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第一章:愛してるからこそ守り抜く。
初めての感情を。
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私が目覚めた時。
『初めて』銀の姿がなかった。
この部屋に居る限り、ドアは1つしかない。
また窓も何もない。
だからハッキリとした『日時』などが全く判らなくなっていた。
ただ、今日は蝋燭の照明ではなく…
透明な丸い球体の中に、ゆらゆらと?
炎が包まれるようにある。
それが、あちこちに浮かんでて部屋や自分の様子も良く判る。
私は『ここに連れて来られて』から?
どれぐらい経ったのだろう?
多分だけど…
まだ2~3日ぐらいに感じる?
それにしては…
お腹も空いてないし?
もしかしたら、そこまで『時間は経ってない』のかも…
いろいろ考える。
でも、すぐ止めた。
結局、『判らない』ものは、判らない。
うん、なら、止めよう。
考えても意味なし。
私の性格は、そういう部分が多々ある。
雑なのかもと、たまには思うけれど。
今まで、そうだった。
いろいろ考えても結局、『判らない部分』は残る。
けれど、いつまで考えても『不明』なまま…
そんな時でも気にしないでいても、いつもだし?
特に『問題もない』し、後から『困る事』もない。
その時。
ふと『銀の顔』が浮かんだ。
まさか…
いや、どうだろう?
どうも『言葉』を聞く限り…
かなり私は『銀に助けられて生きてた』のかも知れない。
ただ、どうしても『人間の常識』が働くのか…
そこも判らないけれど。
誰だって『妖狐の仕業』とか浮かばないよね?
妖狐と言えば、やっぱり架空の存在。
でも…
実際に今、私の前に『現れた銀』は、どうなる?
『不可解な部分』を、私は知らない。
ただ、『私の事』を銀は…
いろいろ知っているのは『事実』でしょ?
そうなると『可能性はある』よなぁ…
何となく軽い溜息が出た。
銀は?
私に『知られず18年間、側に居た』ようだった。
もしかしたら、私が知らないだけで…
他にも、いろいろ、あるのかも知れない。
そんな事をグルグルと考えてた。
けれど…
そこで誰も居ないからの独り言を呟く。
「やっぱ、判らん。」
その独り言を言って、また『違う事』に気付いた。
銀の居ない1人。
私は意識を取り戻した訳だし!?
前と同じで自分の身支度は、なぜか、とても綺麗に整ってた。
着ている服はサイズもピッタリ。
膝丈のワンピース。
上質な生地なのだろう、今まで着た事もないような?
滑らかな生地で肌に触れる感じが違う…
何から作られているのやら?
デザインは、とてもシンプルで白の生地に…
金色の糸で、さり気なく刺繍があった。
その刺繍が腰の部分でと、ワンポイントのよう大きめにある。
これは良く知ってる模様…
私の胸元にある産まれてから見慣れた模様だった。
確か銀が『刻印』と呼んでたのも?
前に着てたワンピースも…
そういえば白だったように思う。
細かい刺繍までは覚えてないけど、今もだし?
これは…
一体、誰が、この身支度をやってるの!?
そんな『疑問が浮かぶ』ぐらいには、なぜか。
頭が覚めるような…
ゆとりのようなものが出来た感覚がした。
一応…
これでも18歳の気になるってやつ何ですよねぇ…
凄く、気になる…
私が、ここに来てから『銀以外とは会ってない』のに?
もし、これで銀でもないなら…
文句を言ってやりたいような…
そこが『問題点』なのか?
かなり、もう『複雑な気分』だった。
そこで、また銀を思い出す。
散々あんな恥ずかしくも『愛してる』と?
しかも、凄い美貌の?
とんでもないイケメン?
あ、でも、そこは人間でもないと思えば?
違う意味で納得するかも…
あんな全てが整った顔立ちで?
まつ毛まで長くて今まで『初めて』見る程。
とんでもない美貌で…
金色に見えるようで緑も少しある不思議なの瞳も?
髪も、まさかの銀髪と?
背も高くて、更に、あんな逞しい程の…
そこで私は銀の身体を思い出して…
一気に顔が赤くなるような感覚がした。
フルフルと、すぐ首を横に振って頭の中から追い出す。
また違う事を考えようと思った時。
普段から誰かと居る事しかなかったのに…
『1人』になるのも…
初めてだなぁ。
それに、この部屋は広いけど…
もう、これは『監禁』でしょう?
そこでも、もう1つ気付いた。
『試す価値あり』と立ち上がる。
ここに来てから『初めて銀が居ない』事だった。
今ならと思いながらドアへと向かう。
でも、同じで視界が歪んだかと思うとベッドの側。
盛大に溜息を出した。
おまけに、する事もない、だからベッドに転がった。
ただ、もうゴロゴロと転がる。
1人…
そう思うと寂しくなる。
誰も居ない、私だけ。
嫌な考えも浮かぶ。
振り払う為にと、もうベッドの上で転がるだけだった。
それにしても…
どれだけ大きいベッド!?
