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序章
㌧㌧㌧
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「ゾンビとミイラって|瑞々しいさが全然違うけど同じ様に包帯巻いてるけど、あれってやっぱ皮膚の代わりなのか?」
「フレッシュ言うなし。まぁ、そうなんじゃないか?木乃伊も結構皮膚がぼろぼろになってることだし、ゾンビに至っては腐ったり爛れてるところとかあるじゃん。虫だって集ってるし。」
「あ、それに関しては虫キラーズ内蔵って聞いたけど…実際どうなの?」
「入ってないよ!なんで蚊とり線香みたいな役目になんなきゃいけないの!?あと、本人目の前にして腐ってるとか爛れてるとか言わないでくんない!?あと、俺一応ゾンビじゃなくてフレッシュゴーレムだから!フランケンシュタインの怪物だからね!?」
「すまん、|継早…フランケンシュタインは既に人造人間に使われてるんだ…」
「知ってるよ!!」
放課後になり、僕たちは教室を早々に後にすると各々の帰り道に向かって歩いている。面子は最近いつも連んでいる剣持、自称フレッシュゴーレムの継早 持照、野干の夜湖祀の4人である。
剣持は自転車の籠に鞄と首を収納させた状態で自転車を押して歩き、継早と夜湖と僕は鞄を片手にトボトボと歩いている。夕暮れが近づくにつれて俺たちと同じ学園の生徒たちが続々と外に出てくる。本当ならば飛べる種族もいるのだが、学園の校則で『生徒の通学には必ず徒歩ないし自転車、電車でなければならない』と決まっている。以前、どこぞの王族が馬車でやってこようとしたことが有り、その際には校門の脇でそびえ立っている巨人の石像が乗り手ごと叩き潰してしまったと問題になるほどの徹底ぶりである。
デュラハンは頭が取れているというだけでなく、『首なしの馬に跨っている』という伝承もあり、知り合ってすぐに馬はどこにいるのかを尋ねたら「え、片手が首で塞がってるのにどうやって馬に乗るのさ?」と言うことだった。デュラハンだからと言って必ずしも馬を持っているわけではなく、こいつにとって籠付き自転車のこいつこそが愛馬であるらしい。
「あれ?あそこにいるのって……継早か?」
「いや、ここにいるよ!?」
「なに?何見てんの?って……継早だ。」
「だからここにいるってば!!なに?なんで皆俺にしたがるの?ここにいる俺はなんなの!?」
「だって……あれ…」
僕たち3人が指差した先には包帯でぐるぐる巻にされた哀れな何かが転がっていた。パッと見ではただの継早にしか見えないのだが、継早じゃないとしたら…別のゾンビかな
「ただの|木乃伊じゃん!!」
どうやらゾンビですらなかった。まぁ、見ただけでわかってたんだけど。ゾンビじゃなくて木乃伊だということはわかったが、どうして帰り道で転がされているのかがわからない。
「おーい、そこの木乃伊。大丈夫?生きてる?霊柩車呼ぶ?」
「霊柩車呼ぶくらいならアヌビス呼んだ方が早くないか?」
「そういえば裏町通りの『叫喚』ってラーメン屋が死体を引き取ってくれるっていう都市伝説があったな。」
「なんで?煮込むの?スープの出汁にするの?それともチャーシュー?」
「いや、ただの噂だろ噂。ヤーさんが敵対する組織を煮込んだとか、死体の指紋を処分するのに一晩中煮込んでたとか色々あるけど、実際は店のイメージを悪くさせるために流す根も葉もない噂話さ。」
「「「へぇー」」」
「ま、まだ…生きてる……」
死体の処理方法についてあーだこーだと話し込んでると、死体本人から生存報告があった。だが、その声の持ち主にはどこかで聞き覚えがあった。
「あれ?お前…銀羽か?」
「はっ?」
「えっ?」
「銀羽?」
銀羽虚はうちのクラスメイトなのだが、彼はゾンビでなければフレッシュゴーレムなんかでもないし、木乃伊男ですらない。彼は人狼――狼男である。創作などでは月を見ると変身をすると謂われているが、実際にはそんなことはなく自在に変身することが可能なのである。ひとたび変身さえしてしまえば全身を覆う銀毛は如何なる刃や銃弾も跳ね返す鉄壁の鎧と化す。その腕力も相当なもので、彼が本気になれば鉄板を容易く引き裂く…のだが、なぜか包帯に簀巻きにされてしまっている。
「何してんの?」
