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ばんそうこう
イケメンだけが許されるやつ
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手首を押さえつけられたくらいでこんなに動けないものなの。
身長も変わらないし、そう体格差があるとも思えないのに。
私が怯えたらこのドS男はますます喜ぶのかもしれない。
分かってても、怖い。
ガチャッと音がした。
「拓也! 何してんだよ!」
パッと両手が自由になる。
体から力が抜けた。
「邪魔ー」
「遠山さん、大丈夫?」
……怖かった……怖かった。難波さん……。
難波さんが体を支えようと手を差し伸べてくれる。
しがみついて安心したい。
「大丈夫です。ちょっとビックリしただけです」
難波さんの腕を押し返す。
難波さんは優しい。甘えちゃいけない。
「お前何してんだよ」
「何もできなかったよ。お前のせいで」
浜崎さんがヘラヘラと笑うのに対して、難波さんは今までに見たことない、鋭い目で浜崎さんを睨んでいる。
難波さんも魁十みたいな目するんだ……。
「帰るぞ、拓也」
「はーい」
テーブルに戻ると、ひとりで一気飲みでもしたのか、なっちゃんが真っ赤な顔をしている。
「厚木さん、行こっか」
「はい!」
「お会計してくる」
「払います!」
「じゃあ、店の外で清算しよう」
難波さんが一旦支払ってくれるレジから少し距離を置いて待つ。
「遠山さん……」
「どうしたの?」
「難波さんに、かわいいって言われた……」
「なっちゃん、かわいいもん」
「やーだー。今夜眠れないかもしれない。超ドキドキ」
「良かったね」
ニッコリ笑ってうなずくなっちゃんは本当にかわいい。
そりゃあ、難波さんも好きになっちゃうよね。分かってた。
良かったね、なっちゃん。
店の前で財布を開く。
外は真っ暗だ。店内からの明かりを頼りに千円札を2枚、難波さんに渡す。
「絶対少なすぎると思います」
「大丈夫。拓也、1万円」
「ひでー」
「ひどいのはお前だろ」
「俺ドSだから」
「黙れ、偽物」
「私、タクシー拾ってきます」
なっちゃんはタクシーか。金持ちめ。
私もお給料日来たばっかだけど、まだ電車あるし電車で帰ろう。
財布をバッグにしまう手を難波さんがじーっと見ている。
「指、どうしたの」
「あ。朝お皿割っちゃって、片付けようとしたら刺さっちゃって」
「ふふっ。遠山さんらしい」
え……すっかり私、難波さんの中でドジっ子キャラになっちゃってるんじゃ……。
難波さんの好みを知ってるから、ドキッとしてしまう。
そんなことなど知らない難波さんが私の手を取り、絆創膏を触る。
「すごく綺麗に貼ってある」
「お、弟が貼ってくれて、弟、几帳面だから」
「また弟? 本当に弟?」
「ほんっとーに弟です!」
「あははっ。そこまで言うなら信じるよ」
良かった……。
「怖い思いさせてごめんね。拓也、酒飲んだら危なっかしいとこがあるって知ってたのに、まさか会社の子に何もしないだろうって……油断した」
「そんな……難波さんが謝らないでください」
「だって、あいつ謝んねえんだもん」
初めて聞く難波さんのぞんざいな言葉遣いにビックリした。
それから嬉しくなった。
真面目で仕事できる男・難波大輝の素の一面を見れたのかもしれない。
「大丈夫です。本当に何もされてませんから」
「良かった」
難波さんの手が私の手を包み込んで、難波さんの頬に当てられる。
何してるの?!
難波さん?!
目をつぶっていた難波さんがカッと目を開いて慌てた様子で手を離した。
「ごめん、セクハラ」
「い、いえ、ありがとうございます」
「ありがとうございます?」
「ありがとうございます?」
目を合わせて互いにポカンとしたら、なんか分かんないけどおもしろくなってしまった。
爆笑してたら、さっき怖い思いをしたことなんて吹き飛んじゃったみたい。
「遠山さん、電車?」
「はい。難波さんは?」
「電車」
あ、同じだ。
なっちゃんはタクシーだから、もしかしたら二人っきりで……。
「ではー、お疲れ様でーす」
なっちゃんがドアの開いたタクシーの前で両手を振っている。
「俺も相乗りさせてー」
「はーい」
……なっちゃんと浜崎さんが相乗り?
