最強、最悪、最愛、唯一の兄は冷酷皇帝。

蒼真 空澄(ソウマ アスミ)

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第二章:常に最愛の者へ。

全力も当然、唯一の為だ。

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今日は起きた時、ルイも居なかった。
私もパターン通り…
いつもと同じで動こうと思った時。

「ケフッ、コフッ…
あれ?」

軽い咳も出て、なぜか身体が怠かった。
私は不思議に思ったけど…

「ケフッ、えっ?
ケフッケフッ!!」

アラーム後だけど…

思わず、ベッドで横になって目を閉じた。
そのまま私は…

「ル…
ルカ…
ルカ!?」

ふと私も声に気付いて目を開ける。
すぐルイが心配そうな顔で部屋内に居た。

「あぁ、ルカ!?
良かった、もう大丈夫だよ?
だが…
俺すら気付くのも遅くなった。」

「ルイ…?」

そこで私は二度寝してしまったのにも気付く。

起き上がろうとした時。
なぜか私も上手く力が入らなかった。

どうにか起き上がる為、動くけど。
また、すぐ察した様子でルイがだった。

私も支えながら…

「あぁ、ルカ、今は良いんだよ?
ゆっくり寝て居なさい?
そして安静にしておくれ?
風邪は軽い病だから魔法で治せる。
だが、体力までは…
まだ完全に回復してないのだ。」

風邪と?

ルイの言った事で意味も判る。
私は不思議な感覚のまま…

「ルイ、治癒術師を?
どうしてか…
フワフワする?」

「ルカ?
病に関しては俺の魔法でも治せる。
だが、削られた体力だけは…
ルカ自身になる。
だから今は安静にしておくれ?
体力低下は魔力とも別だからね?
その体力を、消耗するのは抑える為か。
まだ休んでなければ…
完全に回復もしないのだ。」

私が言えば、凄くルイも心配そうに…
言ってきた事にも何となく判る。

そんなルイも、また…

「あぁ、大切なルカにと俺もか?
間に合って良かったよ。
まだ回復してないのも判る。
だから何か食事とかも…
やはり食べれないか?
今すら魔力で補助してるのみ。
低下した体力も戻さないと。
まして俺が朝に気付いて居れば…」

言ってからもルイは優しく私の左頬へ。
右手で触れながら心配そうな顔でだった。

だから私も同じ様にとルイの左頬へ。
右手で少し触れる。

「私も気付かなかった…
ぐらいだし?
だから、ルイ…
また、ありがとう。
でも今は…」

凄く眠くなった私も目を閉じる。

「ル、ルカ?
俺の事は良い、だが…
せめて俺の調合した薬だけを。
先に飲んでから休んで欲しいのだ。
これならルカの体力低下に関して…
確実に抑えられる。
ゆっくりとで大丈夫だよ。」

ルイの薬?
久しぶりだなぁ…

どうにか私も目を開ける。
少しだけルイも笑うと…

本当に小さ過ぎる程の薬を。
ルイは私へ、そのまま口の中へ。

素直に私も飲んだけど…
水すら要らない。
小さな薬は私の口で溶ける様に消えた。

同時に私の身体も軽くなる感覚へ。
更に眠くなって目を閉じる。

だけど…
せめて、私もルイへ。

「ルイは…
私を、そう…
いつも、助けてくれるの。
だから…
やっぱり、優しいと…」

言ってる途中でも眠くもなるばかり。
でも…

「良いんだ、ルカ?
俺の唯一、愛してるルカが…
元気に笑ってくれるだけで充分だよ。
そのまま今日は寝てなさい?
夜には必ず、楽になってるからね?」

優しい普段通りルイの声も聞いて…
私は素直に頷く。

あぁ…
やっぱり、ルイは優しいなぁ…

そう思いながら私も再度、眠った。

**************************

一方、ルイ。

普段通りに帝国の通常業務中。
真っ先に入った連絡に内心、驚く。

すぐ思考も切り替えるが。

あのルカが、だと!?

パターン通りでと授業へ?
受けに来ないと!?

急いで普段の部屋へ。
俺が魔力探知を、した瞬間。

ルカの魔力が暴走しかけてる上に…
一切、動いてない!?