「た、助けてくれ。なんでか知らんけど変身できない。」
「変身できないって…なんで?」
「ちょっと待ってろ……くっ、このっ!!」
包帯の端を見つけた夜湖が、勢いよく引っ張るのだが、銀羽が重くて動かせないようだ。剣持が加わることでようやく転がり始め、解放された銀羽の体を見て僕らは息を飲んだ。うつ伏せに倒れた彼の背中にはざっくりと刃物で斬られた傷跡があったのだ。すると、彼の体が一際大きくなったかと思うと傷口を塞いでもとどまり続けることなく膨れ続け、全身を黒い体毛が覆い包む。釣り上がり続けた口の端は頬にまで達しても尚、ザックリと広がり続け――彼は狼男へと変身を遂げた
「AAWOoooooooooooN!!あのクソ野郎ッッ!絶対に許さねぇ!!!」
魔力を籠めた凄まじい咆哮が空を貫く。それ程までに腹が立ったのか、いつも以上に目が血走り、流れ出る涎の量も多い気がする。ぐるぐるの簀巻きにされていたとは思えないほどの威圧と迫力である。
「おい、叫ぶだけ叫んだら少しは落ち着けよ。」
「―――嗚呼、すまん。正直助かった。」
「そうか、それは良かった。で、何があった?お前があんな簡単にやられるなんて有り得ないし、そもそも背中の切り傷…ただ事じゃないだろ。」
「それなんだが……。」
銀羽は通学は基本的に1人ぼっちである。彼は電車通学組なのだが、放課後になるとアルバイトがあるからと誰とも一緒に帰ろうとせず、そそくさと教室を後にする。今日もいつもと同じように教室を後にして人ごみが苦手なので裏道を通ろうとした時にそいつがやってきた。
最初に聞こえてきたのは自転車の車輪の音だった。自転車通学は珍しいものでもないし、それだけだったら特に気にもしないだろう。だが、車輪の音の他にもどこかリズミカルな音が聞こえてきた。
自転車を避けるために銀羽が横にずれたところ、背後で自転車が急停車をし、その時になってようやく気になった銀羽が背後を振り返ると、そこに全身を包帯でぐるぐる巻きにした人物が立っていた。
木乃伊男然りゾンビ然り、包帯で全身を覆った人間というのは珍しいわけではない。銀羽も木乃伊の|木枯が相手だろうと思っていた。すると、その男が突然自分に向かって「トンカラトンと言え!」と言ってきた。これには銀羽も訝しく思い、「は?なんで?」と返した。すると、突然背後から何者かによって背中を斬られ、変身をして反撃をしようにも気付いたら包帯で簀巻きにされており、何も抵抗することができなかったということだ。
そいつが去り際に口ずさんでいたのがトン、トン、トンカラ、トンという歌だった――これがことのあらましである。。
「怪人トンカラトンだ…」
「なにそれ?」
「昨日の稲ジュンのラジオでやってたんだよ、怪人トンカラトン。刀を背負って自転車に乗ってる包帯男で、日本刀に斬られたらそいつもトンカラトンになる呪いが掛かるんだって。」
「じゃあ、銀羽もトンカラトンになるのか?」
僕ら4人で銀羽を見つめる。僕らの視線を受けた銀羽は、変身を解いて小さく「ど、どうだ?トンカラトンになってるか?」なんて訪ねてくるほど不安そうだった。
「包帯を解くまで変身ができなかったのは呪いが効いてたから、ってことかな。恐らく包帯が呪具の一種で、人をトンカラトンに作り変える仕組みを持ってたんだろう。普通の一般人だったらトンカラトンになってたんだろうけど、狼男の力が働いたことによって半分狼男の半分トンカラトンっていう状態になってしまっていた、と。」
「可能性として一番高いのはそれかな。にしても変身前とは言え銀羽が不覚をとるって中々無いが…そんだけ強敵か。」
「あの時は目の前のトンカラトンに注目をしていて背後に気を回すのを疎かにしていたんだが―――もしかしたら、背後にもう1人トンカラトンがいたのかもしれないな。」
「面倒だが…他の生徒に被害が及ぶ前にトンカラトン退治と行くか。」
◇
トンカラトン。初出はとある子供向けテレビアニメであるらしい。全身に包帯を巻き、日本刀を持った姿で、「トン、トン、トンカラ、トン」と歌いながら自転車に乗って現れる。人に出会うといきなり「トンカラトンと言え」と言い、そのとおりにすれば去っていくが、言わないと刀で斬り殺されてトンカラトンの仲間入りをしてしまう。
回避する方法は大まかに2つ。素直にトンカラトンと言うか、トンカラトンの包帯を腕に巻くことで彼等の仲間であると誤認させて難を逃れるかである。