いつも私が使ってたシングルベッドの倍?
いや、多分3倍以上に大きい…
寝相が悪くても、これなら落ちる心配なしだなぁ。
などと、くだらない考えをしてたら…
急に部屋のドアが開いたのを見た。
銀が入ってきた。
そのまま目が合う。
**************************
銀楊は『瞬時に思考』した。
すぐ判断して光希へと『口調』を選んだ。
「光希が目が覚めた時。
側に居ようと思ってたけど少し遅くなったね。
つまらなかっただろう?
それとも、寂しかったかな?」
もう『図星』ではないかと私は銀からスッと。
視線も逸らしてから、またベッドに転がる。
別に寂しいとか思ってませんよ。
と、頭の中でだけ反論した。
ん?
良い匂いがする。
そこで銀の方を、また視線を移すと…
一緒に持って入ってきたワゴンが目に入る。
香りから出来立てだろう、ご飯だった。
バターで焼いたような、お魚の匂いに惑わされそう…
って、いかんいかん!!
そんな餌に釣られてどうする、私!?
銀は優しい笑顔で、そのまま私に近付いてくると…
更に優しく私の頭を撫でてきた。
余裕さすらある銀の手を、私はペシリと。
もう軽く弾いた。
ベッドの枕を抱えて背を向けた。
「うん?
何か怒ってるのかな?
言ってごらん?」
その余裕な感じの問いにも答えなかった。
私でも良く判らない。
何だろう?
勝手に連れて来て?
勝手に私を閉じ込めたのは、銀だし?
それと、その後、した行為を思い出すと…
どうしても恥ずかしいのに。
やっぱり酷いとは思うけど、なぜか複雑な感情。
この『モヤモヤとした気持ち』が判らない。
「いきなり、こんな生活を強要しているから。
怒るかもしれないが…
どうか機嫌を治してくれないだろうか?
まだ準備が済んでいないから。」
そこで私はクルッと銀の方を向いた。
銀楊は、ある程度の予測もしながら光希を見る。
だが、光希から真っ先に出た問いは…
全く銀楊の予測や心配とは違うものだった。
「聞きたい事があるんだけど!?
この服、というか『私の身支度した』のって誰!?」
銀楊は『予想外な問い』に若干、驚いて僅かに沈黙する。
だが、すぐ銀楊は気付く。
あぁ、なるほど、と思う。
そして答えた『反応も予測』した。
だから少し笑いながら簡単に答えた。
「勿論、私ですよ。
光希。」
笑ってる場合か!!
と、銀を目で睨む。
「光希の肌を。
そんな『他の男』に見せるなんて。
私は『出来ない』だろう?」
銀楊は判る、その仕草も含め。
どうしても少し笑いながら…
そのまま銀が私にとスッと動いた。
私の腰に腕を回してグイッと近付けてから…
囁くように言われた。
「だから光希?
心配しなくても大丈夫だ…」
ち、近いよ…
顔、近いです!?
うっわ、まつ毛も長くて…
綺麗…
って…
思考を、どうにか私は振り払う!!
同時に少し顔も逸らして言う。
「でも、そんな簡単に言うけど?
この部屋には、何もないし。
お風呂場すら…
って違う!?
そうじゃなくて!!
人が寝てる間に、何してるのよ!!」
やっぱり恥ずかしい。
それに実際、どうなってる!?
おまけに?
『勝手』に人の身体を平然と!?
当たり前みたいに?
その光希がする『思考』すらだった。
銀楊には簡単、また、それに答える。
「私としては…
ずっと『裸の光希を観て』いても。
構わないのだけれどね。
気を失ってしまう程。
『疲れさせているのは私』だろう?
そんな状態では『起こせない』だろう?
全て『私がやるのが当たり前』ではないか?
心配しなくて大丈夫だよ。」
銀楊は『全て』想定内。
それに『光希の性格も知っている』事。
更に異性との『接触』すら皆無。
ならば当然『怒る』かもしれないが…
銀楊の言葉は『的を』外さない。
そして元々、『光希の肌を他の男』になど…
触れさせる筈もない事だけは『本音』でもある。
とても優しく、爽やかに取れる笑顔で銀が言った事に…
私は『返答の粗』を探す、でも『無理』だった。
どこへぶつけて良いか判らない怒りやらで震えながら言う。
「ち…」
「ち…?」
銀が鸚鵡返しのように首を傾げた。
「違う!!
そういう事を言ってる場合じゃない!?
私の寝てる間に勝手に、起こして良いよ。
というか、起こしなさいよ!!
お風呂ぐらい自分で入るし。
っん?
お風呂!?
この部屋から出たの!?」
この部屋は広い、でも何もないのだから…
お風呂場へ行ったという事は…
ここから私は出たって事だよね?