「ロアナ、セス、テアト!!
予定時刻も含め変更する!!」

大きく言えば、すぐ三人共が俺の側へ。
僅かに驚いた様子もしたが、そのまま…

「ロアナは30分間で時間調整しろ。
俺は一度、ルカの元へ。
今すぐ戻る。
魔力暴走ならば、防げる。
だが、体力低下に関してはルカ次第!!
至急、俺自身が対応する。
セスとテアトは30分以内に魔草を。
全て用意しておけ?
俺が戻ってからルカの容態で再度。
全て調合する。」

言えば三人共、凄く驚いたが。
すぐ理解した様子へ。
頷いてから無言のまま…
迅速に動き出すのも見れた。

そして俺すら急いで転移装置も使って…
すぐルカの居る部屋へ。

部屋に入った瞬間、俺もベッドの方を。
横になって寝てるルカも見て真っ先に…

「ルカ!!」

大きく名も呼びながらベッドの側へ。
急いで近付いて見れば…

これは!?
やはり風邪などの病ではない!!

単純に魔力飽和から、だろう!?

ルカは普段から魔力を、最低限のみ。
使おうとしない…

誰にだって許容量もあるが。
ルカは高過ぎる魔力を、蓄え過ぎて逆へ。
飽和した上に溢れたから己の身体へ。

しかも魔力だけが、だろう?
暴走してルカの体力すら奪ってる!?

すぐ集中する為、目を閉じた。
そのまま魔法構築へ…

「我が言霊を、我が魔を、光の御身へ。
汝への祝福を、我の魔すら汝の源よ。
我が主とも異なりし御身の力へ。
我は誓う者なりて願いたたえん。
我が魔を、偉大なる我が主と同じ力を、光の御身へ。
我が魔すらささげん。
汝の祈りは我が祈りよ。
我が魔をささたたえる御身へ。
たまえる事を、故に我が願いを、たまわりし行使せよ。
我が言霊を聞き届け祝福を、我と汝の愛しき者へ。
願いは癒す御身の光よ。
反転せし汝の力を宿してあらわれよ。」

魔力が引き抜かれる感覚と同時。
俺も目を開けると…
光の筋が様々な角度からルカへ。

ルカの顔色も僅かに良くなる中。
光が消え、すぐ俺も魔力を、ルカに合わせる。

どうにか魔力暴走は抑えられたのが判って…
息も吐き出して俺すら冷静に考える。

飽和する程ならば、許容量もか?
超える危うさも、だろう!?

ルカの場合、何度か経験もある。

せめてルカの魔力を、一時的に分散させ…
最低限まで落としながら俺へ。

だが、ルカ自身は風邪と似た症状でしか…
冷静に俺も魔力制御の危うさと比較してもだった。

まだ駄目だろう!?
やはり、ルカには危険過ぎる!!

高過ぎる魔力制御など…
誰だろうが、いきなりは不可能!!

今すら飽和するのだぞ!?

あれだけの魔力量、尚更…
俺ならば消費も、制御も、全て可能へ!!

それでも今、削られた体力は…
どうしてもルカ自身になる。

呼吸も僅かにしか出来ないルカを。
触れながら…

「ルカ?
魔力が高過ぎる事で、だろう?
今すら体力も削られて辛い筈。
だが、それすら俺がだよ。」

そう言ってから再度、切り替えて考える。

僅かにでもルカへ。
危険すら俺が、させない!!

ルカの容態も見てルイも判断する。

魔力分散させる為、魔草の成分も含め調合を。
すぐルカに合わせた薬を。

全てルイの魔力も使って濃縮させ極小型へ。

その薬も無事に飲んだ事で安堵するが。
ルカの回復すら早める為、催眠効果も含めた。

今の間にと時間調整した業務も熟す中。

作業より、どうしてもルカばかり…
考えてしまう状態だったが。
同時進行させながら…

ルカの場合。
普段から魔力を、使わない理由か?

恐らく、強過ぎる感覚もあって…
逆に使う事すら避けるのか?

確か空中庭園の時。
ルカは言ってたな…

もし、ルカの主が大地の豊穣…
その女神だけでもないとしたら?

可能性は高い!!

俺とルカは魔力波動すら似てる。
だとしたら更に、だろう!?

大地の神と?
天空の女神と?
また魔術の女神か…

これだけの加護、その中でも…
強大な要因も恐らく、光だろう!!

だが、記述には…
『光を破壊する者』とあった。

目も眩むような光へ。

『破壊する者とも呼ばれる』存在と。
意図的にルカが避けてる理由にもなるか!?

強過ぎる光は闇すら消し去れるのだぞ!!

どうにか常に俺もルカへ、だろう?

ルカが俺とも似てる魔力波動ならば…
必ず同じ様に俺が抑えられる筈!!

頭脳も、魔力も、常に一緒へ。

ルカだからこそ、俺は…
全力でルカの為、魔力制御も高めるのみ!!