如何せん最近の都市伝説であり、しかもそれが創作であるのならば退治方法というのも確率はしていない。
「トンカラトンってそもそもどういう意味なんだ?」
「さぁ、さっぱりわからん。ラジオのリスナーからの投稿内容は、「私の友達の先輩が帰り道にトンカラトンに遭遇したんですけど、言われた通りにトンカラトンって言ったら見逃してくれました。」ってことだったしな。」
「そもそも……実際に出るなんていうのがなんか納得できないな。創作みたいなもんじゃないのか?」
「どうだろうな。風の噂や人を伝っての都市伝説なんてものは大概が創作だろうよ。けど、噂があるってことはそこには何かしらの事件性、元ネタがあるはずだしな。もしかしたらこういうことがあれば良いのに、面白いかも知れないのにっていう願望や展望もそこにはあるのかもしれない。」
「通り魔に関連する事件の派生がトンカラトンになったってことか。」
「あくまでも可能性だけどな」と最後に締め終えると、各自が指定のポジションに着いた。今回のトンカラトンを退治するに辺り、僕らが考えた作戦はトンカラトンを誘き出して騙し討ちを仕掛けるという非常にシンプルなものである。
囮役は僕こと露峯弘直が担当し、それ以外は各自が隠れ潜んで待ち構えている。何故僕が一人だけ囮になっているのかというと、トンカラトンは非常に注意深い怪人であり、人が大勢いると絶対に現れないという剣持からのアドバイスである。
今僕が佇んでいるのは、学校から程なく離れた人と自転車が辛うじて横並びになることが出来るほどのやや狭い路地である。周囲を民家の石壁で覆われ、目の前には電柱が一本。前後の通路の先は互いにT字路の突き当たりとなっており、その壁の裏側では1人を除いてそれぞれが待機をしている。
周囲に誰もいないことが確認され、各々の準備も完了したようなので、僕は大きく息を吸い込んだ。
「おーい、トンカラトーン!!トン、トン、トンカラトン!!」
全力でトンカラトンを呼び、更にはトンカラトンの歌を歌い始めた。思っているよりも恥ずかしいなこれ。周りに誰もいなくて本当に良かったと安堵をする。これで、早々に来るなら良いのだが、もしも来なかったら僕は『トンカラトンが来るまでトンカラトンと言い続けなければならない刑』である。
ラジオの情報によると、トンカラトンというのはトンカラトンが「トンカラトンと言え」と言う前に「トンカラトン」と言うと、「俺がトンカラトンと言えとは言ってない」と怒ってしまうらしい。つまり、トンカラトンを呼び出すにはトンカラトンを連呼してればそのうち出るんじゃね?という作戦である。
問題は、誰がトンカラトンと言って囮役になるかであるが、これは公平にジャンケンにしようということでジャンケンをした結果、僕がやる羽目になってしまった。
なぜ僕はあの時に石を出してしまったのだろうか――後悔に苛まれていると目の前の壁からカンペのような物が出てきた。『もう一回』と。こうなったら自棄である。
「トン、トン、トン、トン、トンカラトン!トーン、トン、トン、トンカラトン!トトトトン、トトトン、トンカラトン!」
妙なリズムを刻みながらトンカラトンを呼び続けた。頼むから来てくれよトンカラトン。これで来なかったら飛んだ道化である。
そんな僕の心配を他所に、背後からチリンチリンと自転車のベルの音が聞こえてきた。僕がすぐに振り返ると、そこには乗り手のいない自転車が1台。
来た!僕は咄嗟に身構えるがそんな僕の耳元で、湿ったような吐息と「俺がトンカラトンと言えと言ってない」というくぐもった男の低い声が聞こえてきた。
◇
「狐火!!」
先制攻撃を仕掛けたのは僕の真横で電柱に化けていた夜湖である。彼は変化を解くと、両手の平を『狐ン!狐ン!』と叩くことで火花を散らせて周囲に青白い火を発生させ、僕の真横のトンカラトン目掛けて放った。
トンカラトンは僕を突き飛ばしながら距離をとり、自転車の方へと一目散に逃げていく。離れたことで見えた全貌だが、身長は恐らく2mぐらい。全体的にガッシリとしており、背中には日本刀を斜めがけで背負っている。その全身は文字通り包帯でぐるぐる巻きにされており、木枯や継早みたいに包帯の上から制服を着ている生徒たちとは明らかに異なっている。木枯が制服を脱いだらあの状態になるのだろうけど、彼らからしたら「それは全裸で街を歩いているようなものだ」ということらしい。