と、言う『意味合い』で聞き返す。
すぐ銀楊も察した。
だが、そこも含め思考した時。
あぁ、そうかと。
銀楊は改めて思う。
この部屋に関してならば『結界は特殊』でもある。
光希の場合は『複数の結界まで見えてない』から。
この部屋では…
ふむ、そうなるか。
そこで銀楊は一度、腰かけてた状態から立ち上がった。
光希もベッドから一旦と…
「えっ?
えっ!?」
「光希。
大丈夫だから、少しおいで。」
光希の『興奮を抑える』事も含め銀楊は優しく…
簡単に抱き上げて、そのまま見えてるドアと反対側へ。
改めて光希に見せる意味でもと、ベッドに座らせた。
「銀?」
問いには答えず、光希を向けた方へと。
銀楊は手を翳して僅かに呟く。
そんな様子の銀を私も見て、手を翳した方を見てた。
また私は驚いた。
今まで何もなかった壁にとだった。
急に『ドアが2つ』現れた。
この部屋は円形のようになっててベッドが中央にある。
それでも正確に判らないぐらい、かなり広いけど?
今まで見えてた『1つのドア』までの距離と同じぐらい?
反対側に向かってる壁に今、急に現れた。
『2つのドア』も距離は同じぐらい?
銀楊は光希を見ながら説明も兼ねて言う。
「お風呂場も、トイレも、『住むのに必要な物』は全て。
既に部屋の中に用意させてある。
だから『光希は、ここから出てない』んだ。
『結界の関係で見えてなかった』のを。
先に気付かず、すまなかった。
ただ、ドアが見えてなかっただけで…
『光希の生活に不便がない』ようにしてある。
ちなみに右がトイレで、左が風呂場になる。」
驚くながらも私は思い出す。
だからドアを見ながら言う。
「でも…
ベッドの『結界っぽい』のから…
私は出れないじゃない。」
「今、『同時に結界』を少し構築し直した。
これからは『光希自身』もだろう。
外のドア以外ならば自由に行けるし使える。
ただ、『先に言っておく』が…
外へ向かう、外部へ出るドアの側に行こうとすれば。
またベッドの側に逆戻りにはなる。
だから『この部屋から出よう』などは考えないで欲しい。」
いきなり部屋にドアが出てくるのも『驚き』はある。
でも、やっぱり『納得が出来ない』私は…
しっかり銀を見てから判るように言う。
「ねぇ、結局。
この部屋からは『出さない』って事だよね?
あのね。
こう言うのは『犯罪と同じ』だよ?
妖狐にはないの?
これは『監禁』って『立派な犯罪』になるんだよ?」
銀楊は勿論、『人間社会のルールを知ってる』が。
これに関しては、どうにも今は出来ない状態でもある。
そう、ここは『人間の居る空間ではない』のだ。
何も術すら使えない上に、いくら『結界を厳重』にしても…
『危うくなるのは光希』なのだが。
光希の性格も知ってる銀楊も若干、思考する。
『説明しても判らない』だろうと判断し、光希には言わなかった。
銀楊も『選ぶ言葉』を迷う。
それでもと…
「いや、それは『判ってる』のだがな?
光希、もう少しの間だけで良いから…
『この部屋で待って居て』欲しい。
ここは『最深部以外』でも『全て』になる事。
光希が外に出ると今は、とても『危険』なんだ。
それを『全て準備している最中』でもあるから。
退屈かもしれないが…」
銀の言い方だと、どうも…
私を意図して『監禁したい』理由だけでも?
なさそうにも見えた。
だったら、どうして銀は?
私は考えながらも…
「あの、一応で、聞きますけど?
家に帰す。
なんて、選択肢は?」
銀は優しく笑った、でも『無言』だった。
うぅ…
これは…
『全く、それはないです』って感じがする。
「光希には…
まだまだ、教えないといけない事もあるのだが…
1つ、私から聞いて良いか?」
銀の顔を見ながら改まって何だろうと?
普通に私も聞く。
「うん?
銀が何を?」
銀楊は、そんな『光希の目』を見る。
「光希は、『帰りたい』のか?」
私には『銀の目』に、さっきまでの優しさと違うものを。
感じるけれど…
でも怒ってる訳でもない?
判らない…
けど、何か?
これは…
良くない流れな気がするぞと。
焦りを隠す。
「光希。
帰りたくなくなる程、また愛しても…」
離れてた手が、また腰へと回る。
もう一方の手で顎をクイッと銀の唇の側が、また近付く。
「ス、ストップ!!」
私の両手で銀の口を塞いだ。
「わ、判った、判ったので…
てか、すぐ。
そう言って、誤魔化す!?」
銀は残念そうにも私を離した。
**************************
だが、銀楊は些細な様子に、すぐ気付く。
これは…
『光希自身』も気付いてない?
