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幼少期
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しおりを挟む今日も快晴、お茶会日和!王宮でのお茶会並みに気合を入れてお嬢様を仕上げ、いざ出陣!!
アルバート殿下も現地集合予定だし、アイニー様の参加も確認済みだ!!向こうは散々陰湿に虐めてくれたが、こちらは真っ向勝負である。正面から叩き伏せてやろうじゃありませんか!
「ようこそおいでくださいました、アミエル侯爵令嬢」
「本日はどうぞ楽しんでいってくださいませ」
お出迎えしてくれたのは、主催者のトゥリン兄妹だ。彼らは双子らしく、男女ではあるがそっくり。こちらも丁寧に挨拶を返し会場入りする。
そして早速殿下…の前にアイニー様発見!相変わらずのピンクで安心です。装飾は減ってるがピンクに変わりなし、恐らくピンク=可愛いという数式が彼女の中にあるのだろう。
だが今はアイニー様に用はねえ、殿下を…捕まってた!!
「まあ殿下、ご機嫌よう。あまり我が家にいらしてくださらないから、私寂しい思いをしておりましたの」
「ご機嫌よう、アミエル侯爵令嬢。僕は何度かリリーナラリスに会いに行っているから心配いらないよ」
「…よろしければ、本日お近くにいてもよろしいかしら?」
「もう僕の隣は決まってるの。ごめんね」
アイニー様のメンタルどうなってんの?前回あんだけ酷い目にあったのに、懲りるという事を知らないの?って、よく見ると第3王子もいるじゃん。付いてきたのか。
ようやく殿下がこちらに気付き、声をかけてきた。…家族との話し合いは上手くいったのかな?なんだかいい笑顔してるわ。…そっか、よかった。
「やあリリーナラリス。今日の君もとっても美しい。何度でも惚れ直してしまいそうだよ」
「まあ…殿下こそ、とても素敵ですわ。貴方を見つめる令嬢方に思わず嫉妬してしまいそう」
「僕には君しか見えないよ。さあ行こうか」
「はい…」
そうしてお嬢様をエスコートして席に着く2人。あっつあつー!!ヒューヒュー!!これも作戦のうちですが。
2人にはとにかくイチャイチャするよう言っといた。だが予想以上にハマってるな…。もう婚約者の候補取っていいんじゃない?完全に2人の世界つくってらっしゃる。
それはいいんだけど、第3王子置いてくなよ!!私もアシュレイも彼を放っていいのかわかんねえ!と思っていたが、あちらから話しかけてきた。
「ご、ご機嫌よう、いつも兄上がお世話になっているね」
「第3王子殿下におかれましてはご機嫌麗しく」
「私達こそアルバート殿下には何かと気にかけていただいており、身に余る光栄でございます」
なんとまあ兄想いの弟君か。殿下よ、見習え?今頃弟ほったらかした事に気付きおって。ごめん、忘れてた。こっちおいでとか言っとるし。ようやく落ち着いた…
「ねえ見て、本日の第2王子殿下のお召物」
「まあ…あちら侯爵令嬢とお揃いかしら」
「やはりあの噂は嘘なのかしら」
「先程もアイニー様、あしらわれていましたものね…」
ふふふふふ!いいよいいよ、もっと注目浴びちゃえ!そう、今日の2人の服は私が用意しましたとも!どちらも白を基調としており、目立つワンポイントに青いリボンやらネクタイやら。お揃いのアクセサリーを付けたりして、どっからどう見ても合わせたのが分かるようにした。
アイニー様の付け入る隙など1ミリたりともねえんだよ!と全身で表現しているのだ。
「ところで、僕も君を愛称で呼びたいな。いいかな?」
「もちろんでございます。アシュレイもアシュリィも、教会の子供達もみんなリリーと呼んでくださいますの」
「そっか。リリーもいいが、僕は僕だけの特別な呼び方をしたいな。リリス…と呼んでもいいかい?」
「まあ…はい、嬉しいですわ」
「リリスも僕の事を愛称で呼んで?家族はアルと呼ぶから…アルビーと呼んで欲しいな」
「…はい、アルビー」
「うん」
おろろろろろ。私達今大量に砂糖を吐いております。甘い甘い甘すぎる!!見つめあって手を取り合って…第3王子顔真っ赤ですが!?他の参加者も、やれやれ見せつけてくれるぜ…な雰囲気だよ!!やりおるわ殿下。演技だよね?ね??
その様子を見ていたアイニー様は、血の涙を流しそうな形相だ。周りの令息達が距離を置いてるぞ。そしてアルバート殿下は諦めたのか、第3王子にロックオンした。
「ジェイド殿下はまだ婚約者はいらっしゃいませんよね。女性の好みなどあるのでしょうか?」
「え?うーん…凛々しい人、かな」
「まあ…そうなのですか。それはそうと殿下、この時期我が領地にある花園が見頃ですの。私ご案内致しますから、どうぞいらしてくださいな」
「ええと…」
引かれているにもかかわらずぐいぐい行くなあ。助け舟を出したいが、会話に口出しする訳にはいかん。というか第3王子のお友達とか来てないの?ここはアルバート殿下に尋ねる。
「いちゃついてるところ申し訳無いんですけど、第3王子殿下困ってますよ。お友達とか従者の方とかいらっしゃらないんですか?」
「あ。うーんと、ここにはいないね。君達、暫くジェイド見てて。こっちにはヒューがいるから大丈夫」
そういう問題じゃねー!!!今日は私とアシュレイとお嬢様の仲の良さを見せつけるっつー目的もあるの!!そのお嬢様と離れたら意味ないでしょうが!?事前に説明しといたでしょうが!!
