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交通の都ヘパイドン
11.作戦
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◇
ヘパイドンで最も栄えている場所はどこか。工房が軒を連ねるタベスでもなければ、市場でサンタリアでもない。武器通りのジョスクや歓楽街であるウォッカでもない。
この街の交通の要となる巨大な環状交差点が存在する【ファパイケ】通りである。都から離れたこの場所が【交通の都】とまでされているのは、この環状交差点とこの世界では見慣れない、現代世界では非常に見慣れた【道路標識】の存在が大きい。
更に、このファパイケには長旅に疲れた者に軽食やサービスを提供するためのサービスエリア的休憩施設が存在し、日夜多くの馬車がこの通りに停車されている。
2人組の男が袋を担いでやってきたのはファパイケの馬を休めるための厩舎である。
裏路地に移動をしてから被っていた袋を取り払っている。緑朗太達が危惧した通り、2人を誘拐したのは他所のギルドメンバーである青髪中年と茶髪の若者であった。彼らは袋を馬の餌用に積まれた干し草の上に放り投げ、この後の予定について語り始める。
地面に放り投げられた衝撃を受け、袋の中で緑朗太の沈んでいた意識がゆっくりと覚醒していく。頭を殴られただけで気絶をするというのもレベルやステータスが物を言うこの世界で間抜けな話だが、彼のレベルは未だに低く、相手のレベルが上であったというのも大きかった。
嗅ぎなれない藁草の香りや獣臭さに、緑朗太はここが厩舎であることを知り、抱きしめているカティが大人しくなっているが、息はあることに安堵する。泣き疲れて眠ってしまったのか、その頬はベタついており、猿轡は流れ出た涎が染み渡っている。下手に動いたら起きたことがバレてしまう。そっと息を潜めて気絶をしたフリをし、男達の会話に耳を傾ける。
「この後やることはわかっているな?」
「ああ、このガキさえいればあいつも言うことを聞くに決まってる。」
「俺は先方に事が上手く運んだことを報告しないといかんからな。お前が上手くやれよ。」
「任せてくれよ。ところで男の方はどうする?」
「邪魔なだけだ。適当なところで殺せ。」
「ここで殺しちゃ駄目なのか?」
「目立つと後が面倒だ。外に連れて行ってモンスターの餌にでもすれば証拠は残らん。」
少なくともこの場で殺される心配がないとわかりつつも、自身の行動可能時間は思っているよりも少ないということに焦りを覚える。
やがて相談が終わった男達は、それぞれの目的を果たす為に厩舎を出て行く。緑朗太の持ち物を探り、刃物の類を持っていないということを知っているだけに、意識を取り戻しても逃げることはないと安心をしきっているようだった。
2人の足音が遠のいたところで緑朗太も急いで行動を開始する。自分とカティを縛り付けているのがただの縄であることを知り、カティの首の裏に手を回し、洋服と背中の間に手を入れる。殴られる直前、カティを抱き寄せた際にカティの背中に隠した短剣を取り出し、鞘から引き抜いて袋を内側から引き裂く。
袋の中でも感じた馬の臭いは袋がなくなった事で如実になり、緑朗太は鼻を摘みたくなる衝動を抑えながらカティの縄から切り解いていく。カティの体はどこも怪我らしい怪我をしておらず、唯一履いていたスカートの端の部分が切り裂かれている。誘拐の証拠として持っていったのだろう。
次いで自身の縄も切り裂いて手足を自由にすると、殴られたであろう頭部に触れる。体を起こした時に二日酔いの症状に似た頭痛や吐き気を催したのは、殴られた際に脳震盪を引き起こしたというのもあるようだ。
ファパイケにはあまり土地勘がないのだが、悠長なことも言っていられない。眠るカティを背中におぶさらせ、短剣を腰に差して厩舎の外に出ようと扉に手をかけるが…。
「鍵をかけていったか。まぁ当然だな。」