確かに残念ではあるが、それよりも、これは…
『無自覚』でとだ。
まだ私も『光希の心を完全』には掴めてない。
そこも複雑にはなるが。
だが、『今の行動』は…
明らかに光希は『徐々に私へ』向いている筈。
ならば、尚更、今は『私の方』だろう。
そうでなければ、あの光希を。
銀楊からすれば判ってる部分でもある。
それは無理やり続けるのは光希へと…
『絶対に逆効果な事』をだった。
もっと『私は愛したい』のだが。
まだ今の光希は『心』が、ついていかないだろう。
そう判断するのも『簡単』だった。
だが…
それでも…
**************************
若干、息を吐き出してから銀楊は『言葉』を。
そして『動き』も選ぶ。
思い出したように言う。
「仕方がないな。
簡単な『食事』を持ってきたから。
それを食べてしまおうか?」
光希を見て少し笑いながら付け足す。
「後、言い忘れていたが。
この部屋は、かなり『複雑な結界』を張り巡らせている。
それもあって光希の『体内時間』は、普段より…
ずっと『遅くなっている感じ』のようなものかな?
私もだが。
妖狐一族は長命だ。
だが、『光希の身体は人間』だからね。
尚更、『部屋から出てはいけない』よ?」
私は微妙な気分にもなるけど。
今は、もう仕方がない。
フィッと銀から離れた。
判りましたよ。
どうせ、私じゃ銀には勝てる要素ゼロだし?
『今は』素直に従いますよ。
やっぱり少し『納得いかない』けど…
そう思いながらも私は言わなかった。
そして銀が持ってきた食事を見て、そちらへ行く。
でも銀は少し距離を置いたまま動かなかった。
僅かに私は不思議に見た。
一応、食べて良いのかなと。
取り敢えず座って食事を一口、食べる。
美味しい!!
思わず驚く程。
私は単純だなぁ…
と、思いながらも…
取り敢えず、ご飯を食べてから次を考えようと。
決めて食べ始める。
**************************
銀楊は、光希の様子を若干、離れながら…
見逃さず『観察』もする。
そんな中でも僅かにと、目を閉じて『思考』も始めるが。
これは…
今は私の方がだ、かなり『慎重』にしなければ…
光希にとっても『初めての感情』をだ。
それを、『私自身』で上手く引き出せるだろうか…
上手く判らせる事への思考を。
銀楊にとって、これは、かなり難しい…
なぜならば相手は『自分自身』なのだ。
そう…
これは銀楊も『予想外な形』でも多く表れた事。
そんな予想外の部分は『愛』に限らない。
光希の『心は綺麗過ぎる、純粋過ぎる』事だ。
これが『性格も』だが…
実年齢よりも『幼さ』が『常に残り続けた』部分にもなる。
性格や言動だけでもない。
他にも『様々な部分』に表れた。
そして、あの『心』だ…
銀楊が、光希にした事の『結果』でもある。
だからこそ、『下手』に動けない。
光希が産まれてから『18年間』ずっと…
『私が』敢えて光希からだ。
『全ての危険や悪意を排除し続けた結果』でもある。
まだ『知らない感情』を、どうすれば…
今の光希の中から引き出せる?
どうすれば『私へと』向かわせる?
そのまま銀楊は僅かに息を吐き出す。
ある意味、滑稽な事だと。
本心でもあるが今更ながらに思う。
丸で、これは自分の策に対し、自分で策を解けと同じ。
だが、ある…
光希の中に、『僅か』だが芽生えている。
様子を見ていても感じる。
明らかだ、徐々にではあるが…
光希の中に『必ずある』のが判る。
本当に『異性を愛する感情』。
今までの光希は『好意』はあれど『異性への愛』だけ。
全く知らない…
光希も『自覚』すら、してなかったが。
そこだけは『間違い』ない。
必ずだ…
あの『光希』を。
『綺麗な心も身体も全て』を。
私が掴んでみせる!!
そう、銀楊自身すら本心なのだ。
あの光希に『他の男など許せる筈もない』事。
『光希だけ』は渡さない。
否、18年前からではない。
ずっと望み。
後、少しまで来ているのだ。
まして今までの歴代を全ては知らないが…
少なくとも『光希はずっと守り抜いて』きた。
それも『かなり影響している自覚』はある。
あそこまで何にも曇る事もなく『全てが綺麗な光』だ。
私が『光希を愛している』事は勿論だが…
光希も『それを』受け入れようとしている事。
ならば私は判っていても心の中にある深い感情になる。
それだけは『光希自身』に、『私の言動』で変わる事。
今後の事を踏まえながら…
常に光希は『先手』を打たねば、その為にこそ『最善案』を。
そして『思考』をしながらでなければ『光希』の場合。
私でもだろう。
光希ならば特にだと判る。
銀楊は、そこだけを。
注意しながらも『思考を続ける』のだった…
『初めて』銀の姿がなかった。
この部屋に居る限り、ドアは1つしかない。
また窓も何もない。
だからハッキリとした『日時』などが全く判らなくなっていた。
ただ、今日は蝋燭の照明ではなく…
透明な丸い球体の中に、ゆらゆらと?
