攫われた先は妖狐の世界、そして私は『姫』らしい。

蒼真 空澄(ソウマ アスミ)

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第三章:本当に願う事は一つだけを。

新しい家族。

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私の身体が回復した頃。
もう、全てが全部が終わっていた様子だった…

**************************

初めて、私は『妖狐の世界』でだ。

その街並みを、外出すらもだった。
約束をする事で出来るようにもなった。

「わぁ!?
これは何?
凄いなぁ、ねぇ、銀!!」

銀は優しく言う。

「そんなに、はしゃいでばかりだと。
疲れてしまうよ?
別にいつでも来れるから、落ち着きなさい。」

「うん!!」

外出にも驚いた。
でも銀が出した約束は、2つ。

1つは、外出は1時間。
2つは、銀か青嵐せいらんなどの子が同行。

その2つだけだった。

私は初めて、たくさんの妖狐も見た。

銀が居るからか…?
特に誰も近付いて来ないのもあるけど?

でも、私は銀が居るなら大丈夫だと信じた。
だから、目新しい物を見て、楽しくて笑う。

私からも、特に他へと近付く必要もないし?
でも妖狐も、いっぱい居るんだなぁと思った。

あちこち知らない物ばかりで、楽しかった。

銀楊ぎんようは、仕事も含めてだ。
詳しく『今ですら』、光希みつきには何も話してもいない。

けれど光希みつきは、そんな事も気にせずに…
『私だけを常に信じる部分は』全く変わらなかった。

そして、私が居るなら大丈夫だと、絶対に信じる姿を。
当たり前のようにと約束もしっかり守る。

そして楽しそうに笑うのだから…
本当に光希みつきが愛しく、眩しく、美しいと思うのだ。

だから銀楊ぎんようも、『光希みつき』にはと、自然に笑う。

ちなみに、既に条例もあり、また必ずだった。

銀楊ぎんようと、光希みつきの周りにだ。
常に『子供達の数十人が注意中』である。

皆が側に居たゆえに、誰も近付けないだけでもあった。
その為、誰も手は出せないのが事実でもある。

**************************

その後も当主である銀楊ぎんよう

全てが変わらず、それは『光希みつき』に関してもだった。
何も変えておらず、また仕事でも同じである。

時折『姫』の件になれば、一切、容赦しない。

譲るような態度もなく、威圧し、話題すらも許可しておらず。
徹底的に排除する姿勢すらも変わらない。

また逆に、異論が出れば…
更に青嵐せいらん筆頭に、我が子達すらも敏感に察する。

一斉に『威圧』までし、父上である銀楊ぎんように、向かう前と。
動こうとさえする行動も、見せるのだ。

それも大きく…
もう誰もが、何も言わなくもなるのは簡単でもあった。

光希みつきも最初は、子供達の人数が多く居た事で…
戸惑いながらも、銀楊ぎんようを見る行動をして居たが。

銀楊ぎんようが優しく、光希みつきにと、大丈夫だと示す。

そうして徐々に慣れていく様子を出していった。

私は青嵐せいらん以外の子供達も、皆が優しいのも事実でもあり。
徐々に慣れる中で、自然と笑う事も安心して、普通に出来るようになった。

けれど、子供達の皆からしたら…
既に青嵐せいらんから聞かされていた通りでもある。

だからこそ、徐々に打ち解ける流れで、常に動くのだ。

また、父上である銀楊ぎんようもそう動く。
母上である光希みつきへの注意をと『必ず』してきていた。

都度、気付く様子でだった。
子供達の方には時折、父上からの視線でだ。
『意思を伝えて』もいたのもある。

子供達は母上の、その『純粋な心』に、嬉しいだけでもあるが。
どうしても青嵐せいらんと同じ気持ちになるのだった。

**************************

私がゆっくりと、穏やかに馴染んだ頃…
どうやら、私が寝て居た時に侵入者が出た日があったらしい。

それらも後日談として、子供達から聞いた。

無断で私がいる場所に、接近しようとしたらしく…
銀がまた、新しく造り直してくれた場所に侵入しようとしたそうだ。

「そっか。
もう、前なの?」

青嵐せいらんは笑いながらも言う。

「母上が寝てる間にすぐ終わったし。
少し前に済んでたから、大丈夫。
だって、あの父上が許す筈もない!!」

青嵐せいらん達からしたら、実は『あれ』には驚愕もした。
けれど、その点を母上には、特に何も詳しくは話さない配慮もする。

「ふーん?」

だが、皆も判ってきて居た。

母上は『疑わない』のだと。
嘘も付かなければ、何も悪意もなく…
本当に『純粋過ぎる』ぐらいに綺麗なのだ。

父上へと気を付けていれば、何がいけない事かも判る。
話題もしていても、母上は『信じた者を純粋に信じて』そのまま笑う。

それが皆は、やはり『綺麗だ』と、嬉しくもあるのだった。

そんな母上の顔も読み易く…
さっきの話すら、不思議そうな顔をする。
皆はそんな母上にと、嬉しく笑う。

私は銀の強さも、詳しくは知らない…
でも、聞く限りは確かに『強い』らしいのは判るけど。

仕事関係は知らされないままだから。
あまり良く判らない…

「その人、いや、違う。
その妖狐は、どうなったの?」

側にいた他の子供が、アッサリと言った。

「父上が火炎術で灰にしたね!!
それより、あの『怒り』の方が凄かった…」

銀が怒って、火を?

でも…
普通に火を使っても、灰にはならないだろう?
と、私には疑問しかない。

灰にしたって…
一体、どこまでが『後日談』か判らなくなり、首を傾げる。

しかし、これに関しては『事実』であった。

そんな不法侵入、必ず結界にかかるのだ。
子供達すらも気付き、すぐに素早く動き、向かうが…

それより早く、一気に巻き起こされた火炎の威力を見た。

皆が着いた頃には、既に父上がおり…

完全に怒りの顔でだ。
瞬時に『強力な火炎術式』を出した後を見て居た。
そして侵入者を跡形もなく、灰にする姿だったのだから…

青嵐せいらん達が思うのは…
あの火炎術の『威力』もあるが。
威力より、『早さ』もだった。

侵入時の、あの『早さ』だ。
それは転移術で、更に正確な位置を、瞬時にした事。
また、的確な場所で処理をしたにも等しく…
場所の特定から、即座の転移の早さ。
そして、あの火炎術の威力だった。