中から逃げるという考えはなくとも、誰かが来るかもしれないという考えはあったらしい。周囲を見回しても窓と呼べそうなのは天井付近に設置された小さな小窓ぐらいで、緑朗太は当然のことカティでも通れそうにない。
厩舎自体は万が一馬が逃げ出さない為にも丸太を積み重ねて造られており、生半可な攻撃ではびくともしないだろう。
出口はあくまでも扉のみ。緑朗太はカティを背中から降ろすと、短剣を引き抜いて鍵をよく観察する。試しに扉に向かってダメ元と言わんばかりに突進をするも、音はすれども開く気配は微塵も感じられない。内開きの扉のようで、内側からの衝撃には非常に強い作りになっているようだ。
閉じ込められた場所から逃げ出せないというのは予定の中でもあったが、問題はここを皆が見つけるのが先か、2人組のどちらかが帰ってくるのが先か。最悪は見つけてもらえずに2人が一緒に帰ってくることであるが、一撃で気絶をしたことを考えれば、緑朗太よりもレベルはかなり上だ。まともにやりあっても勝つ見込みはない。最善なのはここから逃げ出すことだ。となると、試せることを試すしかないだろう。
扉の前に立つ緑朗太は、握り締めた短剣を大きく振り上げ、扉の鍵目掛けて振り下ろす。片手剣スキルである[スラッシュ]が斬光を帯びて鍵へと襲いかかる――だが、放った直後に半ばにして短剣の動きがぴたりと止まる。鉄製の鍵を切断するには短剣では威力が不足していたのだ。
或いはもう一発でも打てれば話は別なのだが、今の緑朗太ではもう一度スラッシュを放つことができない。使用すればMPが枯渇をしてHPを大量に消費し、意識は強制的に気絶させられてしまう。
扉に開いた穴から鍵の半ばまで斬ることが出来ているので、もう一発打てば多分鍵は開く。
最悪の事態を回避する為、緑朗太は覚悟を決めるのであった。
◇
カティは目を覚ましたとき、目の前に見知ったお客さんの顔があって一安心するのだが、全く見たことのない薄暗い部屋に閉じ込められていることを知り、恐怖で身を竦めさせている。
緑朗太はそんなカティの両肩を抱き、しっかりと自分の目を見つめるように強く言う。
「いいかい、よく聞くんだ。今からあそこの扉を開けるから、カティちゃんは開いたら一目散に逃げるんだよ?後ろは絶対に振り返っちゃ駄目だ。開いたら兎に角外に出て鎧を着た人たちに助けを求めるんだ。」
「う、うん……お客さんは…どうするの…?」
「お客さんもカティちゃんの後でちゃんと逃げるよ。カティちゃんが先に逃げるんだ。」
「やだ…お客さんと一緒がいい…」
1人で逃げるように言っても一向に言う事を聞こうとしないカティだが、緑朗太は彼女が視線を逸らすたびに自分を見るように彼女の肩ではなく顔を掴み、自分の方を向くように固定させる。
「良い?お客さんは後で絶対にカティちゃんのお店に行くから。そして、2人でお爺さんにきちんと謝らないとね。」
「……なんで?」
「お爺さんはいつも危ないから、お客さんを呼ぶのはやっちゃ駄目って言ってただろ?こうして危ない目に遭っちゃったんだ…帰ってきちんとごめんなさいを言おうね。」
緑朗太が顔を離すと、俯きながらもカティの首がコクンと頷く。頑固と思われがちだが、彼女は素直な優しい子だ。きっと大丈夫だろう。確信を得ることが出来た緑朗太に迷いはない。短剣を構え、初撃と同様に大きく振りかぶり力を籠めて――二発目となる[スラッシュ]を全力で叩き込む。一瞬硬いものが遮るが、そんなものは関係ないとばかりに強引に振り下ろし、振り下ろし終わるや扉のノブを掴んで勢いよく開け放たせる。
「走れっ!!」
緑朗太の叫びと共にカティは全力で走り出す。
後ろを振り返るなと言われた。
絶対にお祖父ちゃんの工房に行くからと約束もした。
いつもお祖父ちゃんにやめろと言われている行為が、こんなにも危険だったことを初めて知り、巻き込んでしまったのに大丈夫と言われ――
カティの頭の中では短い間に起こった出来事が次から次へと蘇り、顔中を涙と鼻水と涎で汚しながら懸命に走り続けた。外の明かりが見え、一目散に外へと飛び出した。
鎧を着た人に助けを求めないと!!
