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抜き打ち服装チェーック!
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ポケットの中でスマホが震える。見ると、柳からグループメッセージが届いた。
送られてきたのは画像。
黒髪で赤いピンを手に持ち、泣いている柳……。
抜き打ち服装チェックか。
「えええええええ」
「えええええええ」
明るいアッシュグレーの髪色の明翔と、「かわいい」を制服でも強引に引き出すためにパーカーを着ている颯太が絶望する。
俺はもうほとんど地毛だし、ワイシャツの裾をズボンにインすれば対策はOK。
「俺帰ろうかなあ~。髪黒くされんのヤダ」
「明翔くん、そんな理由で欠席は認められないよ」
「俺も帰る。ただの詰襟なんかかわいくないもんっ」
「もっと認められんわ」
はあー……と深いため息をつく明翔と颯太を思わずニマニマしながら見てしまう。
「深月ってさー、なんで金髪から地毛にしたの?」
「金髪に意味がなかったから」
「どういうこと?」
「うちの中学ってさー、ヤンキーが多いでおなじみの荒れた中学だったのよ。金髪のがなじむから、郷に入っては郷に従えで色抜いてたの」
「だから高校に入ったら金髪にしてる意味はないってことか」
「そうそう」
特に染め直そうとも思わず、自然に地毛が伸びて金髪は切り落とされ今に至る。
「じゃあ颯太も金髪だったの?! 意外!」
「いや、颯太は逆に中学から黒……颯太はかわいい枠だったから、黒髪でもなじんでたよ」
今と同じくマスコットとして。
「分かるー。颯太の金髪とかぜってー似合わねえもん。颯太は黒髪だよ。ねー、颯太」
「やめてよっ」
明翔が颯太の髪をなでるのを颯太が拒否る。
マジでやめてさしあげろ、明翔。
俺が知ってるだけでも3歳時点ですでに金髪、小6まで9年間は颯太は金髪だった。黒髪の方が歴史は浅いのじゃ。
「明翔、黒髪スプレー買ってく?」
「どうせ学校でスプレーされるからいい。金もったいない。俺成績いいから生活態度マイナスでも影響ないし」
「余裕っすなあ」
颯太も成績はいい方だが、渋々パーカーを脱いだ。
キッチリと閉めた黒の詰襟、ズボンに黒髪の真っ黒颯太……。
「ぷっ」
「笑うな! 嫌だ! こんなただの詰襟じゃかわいくない!」
颯太がわーんと泣き出してしまう。
恋ってこんなにも人を変えるんだ。悪い方に。
「あ! 服装のかわいいが減った分さあ、かわいい小物足したらプラマイゼロじゃね?」
「小物?」
明翔がコンビニを指差すと、颯太が笑顔を取り戻した。
「行くぞ! 深月! 明翔!」
「はいはい」
仰せのままに。
コンビニにかわいい小物なんかあんのかなあ。
疑問に思いつつ、颯太に逆らう度胸などない俺は一応かわいい物を探してみる。
「颯太! これなんかどう?」
「お! かわいい!」
声のした棚へと向かうと、明翔が猫砂を持っている。
「なぜに猫砂」
「パッケージ見てよ。この子猫ガチかわいい」
「うおおお! かわいい!」
これはかわいい!
ツンとデレと同じスコティッシュフォールドの子猫。去年うちに来た頃はこれくらいだったなあ、あの2匹も。
「颯太これだ! コンビニ限定トミカ!」
「いいね! 弟感ある!」
弟感?
ああ、一条が弟ができたみたいだって喜んでたから、弟っぽくあろうとしてるのか。
一条がBLしたいなら望みを叶えてやりたいって言ってたもんな、颯太。
好きな子の望みを叶えてやりたい、その気持ちは分かるよ、颯太。
でもさ。
「あとはキャンディーなめてたら完璧じゃねえ? おお! いいよ、颯太、かわいい!」
「ほんと?」
かわいい子猫を抱えるように猫砂袋を抱き、トミカを持って口にはキャンディー。
かわいいよ。かわいいんだけどさ。
明翔と颯太が意気揚々と学校へと向かう。
案の定、門の前には3人の先生方が目を光らせていた。
「高崎! 髪色! 生徒指導室に来い!」
「はあい」
想定内だから、素直に明翔が連行されて行く。
俺と颯太はバッチリ校則通りの服装だから、このままスルー――
「佐藤! 学校に猫砂やオモチャを持って来るんじゃない! あ! アメまでなめてるのか! 没収!」
持ち物検査もやってるんかい!!
