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2話 食事
しおりを挟む「アメリア様、起きてください。時間ですよ。」
「んー…、、いやだ、起きたくない。まだ寝る。」
「アメリア様、そんな子供の頃のようなことを言わずに起きてくださいな。」
あれ、そうだった。俺は今アメリアなんだ。
それならあまりわがままも言ってられない、起きなければ。
晃は上半身をゆっくり起こす。
「うぅー。眠い。」
クスっとレイアが笑う。
「昔に戻ったようですわ。子供の頃はアメリア様も起きるのを嫌がったものです。」
昔…か。
俺の精神年齢はきっとアメリアの子供のころと同じなんだろうなぁ。
なんの経験もしてないし、すべてのことから逃げていただけだからな。
「やめてくれレイアさん。ちょっと甘えたくなっただけだ……、どうしたんだレイアさん?」
急にレイアの動きが止まった。
「レイア…さん?……今までアメリア様にそんな呼び方されたことはありません。」
晃は焦る。
まずい…、呼び方間違えた。
やはりこちらの情報がなさすぎる、これは早くなんとかしなければならない問題だ。
だが、とりあえず今は言い訳をしなければ。
たぶん身分から考えて呼び捨てしていたのだろう。
それであれば。
「いや、日ごろの感謝を籠めて今後はレイアさんと呼ぼうと思っているんだ。」
「そうでしたか。ビックリして心臓が止まるかと思いました。そのような呼び方は私にはもったいないぐらいですが、アメリア様がそうおっしゃるのであれば。」
「あ…ああ、そうさせてくれ。」
ふうー、危ない。なんとかなったか。
「それではもうすぐ朝食の準備が終わりますので、ハッキリと目が覚めましたら食堂へいらしてください。」
そう言ってレイアは部屋を出ていった。
しかしどうやって情報収集するべきか。
記憶喪失を装うか?
それは身の回りが大きく変化してしまう可能性を持っていて、あまりに危険か。
出来れば現状をあまり変えたくはない。
特に何の情報も持っていない今は。
とりあえず、少しずつ情報を聞き出していくしかないか。
晃はそう考えベットから立ち上がろうとしたとき、目の前に大きな鏡らしきものが配置してあることに気付いた。
そこには見知らぬ誰かが映っている。
うん?誰だ、この絶世の美女は。
顔は知的な美しさを持ち、髪は誰もが羨むほど美しい金色をしている。
晃は自分の顔を左、右へと動かしてみる。
すると目の前の絶世の美女も一緒に左右へと動く。
あれ?これ、鏡…だよな。
うん?もしかして俺じゃん?
もしかしてアメリアってこんなに美人だったのか。
巨乳でこんな美人とかこの時点で勝ち組だろう。
これのどこがハードモードなんだよ。
ブサイクで生まれてイージーモードとか言われる筋合いないだろう。
「ほえー、マジでこんな美人いるんだな。」
晃は思わず自分に見とれてしまう。
まぁ俺ですけど。
こんな美人の中身が元ヒキオタニートの俺になったんですけどね。
ただ、ナルシストになる人の気持ちは初めて分かった気がする。
こんなに美しければ自分のことを好きになるわなぁ。
でもほどほどにしておこう。
どんなにかっこよくても、どんなに美しくてもナルシストは嫌われるからな。
今までの俺はブサイグ代表みたいなものだったし、そのころの気持ちは忘れない方がなにかと良いだろう。
さて、食堂へ向かうか…、って言っても食堂ってどこだ?
晃は自分の拙さに勝手にショックを受ける。
わからないならレイアについていくべきだろうよ、ほんとに。
…
……
………
晃は、広い屋敷で迷いつつも食事の良い匂いを頼りになんとか食堂にたどり着いた。
いやほんっと広すぎこの屋敷、でもだいぶ迷っていろんなところ行ったけど誰とも会わなかったってことは俺とレイアしか住んでいないというのが濃厚だな。
そのあたりは色々とわけありかもな。
食堂を見渡すと広い部屋の中央に大きなテーブルが用意されていた。
椅子がいくつも用意されており、大人数でのパーティーも出来そうだ。
そして中央の大きなテーブルには豪勢な食事が用意されている。
「さあアメリア様、席にお座りになって。今日はこれから戦場に向かうのですからたくさん食べてください。」
晃は言われるがままに席に座る。
朝飯には多すぎるとも思われるが、昨日から何も食べていない晃にはちょうど良かった。
当然ものすごい勢いですべて平らげる。
「す、、すごいですね。まさかすべて食べるとは。アメリア様、ほんとに元気になられて。」
「それもあるのだが、レイアさんの食事がとてもおいしくて止まらなかったようだ。」
大したことは言っていないつもりだったが、レイアは感動したようで、目のふちから涙があふれている。
うむ、レイアはいい人すぎるだろう。
とりあえずこの人は信用してもよさそうだし、良くない環境というのはここではないみたいだ。
そのあたりは今後調べていくとして、まず乗り越えなければならない当面の壁は戦だなぁ。
でも将軍ということだから直接戦ったりはしないかもな、だからと言って指揮もとれんがな。
参ったなぁ……、まぁなるようになるか。
「では、戦場に向かうとするか。」
って言ってもどこ行きゃいいんだ?
「待ってください、アメリア様。まずはお城へ向かう必要がありますよ。すでに屋敷前に送迎馬車が来ています。」
おお、助かる。レイア助かるわー。
「あぁそうか、忘れていたよ。」
「それとお着替えも必要ですね。」
晃は心の中でレイアに感謝しつつ、レイアの手助けのもと鎧を身にまとい、屋敷前に来ていた送迎馬車に乗り城へと向かった。
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