「おっと、逃がすかよ!さっきは世話になったな!」
自転車を踏みつけて現れたのはこいつの被害者である銀羽である。彼は既に狼男に変身をしており、その姿は2mを超えるトンカラトンよりも遥かに巨大である。グルルと喉を鳴らして今にも襲いかかりそうな雰囲気だったが、彼の視線が僕と夜湖の背後に向けられた。
「露峯、夜湖、後ろだ!」
「「!?」」
銀羽の叫びに咄嗟に左右の壁際に背中を付けるようにその場から離れる僕と夜湖。僕たちがいた場所には日本刀が振り下ろされ、避けていなかったら2人とも斬られていたであろうと容易に想像がついた。目の前のトンカラトンに集中しすぎていて背後からの攻撃を失念していた。銀羽を斬り付けたトンカラトンは多分コイツだろう。
避けられたことで体勢を立て直そうと背後に飛び退いた2体目のトンカラトンの更に後ろから、黒い自転車が奴の背中に襲いかかった。ベルを鳴らそうとする気配もなく、ブレーキをかける素振りすら見せない全力疾走。トンカラトンの背中に車輪を叩きつけ、そのまま地面に押し倒して上を通過するそいつは、背後で銀羽とは逆方向に隠れていた剣持とその愛馬である。
哀れ、トンカラトンは悲鳴をあげることさえ出来ずに轢き倒されてしまい、その上を継早が伸し掛かって動きを封じる。継早は身長こそクラスの中では低い分類に属するのだが、その体重は群を抜いて重く、大の男が数人がかりで漸く持ち上がる程である。彼の開発者曰く、フランケンシュタインの筋力を再現しようとしたら、これ程までの重量になってしまったとのことだ。
2体目のトンカラトンは1体目とは異なりやや身長が低めである。包帯越しなので詳しい体型まではわからないが、1体目がパワー型であれば、恐らく此奴はスピード型かバランス型だったのかもしれない。
「銀羽、そっちは―――終わってるな。」
「当たり前だ。不覚さえ取らなければこんな雑魚に俺がやられるかよ。」
1体目のトンカラトンの足首を掴んで引きずりながら銀羽がやってくる。傷らしい傷も見当たらず、不意打ちで斬られた背中の傷も完全に塞がっているようだ。
「これで終わりか?思ってる以上に呆気なかったな。」
「個々の能力が弱いから不意打ちに頼っているってことじゃないのか?」
「なるほどね…そう言われたら納得するな。」
さて、残る問題はこいつらをどうするか――なのだが…
「とりあえず、剥いでみるか。」
「え?どういうこと?」
「いやさ、さっき聞いた話の中にトンカラトンに斬られた奴はトンカラトンになるってあったじゃん。実際にトンカラトンになりかけた奴もそこにいるわけだし。ってことは、こいつらももしかしたらトンカラトンになったうちの学校の生徒って可能性もあるわけだし…」
「なるほどね…嗚呼…そうとわかってればもう少し手加減したのに…」
おい、どんだけ強くやったんだよと皆の心配を他所に、銀羽が自分が倒したトンカラトンの包帯の端を掴むと、一気に引っ張ってあっという間に中身を剥き出しにさせる。
中の人?は案の定大きかったのであろう。残念なことに、中から出てきたのは巨大であったことを物語る骨だけであった。
継早が伸し掛っていたトンカラトンの方も同じように包帯を全て捲って中身を確認すると、こちらは中身がまだ残っており、相当やせ細っているがギリギリ生きているという状態だった。
とりあえず1人無事だったのだ。僕たちが安堵して気を緩んだのも束の間、包帯を握っていた銀羽と継早からそれぞれ悲鳴が上がった。
「うわぁ!」
「なんだよこれ!?」
見ると、彼らの手首にグルグルと勝手に包帯が巻きついていき、銀羽は変身をしてなんとか抵抗をしているが、継早はあっという間に全身を巻きつけられてしまった。
「おい、どうなってんだよこれ…」
「しくった…こいつら一反木綿とかと同じで包帯が本体なんだ。」
「おいおい、それじゃあ二人は…」
「いや、銀羽はまだ抵抗してる。夜湖、お前は急いで狐火で銀羽のトンカラトンを燃やしてくれ。剣持は俺と一緒に夜湖が来るまで継早を押さえ込むのを手伝ってくれ」
「継早を何とかするのが先じゃないのか?」
「最悪なのは狼男の状態でトンカラトンが出来上がることだからな。銀羽が解放されて4人がかりで取り押さえられるのがベストだと思った。」