子供達からしたら、侵入者を確かに『愚か』としか思えず…

それでも母上は術も使えない、何も知らない。
だから言う『必要もない』事も知っている皆は…
それらの威力や、早さに驚愕はしたが、言わないのである。

私は不思議に思って言った。

「それは、どこまでが後日談なの?」

すぐに母上の顔で気付き、青嵐せいらんは目で合図する。
そうして皆が何も言わずに居た中でだった。

そこに笑い転げた。
ある意味、唯一しか居ない。

1人だけ、孫のようになるかもしれない存在の?
青光せいこうだけが笑顔で言った。

「聞かない方が良いよ!」

「え?」

その瞬間だった。
即座に青嵐せいらんが凄いゲンコツをして、すぐ黙らせる。

青嵐せいらんは、また私に笑いながら言う。

「いや、ほら、父上はね。
母上には寛大だけど。
怒ると、恐いんだってだけだよ?」

「ふーん?
銀は、あまり『怒らない』のに…
きっと、いけない事をしたんだろうね!」

私は笑って言う。

青嵐せいらんは、うんうんと、頷き。
周りの皆も同じである。

そう、皆は知っている…
母上は知らなくて良いのだと。

父上から、実は『既に忠告』は受けて居た…

そして判らない方が良いとも、判断してる事も大きい。

これは皆の共通認識でもある1つだが…
そもそも?
あの父上が怒らないと言えるのは『母上限定』である。

そして、あの父上がだ。
母上への危害など…
絶対に許す筈がないと、皆は『確信』もして居る。

それこそ、とんでもない話である。

『実力だけ』ではないのだ。
父上の、妖狐最強の強さに、思考速度。

全てを皆が、味わっており、知ってたのだ。

皆は父上と、初めて…
そう、母上と会う前にだった。

既に指導のような模擬戦済みであり。
それを思い出すのだった…

**************************

若干、時は遡り。

条例含め可決され、光希みつきの身体が、もう少しで回復する頃。

銀楊ぎんようは、地下へと…
我が子ら約350人以上を『全員』呼び出して居た。

家族の概念が薄い妖狐族ではある。

だが、少なくとも、青嵐せいらんの行いもある。

我が子達の意思表示もしており…
それを『確認』する為に、銀楊ぎんようが呼んだのだ。

そこは、かなりの広い訓練場も兼ねている地下空間。
その人数が揃っても、まだかなり広い。
圧迫感さえない広さはある。

銀楊ぎんようが敢えて、地下の訓練場にしたのは…
我が子、それぞれの『能力面を』、他者に見せない為だった。

特務を派遣させ、呼び出しをした。
それもあり、ある意味、初めて正式に会う形になる場でもある。

そんな銀楊ぎんようと、我が子が揃う場ではあったが…
銀楊ぎんようは仕事の一部と変わらない顔で、皆の前にと立った。

そして青嵐せいらん率いる、我が子達の方もだが…
呼び出した内容すら、伝えてなくても騒いですらいない。

銀楊ぎんようは内心、思う。
これだけ『理解度がある』我が子達を前にすると、若干…
不思議な気分でもあるな。

確かに、愚かな最高議会の面々より優れている。
それには、どうにも笑いそうだが。

銀楊ぎんようは、それも顔には出さない。
冷静にと、分析もしながらも、皆を見た。