炎が包まれるようにある。
それが、あちこちに浮かんでて部屋や自分の様子も良く判る。
私は『ここに連れて来られて』から?
どれぐらい経ったのだろう?
多分だけど…
まだ2~3日ぐらいに感じる?
それにしては…
お腹も空いてないし?
もしかしたら、そこまで『時間は経ってない』のかも…
いろいろ考える。
でも、すぐ止めた。
結局、『判らない』ものは、判らない。
うん、なら、止めよう。
考えても意味なし。
私の性格は、そういう部分が多々ある。
雑なのかもと、たまには思うけれど。
今まで、そうだった。
いろいろ考えても結局、『判らない部分』は残る。
けれど、いつまで考えても『不明』なまま…
そんな時でも気にしないでいても、いつもだし?
特に『問題もない』し、後から『困る事』もない。
その時。
ふと『銀の顔』が浮かんだ。
まさか…
いや、どうだろう?
どうも『言葉』を聞く限り…
かなり私は『銀に助けられて生きてた』のかも知れない。
ただ、どうしても『人間の常識』が働くのか…
そこも判らないけれど。
誰だって『妖狐の仕業』とか浮かばないよね?
妖狐と言えば、やっぱり架空の存在。
でも…
実際に今、私の前に『現れた銀』は、どうなる?
『不可解な部分』を、私は知らない。
ただ、『私の事』を銀は…
いろいろ知っているのは『事実』でしょ?
そうなると『可能性はある』よなぁ…
何となく軽い溜息が出た。
銀は?
私に『知られず18年間、側に居た』ようだった。
もしかしたら、私が知らないだけで…
他にも、いろいろ、あるのかも知れない。
そんな事をグルグルと考えてた。
けれど…
そこで誰も居ないからの独り言を呟く。
「やっぱ、判らん。」
その独り言を言って、また『違う事』に気付いた。
銀の居ない1人。
私は意識を取り戻した訳だし!?
前と同じで自分の身支度は、なぜか、とても綺麗に整ってた。
着ている服はサイズもピッタリ。
膝丈のワンピース。
上質な生地なのだろう、今まで着た事もないような?
滑らかな生地で肌に触れる感じが違う…
何から作られているのやら?
デザインは、とてもシンプルで白の生地に…
金色の糸で、さり気なく刺繍があった。
その刺繍が腰の部分でと、ワンポイントのよう大きめにある。
これは良く知ってる模様…
私の胸元にある産まれてから見慣れた模様だった。
確か銀が『刻印』と呼んでたのも?
前に着てたワンピースも…
そういえば白だったように思う。
細かい刺繍までは覚えてないけど、今もだし?
これは…
一体、誰が、この身支度をやってるの!?
そんな『疑問が浮かぶ』ぐらいには、なぜか。
頭が覚めるような…
ゆとりのようなものが出来た感覚がした。
一応…
これでも18歳の気になるってやつ何ですよねぇ…
凄く、気になる…
私が、ここに来てから『銀以外とは会ってない』のに?
もし、これで銀でもないなら…
文句を言ってやりたいような…
そこが『問題点』なのか?
かなり、もう『複雑な気分』だった。
そこで、また銀を思い出す。
散々あんな恥ずかしくも『愛してる』と?
しかも、凄い美貌の?
とんでもないイケメン?
あ、でも、そこは人間でもないと思えば?
違う意味で納得するかも…
あんな全てが整った顔立ちで?
まつ毛まで長くて今まで『初めて』見る程。
とんでもない美貌で…
金色に見えるようで緑も少しある不思議なの瞳も?
髪も、まさかの銀髪と?
背も高くて、更に、あんな逞しい程の…
そこで私は銀の身体を思い出して…
一気に顔が赤くなるような感覚がした。
フルフルと、すぐ首を横に振って頭の中から追い出す。
また違う事を考えようと思った時。
普段から誰かと居る事しかなかったのに…
『1人』になるのも…
初めてだなぁ。
それに、この部屋は広いけど…
もう、これは『監禁』でしょう?
そこでも、もう1つ気付いた。
『試す価値あり』と立ち上がる。
ここに来てから『初めて銀が居ない』事だった。
今ならと思いながらドアへと向かう。
でも、同じで視界が歪んだかと思うとベッドの側。
盛大に溜息を出した。
おまけに、する事もない、だからベッドに転がった。
ただ、もうゴロゴロと転がる。
1人…
そう思うと寂しくなる。
誰も居ない、私だけ。
嫌な考えも浮かぶ。
振り払う為にと、もうベッドの上で転がるだけだった。
それにしても…
どれだけ大きいベッド!?