彼女は約束を守るべく、流れる人波を掻き分けながら言われた特徴の人を探すのであった。
◇
2人組の1人、茶色い髪の若者ことラーミンはタベス通りを歩いていた。表向きは武器を頼みに行こうとしているどこにでもいる若者であり、たとえ自身が余所者であっても、周りの人間との違いなどあるわけでもない。誘拐という犯罪を犯していても、彼の中ではそれは犯罪ではなくただの仕事、とある貴族からの正式な依頼であるという認識でしかない。その依頼もギルドを通していないので単なる口約束でしかないのだが、彼は自身が正当に報酬を受け取るであろうことを疑ってはいないのだ。
そんな彼が目的地であるガウディの工房に入ろうとした折、彼は工房内がおかしいことに気付いた。外は向かいのタカシム工房からの熱気で汗を掻くほど暑いというのに、反対側のここは嘘のように冷え切っていた。実際に冷気を感じているように錯覚するほどの怒気、威圧、殺意――彼が声を発しようとする度に喉の奥は渇き、声にならない声だけが空気となって発せられるだけだ。
その気配の主、工房の主であるドワーフのガウディは隠れることもなく、工房内の中央にて入口を睨みつけながら鎮座している。
時間は数時間前に遡る。緑朗太がカティを連れて行き、工房を見張っていた2人組がそれを追いかけた直後、ガウディは緑朗太達を追いかけようとした。だが、それを止めた者達がいたのだ。ギルドの重鎮マーヴィスと、向かいの工房長であり自らの技術も授けたことのあるシムだ。
彼らはガウディを狙うものが今のままではずっとガウディを狙い続け、そのせいでカティに命の危険が生じるであろうことを訴えた。ガウディは先日の誘拐未遂事件のこともあり、いよいよこの街を出なければならないのかと思っていたのだが、彼らはそんなことはせず、諸悪の根源を捕まえることを約束した。
だが、その為にはカティを一度誘拐されなければならぬということを聞かされ、ガウディは猛反発をしたのだ。カティの為だと説得をするシムとマーヴィスを殴り飛ばし、無理やりにでも追いかけようとするガウディに、彼らは必死に頭を下げて頼み続けた。
カティに傷をつけようものなら自らの首を差し出すとまで言われ、ガウディも納得まではせずともようやく大人しくなったのだ。
そして、マーヴィス等の話ではここに交渉役が来るはずなので、相手をして欲しい。但し、決して傷つけないようにして欲しい――と。
僅か数時間のことではあるのだが、元々がせっかちであった彼には永遠のように長く感じた事であろう。その間にも追いかけようという思いは募り、もしも危ない目にあっていればどうしてくれようか、と脳裏に浮かぶ2人組、そしてここにはいない、今回の計画をしたという緑色の髪の星の流れ者である緑朗太。この3人のうちの1人であるラーミンがノコノコと顔を見せ、しかもしてやったりとした顔でこちらを見ていた。
気に入らない。これも全てあの星の流れ者の予想通りの展開通りであるということが。こいつが来たということは、予定通りカティはあの緑朗太と連れ去られたということになる。顔を見せるやガウディの全力の威嚇がラーミンに襲い掛かり、文字通り直接的に傷つけてはいないものの、気絶をせんばかりに恐慌状態に陥っている。
「なんじゃ…言いたい事があるならハッキリ言わんか…」
「カ……ヒュ……ィィ……」
ガンを飛ばされただけでパニック寸前であるのに、その上声を掛けられようものならギリギリであったラーミンの理性はあっさりと限界を超え、呼吸すらままならなくなり、口から泡を吹き出しながら自らの喉を掻き毟り、その場で悶え苦しんで失神するのであった。
