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C組アイランド編

見えないの間と聞けないの間(問題あり)

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 『トゥルストタルス。さぁ恐怖のライドアトラクションへようこそ。お前たち気分はどうだい?』

ライドアトラクションに乗り込んでしまったブラストンとネンド魔王と担当。
ライドアトラクションは止まることなくレールの上を動き出していた。

「「最高だぜーー」」(ブラ&ネンド)
「最悪だぜーー」(???)

『よろしい。これから君たちは生きてここから出るために実力を試させてもらう。このアトラクションは4つのエリアに分かれている。
①見えないの間
②聞けないの間
③言わないの間
④生きないの間
生きたければ問題を解くがいい!!』

「イエーイ!!」(ブラ&ネンド)
「ちょっと待って。最後の④って何?  私知らないんだけど!!」(???)

『それでは深淵の旅へ行ってらっしゃい』

─────────────

 アトラクションが始まってしまった。
ここは誰もが行きたくないアトラクション。C組アイランドの曰く付きの場所である。
私だって、こんな場所を担当したかったわけじゃない。
くじ引きで外れを引いたので嫌々仕方がなくここの担当をしているのだ。
それなのに……。

「よろしくな。知らない人。頑張ろうぜ」(ブラストン)
「あんまり足を引っ張るなよな」(ネンド魔王)

なぜか私は始末するべき対象たちと一緒にこのライドアトラクションに乗り込まなければいけなくなったのだ。
私は彼女らに軽く挨拶を行ってから、再び自問自答タイムに突入する。
そうだとも。問題を全問正解すればいいだけだ。
私は聖マジメ帝都学園の1年C組でもかなり良い成績を取れていた。
クイズなら馬鹿そうな隣の2人組よりは解けるだろう。
あとはアトラクションの途中で彼らを乗り物から突き落とせば良い。
そうすれば私は無事にこのアトラクション担当をやめることができるという約束だ。



 第①の間に到達。

『ようこそ。見えないの間へ。我は貴様らの敵『金神の奈落』。
ここは貴様らの視覚を奪う場所なり」

どこからか聴こえる声がそう発言すると、私の視界が真っ暗にさせられてしまった。

「何も見えないじゃないか」(???)

「真っ暗だ!?」(ネンド魔王)
「まるでお前の腹の中みたいだな笑」(ブラストン)
「おいおい照れるぞ。ワシの腹はブラックホールみたいに何でも喰うからのぉ~」(ネンド)
「ヨッ、補食のブラックホール!!」(ブラ)
 「フンッ!!」(ネンド)
「腹に奈落でも飼わせてんのかい!!」(ブラ)
「フフンッ!!」(ネンド)

「掛け声するのやめてくれません?」(???)

隣の2人組がうるさい。事前に馬鹿な奴らだとは聞いていたのだがこんな時にふざけるか普通は?
正直、2人組の口を自分の手で塞いでやりたかったが何も見えないのでどうにもできない。

『解答権は2回。それでは問題だ』

いよいよ問題が出される。

「ほら、2人とも聞き逃さないでくださいね」(???)

『ヒロシ君はくじ(9時)の塾があります。
しかし、友達の誕生日プレゼントを買わなければいけません。
そのため、ヒロシ君はろくじ(6時)に家を出ました。
デパートについたのは30分後です。
そしてデパートで買い物をし終わったのはまるじ(◯時)。
そのまるじ(◯時)から塾に向かいました。この◯時というのは今のじかんです。分はない。今、リアルと同じじかんです。今はなんじ(◯時)なんでしょう?』

今は何時かだと?
デパートで買い物をし終わった時間=リアルと同じ時間。
つまり、今の時間を言えば良いということ。
そんなもの、私が今着けている腕時計を見れば分かる……。

「ハッ!?」(???)

時計が見えない。そうだ。今は視覚を奪われているのだ。
これでは今の時間を確認することができない。
まさに見えない。見れない。見ることができない。
見えないの間にふさわしい。
……って感心している場合ではない。こうなったら計算だ。

「9時に塾・6時に家を出て・30分後にデパート・終えるのが◯時・◯時から塾へ・今と同じ時間・分はない」(???)

「(つまり、◯時は6時30分以降で9時よりも前。7か8だな)」(???)

しかし私では絞れない。これ以上の計算が難しくなってしまった。そもそも塾の場所が分からないのだ。7か8というのは頭の中で思い付いたのだが、どちらを答えるかは決めていない。
私が二択で悩んでいると、2人組のうちの1人が解答しやがった。

「分かったぜ。答えは7だ!!」(ネンド)

普通なら「解答権を潰しやがって!!」と怒るところだが、私の二択と一致している。

『不正解。あと1回』

どうやら7時は不正解だったようだ。ならば答えは8時。

「はい。答えは8  」(???)

「正解は2だぜ!!!!」(ブラストン)

馬鹿な!?
この女、貴重な2回の選択権を破棄しやがった!!



 これで解答権はもうない。我らのゲームオーバーだ。

「おい、貴様。ブラストン。何を適当な事を!!
バカか貴様!!」(ネンド)

どうやら2人組の相方もこれには激怒しているようだ。
そりゃそうだ。6時30分以降で9時よりも前の分はない。つまり、7時か8時。
それすらも分かっていない。馬鹿がいたのである。
『不正解』と言われる声が今すぐにでも聴こえてきそうだぜ。

『正解』

「は!?」(ネンド&???)

「ほら見ろ。私が正解だ!!
次だ次!!」(ブラストン)

どういうことだ?
2時が正解だと!?

───────────────

 さて、納得のいかないまま次にやって来たのは第②の間。

『聞けないの間の『アバドン』。問題を言い渡す』

今度はライドアトラクションに文字が表示された。どうやら間を抜けると前の縛りは失くなるらしい。今回は聴力が奪われてしまった。
しかも問題の答えを他人に聞いてはいけないらしい。

『8÷2×(2+2)はどうなる?』

「(数式!?
これは計算だな。ならば簡単!!
えっと……16。いや待て……1?
????????)」(???)

「はい。分からない!!」(ブラストン)

『正解』

もうわけがわからない。なんで馬鹿だと事前に聞いていた奴が私よりも先に答えにたどり着けるのだ!?


──────今はなんじでしょう。今=なんじ。今、なんじ。いま、なんじ。『いま』はなんじ。2じ。
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