いつも私が使ってたシングルベッドの倍?
いや、多分3倍以上に大きい…
寝相が悪くても、これなら落ちる心配なしだなぁ。
などと、くだらない考えをしてたら…
急に部屋のドアが開いたのを見た。
銀が入ってきた。
そのまま目が合う。
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銀楊は『瞬時に思考』した。
すぐ判断して光希へと『口調』を選んだ。
「光希が目が覚めた時。
側に居ようと思ってたけど少し遅くなったね。
つまらなかっただろう?
それとも、寂しかったかな?」
もう『図星』ではないかと私は銀からスッと。
視線も逸らしてから、またベッドに転がる。
別に寂しいとか思ってませんよ。
と、頭の中でだけ反論した。
ん?
良い匂いがする。
そこで銀の方を、また視線を移すと…
一緒に持って入ってきたワゴンが目に入る。
香りから出来立てだろう、ご飯だった。
バターで焼いたような、お魚の匂いに惑わされそう…
って、いかんいかん!!
そんな餌に釣られてどうする、私!?
銀は優しい笑顔で、そのまま私に近付いてくると…
更に優しく私の頭を撫でてきた。
余裕さすらある銀の手を、私はペシリと。
もう軽く弾いた。
ベッドの枕を抱えて背を向けた。
「うん?
何か怒ってるのかな?
言ってごらん?」
その余裕な感じの問いにも答えなかった。
私でも良く判らない。
何だろう?
勝手に連れて来て?
勝手に私を閉じ込めたのは、銀だし?
それと、その後、した行為を思い出すと…
どうしても恥ずかしいのに。
やっぱり酷いとは思うけど、なぜか複雑な感情。
この『モヤモヤとした気持ち』が判らない。
「いきなり、こんな生活を強要しているから。
怒るかもしれないが…
どうか機嫌を治してくれないだろうか?
まだ準備が済んでいないから。」
そこで私はクルッと銀の方を向いた。
銀楊は、ある程度の予測もしながら光希を見る。
だが、光希から真っ先に出た問いは…
全く銀楊の予測や心配とは違うものだった。
「聞きたい事があるんだけど!?
この服、というか『私の身支度した』のって誰!?」
銀楊は『予想外な問い』に若干、驚いて僅かに沈黙する。
だが、すぐ銀楊は気付く。
あぁ、なるほど、と思う。
そして答えた『反応も予測』した。
だから少し笑いながら簡単に答えた。
「勿論、私ですよ。
光希。」
笑ってる場合か!!
と、銀を目で睨む。
「光希の肌を。
そんな『他の男』に見せるなんて。
私は『出来ない』だろう?」
銀楊は判る、その仕草も含め。
どうしても少し笑いながら…
そのまま銀が私にとスッと動いた。
私の腰に腕を回してグイッと近付けてから…
囁くように言われた。
「だから光希?
心配しなくても大丈夫だ…」
ち、近いよ…
顔、近いです!?
うっわ、まつ毛も長くて…
綺麗…
って…
思考を、どうにか私は振り払う!!
同時に少し顔も逸らして言う。
「でも、そんな簡単に言うけど?
この部屋には、何もないし。
お風呂場すら…
って違う!?
そうじゃなくて!!
人が寝てる間に、何してるのよ!!」
やっぱり恥ずかしい。
それに実際、どうなってる!?
おまけに?
『勝手』に人の身体を平然と!?
当たり前みたいに?
その光希がする『思考』すらだった。
銀楊には簡単、また、それに答える。
「私としては…
ずっと『裸の光希を観て』いても。
構わないのだけれどね。
気を失ってしまう程。
『疲れさせているのは私』だろう?
そんな状態では『起こせない』だろう?
全て『私がやるのが当たり前』ではないか?
心配しなくて大丈夫だよ。」
銀楊は『全て』想定内。
それに『光希の性格も知っている』事。
更に異性との『接触』すら皆無。
ならば当然『怒る』かもしれないが…
銀楊の言葉は『的を』外さない。
そして元々、『光希の肌を他の男』になど…
触れさせる筈もない事だけは『本音』でもある。
とても優しく、爽やかに取れる笑顔で銀が言った事に…
私は『返答の粗』を探す、でも『無理』だった。
どこへぶつけて良いか判らない怒りやらで震えながら言う。
「ち…」
「ち…?」
銀が鸚鵡返しのように首を傾げた。
「違う!!
そういう事を言ってる場合じゃない!?
私の寝てる間に勝手に、起こして良いよ。
というか、起こしなさいよ!!
お風呂ぐらい自分で入るし。
っん?
お風呂!?
この部屋から出たの!?」
この部屋は広い、でも何もないのだから…
お風呂場へ行ったという事は…
ここから私は出たって事だよね?
