc.
「30人ブラストン戦隊!!」(ブラストン達)
突然イカダの上に現れた大量のブラストン。
驚いている様子から見ても、戌申雉はさすがにこの数のブラストンが現れることを予想してはいなかったようだ。
「なぜこんなにもたくさんのブラストンが?
いや、待てよ。こんなにもたくさんのブラストンがいるなら【聖徒会】への推薦も思うがまま……くくく」(戌申雉)
「その前にさ。いいか?」(ブラストン:レッド)
「なんだ? ブラストン?」(戌申雉)
「私たちの願いがまだ叶えてもらっていないんだけど……?」(ブラストン達)
「えっっと??」(戌申雉)
「叶わせてもらうぜ。戌申雉さんよぉ~?」(ブラストン達)
ブラストン達が戌申雉を囲うように並ぶ。
まるでカツアゲを行うヤンキーのように、集団で戌申雉を睨み付けている。
「待て。この人数はさすがに……まさかお前ら本物のブラストンか?
おい待てこら来るな無理だ諦めろくそっ押すなおいエメラルこいつを止め……待てブラストン待てステイ頼むごめん許していやイヤァあああああああああああああああああ!!!!!」(戌申雉)
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けれど、その声も波の音にかき消されてしまうのであった……。
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