「待ってくれ先生! トミカだけでも!」
交渉を続ける颯太の後ろに一条が並んだ。
颯太が慌てて猫砂を抱えて笑う。
「一条、問題なし。行って良し」
「はい」
ジーッと一条が冷たい目で颯太を見下ろす。
「ショタ、学校に何しに来てるんだ」
たしかに。
スタスタと去って行く一条の後ろ姿を見送り、颯太が崩れ落ちた。
「そうだ……俺、かわいくありたいばかりに学校に猫砂とか、頭おかしい……」
「なあ、颯太。お前、一条の何になりたいの?」
「旦那」
斜め上来たな、コレ。
「……何にしても、だ。弟ポジはおかしくね?」
「はっ! たしかに! 弟じゃ結婚できねえ!」
颯太ってこんなバカだっけ……。
我が聖天坂高校は真面目な生徒が多い校風で、学校側が朝礼でもっとハジケロ的な発言をしたりするくらい。
教室に入ると、いつもは金髪の柳が目に入るのだが、俺の席で黒岩くんが談笑している相手が柳だと気付くのに時間を要した。
「俺、柳のこと金髪ってだけで覚えてたと今知った」
「ひどいな、呂久村くん。いくら脳細胞が少ないからって」
「お前マジでムカつく」
黒岩くんは嬉しそうに柳の写真を撮っている。
こんなヤツのどこがいいんだか、まったく。
「黒岩くん、ちゃんと話できたんだ」
「高崎くん! うん、高崎くんのおかげだよ!」
お! 明翔、生徒指導から解放されたか。
振り返ったら、俺の記憶にある小学生の一条優がそのまま高校生になっていた。
送られてきたのは画像。
黒髪で赤いピンを手に持ち、泣いている柳……。
抜き打ち服装チェックか。
「えええええええ」
「えええええええ」
明るいアッシュグレーの髪色の明翔と、「かわいい」を制服でも強引に引き出すためにパーカーを着ている颯太が絶望する。
俺はもうほとんど地毛だし、ワイシャツの裾をズボンにインすれば対策はOK。
「俺帰ろうかなあ~。髪黒くされんのヤダ」
「明翔くん、そんな理由で欠席は認められないよ」
「俺も帰る。ただの詰襟なんかかわいくないもんっ」
「もっと認められんわ」
はあー……と深いため息をつく明翔と颯太を思わずニマニマしながら見てしまう。
「深月ってさー、なんで金髪から地毛にしたの?」
「金髪に意味がなかったから」
「どういうこと?」
「うちの中学ってさー、ヤンキーが多いでおなじみの荒れた中学だったのよ。金髪のがなじむから、郷に入っては郷に従えで色抜いてたの」
「だから高校に入ったら金髪にしてる意味はないってことか」
「そうそう」
特に染め直そうとも思わず、自然に地毛が伸びて金髪は切り落とされ今に至る。
「じゃあ颯太も金髪だったの?! 意外!」
「いや、颯太は逆に中学から黒……颯太はかわいい枠だったから、黒髪でもなじんでたよ」
今と同じくマスコットとして。
「分かるー。颯太の金髪とかぜってー似合わねえもん。颯太は黒髪だよ。ねー、颯太」
「やめてよっ」
明翔が颯太の髪をなでるのを颯太が拒否る。
マジでやめてさしあげろ、明翔。
俺が知ってるだけでも3歳時点ですでに金髪、小6まで9年間は颯太は金髪だった。黒髪の方が歴史は浅いのじゃ。
「明翔、黒髪スプレー買ってく?」
「どうせ学校でスプレーされるからいい。金もったいない。俺成績いいから生活態度マイナスでも影響ないし」
「余裕っすなあ」
颯太も成績はいい方だが、渋々パーカーを脱いだ。
キッチリと閉めた黒の詰襟、ズボンに黒髪の真っ黒颯太……。
「ぷっ」
「笑うな! 嫌だ! こんなただの詰襟じゃかわいくない!」
颯太がわーんと泣き出してしまう。
恋ってこんなにも人を変えるんだ。悪い方に。
「あ! 服装のかわいいが減った分さあ、かわいい小物足したらプラマイゼロじゃね?」
「小物?」
明翔がコンビニを指差すと、颯太が笑顔を取り戻した。
「行くぞ! 深月! 明翔!」
「はいはい」
仰せのままに。
コンビニにかわいい小物なんかあんのかなあ。
疑問に思いつつ、颯太に逆らう度胸などない俺は一応かわいい物を探してみる。
「颯太! これなんかどう?」
「お! かわいい!」
声のした棚へと向かうと、明翔が猫砂を持っている。
「なぜに猫砂」
「パッケージ見てよ。この子猫ガチかわいい」
「うおおお! かわいい!」
これはかわいい!