「それじゃあ、少しの間耐えててくれよ。」
こうして、トンカラトンとの第2戦が火蓋を切るのであった。
「フレッシュ言うなし。まぁ、そうなんじゃないか?木乃伊も結構皮膚がぼろぼろになってることだし、ゾンビに至っては腐ったり爛れてるところとかあるじゃん。虫だって集ってるし。」
「あ、それに関しては虫キラーズ内蔵って聞いたけど…実際どうなの?」
「入ってないよ!なんで蚊とり線香みたいな役目になんなきゃいけないの!?あと、本人目の前にして腐ってるとか爛れてるとか言わないでくんない!?あと、俺一応ゾンビじゃなくてフレッシュゴーレムだから!フランケンシュタインの怪物だからね!?」
「すまん、|継早…フランケンシュタインは既に人造人間に使われてるんだ…」
「知ってるよ!!」
放課後になり、僕たちは教室を早々に後にすると各々の帰り道に向かって歩いている。面子は最近いつも連んでいる剣持、自称フレッシュゴーレムの継早 持照、野干の夜湖祀の4人である。
剣持は自転車の籠に鞄と首を収納させた状態で自転車を押して歩き、継早と夜湖と僕は鞄を片手にトボトボと歩いている。夕暮れが近づくにつれて俺たちと同じ学園の生徒たちが続々と外に出てくる。本当ならば飛べる種族もいるのだが、学園の校則で『生徒の通学には必ず徒歩ないし自転車、電車でなければならない』と決まっている。以前、どこぞの王族が馬車でやってこようとしたことが有り、その際には校門の脇でそびえ立っている巨人の石像が乗り手ごと叩き潰してしまったと問題になるほどの徹底ぶりである。
デュラハンは頭が取れているというだけでなく、『首なしの馬に跨っている』という伝承もあり、知り合ってすぐに馬はどこにいるのかを尋ねたら「え、片手が首で塞がってるのにどうやって馬に乗るのさ?」と言うことだった。デュラハンだからと言って必ずしも馬を持っているわけではなく、こいつにとって籠付き自転車のこいつこそが愛馬であるらしい。
「あれ?あそこにいるのって……継早か?」
「いや、ここにいるよ!?」
「なに?何見てんの?って……継早だ。」
「だからここにいるってば!!なに?なんで皆俺にしたがるの?ここにいる俺はなんなの!?」
「だって……あれ…」
僕たち3人が指差した先には包帯でぐるぐる巻にされた哀れな何かが転がっていた。パッと見ではただの継早にしか見えないのだが、継早じゃないとしたら…別のゾンビかな
「ただの|木乃伊じゃん!!」
どうやらゾンビですらなかった。まぁ、見ただけでわかってたんだけど。ゾンビじゃなくて木乃伊だということはわかったが、どうして帰り道で転がされているのかがわからない。
「おーい、そこの木乃伊。大丈夫?生きてる?霊柩車呼ぶ?」
「霊柩車呼ぶくらいならアヌビス呼んだ方が早くないか?」
「そういえば裏町通りの『叫喚』ってラーメン屋が死体を引き取ってくれるっていう都市伝説があったな。」
「なんで?煮込むの?スープの出汁にするの?それともチャーシュー?」
「いや、ただの噂だろ噂。ヤーさんが敵対する組織を煮込んだとか、死体の指紋を処分するのに一晩中煮込んでたとか色々あるけど、実際は店のイメージを悪くさせるために流す根も葉もない噂話さ。」
「「「へぇー」」」
「ま、まだ…生きてる……」
死体の処理方法についてあーだこーだと話し込んでると、死体本人から生存報告があった。だが、その声の持ち主にはどこかで聞き覚えがあった。
「あれ?お前…銀羽か?」
「はっ?」
「えっ?」
「銀羽?」
銀羽虚はうちのクラスメイトなのだが、彼はゾンビでなければフレッシュゴーレムなんかでもないし、木乃伊男ですらない。彼は人狼――狼男である。創作などでは月を見ると変身をすると謂われているが、実際にはそんなことはなく自在に変身することが可能なのである。ひとたび変身さえしてしまえば全身を覆う銀毛は如何なる刃や銃弾も跳ね返す鉄壁の鎧と化す。その腕力も相当なもので、彼が本気になれば鉄板を容易く引き裂く…のだが、なぜか包帯に簀巻きにされてしまっている。
「何してんの?」
「た、助けてくれ。なんでか知らんけど変身できない。」
「変身できないって…なんで?」
「ちょっと待ってろ……くっ、このっ!!」
