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第59話 砕き方
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ゴン……ゴン……
部屋に入るとレオ陛下とエーゲルさんが気遣わしげな目で此方を見て来た。
私は意識して笑顔を見せる事で大丈夫だと伝える。
ゴン……ゴン……ゴン……
そろそろ音の主にも触れなければならない。
「ヘルムス、何をしているの?」
私が声をかけると、膝をついて床に額を打ちつけていたヘルムスが顔を上げる。
額は痛々しい色になり、血が滲んでいる。
「ああ……我が神よ! ご無事で何よりです……申し訳ございません……私の配慮が足りなかったばかりに……神にご負担を……」
ゴン……ゴン……
やはりそんな理由だったのか、と溜息を吐くのを我慢する。
私には狂信的と言える彼の行動について理由が解らない。
それを知る為にも過去について知らなければならないのなら……
「ヘルムス、私は大丈夫だから。ごめんね、心配させて」
彼の腕を取り、立たせてから鞄を開ける。
旅用に持って来ていた傷薬と包帯で処置をして、背中を叩く。
「はい、これで大丈夫。私も平気だったし、自分を傷付けるような事はしないでね」
彼は巻かれた包帯に手を触れて、目を閉じて微笑んだ。
「……家宝にします」
「いや、ちゃんと明日には薬も塗り替えて包帯も替えないとね?」
エーゲルさんが苦笑しつつ言葉をかけて来る。
私も苦笑しつつ、話を進める事にした。
「ヘルムス、今度は頑張るから……お話の続きをお願いして良いかな?」
ヘルムスは心配そうに私の目を見るが、頷きを返すとゆっくりと口を開いた。
「私が持ち出した……これを使って何があったかを皆様にお伝えしたいと思います」
ヘルムスの言葉にエーゲルさんと陛下の緊張が伝わって来る。
彼が『これ』と呼んだのはブーちゃんを隷属させようと使用されていたあの杭のような物だった。
「これって……聖獣を無理矢理操るために使われていた……?」
頷いたヘルムスがそれを机に置いた。
「これは、過去に存在した聖女……アリス様の骨から作られた物です」
その言葉を聞いた途端、目眩がした。
ヘルムスへの処置後、再び弟達が手を取ってくれていなければ本当に倒れていたかも知れない。
(まさか……自分の遺骨と対面するなんて……流石に衝撃が凄いんですけど)
加工されているので生々しさは無いものの良い気分では無い。
それに何より悪用されているのなら気分が悪いどころじゃ無い。
「我が神はこれに触れて砕いたとのことですが……」
杭のような物を指差して、ヘルムスがハクを見る。
「申し訳無いのですが、聖獣様にこれを砕いて頂きたいのです」
「え~……嫌ニャ……」
「私、も、や、かも」
ハクもブーちゃんも嫌そうな顔をする。
私の前世の遺骨を今世の私が見てる前で……前世一緒に旅をした聖獣が今世で砕いて……何を言ってるのか解らなくなってきた!
でも、それが必要だというならお願いしなくてはいけない。
「ハク、ごめん……お願い……」
「い~や~ニャ~! ……と言っても仕方ないのであるなぁ……はぁ」
大きく溜息を吐いたハクが杭のような物を口に咥える。
「ふにゅん!」
バキン
「あ、砕け……!?」
私は赤茶けた丘の上に居た。
周りを見ると陛下もエーゲルさんも、手を取ったままの弟達も、ヘルムスもバイアンもハクとブーちゃんも居た。
でも、皆の視点は一か所に集まっている。
その先には……
「貴方の言い分は判ったわ。私も魔族の街を回って来たし……全員に敵意を向けられたりはしなかったし」
其処には『アリス』が居た。
前世の、私。
「あー、全くよ……こっちはお前を倒す為に旅して来たってのにさ。調子狂うったら無いぜ」
剣を手首で回して収めるのは……勇者で……
「貴様らと馴れ合う気は無かったのだがな。誰かの傀儡になるのも御免だ」
溜息を吐いて手元の長杖を消したのは魔王だった。
ここは、200年前の……?