我が子らの意思はあるか。
ならば、話を早く済ませる方を銀楊ぎんようは選んだ。

側近の報告で全員完了を聞き、皆の前でも淡々と言った。

「さて、呼び出しはしたが。
内容は青嵐せいらんから聞いているな?
光希みつきの要望の件だ。
だが、一応、私も確認しておく部分はある。
来る前に見ただろうが…
余程の愚か者でなければ、結界が再度。
複数、構築はされている事ぐらいは見れば判る筈。
けれど、既に光希みつきの居場所が露見している。
だからこそ、念の為、確認する。
守る上で、それぞれの力量は、確かめねばならんからな…」

皆はそれぞれの『実力試験と指導だ』と、すぐ理解した。
また、それは母上の護衛兼、父上の忠告と。

普段の行動にも気を付けろと認識する。
だが、次の言葉に皆が一瞬止まった。

「全員で良い、一斉に来い。」

銀楊ぎんようは、それだけだった。

皆が、まさか、と思うのだ。
それは、350人以上をだ。
今から『父上1人が相手にする』と意味だからだった。

銀楊ぎんようは端的にまた言った。

「早くしろ。」

皆は同時に、それぞれ邪魔がない配慮をしながらも、判断する。
そして一斉に父上にと、それぞれが攻撃をした。

だが、その間は短い。
早過ぎる程の速度にも関わらず、それだけで『充分』だった。

青嵐せいらんの時と、殆どが変わらなかった。

その『全ての攻撃』がだ。

父上である銀楊ぎんようは…
飛びかかる者は簡単に避け、様々な特殊も含め、術すらも消し。
また全てを読まれ、誰の攻撃も当たらなかったのだ。

これには流石の皆も、動揺するどころでもない。

青嵐せいらんから、聞いていた部分はあれど…
これ程の『実力差』に信じられず。

何も言えない。

そして、それは皆も同じだった。
個々は敵わなくても、あれだけの人数すらも…

青嵐せいらんすら、改めて思うのだ。

何をした、どうやっている!?
早過ぎる!!

術式を見抜き、それすら構築したのか!?

皆が思わずにはいられかった。

そんな中でもだった。
銀楊ぎんようは全く気にもせず、分析まで済ませていた。

「ふむ。なるほど。
確かに才覚も能力、また思考もあるが…」

少し考える仕草をすると、簡単に言った。

「ならば、『1秒』だ。」

青嵐せいらんは、以前の試験を思い出す。
だが、違った。

「今から、『1秒』、耐えろ。」

青嵐せいらんは、『耐えろ』の意味が判らなかった。

!!?
その瞬間だった。

いきなり身体が動かない程の重みがくる。

なっ!?
動けないっ!!
なぜだ、これは風の応用か!?
いや、だが、息は出来る。
威圧でもない!?
重力関係か!?
だが、何の術式を複数多用している!!

その思考さえしている間に、すぐまた更に重くなった。

!!?

流石の青嵐せいらんすらも片膝を着いた。

これを『1秒』と!?
まだか!?

更に重くなっていく。

そして青嵐せいらんも含め、皆が崩れた時だった。

けれど、皆の意識はあった時にと。
その瞬間、重みがなくなった。

そしてまた父上は端的に言った。

「なるほどな。
大体、判った。」

皆は、もう何も言えない。
これが『最強の妖狐』の言われる所以、父上の実力か!?

