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高崎明翔の間食
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チャイムが鳴るとすぐ、前の席の明翔がカバンに手を掛けた。
チャックを開き、大きなメロンパンを取り出す。
やっぱり。
さっき体育の後に明翔がコソッと購買に寄っていたのを俺は見た。
サッと後ろからメロンパンを横取りし、颯太へ渡す。
「あい、いつもの。金は寄越せよ」
「あいよ」
「あいあい。毎度あり」
颯太から受け取った金を明翔の机に置いた。
「俺のメロンパン……」
「昨日決めただろーが。間食は午前午後それぞれ1回だけにしようって。明翔、もう運動してねえのに食いすぎだよ」
「腹が減るんだもん」
「どんどん食う量が増えて胃がデカくなってんだろ。ちょっとずつ食う量減らして適量にしろ」
「腹が減って力が出ねえ……」
机にダラリと突っ伏す明翔を見ると、食わしてやりたくなってしまう。
けど、野球やってプロテイン飲んで筋肉隆々だった中学時代より食ってると思う。
俺が仲良くなった頃より今の明翔の方が食ってる。
「あーすかっ。へこんじゃってどうしたの? ハンバーガー食う?」
「食う! やったあ! 一番デカいヤツ! 俺これめっちゃ好き!」
タカトゥーめ、いらんことを……。
早速明翔は包みをはがして大きなハンバーガーに食らいつく。
見てて気持ちいい食いっぷり。なんだけれども。
「餌付けすんな! お前今来たとこだから知らんだろーけど、この前の休み時間に明翔すでに大盛たらこパスタ食ってんだよ!」
「明翔にとっちゃあチロルチョコじゃん」
「だからダメなの! 明翔、昨日朝から卵かけご飯2合食って、ミートドリアとフレンチトースト食って、昼食にスペシャルハンバーグ弁当食って、月見うどんかやくごはん付きとホールケーキ食って、3時のおやつにドーナツ8個食って、牛丼大盛とピザ食って、晩飯にラーメン餃子セット食って、ハヤシライスと豚の生姜焼き食った1時間後には腹減ったって言うんだぞ!」
よく言いきれた、俺。
よく覚えてた、俺。
「やーだ、朝から晩まで一緒にいましたアピールですかー」
「食のバケモンがいるアピールだ!」
食の細い颯太は聞いてるだけでオエェエエと吐きそうになっている。
「気持ち悪ぃ……3食とおやつの間に食ってるもんが気持ち悪ぃ……」
「だろ」
「いーじゃん。俺明翔が食ってるの見るの好き。一緒に食おうと思ってもう1個買ってあんの。食う?」
「食う!」
もー……よりによって、ハンバーガーとか高カロリーなもんを……。
食うなって言ったら、タカトゥーは食わせてくれるのにって思うかな。
明翔の食への執着を見るに、心変わりされるまである気がする……。
マジでうまそうに食うんだよな。俺だって明翔が食ってるの見るの好きだよ。けど、けどぉ……。
「タカトゥー、せめてヘルシーな差し入れにしてくれ。俺は明翔の体が心配なんだよ」
「体?」
「そう。今は痩せてるけど、特に運動してないのにこんだけ食ってたら絶対肥満になる。肥満はあらゆる生活習慣病を引き起こすんだ」
「俺今50代のおっさんと居酒屋にいる?」
「10代学生と教室!」
タカトゥーはダメだ。コイツは明翔をダメにする。
俺が鉄壁のガードを果たさねば……。
翌日、俺は大量のタッパーを持って登校した。
「腹減った~……」
1時間目の休み時間に天津飯を平らげた明翔にはもう午前の間食カードは残っていない。
「あーすかっ。オニオンリングフライとポテトフライセットあるよ。食う?」
「食う!」
「ダメ! ヘルシーなやつにしろっつっただろーが!」
「玉ねぎと芋だよ。ヘルシーじゃん」
「フライじゃなきゃあな!」
油吸いまくったら野菜もヘルシーじゃねえんだよ!