確かにガウディがラーミンを傷つけることはなかったのだが、これは緑朗太が予想打にしていない出来事の1つであり、これによって事態は思いもよらぬ方向へと移行せざるを得ないことになる。
◇
相方が1人で勝手に苦しんでいる中、青い長髪の中年ことクラヂオはファパイケの路地裏にていつもの連絡員に話をつけているところであった。今回、ガウディの孫娘であるカティの誘拐に成功をし、例の件はガウディから良い返事を確約させる旨を伝え、自分達の、最悪は自分だけの身柄の保護を求めるというものである。
だが、この連絡係は少し面倒なことになったとクラヂオに伝えた。なんでも、ギルドにてこの街でも有数の実力者であるあの黄馬拓郎が、タカシム工房の依頼を受けたというものであった。内容は、治安悪化による誘拐の捜査であり、工房の職人たちを守るためにタベス周辺の徹底した警護ということである。
聴けば、昨夜遅くにタカシム工房からの依頼として提出されたらしく、それを拓郎が今朝方受注したという形である。受けるための条件が厳しく、受けるのが元々何人かに絞っていた依頼ではないのか?ということであった。
連絡係とは違い、クラヂオは逆に運が良かったと胸をなでおろしている。もしかすると、タベスで拓郎と鉢合わせになってしまい、その結果依頼を失敗するよりも、丸腰の相手と共に人通りの少ないウォッカで捕まえることができたのだ。話が上手すぎるとさえ思う。
だが、誘拐が発覚して検問などがしかれるとなると、数日以内はこの街から出ることが難しくなってしまう。町を出るのは極めて急がなければならない。連絡係の男から1枚の紙を受け取ったクラヂオはそれを懐にしまうと、2人を監禁した厩舎へと足早にで戻るのであった。
数分後、厩舎に戻った彼が目にした光景は想像だにしていないものであった。
確実に閉めたであろう扉が開いていた。これだけで既に異常事態が発生している。更に、扉を開けてなかに進むと、監禁をしていたはずの部屋の鍵が壊されており、そこの扉も開いているのだ。クラヂオはすぐにでも中を確認したい衝動に駆られるのだが、扉にかけた鍵が切断されているのを確認し、中に人が隠れているのではないかという危険性に気付く。
彼は落ちぶれこそすれどもギルドメンバーであって、決して誘拐のプロではない。このまま懐の紙を使って逃げ出すか、もしくは子供だけでもなんとか確実に連れて行くかという選択肢を突きつけられ、前にも後ろにも行けない状況に追い込まれてしまった。だが、中の確認は念のためした方がいいのかもしれない。そう思い、扉の影からそっと中を覗き込む。
薄暗い房の中で彼が目にしたのはズタズタに引き裂かれた人質を入れたずだ袋と、同様に切り裂かれた縛っていたはずの縄。扉付近にはいくつもの血痕が垂れ落ち、よくみればその血痕は奥に山積みにされた干し草へと続いている。
明らかに異常事態である。彼は己の武器である腰に差したロングソードを引き抜くと、ゆっくりと干し草へと音を立てずに歩み寄る。この状況を引き起こした奴はそこにいる。確信を持ってそこへと近付き――ロングソードを突き刺した。何度も何度も何度も何度も繰り返し突き刺し続け、もしも誰かが潜んでいたとしても、確実にその息の根を止めているだろう。だが、いくら突き刺そうとも手応えはなく、血の痕がダミーであったことに気付かされる。
「糞がぁぁぁぁぁっ!!」
虚仮にされた――普段はラーミンに冷静になるように苦言しているクラヂオであったが、彼の頭に瞬時に血の気が登り、この状況を作り出したであろう男への殺意に満たされる。
意味もなく我武者羅に滅茶苦茶に干し草を切り刻み、一通り暴れ終えた後に彼はいつまでもここに居る危険性に気付き、そそくさと厩舎を後にするのであった。