包帯の端を見つけた夜湖が、勢いよく引っ張るのだが、銀羽が重くて動かせないようだ。剣持が加わることでようやく転がり始め、解放された銀羽の体を見て僕らは息を飲んだ。うつ伏せに倒れた彼の背中にはざっくりと刃物で斬られた傷跡があったのだ。すると、彼の体が一際大きくなったかと思うと傷口を塞いでもとどまり続けることなく膨れ続け、全身を黒い体毛が覆い包む。釣り上がり続けた口の端は頬にまで達しても尚、ザックリと広がり続け――彼は狼男へと変身を遂げた
「AAWOoooooooooooN!!あのクソ野郎ッッ!絶対に許さねぇ!!!」
魔力を籠めた凄まじい咆哮が空を貫く。それ程までに腹が立ったのか、いつも以上に目が血走り、流れ出る涎の量も多い気がする。ぐるぐるの簀巻きにされていたとは思えないほどの威圧と迫力である。
「おい、叫ぶだけ叫んだら少しは落ち着けよ。」
「―――嗚呼、すまん。正直助かった。」
「そうか、それは良かった。で、何があった?お前があんな簡単にやられるなんて有り得ないし、そもそも背中の切り傷…ただ事じゃないだろ。」
「それなんだが……。」
銀羽は通学は基本的に1人ぼっちである。彼は電車通学組なのだが、放課後になるとアルバイトがあるからと誰とも一緒に帰ろうとせず、そそくさと教室を後にする。今日もいつもと同じように教室を後にして人ごみが苦手なので裏道を通ろうとした時にそいつがやってきた。
最初に聞こえてきたのは自転車の車輪の音だった。自転車通学は珍しいものでもないし、それだけだったら特に気にもしないだろう。だが、車輪の音の他にもどこかリズミカルな音が聞こえてきた。
自転車を避けるために銀羽が横にずれたところ、背後で自転車が急停車をし、その時になってようやく気になった銀羽が背後を振り返ると、そこに全身を包帯でぐるぐる巻きにした人物が立っていた。
木乃伊男然りゾンビ然り、包帯で全身を覆った人間というのは珍しいわけではない。銀羽も木乃伊の|木枯が相手だろうと思っていた。すると、その男が突然自分に向かって「トンカラトンと言え!」と言ってきた。これには銀羽も訝しく思い、「は?なんで?」と返した。すると、突然背後から何者かによって背中を斬られ、変身をして反撃をしようにも気付いたら包帯で簀巻きにされており、何も抵抗することができなかったということだ。
そいつが去り際に口ずさんでいたのがトン、トン、トンカラ、トンという歌だった――これがことのあらましである。。
「怪人トンカラトンだ…」
「なにそれ?」
「昨日の稲ジュンのラジオでやってたんだよ、怪人トンカラトン。刀を背負って自転車に乗ってる包帯男で、日本刀に斬られたらそいつもトンカラトンになる呪いが掛かるんだって。」
「じゃあ、銀羽もトンカラトンになるのか?」
僕ら4人で銀羽を見つめる。僕らの視線を受けた銀羽は、変身を解いて小さく「ど、どうだ?トンカラトンになってるか?」なんて訪ねてくるほど不安そうだった。
「包帯を解くまで変身ができなかったのは呪いが効いてたから、ってことかな。恐らく包帯が呪具の一種で、人をトンカラトンに作り変える仕組みを持ってたんだろう。普通の一般人だったらトンカラトンになってたんだろうけど、狼男の力が働いたことによって半分狼男の半分トンカラトンっていう状態になってしまっていた、と。」
「可能性として一番高いのはそれかな。にしても変身前とは言え銀羽が不覚をとるって中々無いが…そんだけ強敵か。」
「あの時は目の前のトンカラトンに注目をしていて背後に気を回すのを疎かにしていたんだが―――もしかしたら、背後にもう1人トンカラトンがいたのかもしれないな。」
「面倒だが…他の生徒に被害が及ぶ前にトンカラトン退治と行くか。」
◇
トンカラトン。初出はとある子供向けテレビアニメであるらしい。全身に包帯を巻き、日本刀を持った姿で、「トン、トン、トンカラ、トン」と歌いながら自転車に乗って現れる。人に出会うといきなり「トンカラトンと言え」と言い、そのとおりにすれば去っていくが、言わないと刀で斬り殺されてトンカラトンの仲間入りをしてしまう。
回避する方法は大まかに2つ。素直にトンカラトンと言うか、トンカラトンの包帯を腕に巻くことで彼等の仲間であると誤認させて難を逃れるかである。
如何せん最近の都市伝説であり、しかもそれが創作であるのならば退治方法というのも確率はしていない。
「トンカラトンってそもそもどういう意味なんだ?」
