親友彼氏―親友と付き合う俺らの話。

はちみつ電車

文字の大きさ
46 / 51

柳龍二の理想の彼氏

しおりを挟む
商店街を歩く男子高校生の群れ。

金髪でイケメン王子と評される柳、明るいアッシュグレーの髪色で中性的な美形の明翔、顔は明翔そっくりながら黒髪短髪でパッと見明翔より男っぽい一条、小さいながらこのメンバーにも関わらず堂々とした颯太、高身長イケメンのタカトゥー、金髪碧眼かわいい海外の子供みたいなカイル、背が高いだけの凡顔の俺、に囲まれている黒髪小柄なもやしっ子、そう、黒岩くん。

「黒岩くん、半分が当たりの駄菓子屋なんて本当にあんの?」
「らしいよ。妹の小学校で話題になってるって聞いた」
「当たり続けたら永遠に食える!」
「ほどほどで小学生に譲ろうな、明翔」

駄菓子屋が見えたと言うのに、柳が細い路地へと入って行く。

見ると、柄が悪いと悪名高い下山手高校の制服を着た3人の男子高校生が隠れもしないでタバコを吸っている。

「君たち、お酒とタバコはハタチになってからだ」
「あ? 聖天坂高校か。良い子がこんなとこで何してんだ」
「良い子か? めっちゃ金髪だけど」

リーダー格らしいガタイのいい赤い髪の男が立ち上がり、茶髪の男は柳に驚いている。
うん、今の聖天坂高校で金髪なんて柳くらいなものだ。
指導は年2回とゆるいのだが、真面目な生徒が多い。

「すぐにタバコを消しなさい」
「教師か保護者のつもりかよ」

ヤンキーらしく、煙を柳の顔へと吐き出す。
さすがに柳が顔をしかめた。

「くさっ」
「ははっ。良い子ちゃんはタバコの匂いも知らねえのな」
「口臭は虫歯が原因になっていることもある。歯科を受診すると治るかもしれない」
「誰の口が臭いってんだ!」

仲間に爆笑され、真っ赤になった赤い髪の男が柳に腹パンをかます。

まったく柳は、余計なことを言うから……。

「柳!」

颯太が駆け出し、柳がやられたお返しに飛び蹴りを捧げると、声もなく赤い髪の男が倒れた。
デカい俺とタカトゥーもずずいと前へ出る。

「何この軍団」
「聖天坂高校にもやべぇヤツはいたんだ」

誰がヤバいヤツじゃい。

悪いと有名な高校のヤンキーたちが良い子の我らを恐れて逃げて行く様は愉快である。

「柳くん! 大丈夫?!」
「黒岩くん……まあまあ痛いかな。でも大丈夫」
「柳くんの正義感は素晴らしいと思うけど、他校のヤンキーにまで注意するのは危ないよ」

正義感なんて良く言い過ぎ。単に、この学級委員長は見境がない。
ヤンキーは見て見ぬふりをするのが正解だというのに、わざわざ殴られに行くようなものだ。

「高校生としてあるべき姿を求めることは必要だと僕は思う。同じ高校生なのに、他校だからと見て見ぬふりはできない」
「柳くん……今回は相手が素手だから良かったけど、もしもナイフでも持ってたら」

無駄だ、黒岩くん。
そいつ頭ちょ――固いんだから。

「柳は真面目だなー。俺、他校どころか聖高生がタバコ吸ってても別に気にならんから注意しようなんて思わねえもん」
「それが普通だよ、明翔」
「呂久村だったら1本くれよとかって混ざってそう」
「混ざんねえよ」

マジでタカトゥーは俺を何だと思ってるんだ。
そして、そのセリフそっくりそのままお返しするわ。

「柳。注意するなとは言わねえ。だが、ひとりで行くな」
「佐藤くん」
「俺がお前を守ってやるから、俺を連れて行け」

颯太はまた柳が惚れそうな男前なことを。
柳のキラキラと颯太を見つめる視線に黒岩くんが気付く。

へえ、明らかにムッとしてたのに、何も言わず駄菓子屋に入る。
見た目に違わずムッツリタイプか、黒岩くん。

「懐かしい。僕、このペペロンチーノ好きだったんだ」
「お前セレブか。これ駄菓子屋のお菓子の中で一番高くねえ?」

狭い駄菓子屋へ高校生軍団の入場に小学生たちが端っこに固まる。
大丈夫、お兄ちゃんたちはどちらかと言うとキッズの味方。

「へえ、柳くんこれが好きなんだ」
「うん」

柳がペペロンチーノへと手を伸ばすと、黒岩くんが箱ごとかっさらった。

「僕がこれ買い占める。お金が足りないからお金は柳くんが払って」

言うだけ言って、黒岩くんは店主であろうおばあちゃんの元へと向かう。
え、あのメガネ本物の黒岩くん?

