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学園
07
しおりを挟む「公開授業?」
「ええそうよ。見に行きましょう!」
リリーの話を聞いた私達は、5年生の魔法の授業風景を見学することにした。
練習場に着くと、沢山の生徒(ほとんど女子)が溢れておったわ。
「ウラオノス様ー!!こっち向いてくださーい!」
「ヨハネス様あ!素敵ー!!」
「あ!今殿下と目が合ったわ!」
「違うわよ、わたくしよ!!」
違うわよ、リリーの方を見たのよ。
アイドルかあいつらは。まあ見た目が良くて地位も高けりゃあ、ねえ?致し方無し。
魔法の授業はいくつかのグループに分かれて行われるらしい。アル達がいるのは精鋭チーム、王宮魔法師にスカウトされることもある。
なので公開授業とは、学校外からも見に来ることがあるのだ。むしろ見せるためにやってるんだろうけど。
今日の授業は、公開に合わせてか自分の一番得意な魔法で敵(ゴーレム)を倒すというものらしい。
ゴーレムか。生半可な攻撃じゃ倒すどころかヒビすらも入らんだろう。さーて、アルのお手並拝見といきますか!
「落ちろ!!」
ガアアァァァン!!!
…あんらー、バラバラ…やるう。アルは雷魔法を繰り出した。今のって最上級じゃない…?もう魔力切れただろうに。授業ごときで無茶しおって。
「多分、リリーに良いところを見せたかったんじゃねえの?あと、お前にも」
「そうなの?」
アシュレイは頷いた。私に?こんだけ成長したぜってことかな?
そりゃー愛しい彼女には格好良いところ見せたいだろうよ。私だってリリーやララ、パリスなんかが可愛く「頑張ってー!♡」なんつったら張り切って山だって割るぞ。
「本当にやりそうで怖い」
やるもんよ。
それにトゥリン兄、ヨハネスも意外とやるわ。妹の方は魔法はあまり得意じゃ無いらしく、精鋭チームにはいない。
この兄妹、ゴシップ好きくらいしか印象が無かったんだが…それが結構役に立ってくれたのだ。
アイニーのお茶会でのやらかしが一気に広まったのは、この2人の働きが大きかったように思う。こういうメディアなタイプは敵に回したくないよね。
でもまあ普通に面白い人達なので、アルもあの兄妹とは仲が良いらしい。
『昔、あの2人に謝罪されたんだよね。
噂話を鵜呑みにし、貴方とリリーナラリス様のことを敬遠していました。申し訳ございません、如何様な罰でもお受け致します。
だってさ。いやあ、正直そのくらいで罰していたら…あと何人残っているかも分からないよね。
だから、正直に告白して謝ってくれたからいい。君達が望んでくれるなら、これからは友人として親しくしてほしい。
って言ったの。それから仲良くなった』
と言っていた。そんで私もこの前改めて挨拶して友達になったのだ!今も一緒に妹、マルガレーテと見学中。
「アシュリィ様!兄はいかがですか?」
「うん、流石にアルには及ばないけど…将来有望だよね。ゴーレムも真っ二つにしたし」
「そうでしょう!?じゃあ、旦那様候補にいかがで…ごふっ」
「阿呆」
うお。いつの間に後ろに…ヨハネスは「申し訳ございません」と言って妹を引き摺って行った。仲良いなあ。
ヨハネス婚約者いないのか。侯爵家嫡男でそこそこ美形、性格も…うん、悪くは無いよね。女性からのアタックも多かろうに。
おっと、そんなことよりディードの出番だ。
魔族の魔法がどんなものかと観客は心を躍らせているぞ。でもなー、彼が本気出したら…
一応周囲に張られている結界を、ちょいっと補強してやった。これでよかろう。
それを確認したディードは右手を前に出し…手に魔力を集中させた。すると…
空から降ってきた大きな光の槍がゴーレムを串刺しにし…
次の瞬間…爆散した。ひえー、粉々。たかが授業で使う魔法じゃないよ…補強してなかったらこの辺一帯消し飛んでたよ…
当の本人はどことなく誇らしげな顔してるし。女子生徒はきゃーきゃー騒いでるし。編入してまだ1ヶ月も経っていないというのに、モテモテですな。
その時…私達から少し離れた所にデメトリアスがいるのが見えた。彼は…目の前の手すりを強く握りしめ、精鋭チームのことを睨みつけていた…
え、怖。自分より凄い人達見て闘志燃えちゃった?…うんうん、人は敗北を知って成長す…
「俺は…俺様は天才だ。最強だ。そうだ、そうに決まってる。そうじゃないと、いけないんだ…!!」
……声かけ辛え…
病んで…はいないよね?なんだコイツ、自信に満ち溢れている俺様系かと思ってたけど…なんか違う?
手すりを強く握りしめて歯軋りをし、どこか追い詰められているような表情…。そのまま彼はティモを連れてどっか行った。
これは…どうするべきかな?
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