皆がどんなに束になってすら…
擦る事すらなく、避け、術すら消し。
更に今の術式までもが、全て判らないのだ。

銀楊ぎんようは冷静に分析した。

やはりまだ個々に実力が多少あろうが…
全く経験も、知識も足りない。
複雑な応用術式を、複数使えば思考はしても間に合わない。
また、防げる行動にも間があるな。
それにも、気付けないか…

光希みつきが言っていた言葉を思い浮かべた。
これで判るだろうと言う僅かな間でもあった。

皆は、青嵐せいらんからだ。

話は聞いていたが…
それでも皆も同じ事をだった。

全てが、その実力に思わずにはいられないのだ。

余りにも強過ぎる!!
そして、判らない!!
あれだけの術式を、あんな瞬間で全て!?

そんな様子の我が子達にと言う。

「…光希みつきに言われたな。
子供達に『何か間違いがあれば、私が指摘』をと。
その意味は、判るか?」

皆がすぐに返事をする。

「「「はい。」」」

指摘に耳を澄ます。

「皆が同じだ。
同じ『致命的な弱点すら』ある。
それに、気付いてもいない。」

弱点っ!?
皆が判らず、父上の言葉を待った。

銀楊ぎんようは『指摘』した。

「己の『特殊能力を過信』している。
その能力を使うのは勿論、悪くはないが。
どれも、それすらまだ未熟。
にも関わらず、己の特殊能力に過信している。」

皆が、瞬時に意味を理解する。

銀楊ぎんようは続けて言った。

「思考も動きも、悪くはない。
ゆえに団体でも攻撃は可能だろう。
だが、そのせいで隙も出来ている。
確かに、今の団体ならば、強いかもしれぬが。
それの『弱点』にも、気付いていない。」

!?

皆が、やはり判らずに、先を待つ。

「今、私は『加減した』が、あの時点でだ。
既に『全員が』動けなかった。
術すら見抜けず、他の能力での動きもなかった。
つまり、さっきの攻撃。
私が加減せずに出していたら、どうなる?」

皆が瞬時に悟る。

そうだ!?
あの場で、父上が本気でしていたら…
既に『全滅』なのだ!!

その様子を察して銀楊ぎんようは言う。

「判った様子だな。
団体の強さはあれど、それはつまり弱点にもなる。
これは私に限らない。
複数でも可能だろうな。
誰かが皆を止め、誰かが強力な攻撃をした場合。
対処も出来ずに負ける。
そこにも、気付いていない。」

皆が余りにも、『的確な指摘だ』と思った。

「己の特殊以外、『全てを』精進しろ。
特殊に頼った攻撃など、私には何百年でも当たらぬ。」

青嵐せいらんは思考する。

特殊能力に頼り過ぎか…
確かに、普段から『風を使う』のに、慣れていた。
いざ危険になれば、『風を使う』し…
攻撃も『風』を混ぜながらする。

的確過ぎるな…

「動きは悪くない。
だが、少なくとも、『全員でこれ』では…
しばらくは、まだ私もここに居よう。」

それは母上を守る為にだ。
父上がここに居る意味でもある事を理解する。

自分達はまだ、未熟だと。
それも、その筈だと。
『全員』ですら、敵わないのだから…

理解をしたと判断し、銀楊ぎんようは立ち去ろうと動いたが…
ふと思い、1度、立ち止まる。

そして我が子、皆にと、付け足した。

「もう1つだ。」

「「「はい!!」」」

皆が一斉に反応し、聞く。

光希みつきには言うな。
…何も『知る必要すら』ない。」

「「「はい。」」」

つまり…
それは父上が、母上を守る事は変わらないの意味だと。
また、余計な事を母上に言わない事だとも理解する。

理解したのを確認すると、そのまま家へ戻る父上を…
その銀楊ぎんようの後姿を、皆が見る。

皆が皆で、それぞれで思考はする。
その中で青嵐せいらんだけ、僅かに言った。

「精進か…
あれだけの力を。
ただ、『母上を守る為だけ』に高めたのか…
どうやったのか、それは想像すら出来ないだろ…」

ある意味、それは的を得ていた。

そして皆も同じ意見でもあった…

**************************

あっ、銀が戻ってきた!

「銀、おかえり!!」

「ただいま、光希みつき
身体は、平気か?」

そして銀楊ぎんようは…
ようやく光希みつきの前でだけ、自然と笑うのだった。

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