「そうだった。じゃあジェイドこっち来て。アシュシュも。あと…あ、いた。ランスもこっち、はい完成」
完成?何が?
「僕達移動するから、ここどうぞ。そのマフィン美味しかったよ。じゃ」
彼は茫然とするアイニー様その他を尻目に右手でお嬢様、左手で第3王子を掴み移動し始めた。そして私達とご指名を受けたランス様(居たんかい)、ヒュー様が後を追う。そのまま空いてるテーブルに落ち着いた。
だがすぐに復活したアイニー様と取り巻きがやってくる。
「ま、まあ殿下お待ちになってくださいな。私達もご一緒しても」
「さっき断ったよね?」
相変わらずの一刀両断!!頼もしーい!それでも諦めきれないのか、結局近くにはいる。だがアルバート殿下とヒュー様が近付くなオーラを振りまいているので寄って来れない。うんうん。
と満足していたら、こちらを伺うミーナ様発見!早速パーティに加えよう、と思いお嬢様にそこにミーナ様いますよと声をかける。
「あら、ミーナさん。どうぞこちらにいらして?」
「はぐあ!よろしいのですか!?」
はぐあ!て…まあ恐れ多い面子ではあるよね。私達は控えているだけだから良いけどさ。そして目を輝かせ仲間入り。…お?あの靴履いてくれてる。やっぱ似合ってる!気配感じないけど、多分影もいるね。お疲れ様でーす。
…と、そろそろ動きましょうか!アシュレイにアイコンタクトを送り、お嬢様に合図する。
「お嬢様。日差しが強いので、こちらの日傘をどうぞ」
「!…あら、ありがとう」
「お嬢様、こちらのチョコレートケーキ、お好きでしたよね。どうぞ」
「ふふ、ありがと」
宝塚モードアシュリィ降臨!でござい。お嬢様をひたすらに構いまくるだけという頭の悪い作戦である!
しかし主従っぽくなく、フレンドリーに見せたい。私達が、心の底からお嬢様をお慕いしていて誠心誠意お仕えしているとアッピール!するのだ!
アルバート殿下にももちろんお手伝いしてもらうからね。
「君達は本当に仲良いね。いつからの付き合いなの?」
「私達が6歳の頃ですわ。アシュレイは数ヶ月前に知り合いましたけれど」
「へえ。詳しく教えてよ。君達の話聞いてみたいし」
殿下のパスをいただきました!ドリブルからのシュート!!!
「もちろんですとも。お嬢様との思い出はいくらでもありますから」
「ボクもですよ。お嬢様は初めてお会いした時から優しく接してくださいました」
私達は、お嬢様が2年前から…いや、そろそろ3年経つな。その頃から教会に通ってくださっている事を語った。最初の冷たい頃はスルー!嘘は吐いてないよ、話してないだけだよ?
「お嬢様、木の上から落っこちて護衛さんを潰してましたね」
「最近ですと…教会でパンを作ろうとして、どうしてか竈門を木っ端微塵にしましたよね!アシュリィが魔法で直しましたが」
「子供達に字を教えてくださって、授業中は先生と呼ばれているのですよ」
「森で採った得体の知れない木の実を…いえ、これは止めておきましょうか!」
「もうちょっと良い思い出は無いのかしら!?」
えー。野良猫捕まえようとして路地裏ですっ転んで服汚したとか。長い間パイルの名前をパインって間違えてたとか。最初は子供達のお着替えとか上手く出来なくて、よく前後逆に着せてたとか。
アシュレイとあーでもない、こーでもないと語っていたらお嬢様が「もうやめて…」と消え入りそうな声で呟いた。面白い思い出なのに…
「まあ何はともあれ、私達は自分の意思でお嬢様にお仕えしています」
「ボクもアシュリィも教会の子供達もシスターも…お嬢様が大好きですから」
これは演技なんかではない、本心だ。だからこそ…お嬢様に仇なす侯爵家は許さん。分かってんのか?そこのお前。
私とアシュレイの視線を感じたのか、アイニーさ…アイニーが狼狽えた。
誰がお前と仲良くしていたって?
誰が聖女だって?
誰がアルバート殿下と愛し合っているって?
口を開けば虚言ばかり、お嬢様に頭も魔法も愛らしさも敵わないからと…自らを高める努力をせずに相手を貶める。それを窘めるどころか唆す侯爵。その他。
全員近いうちに堕としてやる。今のうちにこの生活を謳歌しておくんだな。
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