判断も明確に改めて認識する。
今ならば、俺が帝国すら動かす事も問題ない!!

全ての業務も終わらせてルイは、やはり…
真っ先にルカの元へ。

そして寝て居るルカも抱き寄せながら…
安堵してルイも眠るのだった。

**************************

一方、グリシャ。

潜伏してる時、真っ先にした事。
それはアルデバード帝国陛下ルイの詳細を。
また今までの属国の経緯を。
他国との外交について全てだった。

勿論、滅んだ国も含め多い中に…
ドラルーク国の事すら含まれる。

だが、調べた事で確信した。

山積みの書類へ。
テーブルに叩き付けながら…

「やっぱりかぁ!!
全て『クリスタ妃』を。
外交に使おうとしたり…
場合によって『属国の妃』としてだろ?
そんな政略婚どころでもない事まで!?
あの皇帝ルイになった時。
既にアルデバード帝国からだぞ?
『唯一の愛する我が妃に関して言う事はない』と。
『我が妃の件に触れるならば容赦しない』と。
他国も含め大きく常に最初から警告してる。
にも関わらず…
つまり、今のクリスタ妃を、愛してる妹を。
誰も見ないまま、常に利用目的と?
冷帝の弱点としてのみ!!
他は一切、皇帝ルイも動いてない。」

言ってから俺すら頭も抱えて…
考えれば簡単な事だった。

拷問関係も含め冷帝として、わざと…
あれすら愛してる妹を。
守る為、警告だろ!!

その一つでしかない。

だが、結局、俺達もだったか…

繰り返す事で…
狙われるのも全く変わらない。
皇帝ルイの愛してる妹へ。

今のクリスタ妃ばかり…

狙われる状況へ。
なったからこそ余計にとかぁ!?

模索してる中でもあったな?
皇帝ルイの新たな記録としても…
今のクリスタ妃は誰とも話さないと?

俺は頭の中で記録も纏めながら…

公式の場でも皇帝ルイのみ?
天使の様な美しさと笑顔だと?
しかも、あの冷帝しか知らない者達の中でと!?

確実に皇帝ルイから事前で…
既に妹も言われてんだろうがぁ!!

そして予測通り公式の場でも?
あの冷帝すら優しく笑うだとぉ?

愛してる妹の『ルカ』にだけ…

もし、妹の助けた時から?
変わらないならだぞぉ?

皇帝ルイは外交の為、愛してない女を。

一時期、抱いたり?
まぁ、仕方ねぇって感覚で?
使って対応してたんだろうが…

こうなりゃ他の女すら尚更。
目障りになる上に?

今のクリスタ妃が16歳だから…
約4年前から一切、外交でもか。

他国が女も出して使えば、強制的に属国へ。
反抗や敵対した場合、滅ぼして開発地区の為へ。

すぐ理由も判って俺は複雑な気分にもなる。

妹の身体すら全て皇帝ルイが、だろ!?

それでも帝国内すら真実は誰も知らないまま…

確かに今も全く変わってない。
完全に愛してる妹を、皇妃へ。

そう断言してる現状すら変えないまま…

僅かな公式の場も徹底的に警備?
他国対策の為、帝国全土へ、防壁対策を?

冷帝ルイの美貌は既に知られてる。
実の妹に関しての美貌を。
除外しても良いが…

もう皇帝ルイに関しては頭脳も?
最強と言われる程の魔力と実力もある。

そして、どんだけ!?
今のクリスタ妃を、実の妹を、愛してるんだよ!!
徹底的過ぎるってぇの!!

一応、公式の場でも接触してぇが…
俺の場合、潜入は不可能!!

あれだけ帝国の警備体制なら来賓客も…

その時だった。

俺はフィンの残した他国の情報網を。
思い出しながら…

「待てよ?
来賓客でも一つだけ…
ライカック国が!!」

そう、王族でもねぇが…
ライカック国には!!

皇帝ルイになる前から今でも続く一族が居る。

各国の王族すら従わないからこそ…
ライカック王族以上の権力を。

だが、皇帝ルイは今すらだろ?

その一族だけクリスタ妃に関しても?
最初、他国に対して擁護する言動もした筈。

だからこそ…
その一族に関して王族とも別へ。

多過ぎる貿易の中でも紛れ込む程度!?

グリシャは起き上がって再度、貿易商すらしてる。
ライカック国の一覧からと策も練り始める。

直接、接触は不可能でも僅かに残せる機会!!

帝国の潜入より他国に対して…
慎重に進め出す中。
冷帝の認識も含め広げ出した。
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