「どうしても食いたかったらこっち食え」
デカいタッパーいっぱいに詰め込んだロールキャベツ。さすがの明翔でもこれだけあれば満足するだろ。
「おからたっぷりだから腹持ちもいいはず」
ドヤ、と胸を張る俺に明翔が目を真ん丸にする。
「深月が作ったの? 全然料理できないのに?」
「お! びっくりした? 昨日コンビニで見つけたの。簡単ヘルシーレシピブック」
「簡単って、手ぇズタボロじゃん」
バレたか。
見えないように隠してたのに、明翔のリアクションが嬉しくてつい手を出してしまった。
「深月はケガしてもちゃんと手当てしないからそうなるんだよっ」
「だって、めんどくせえんだもん」
颯太のお説教を聞き流していると、明翔が俺の手を両手で握って笑った。
「ありがとう! めっちゃ嬉しい! 俺、深月のとんでもなく不器用なところ、好き!」
「お……おう……」
あまりにもストレートな礼ときらめく笑顔につい言葉に詰まってしまう。
「いいなー、呂久村。毎日明翔に好きなところ言ってもらってー」
「俺、高崎なら余裕でいけるわー。意地張ってないで付き合っちゃえば?」
クラスメイトの西郷と淀橋が俺を羨む。
悪いな、すでに付き合ってます。
「え? ちょい、呂久村、ちょいちょい」
何なんだ。
タカトゥーが手招きするから、仕方なく席を立つ。
がんばって作った手料理を頬張る明翔を見てたいのに。
「明翔が呂久村を好きだってことはみんな知ってんの?」
「知ってる。明翔の黒歴史になるから言うなって散々言ったんだけど、聞きゃしねえ」
「マジか」
「好きな女子ができた時に後悔するぞって言ったことあるんだけどさあ、深月のことを好きだったから俺を好きになれないような女ならいらんって即答よ。かわいすぎん?」
「なんで俺ノロケられてんの」
「お前が俺を呼んだんだろ」
ふーん、とタカトゥーが明翔を見る。
明翔はリスみたいに頬張ってる。かわいい。がんばった甲斐がある!
チャックを開き、大きなメロンパンを取り出す。
やっぱり。
さっき体育の後に明翔がコソッと購買に寄っていたのを俺は見た。
サッと後ろからメロンパンを横取りし、颯太へ渡す。
「あい、いつもの。金は寄越せよ」
「あいよ」
「あいあい。毎度あり」
颯太から受け取った金を明翔の机に置いた。
「俺のメロンパン……」
「昨日決めただろーが。間食は午前午後それぞれ1回だけにしようって。明翔、もう運動してねえのに食いすぎだよ」
「腹が減るんだもん」
「どんどん食う量が増えて胃がデカくなってんだろ。ちょっとずつ食う量減らして適量にしろ」
「腹が減って力が出ねえ……」
机にダラリと突っ伏す明翔を見ると、食わしてやりたくなってしまう。
けど、野球やってプロテイン飲んで筋肉隆々だった中学時代より食ってると思う。
俺が仲良くなった頃より今の明翔の方が食ってる。
「あーすかっ。へこんじゃってどうしたの? ハンバーガー食う?」
「食う! やったあ! 一番デカいヤツ! 俺これめっちゃ好き!」
タカトゥーめ、いらんことを……。
早速明翔は包みをはがして大きなハンバーガーに食らいつく。
見てて気持ちいい食いっぷり。なんだけれども。
「餌付けすんな! お前今来たとこだから知らんだろーけど、この前の休み時間に明翔すでに大盛たらこパスタ食ってんだよ!」
「明翔にとっちゃあチロルチョコじゃん」
「だからダメなの! 明翔、昨日朝から卵かけご飯2合食って、ミートドリアとフレンチトースト食って、昼食にスペシャルハンバーグ弁当食って、月見うどんかやくごはん付きとホールケーキ食って、3時のおやつにドーナツ8個食って、牛丼大盛とピザ食って、晩飯にラーメン餃子セット食って、ハヤシライスと豚の生姜焼き食った1時間後には腹減ったって言うんだぞ!」