彼がいなくなった後、開かれた扉の蝶番がギィと錆びた音を立ててゆっくりと扉を閉める。ようやくいなくなってくれた敵に、緑朗太は部屋の中に開かれていた扉の裏側からその姿を現した。
MP切れの症状である気絶は生半可なことで耐えられるわけではない。彼は自らの腕に短剣を突き刺したことで激痛を与えて意識を保たせ、傷口から滴り落ちる血を使ってクラヂオを騙してみせた。
部屋の薄暗さと人質に逃げられるという不測の事態がクラヂオの緊張をより高め、普段は冷静な彼の視野を狭めた。一度は獲物を見つけたと思い、確信を持ったことで緊張の糸が切れてしまったのだろう。勝ったと思い攻撃をするも、そこには誰もおらず、激昂させることで更に冷静さを失わせ、単純すぎるこの隠れ場所に気付かれないように思考を誘導させることに成功せしめたのだ。
「あとは…上手くやってくれよ…」
ここからは出たとこ勝負の大博打である。緑朗太は彼の思惑とは僅かにズレが生じていることを知らず、この後の展開を任せた友人に思いを託して、今度こそ意識を手放すのであった。
◇
厩舎を後にしたクラヂオが向かった先は彼が隠れ蓑にしている宿泊施設の一室である。本来であればラーミンを待たなければならないのだが、このままではいつ自分の方に追ってが向かってくるかわからない。もしかしたら、今この瞬間にでもきているのかもしれない。言いようのない疑心暗鬼に陥ったクラヂオが荷物を纏め終えて部屋から飛び出す。
本来、ここでラーミンをクラヂオの下に戻らせてラーミンとクラヂオが互いに互を信じられなくなるという状況を作り出すのがベストであったのだが、生憎ラーミンが余りにも気が弱く、ガウディの威圧だけで気絶をしてしまったので、クラヂオは緑朗太等の予想を超えるスピードで宿を後にし、彼の依頼主の連絡員が用意をした蜥蜴馬車に乗り込む。
彼が渡された紙というのは蜥蜴馬車の乗車券だった。通常、時間指定等されている場合が殆どであるが、今回はいくらか金を積んだこともあり前倒しでの乗車が可能とさせた。あまりにも動きが迅速すぎるということもあって、街の検問が始まるよりも早くに彼の蜥蜴馬車の出発の時間が来てしまい、クラヂオは心の中で己の身の安全を確信するのであった。
そうして彼の乗る馬車は勢いよく町を飛び出した。彼の背後に座る紫色の髪の淑女が彼を見てほくそ笑んでいることを彼を含めた乗客は誰1人として気付いていなかった。
ヘパイドンで最も栄えている場所はどこか。工房が軒を連ねるタベスでもなければ、市場でサンタリアでもない。武器通りのジョスクや歓楽街であるウォッカでもない。
この街の交通の要となる巨大な環状交差点が存在する【ファパイケ】通りである。都から離れたこの場所が【交通の都】とまでされているのは、この環状交差点とこの世界では見慣れない、現代世界では非常に見慣れた【道路標識】の存在が大きい。
更に、このファパイケには長旅に疲れた者に軽食やサービスを提供するためのサービスエリア的休憩施設が存在し、日夜多くの馬車がこの通りに停車されている。
2人組の男が袋を担いでやってきたのはファパイケの馬を休めるための厩舎である。
裏路地に移動をしてから被っていた袋を取り払っている。緑朗太達が危惧した通り、2人を誘拐したのは他所のギルドメンバーである青髪中年と茶髪の若者であった。彼らは袋を馬の餌用に積まれた干し草の上に放り投げ、この後の予定について語り始める。
