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短編 師匠は狙われている!~イスハーク少年、がんばれ!~
6.
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「とりあえず、リビングに行こうや。この時間帯なら、誰かしらおるはず。怪しげな人物、探すで。怪しくなくとも、目撃者おるかもやし。」
ファントムにつれられ、僕はリビングへ行く。そこでは、暗い顔のアーサー、シアン、そして商人らしい装いのファルーク兄上がいた。皆の手には、先ほどファントムに見せて貰った、あの予告状らしきものが。
「……今朝、ベッドの横に置いてあったんだ。」
「俺もだよ、ファルーク……起きたら机にあった。その様子じゃ、シアンも?」
「そうだ。俺も今朝、かけ布団に置いてあってな。……こんなことをして何の意味があるんだ……。」
ズーン、と重たい空気で、予告状について話している。ふとみると、シアンだけ色褪せた紙だった。犯人が、混乱させるために色々な紙を使って予告状を出しているのだろうか。これでは、紙から店を調べて、客を特定するということはできなさそうだ。あ、まずここから出れないんだった。
「……ん?イスハーク、ファントム殿。すまないが、いま込み入っていてな。急ぎでなければ、また今度にしていただきたいのだが……。」
「兄上……、それ……。いてっ。」
ファントムも持ってた、と言おうとしたが、ファントムの小突かれた。抗議の目で見ると、首を降られる。
「兄上……?イスハーク、血が繋がっていないとはいえ、そこまで私を兄と慕ってくれていたのか……。アーサー殿、シアン殿。イスハークには話していいのでは?」
「えっ……まぁ、イスハークはこんなことしなさそうだもんな……阻止してきたし……それにしてもファルークチョロくない?」
「こんなに慕ってくれる可愛い弟が、こんなふざけた真似をするわけがない!」
「なっ……くっそ、あっちでは可愛い弟とか言わねぇだろ……っ!なんだよ、こいつ……ファルークの馬鹿がっ……!!」
「照れとるやろ~照れとる照れとる~。顔真っ赤やでぇ~?」
ファントムを一発殴ろうとしたが、避けられた。怒りをひとまず落ち着かせ、中身を見せて貰うと、中身はどうやら、ファントムのものと一緒のようだ。
「まぁまぁ、親子喧嘩はそのくらいにしときなよ、ファントム、イスハーク。にしても、可笑しいよな、これ。やっぱ、燃やしたほうが……。」
「待て待て、一旦証拠品として残したほうがええんやない!?」
「……それもそうだね。こんな嫌な手紙、早く塵にしたいんだけど……。はぁ、ヴィンスやダニエルも持ってるかもしれないから、聞いてくるね。」
アーサーはそう言って席を立った。
「……皆がもっているなら……持ってない者が犯人、か?ファントム様、イスハーク。もっていますか?」
ヒラリ、と色褪せた手紙をシアンは掲げる。
「……これか?」
ファントムは事も無げに懐から手紙を取り出した。
「ファントム様が……持っているのですか……?」
「なんや、変な顔して。」
よくみれば、ファントムの手紙も色褪せている。ファントムの持つ手紙に気を取られているのか、僕に聞く余裕すらなさそうだった。シアンの様子がどうにも変だ。窓から見える庭では、いくつか剃られた枝のある、桃色の美しい花の木が、事件を呼び起こすかのように揺れる。
「ねぇ、助けて!!ヴィンスが……っ!!倒れてる!!」
そのとき、アーサーが焦ったように戻ってきた。
ファントムにつれられ、僕はリビングへ行く。そこでは、暗い顔のアーサー、シアン、そして商人らしい装いのファルーク兄上がいた。皆の手には、先ほどファントムに見せて貰った、あの予告状らしきものが。
「……今朝、ベッドの横に置いてあったんだ。」
「俺もだよ、ファルーク……起きたら机にあった。その様子じゃ、シアンも?」
「そうだ。俺も今朝、かけ布団に置いてあってな。……こんなことをして何の意味があるんだ……。」
ズーン、と重たい空気で、予告状について話している。ふとみると、シアンだけ色褪せた紙だった。犯人が、混乱させるために色々な紙を使って予告状を出しているのだろうか。これでは、紙から店を調べて、客を特定するということはできなさそうだ。あ、まずここから出れないんだった。
「……ん?イスハーク、ファントム殿。すまないが、いま込み入っていてな。急ぎでなければ、また今度にしていただきたいのだが……。」
「兄上……、それ……。いてっ。」
ファントムも持ってた、と言おうとしたが、ファントムの小突かれた。抗議の目で見ると、首を降られる。
「兄上……?イスハーク、血が繋がっていないとはいえ、そこまで私を兄と慕ってくれていたのか……。アーサー殿、シアン殿。イスハークには話していいのでは?」
「えっ……まぁ、イスハークはこんなことしなさそうだもんな……阻止してきたし……それにしてもファルークチョロくない?」
「こんなに慕ってくれる可愛い弟が、こんなふざけた真似をするわけがない!」
「なっ……くっそ、あっちでは可愛い弟とか言わねぇだろ……っ!なんだよ、こいつ……ファルークの馬鹿がっ……!!」
「照れとるやろ~照れとる照れとる~。顔真っ赤やでぇ~?」
ファントムを一発殴ろうとしたが、避けられた。怒りをひとまず落ち着かせ、中身を見せて貰うと、中身はどうやら、ファントムのものと一緒のようだ。
「まぁまぁ、親子喧嘩はそのくらいにしときなよ、ファントム、イスハーク。にしても、可笑しいよな、これ。やっぱ、燃やしたほうが……。」
「待て待て、一旦証拠品として残したほうがええんやない!?」
「……それもそうだね。こんな嫌な手紙、早く塵にしたいんだけど……。はぁ、ヴィンスやダニエルも持ってるかもしれないから、聞いてくるね。」
アーサーはそう言って席を立った。
「……皆がもっているなら……持ってない者が犯人、か?ファントム様、イスハーク。もっていますか?」
ヒラリ、と色褪せた手紙をシアンは掲げる。
「……これか?」
ファントムは事も無げに懐から手紙を取り出した。
「ファントム様が……持っているのですか……?」
「なんや、変な顔して。」
よくみれば、ファントムの手紙も色褪せている。ファントムの持つ手紙に気を取られているのか、僕に聞く余裕すらなさそうだった。シアンの様子がどうにも変だ。窓から見える庭では、いくつか剃られた枝のある、桃色の美しい花の木が、事件を呼び起こすかのように揺れる。
「ねぇ、助けて!!ヴィンスが……っ!!倒れてる!!」
そのとき、アーサーが焦ったように戻ってきた。
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