と、言う『意味合い』で聞き返す。
すぐ銀楊も察した。
だが、そこも含め思考した時。
あぁ、そうかと。
銀楊は改めて思う。
この部屋に関してならば『結界は特殊』でもある。
光希の場合は『複数の結界まで見えてない』から。
この部屋では…
ふむ、そうなるか。
そこで銀楊は一度、腰かけてた状態から立ち上がった。
光希もベッドから一旦と…
「えっ?
えっ!?」
「光希。
大丈夫だから、少しおいで。」
光希の『興奮を抑える』事も含め銀楊は優しく…
簡単に抱き上げて、そのまま見えてるドアと反対側へ。
改めて光希に見せる意味でもと、ベッドに座らせた。
「銀?」
問いには答えず、光希を向けた方へと。
銀楊は手を翳して僅かに呟く。
そんな様子の銀を私も見て、手を翳した方を見てた。
また私は驚いた。
今まで何もなかった壁にとだった。
急に『ドアが2つ』現れた。
この部屋は円形のようになっててベッドが中央にある。
それでも正確に判らないぐらい、かなり広いけど?
今まで見えてた『1つのドア』までの距離と同じぐらい?
反対側に向かってる壁に今、急に現れた。
『2つのドア』も距離は同じぐらい?
銀楊は光希を見ながら説明も兼ねて言う。
「お風呂場も、トイレも、『住むのに必要な物』は全て。
既に部屋の中に用意させてある。
だから『光希は、ここから出てない』んだ。
『結界の関係で見えてなかった』のを。
先に気付かず、すまなかった。
ただ、ドアが見えてなかっただけで…
『光希の生活に不便がない』ようにしてある。
ちなみに右がトイレで、左が風呂場になる。」
驚くながらも私は思い出す。
だからドアを見ながら言う。
「でも…
ベッドの『結界っぽい』のから…
私は出れないじゃない。」
「今、『同時に結界』を少し構築し直した。
これからは『光希自身』もだろう。
外のドア以外ならば自由に行けるし使える。
ただ、『先に言っておく』が…
外へ向かう、外部へ出るドアの側に行こうとすれば。
またベッドの側に逆戻りにはなる。
だから『この部屋から出よう』などは考えないで欲しい。」
いきなり部屋にドアが出てくるのも『驚き』はある。
でも、やっぱり『納得が出来ない』私は…
しっかり銀を見てから判るように言う。
「ねぇ、結局。
この部屋からは『出さない』って事だよね?
あのね。
こう言うのは『犯罪と同じ』だよ?
妖狐にはないの?
これは『監禁』って『立派な犯罪』になるんだよ?」
銀楊は勿論、『人間社会のルールを知ってる』が。
これに関しては、どうにも今は出来ない状態でもある。
そう、ここは『人間の居る空間ではない』のだ。
何も術すら使えない上に、いくら『結界を厳重』にしても…
『危うくなるのは光希』なのだが。
光希の性格も知ってる銀楊も若干、思考する。
『説明しても判らない』だろうと判断し、光希には言わなかった。
銀楊も『選ぶ言葉』を迷う。
それでもと…
「いや、それは『判ってる』のだがな?
光希、もう少しの間だけで良いから…
『この部屋で待って居て』欲しい。
ここは『最深部以外』でも『全て』になる事。
光希が外に出ると今は、とても『危険』なんだ。
それを『全て準備している最中』でもあるから。
退屈かもしれないが…」
銀の言い方だと、どうも…
私を意図して『監禁したい』理由だけでも?
なさそうにも見えた。
だったら、どうして銀は?
私は考えながらも…
「あの、一応で、聞きますけど?
家に帰す。
なんて、選択肢は?」
銀は優しく笑った、でも『無言』だった。
うぅ…
これは…
『全く、それはないです』って感じがする。
「光希には…
まだまだ、教えないといけない事もあるのだが…
1つ、私から聞いて良いか?」
銀の顔を見ながら改まって何だろうと?
普通に私も聞く。
「うん?
銀が何を?」
銀楊は、そんな『光希の目』を見る。
「光希は、『帰りたい』のか?」
私には『銀の目』に、さっきまでの優しさと違うものを。
感じるけれど…
でも怒ってる訳でもない?
判らない…
けど、何か?
これは…
良くない流れな気がするぞと。
焦りを隠す。
「光希。
帰りたくなくなる程、また愛しても…」
離れてた手が、また腰へと回る。
もう一方の手で顎をクイッと銀の唇の側が、また近付く。
「ス、ストップ!!」
私の両手で銀の口を塞いだ。
「わ、判った、判ったので…
てか、すぐ。
そう言って、誤魔化す!?」
銀は残念そうにも私を離した。
**************************
だが、銀楊は些細な様子に、すぐ気付く。
これは…
『光希自身』も気付いてない?