「さぁ、さっぱりわからん。ラジオのリスナーからの投稿内容は、「私の友達の先輩が帰り道にトンカラトンに遭遇したんですけど、言われた通りにトンカラトンって言ったら見逃してくれました。」ってことだったしな。」
「そもそも……実際に出るなんていうのがなんか納得できないな。創作みたいなもんじゃないのか?」
「どうだろうな。風の噂や人を伝っての都市伝説なんてものは大概が創作だろうよ。けど、噂があるってことはそこには何かしらの事件性、元ネタがあるはずだしな。もしかしたらこういうことがあれば良いのに、面白いかも知れないのにっていう願望や展望もそこにはあるのかもしれない。」
「通り魔に関連する事件の派生がトンカラトンになったってことか。」
「あくまでも可能性だけどな」と最後に締め終えると、各自が指定のポジションに着いた。今回のトンカラトンを退治するに辺り、僕らが考えた作戦はトンカラトンを誘き出して騙し討ちを仕掛けるという非常にシンプルなものである。
囮役は僕こと露峯弘直が担当し、それ以外は各自が隠れ潜んで待ち構えている。何故僕が一人だけ囮になっているのかというと、トンカラトンは非常に注意深い怪人であり、人が大勢いると絶対に現れないという剣持からのアドバイスである。
今僕が佇んでいるのは、学校から程なく離れた人と自転車が辛うじて横並びになることが出来るほどのやや狭い路地である。周囲を民家の石壁で覆われ、目の前には電柱が一本。前後の通路の先は互いにT字路の突き当たりとなっており、その壁の裏側では1人を除いてそれぞれが待機をしている。
周囲に誰もいないことが確認され、各々の準備も完了したようなので、僕は大きく息を吸い込んだ。
「おーい、トンカラトーン!!トン、トン、トンカラトン!!」
全力でトンカラトンを呼び、更にはトンカラトンの歌を歌い始めた。思っているよりも恥ずかしいなこれ。周りに誰もいなくて本当に良かったと安堵をする。これで、早々に来るなら良いのだが、もしも来なかったら僕は『トンカラトンが来るまでトンカラトンと言い続けなければならない刑』である。
ラジオの情報によると、トンカラトンというのはトンカラトンが「トンカラトンと言え」と言う前に「トンカラトン」と言うと、「俺がトンカラトンと言えとは言ってない」と怒ってしまうらしい。つまり、トンカラトンを呼び出すにはトンカラトンを連呼してればそのうち出るんじゃね?という作戦である。
問題は、誰がトンカラトンと言って囮役になるかであるが、これは公平にジャンケンにしようということでジャンケンをした結果、僕がやる羽目になってしまった。
なぜ僕はあの時に石を出してしまったのだろうか――後悔に苛まれていると目の前の壁からカンペのような物が出てきた。『もう一回』と。こうなったら自棄である。
「トン、トン、トン、トン、トンカラトン!トーン、トン、トン、トンカラトン!トトトトン、トトトン、トンカラトン!」
妙なリズムを刻みながらトンカラトンを呼び続けた。頼むから来てくれよトンカラトン。これで来なかったら飛んだ道化である。
そんな僕の心配を他所に、背後からチリンチリンと自転車のベルの音が聞こえてきた。僕がすぐに振り返ると、そこには乗り手のいない自転車が1台。
来た!僕は咄嗟に身構えるがそんな僕の耳元で、湿ったような吐息と「俺がトンカラトンと言えと言ってない」というくぐもった男の低い声が聞こえてきた。
◇
「狐火!!」
先制攻撃を仕掛けたのは僕の真横で電柱に化けていた夜湖である。彼は変化を解くと、両手の平を『狐ン!狐ン!』と叩くことで火花を散らせて周囲に青白い火を発生させ、僕の真横のトンカラトン目掛けて放った。
トンカラトンは僕を突き飛ばしながら距離をとり、自転車の方へと一目散に逃げていく。離れたことで見えた全貌だが、身長は恐らく2mぐらい。全体的にガッシリとしており、背中には日本刀を斜めがけで背負っている。その全身は文字通り包帯でぐるぐる巻きにされており、木枯や継早みたいに包帯の上から制服を着ている生徒たちとは明らかに異なっている。木枯が制服を脱いだらあの状態になるのだろうけど、彼らからしたら「それは全裸で街を歩いているようなものだ」ということらしい。
「おっと、逃がすかよ!さっきは世話になったな!」