よく言いきれた、俺。
よく覚えてた、俺。
「やーだ、朝から晩まで一緒にいましたアピールですかー」
「食のバケモンがいるアピールだ!」
食の細い颯太は聞いてるだけでオエェエエと吐きそうになっている。
「気持ち悪ぃ……3食とおやつの間に食ってるもんが気持ち悪ぃ……」
「だろ」
「いーじゃん。俺明翔が食ってるの見るの好き。一緒に食おうと思ってもう1個買ってあんの。食う?」
「食う!」
もー……よりによって、ハンバーガーとか高カロリーなもんを……。
食うなって言ったら、タカトゥーは食わせてくれるのにって思うかな。
明翔の食への執着を見るに、心変わりされるまである気がする……。
マジでうまそうに食うんだよな。俺だって明翔が食ってるの見るの好きだよ。けど、けどぉ……。
「タカトゥー、せめてヘルシーな差し入れにしてくれ。俺は明翔の体が心配なんだよ」
「体?」
「そう。今は痩せてるけど、特に運動してないのにこんだけ食ってたら絶対肥満になる。肥満はあらゆる生活習慣病を引き起こすんだ」
「俺今50代のおっさんと居酒屋にいる?」
「10代学生と教室!」
タカトゥーはダメだ。コイツは明翔をダメにする。
俺が鉄壁のガードを果たさねば……。
翌日、俺は大量のタッパーを持って登校した。
「腹減った~……」
1時間目の休み時間に天津飯を平らげた明翔にはもう午前の間食カードは残っていない。
「あーすかっ。オニオンリングフライとポテトフライセットあるよ。食う?」
「食う!」
「ダメ! ヘルシーなやつにしろっつっただろーが!」
「玉ねぎと芋だよ。ヘルシーじゃん」
「フライじゃなきゃあな!」
油吸いまくったら野菜もヘルシーじゃねえんだよ!
「どうしても食いたかったらこっち食え」
デカいタッパーいっぱいに詰め込んだロールキャベツ。さすがの明翔でもこれだけあれば満足するだろ。
「おからたっぷりだから腹持ちもいいはず」
ドヤ、と胸を張る俺に明翔が目を真ん丸にする。
「深月が作ったの? 全然料理できないのに?」
「お! びっくりした? 昨日コンビニで見つけたの。簡単ヘルシーレシピブック」
「簡単って、手ぇズタボロじゃん」
バレたか。
見えないように隠してたのに、明翔のリアクションが嬉しくてつい手を出してしまった。
「深月はケガしてもちゃんと手当てしないからそうなるんだよっ」
「だって、めんどくせえんだもん」
颯太のお説教を聞き流していると、明翔が俺の手を両手で握って笑った。
「ありがとう! めっちゃ嬉しい! 俺、深月のとんでもなく不器用なところ、好き!」
「お……おう……」
あまりにもストレートな礼ときらめく笑顔につい言葉に詰まってしまう。
「いいなー、呂久村。毎日明翔に好きなところ言ってもらってー」
「俺、高崎なら余裕でいけるわー。意地張ってないで付き合っちゃえば?」
クラスメイトの西郷と淀橋が俺を羨む。
悪いな、すでに付き合ってます。
「え? ちょい、呂久村、ちょいちょい」
何なんだ。
タカトゥーが手招きするから、仕方なく席を立つ。
がんばって作った手料理を頬張る明翔を見てたいのに。
「明翔が呂久村を好きだってことはみんな知ってんの?」
「知ってる。明翔の黒歴史になるから言うなって散々言ったんだけど、聞きゃしねえ」
「マジか」
「好きな女子ができた時に後悔するぞって言ったことあるんだけどさあ、深月のことを好きだったから俺を好きになれないような女ならいらんって即答よ。かわいすぎん?」
「なんで俺ノロケられてんの」
「お前が俺を呼んだんだろ」
ふーん、とタカトゥーが明翔を見る。
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