確かに残念ではあるが、それよりも、これは…
『無自覚』でとだ。
まだ私も『光希の心を完全』には掴めてない。
そこも複雑にはなるが。
だが、『今の行動』は…
明らかに光希は『徐々に私へ』向いている筈。
ならば、尚更、今は『私の方』だろう。
そうでなければ、あの光希を。
銀楊からすれば判ってる部分でもある。
それは無理やり続けるのは光希へと…
『絶対に逆効果な事』をだった。
もっと『私は愛したい』のだが。
まだ今の光希は『心』が、ついていかないだろう。
そう判断するのも『簡単』だった。
だが…
それでも…
**************************
若干、息を吐き出してから銀楊は『言葉』を。
そして『動き』も選ぶ。
思い出したように言う。
「仕方がないな。
簡単な『食事』を持ってきたから。
それを食べてしまおうか?」
光希を見て少し笑いながら付け足す。
「後、言い忘れていたが。
この部屋は、かなり『複雑な結界』を張り巡らせている。
それもあって光希の『体内時間』は、普段より…
ずっと『遅くなっている感じ』のようなものかな?
私もだが。
妖狐一族は長命だ。
だが、『光希の身体は人間』だからね。
尚更、『部屋から出てはいけない』よ?」
私は微妙な気分にもなるけど。
今は、もう仕方がない。
フィッと銀から離れた。
判りましたよ。
どうせ、私じゃ銀には勝てる要素ゼロだし?
『今は』素直に従いますよ。
やっぱり少し『納得いかない』けど…
そう思いながらも私は言わなかった。
そして銀が持ってきた食事を見て、そちらへ行く。
でも銀は少し距離を置いたまま動かなかった。
僅かに私は不思議に見た。
一応、食べて良いのかなと。
取り敢えず座って食事を一口、食べる。
美味しい!!
思わず驚く程。
私は単純だなぁ…
と、思いながらも…
取り敢えず、ご飯を食べてから次を考えようと。
決めて食べ始める。
**************************
銀楊は、光希の様子を若干、離れながら…
見逃さず『観察』もする。
そんな中でも僅かにと、目を閉じて『思考』も始めるが。
これは…
今は私の方がだ、かなり『慎重』にしなければ…
光希にとっても『初めての感情』をだ。
それを、『私自身』で上手く引き出せるだろうか…
上手く判らせる事への思考を。
銀楊にとって、これは、かなり難しい…
なぜならば相手は『自分自身』なのだ。
そう…
これは銀楊も『予想外な形』でも多く表れた事。
そんな予想外の部分は『愛』に限らない。
光希の『心は綺麗過ぎる、純粋過ぎる』事だ。
これが『性格も』だが…
実年齢よりも『幼さ』が『常に残り続けた』部分にもなる。
性格や言動だけでもない。
他にも『様々な部分』に表れた。
そして、あの『心』だ…
銀楊が、光希にした事の『結果』でもある。
だからこそ、『下手』に動けない。
光希が産まれてから『18年間』ずっと…
『私が』敢えて光希からだ。
『全ての危険や悪意を排除し続けた結果』でもある。
まだ『知らない感情』を、どうすれば…
今の光希の中から引き出せる?
どうすれば『私へと』向かわせる?
そのまま銀楊は僅かに息を吐き出す。
ある意味、滑稽な事だと。
本心でもあるが今更ながらに思う。
丸で、これは自分の策に対し、自分で策を解けと同じ。
だが、ある…
光希の中に、『僅か』だが芽生えている。
様子を見ていても感じる。
明らかだ、徐々にではあるが…
光希の中に『必ずある』のが判る。
本当に『異性を愛する感情』。
今までの光希は『好意』はあれど『異性への愛』だけ。
全く知らない…
光希も『自覚』すら、してなかったが。
そこだけは『間違い』ない。
必ずだ…
あの『光希』を。
『綺麗な心も身体も全て』を。
私が掴んでみせる!!
そう、銀楊自身すら本心なのだ。
あの光希に『他の男など許せる筈もない』事。
『光希だけ』は渡さない。
否、18年前からではない。
ずっと望み。
後、少しまで来ているのだ。
まして今までの歴代を全ては知らないが…
少なくとも『光希はずっと守り抜いて』きた。
それも『かなり影響している自覚』はある。
あそこまで何にも曇る事もなく『全てが綺麗な光』だ。
私が『光希を愛している』事は勿論だが…
光希も『それを』受け入れようとしている事。
ならば私は判っていても心の中にある深い感情になる。
それだけは『光希自身』に、『私の言動』で変わる事。
今後の事を踏まえながら…
常に光希は『先手』を打たねば、その為にこそ『最善案』を。
そして『思考』をしながらでなければ『光希』の場合。
私でもだろう。
光希ならば特にだと判る。
銀楊は、そこだけを。
注意しながらも『思考を続ける』のだった…
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