「思いっきりすねてんじゃん。すね方がかわいくねえ~」

明翔とは大違い。
ケンカに巻き込まれたら面倒だ。柳と距離を置こう。

と思ったら、柳に学ランの裾をつかまれている。

「何」
「聞いた? あの黒岩くんが僕におねだりを……」
「あれ、おねだりって言うの?」

俺たちも懐かしの駄菓子を買って店の外で食べていると、柳が大量のペペロンチーノが入った袋を黒岩くんへと差し出した。
てか、買ってもらうくせに先に店から出てるとか俺無理。

「何これ、お湯がないと食べられないの? 僕今すぐ食べたいのに」
「黒岩くん、何が食べたいの?」
「甘辛いイカのやつ」
「分かった!」

柳が駄菓子屋に舞い戻ったと思ったらすぐに飛び出してきた。
今度は甘イカ三郎を大人買いしている。こら、かわいい小学生が泣いちゃうだろーが。

「こんな固かったっけ? 食べる気失くした」
「食べやすいように僕が細かく裂いてあげるよ。これならどう?」
「食べてあげてもいい」

モグモグしていた黒岩くんが顔を上げた。

「喉乾いた」

柳が光の速さのダッシュを見せ、黒岩くんにおしるこを渡す。

「辛い物食べてるのに甘いおしるこなんて欲しいわけないでしょ。ばーか。うんこ」
「ご、ごめん。カレースープがいいかな」

引っ張られるんじゃない。
さすがに柳が不憫になってきた。

「柳、甘やかしすぎ。ビシッと言ってやることも大事だよ」
「何を?」

柳がびっくりするくらいの笑顔で振り向いた。

「なんでそんな嬉しそうなん?」
「だって、人に気を使ってばかりで逆らうことなどない無害通り越して存在感ゼロな黒岩くんが僕にわがまま放題に暴言を吐いたんだよ。嬉しいじゃないか。黒岩くん、一緒においで。好きなの選んで」

柳が黒岩くんを自販機へと連れて行く。
残された我らポカーンである。

「そう言えば、前に柳、黒岩くんに言葉責めされたいって言ってたね」
「あれ言葉責めにもなってねえと思うんだけど」
「小学生男子が言いそうなワガママだったねっ」

明翔の順応性が高すぎる。もう笑顔でうめえ棒を食べ終える。

「アタリだ! もう1本もらってくる!」

今の全財産はたいてうめえ棒3本買ってあげたくなる笑顔で明翔が駄菓子屋に消える。

「ボクはあんなのは嫌だな。パートナーとは対等であるべきだとボクは思う」

俺は明翔を見てたけど、一条と颯太はまだ柳たちを見ていた。

「一条、かわいい弟キャラが好きなんじゃないのっ?」
「好きだけど、パートナーに弟キャラは求めてない」
「そうだったのか!!」
「あ、ボクもアタリだ。もう1本もらってこよう」

颯太の中でガラガラと価値観が崩壊したのが目に見えるようだ。
いや、普通に考えてそうだろーよ。

「颯太、カイル見てどう思う」
「めちゃくちゃかわいい」
「彼氏にしたいと思うか?」
「思わねえ。飼いたい」
「そういうことだよ」
「そういうことか! でも、今さら急なキャラ変更もできねえし、俺はどうすれば……!」

颯太が膝から崩れ落ちた。
一条の旦那になるにはまだまだ道は険しそうだな、颯太。がんばれ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

悪の策士のうまくいかなかった計画

迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。 今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。 そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。 これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに?? 王子は跪き、俺に向かって言った。 「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。 そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。 「ずっと好きだった」と。 …………どうなってるんだ?

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

病んでる愛はゲームの世界で充分です!

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。 幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。 席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。 田山の明日はどっちだ!! ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。 BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。 11/21 本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

処理中です...