「……やっぱりタクシーで帰る」
「そうしてください」
「気を付けて帰ってね」
「はい。ありがとうございます」
難波さんが爽やかな笑顔でタクシーへと走って行く。
最後に乗り込んで、ドアが閉まる前に手を振ってくれた。
振り返した手に、絆創膏。
たしかに厄日だったかもしれない。
けど、やっぱりこの絆創膏が私の心を守ってくれた。
身長も変わらないし、そう体格差があるとも思えないのに。
私が怯えたらこのドS男はますます喜ぶのかもしれない。
分かってても、怖い。
ガチャッと音がした。
「拓也! 何してんだよ!」
パッと両手が自由になる。
体から力が抜けた。
「邪魔ー」
「遠山さん、大丈夫?」
……怖かった……怖かった。難波さん……。
難波さんが体を支えようと手を差し伸べてくれる。
しがみついて安心したい。
「大丈夫です。ちょっとビックリしただけです」
難波さんの腕を押し返す。
難波さんは優しい。甘えちゃいけない。
「お前何してんだよ」
「何もできなかったよ。お前のせいで」
浜崎さんがヘラヘラと笑うのに対して、難波さんは今までに見たことない、鋭い目で浜崎さんを睨んでいる。
難波さんも魁十みたいな目するんだ……。
「帰るぞ、拓也」
「はーい」
テーブルに戻ると、ひとりで一気飲みでもしたのか、なっちゃんが真っ赤な顔をしている。
「厚木さん、行こっか」
「はい!」
「お会計してくる」
「払います!」
「じゃあ、店の外で清算しよう」
難波さんが一旦支払ってくれるレジから少し距離を置いて待つ。
「遠山さん……」
「どうしたの?」
「難波さんに、かわいいって言われた……」
「なっちゃん、かわいいもん」
「やーだー。今夜眠れないかもしれない。超ドキドキ」
「良かったね」
ニッコリ笑ってうなずくなっちゃんは本当にかわいい。
そりゃあ、難波さんも好きになっちゃうよね。分かってた。
良かったね、なっちゃん。
店の前で財布を開く。
外は真っ暗だ。店内からの明かりを頼りに千円札を2枚、難波さんに渡す。
「絶対少なすぎると思います」
「大丈夫。拓也、1万円」
「ひでー」
「ひどいのはお前だろ」
「俺ドSだから」
「黙れ、偽物」
「私、タクシー拾ってきます」
なっちゃんはタクシーか。金持ちめ。
私もお給料日来たばっかだけど、まだ電車あるし電車で帰ろう。
財布をバッグにしまう手を難波さんがじーっと見ている。
「指、どうしたの」
「あ。朝お皿割っちゃって、片付けようとしたら刺さっちゃって」
「ふふっ。遠山さんらしい」
え……すっかり私、難波さんの中でドジっ子キャラになっちゃってるんじゃ……。
難波さんの好みを知ってるから、ドキッとしてしまう。
そんなことなど知らない難波さんが私の手を取り、絆創膏を触る。
「すごく綺麗に貼ってある」
「お、弟が貼ってくれて、弟、几帳面だから」
「また弟? 本当に弟?」
「ほんっとーに弟です!」
「あははっ。そこまで言うなら信じるよ」
良かった……。
「怖い思いさせてごめんね。拓也、酒飲んだら危なっかしいとこがあるって知ってたのに、まさか会社の子に何もしないだろうって……油断した」
「そんな……難波さんが謝らないでください」
「だって、あいつ謝んねえんだもん」
初めて聞く難波さんのぞんざいな言葉遣いにビックリした。
それから嬉しくなった。
真面目で仕事できる男・難波大輝の素の一面を見れたのかもしれない。
「大丈夫です。本当に何もされてませんから」
「良かった」
難波さんの手が私の手を包み込んで、難波さんの頬に当てられる。
何してるの?!
難波さん?!
目をつぶっていた難波さんがカッと目を開いて慌てた様子で手を離した。
「ごめん、セクハラ」
「い、いえ、ありがとうございます」
「ありがとうございます?」
「ありがとうございます?」
目を合わせて互いにポカンとしたら、なんか分かんないけどおもしろくなってしまった。
爆笑してたら、さっき怖い思いをしたことなんて吹き飛んじゃったみたい。
「遠山さん、電車?」
「はい。難波さんは?」
「電車」
あ、同じだ。
なっちゃんはタクシーだから、もしかしたら二人っきりで……。
「ではー、お疲れ様でーす」
なっちゃんがドアの開いたタクシーの前で両手を振っている。
「俺も相乗りさせてー」
「はーい」
……なっちゃんと浜崎さんが相乗り?
「……やっぱりタクシーで帰る」
「そうしてください」
「気を付けて帰ってね」
「はい。ありがとうございます」
難波さんが爽やかな笑顔でタクシーへと走って行く。
最後に乗り込んで、ドアが閉まる前に手を振ってくれた。
振り返した手に、絆創膏。
たしかに厄日だったかもしれない。
けど、やっぱりこの絆創膏が私の心を守ってくれた。
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