自転車を踏みつけて現れたのはこいつの被害者である銀羽である。彼は既に狼男に変身をしており、その姿は2mを超えるトンカラトンよりも遥かに巨大である。グルルと喉を鳴らして今にも襲いかかりそうな雰囲気だったが、彼の視線が僕と夜湖の背後に向けられた。
「露峯、夜湖、後ろだ!」
「「!?」」
銀羽の叫びに咄嗟に左右の壁際に背中を付けるようにその場から離れる僕と夜湖。僕たちがいた場所には日本刀が振り下ろされ、避けていなかったら2人とも斬られていたであろうと容易に想像がついた。目の前のトンカラトンに集中しすぎていて背後からの攻撃を失念していた。銀羽を斬り付けたトンカラトンは多分コイツだろう。
避けられたことで体勢を立て直そうと背後に飛び退いた2体目のトンカラトンの更に後ろから、黒い自転車が奴の背中に襲いかかった。ベルを鳴らそうとする気配もなく、ブレーキをかける素振りすら見せない全力疾走。トンカラトンの背中に車輪を叩きつけ、そのまま地面に押し倒して上を通過するそいつは、背後で銀羽とは逆方向に隠れていた剣持とその愛馬である。
哀れ、トンカラトンは悲鳴をあげることさえ出来ずに轢き倒されてしまい、その上を継早が伸し掛かって動きを封じる。継早は身長こそクラスの中では低い分類に属するのだが、その体重は群を抜いて重く、大の男が数人がかりで漸く持ち上がる程である。彼の開発者曰く、フランケンシュタインの筋力を再現しようとしたら、これ程までの重量になってしまったとのことだ。
2体目のトンカラトンは1体目とは異なりやや身長が低めである。包帯越しなので詳しい体型まではわからないが、1体目がパワー型であれば、恐らく此奴はスピード型かバランス型だったのかもしれない。
「銀羽、そっちは―――終わってるな。」
「当たり前だ。不覚さえ取らなければこんな雑魚に俺がやられるかよ。」
1体目のトンカラトンの足首を掴んで引きずりながら銀羽がやってくる。傷らしい傷も見当たらず、不意打ちで斬られた背中の傷も完全に塞がっているようだ。
「これで終わりか?思ってる以上に呆気なかったな。」
「個々の能力が弱いから不意打ちに頼っているってことじゃないのか?」
「なるほどね…そう言われたら納得するな。」
さて、残る問題はこいつらをどうするか――なのだが…
「とりあえず、剥いでみるか。」
「え?どういうこと?」
「いやさ、さっき聞いた話の中にトンカラトンに斬られた奴はトンカラトンになるってあったじゃん。実際にトンカラトンになりかけた奴もそこにいるわけだし。ってことは、こいつらももしかしたらトンカラトンになったうちの学校の生徒って可能性もあるわけだし…」
「なるほどね…嗚呼…そうとわかってればもう少し手加減したのに…」
おい、どんだけ強くやったんだよと皆の心配を他所に、銀羽が自分が倒したトンカラトンの包帯の端を掴むと、一気に引っ張ってあっという間に中身を剥き出しにさせる。
中の人?は案の定大きかったのであろう。残念なことに、中から出てきたのは巨大であったことを物語る骨だけであった。
継早が伸し掛っていたトンカラトンの方も同じように包帯を全て捲って中身を確認すると、こちらは中身がまだ残っており、相当やせ細っているがギリギリ生きているという状態だった。
とりあえず1人無事だったのだ。僕たちが安堵して気を緩んだのも束の間、包帯を握っていた銀羽と継早からそれぞれ悲鳴が上がった。
「うわぁ!」
「なんだよこれ!?」
見ると、彼らの手首にグルグルと勝手に包帯が巻きついていき、銀羽は変身をしてなんとか抵抗をしているが、継早はあっという間に全身を巻きつけられてしまった。
「おい、どうなってんだよこれ…」
「しくった…こいつら一反木綿とかと同じで包帯が本体なんだ。」
「おいおい、それじゃあ二人は…」
「いや、銀羽はまだ抵抗してる。夜湖、お前は急いで狐火で銀羽のトンカラトンを燃やしてくれ。剣持は俺と一緒に夜湖が来るまで継早を押さえ込むのを手伝ってくれ」
「継早を何とかするのが先じゃないのか?」
「最悪なのは狼男の状態でトンカラトンが出来上がることだからな。銀羽が解放されて4人がかりで取り押さえられるのがベストだと思った。」
「それじゃあ、少しの間耐えててくれよ。」
こうして、トンカラトンとの第2戦が火蓋を切るのであった。
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