部屋に入るとレオ陛下とエーゲルさんが気遣わしげな目で此方を見て来た。
私は意識して笑顔を見せる事で大丈夫だと伝える。
ゴン……ゴン……ゴン……
そろそろ音の主にも触れなければならない。
「ヘルムス、何をしているの?」
私が声をかけると、膝をついて床に額を打ちつけていたヘルムスが顔を上げる。
額は痛々しい色になり、血が滲んでいる。
「ああ……我が神よ! ご無事で何よりです……申し訳ございません……私の配慮が足りなかったばかりに……神にご負担を……」
ゴン……ゴン……
やはりそんな理由だったのか、と溜息を吐くのを我慢する。
私には狂信的と言える彼の行動について理由が解らない。
それを知る為にも過去について知らなければならないのなら……
「ヘルムス、私は大丈夫だから。ごめんね、心配させて」
彼の腕を取り、立たせてから鞄を開ける。
旅用に持って来ていた傷薬と包帯で処置をして、背中を叩く。
「はい、これで大丈夫。私も平気だったし、自分を傷付けるような事はしないでね」
彼は巻かれた包帯に手を触れて、目を閉じて微笑んだ。
「……家宝にします」
「いや、ちゃんと明日には薬も塗り替えて包帯も替えないとね?」
エーゲルさんが苦笑しつつ言葉をかけて来る。
私も苦笑しつつ、話を進める事にした。
「ヘルムス、今度は頑張るから……お話の続きをお願いして良いかな?」
ヘルムスは心配そうに私の目を見るが、頷きを返すとゆっくりと口を開いた。
「私が持ち出した……これを使って何があったかを皆様にお伝えしたいと思います」
ヘルムスの言葉にエーゲルさんと陛下の緊張が伝わって来る。
彼が『これ』と呼んだのはブーちゃんを隷属させようと使用されていたあの杭のような物だった。
「これって……聖獣を無理矢理操るために使われていた……?」
頷いたヘルムスがそれを机に置いた。
「これは、過去に存在した聖女……アリス様の骨から作られた物です」
その言葉を聞いた途端、目眩がした。
ヘルムスへの処置後、再び弟達が手を取ってくれていなければ本当に倒れていたかも知れない。
(まさか……自分の遺骨と対面するなんて……流石に衝撃が凄いんですけど)
加工されているので生々しさは無いものの良い気分では無い。
それに何より悪用されているのなら気分が悪いどころじゃ無い。
「我が神はこれに触れて砕いたとのことですが……」
杭のような物を指差して、ヘルムスがハクを見る。
「申し訳無いのですが、聖獣様にこれを砕いて頂きたいのです」
「え~……嫌ニャ……」
「私、も、や、かも」
ハクもブーちゃんも嫌そうな顔をする。
私の前世の遺骨を今世の私が見てる前で……前世一緒に旅をした聖獣が今世で砕いて……何を言ってるのか解らなくなってきた!
でも、それが必要だというならお願いしなくてはいけない。
「ハク、ごめん……お願い……」
「い~や~ニャ~! ……と言っても仕方ないのであるなぁ……はぁ」
大きく溜息を吐いたハクが杭のような物を口に咥える。
「ふにゅん!」
バキン
「あ、砕け……!?」
私は赤茶けた丘の上に居た。
周りを見ると陛下もエーゲルさんも、手を取ったままの弟達も、ヘルムスもバイアンもハクとブーちゃんも居た。
でも、皆の視点は一か所に集まっている。
その先には……
「貴方の言い分は判ったわ。私も魔族の街を回って来たし……全員に敵意を向けられたりはしなかったし」
其処には『アリス』が居た。
前世の、私。
「あー、全くよ……こっちはお前を倒す為に旅して来たってのにさ。調子狂うったら無いぜ」
剣を手首で回して収めるのは……勇者で……
「貴様らと馴れ合う気は無かったのだがな。誰かの傀儡になるのも御免だ」
溜息を吐いて手元の長杖を消したのは魔王だった。
ここは、200年前の……?
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