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シュウと柊
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「どんな男だったの? お前から告ったの?」
なんでそんな昔の話をしないといけないのかしら。でも、清水くんも頼野さんもさくらに片橋くんまで興味ありげにこちらを見ている。そんなに私に彼氏がいたってことが意外なのかしら。
「高校の同級生で、私は同じクラスじゃなかったけど友達の友達だった子。何度か話した程度だったんだけど、付き合ってほしいって言われたからまあいいか、と思って付き合っただけよ」
なんて名前だったかしら……あ、岡崎くんだわ、たしか。
岡崎くんに付き合ってほしいって言われた時、私は岡崎くんのことをほとんど知らなかった。友達の友達って認識だったから特に知ろうともしてなかったし。
「え、好きでもないのに付き合ったってこと?」
さくらが聞いてくる。
「だって、付き合っていくうちに好きになるかもしれないじゃない。付き合ってみないと分からないでしょう?」
「ええー。それで好きになったの?」
「何年付き合っても私からの愛情を感じないって言われたから、好きになれなかったんじゃないかしら」
「え、お前その状態で何年も付き合ってたの?」
「そうね、なりゆきで。高1の終わりから21歳くらいまで付き合ってたけど、向こうは大学に行って私は就職したからあんまり会わなくなって自然消滅した感じ」
「長! 高1って16歳だっけ?5年もそんな不毛な付き合いしてたのかよ? 相手の男かわいそうー。16から21なんて青春真っ只中を無駄にするなんて」
無駄? 私岡崎くんの青春を無駄にしたの? そんなつもりはないわよ? 就職してからはたしかにあまり会ってなかったしすっかり岡崎くんのことなんて忘れちゃって私から連絡することはなくなってたけど、無駄だなんて失礼な。
「大学生と社会人じゃ難しいですよね……その何年付き合っても愛情を感じないって、いつ言われたんですか?」
あれ? いつもの清水くんに戻ってる? ここからは俺様モード発動、みたいに線引きがある訳じゃないのかしら。でも、いつものように笑顔でもない。
「いつだっけ……最後に会った時かなあ」
「茉悠ちゃんそれ、自然消滅じゃなくない? 彼氏の方はそれ別れ話のつもりだったんじゃないの? 愛情を感じないから俺のこと好きじゃないなら別れよう、みたいな」
え? あれ別れ話だったの? まあなんか、深刻な顔をしてはいたような気もするけど、もう5年も前のことだからあんまり覚えてないのよね。
「お前、もしかして男を好きになったことないの?」
高橋が言う。男を好きに、かあ。
「どうだろ……誰も思い浮かばないから、ないのかもしれないわね」
昔からアニメが好きで、ずーっと自分の部屋でアニメを見てるうちに声優さんに興味を持って、中高と声優さんについて図書館のパソコンで調べたりしてたから声優さんの顔しか浮かばない。好きだったけど、男を好きになったというよりも声優さんを好きになった。
「水城さんのことだから、好きになっても気付かなかったりしそうだよね」
と頼野さんが笑った。ありそうー、とさくらと片橋くんも笑った。どうなったら好きになったなのか分からないんだから、気付かなくても仕方がないような気もするわね。リトマス試験紙みたいなもので
「あ、色が変わったからあの人のことが好きなのね」
って目に見えればいいんだけど。
なんでそんな昔の話をしないといけないのかしら。でも、清水くんも頼野さんもさくらに片橋くんまで興味ありげにこちらを見ている。そんなに私に彼氏がいたってことが意外なのかしら。
「高校の同級生で、私は同じクラスじゃなかったけど友達の友達だった子。何度か話した程度だったんだけど、付き合ってほしいって言われたからまあいいか、と思って付き合っただけよ」
なんて名前だったかしら……あ、岡崎くんだわ、たしか。
岡崎くんに付き合ってほしいって言われた時、私は岡崎くんのことをほとんど知らなかった。友達の友達って認識だったから特に知ろうともしてなかったし。
「え、好きでもないのに付き合ったってこと?」
さくらが聞いてくる。
「だって、付き合っていくうちに好きになるかもしれないじゃない。付き合ってみないと分からないでしょう?」
「ええー。それで好きになったの?」
「何年付き合っても私からの愛情を感じないって言われたから、好きになれなかったんじゃないかしら」
「え、お前その状態で何年も付き合ってたの?」
「そうね、なりゆきで。高1の終わりから21歳くらいまで付き合ってたけど、向こうは大学に行って私は就職したからあんまり会わなくなって自然消滅した感じ」
「長! 高1って16歳だっけ?5年もそんな不毛な付き合いしてたのかよ? 相手の男かわいそうー。16から21なんて青春真っ只中を無駄にするなんて」
無駄? 私岡崎くんの青春を無駄にしたの? そんなつもりはないわよ? 就職してからはたしかにあまり会ってなかったしすっかり岡崎くんのことなんて忘れちゃって私から連絡することはなくなってたけど、無駄だなんて失礼な。
「大学生と社会人じゃ難しいですよね……その何年付き合っても愛情を感じないって、いつ言われたんですか?」
あれ? いつもの清水くんに戻ってる? ここからは俺様モード発動、みたいに線引きがある訳じゃないのかしら。でも、いつものように笑顔でもない。
「いつだっけ……最後に会った時かなあ」
「茉悠ちゃんそれ、自然消滅じゃなくない? 彼氏の方はそれ別れ話のつもりだったんじゃないの? 愛情を感じないから俺のこと好きじゃないなら別れよう、みたいな」
え? あれ別れ話だったの? まあなんか、深刻な顔をしてはいたような気もするけど、もう5年も前のことだからあんまり覚えてないのよね。
「お前、もしかして男を好きになったことないの?」
高橋が言う。男を好きに、かあ。
「どうだろ……誰も思い浮かばないから、ないのかもしれないわね」
昔からアニメが好きで、ずーっと自分の部屋でアニメを見てるうちに声優さんに興味を持って、中高と声優さんについて図書館のパソコンで調べたりしてたから声優さんの顔しか浮かばない。好きだったけど、男を好きになったというよりも声優さんを好きになった。
「水城さんのことだから、好きになっても気付かなかったりしそうだよね」
と頼野さんが笑った。ありそうー、とさくらと片橋くんも笑った。どうなったら好きになったなのか分からないんだから、気付かなくても仕方がないような気もするわね。リトマス試験紙みたいなもので
「あ、色が変わったからあの人のことが好きなのね」
って目に見えればいいんだけど。
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