ツンとデレと同じスコティッシュフォールドの子猫。去年うちに来た頃はこれくらいだったなあ、あの2匹も。
「颯太これだ! コンビニ限定トミカ!」
「いいね! 弟感ある!」
弟感?
ああ、一条が弟ができたみたいだって喜んでたから、弟っぽくあろうとしてるのか。
一条がBLしたいなら望みを叶えてやりたいって言ってたもんな、颯太。
好きな子の望みを叶えてやりたい、その気持ちは分かるよ、颯太。
でもさ。
「あとはキャンディーなめてたら完璧じゃねえ? おお! いいよ、颯太、かわいい!」
「ほんと?」
かわいい子猫を抱えるように猫砂袋を抱き、トミカを持って口にはキャンディー。
かわいいよ。かわいいんだけどさ。
明翔と颯太が意気揚々と学校へと向かう。
案の定、門の前には3人の先生方が目を光らせていた。
「高崎! 髪色! 生徒指導室に来い!」
「はあい」
想定内だから、素直に明翔が連行されて行く。
俺と颯太はバッチリ校則通りの服装だから、このままスルー――
「佐藤! 学校に猫砂やオモチャを持って来るんじゃない! あ! アメまでなめてるのか! 没収!」
持ち物検査もやってるんかい!!
「待ってくれ先生! トミカだけでも!」
交渉を続ける颯太の後ろに一条が並んだ。
颯太が慌てて猫砂を抱えて笑う。
「一条、問題なし。行って良し」
「はい」
ジーッと一条が冷たい目で颯太を見下ろす。
「ショタ、学校に何しに来てるんだ」
たしかに。
スタスタと去って行く一条の後ろ姿を見送り、颯太が崩れ落ちた。
「そうだ……俺、かわいくありたいばかりに学校に猫砂とか、頭おかしい……」
「なあ、颯太。お前、一条の何になりたいの?」
「旦那」
斜め上来たな、コレ。
「……何にしても、だ。弟ポジはおかしくね?」
「はっ! たしかに! 弟じゃ結婚できねえ!」
颯太ってこんなバカだっけ……。
我が聖天坂高校は真面目な生徒が多い校風で、学校側が朝礼でもっとハジケロ的な発言をしたりするくらい。
教室に入ると、いつもは金髪の柳が目に入るのだが、俺の席で黒岩くんが談笑している相手が柳だと気付くのに時間を要した。
「俺、柳のこと金髪ってだけで覚えてたと今知った」
「ひどいな、呂久村くん。いくら脳細胞が少ないからって」
「お前マジでムカつく」
黒岩くんは嬉しそうに柳の写真を撮っている。
こんなヤツのどこがいいんだか、まったく。
「黒岩くん、ちゃんと話できたんだ」
「高崎くん! うん、高崎くんのおかげだよ!」
お! 明翔、生徒指導から解放されたか。
振り返ったら、俺の記憶にある小学生の一条優がそのまま高校生になっていた。
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