地面に放り投げられた衝撃を受け、袋の中で緑朗太の沈んでいた意識がゆっくりと覚醒していく。頭を殴られただけで気絶をするというのもレベルやステータスが物を言うこの世界で間抜けな話だが、彼のレベルは未だに低く、相手のレベルが上であったというのも大きかった。
嗅ぎなれない藁草の香りや獣臭さに、緑朗太はここが厩舎であることを知り、抱きしめているカティが大人しくなっているが、息はあることに安堵する。泣き疲れて眠ってしまったのか、その頬はベタついており、猿轡は流れ出た涎が染み渡っている。下手に動いたら起きたことがバレてしまう。そっと息を潜めて気絶をしたフリをし、男達の会話に耳を傾ける。
「この後やることはわかっているな?」
「ああ、このガキさえいればあいつも言うことを聞くに決まってる。」
「俺は先方に事が上手く運んだことを報告しないといかんからな。お前が上手くやれよ。」
「任せてくれよ。ところで男の方はどうする?」
「邪魔なだけだ。適当なところで殺せ。」
「ここで殺しちゃ駄目なのか?」
「目立つと後が面倒だ。外に連れて行ってモンスターの餌にでもすれば証拠は残らん。」
少なくともこの場で殺される心配がないとわかりつつも、自身の行動可能時間は思っているよりも少ないということに焦りを覚える。
やがて相談が終わった男達は、それぞれの目的を果たす為に厩舎を出て行く。緑朗太の持ち物を探り、刃物の類を持っていないということを知っているだけに、意識を取り戻しても逃げることはないと安心をしきっているようだった。
2人の足音が遠のいたところで緑朗太も急いで行動を開始する。自分とカティを縛り付けているのがただの縄であることを知り、カティの首の裏に手を回し、洋服と背中の間に手を入れる。殴られる直前、カティを抱き寄せた際にカティの背中に隠した短剣を取り出し、鞘から引き抜いて袋を内側から引き裂く。
袋の中でも感じた馬の臭いは袋がなくなった事で如実になり、緑朗太は鼻を摘みたくなる衝動を抑えながらカティの縄から切り解いていく。カティの体はどこも怪我らしい怪我をしておらず、唯一履いていたスカートの端の部分が切り裂かれている。誘拐の証拠として持っていったのだろう。
次いで自身の縄も切り裂いて手足を自由にすると、殴られたであろう頭部に触れる。体を起こした時に二日酔いの症状に似た頭痛や吐き気を催したのは、殴られた際に脳震盪を引き起こしたというのもあるようだ。
ファパイケにはあまり土地勘がないのだが、悠長なことも言っていられない。眠るカティを背中におぶさらせ、短剣を腰に差して厩舎の外に出ようと扉に手をかけるが…。
「鍵をかけていったか。まぁ当然だな。」
中から逃げるという考えはなくとも、誰かが来るかもしれないという考えはあったらしい。周囲を見回しても窓と呼べそうなのは天井付近に設置された小さな小窓ぐらいで、緑朗太は当然のことカティでも通れそうにない。
厩舎自体は万が一馬が逃げ出さない為にも丸太を積み重ねて造られており、生半可な攻撃ではびくともしないだろう。
出口はあくまでも扉のみ。緑朗太はカティを背中から降ろすと、短剣を引き抜いて鍵をよく観察する。試しに扉に向かってダメ元と言わんばかりに突進をするも、音はすれども開く気配は微塵も感じられない。内開きの扉のようで、内側からの衝撃には非常に強い作りになっているようだ。
閉じ込められた場所から逃げ出せないというのは予定の中でもあったが、問題はここを皆が見つけるのが先か、2人組のどちらかが帰ってくるのが先か。最悪は見つけてもらえずに2人が一緒に帰ってくることであるが、一撃で気絶をしたことを考えれば、緑朗太よりもレベルはかなり上だ。まともにやりあっても勝つ見込みはない。最善なのはここから逃げ出すことだ。となると、試せることを試すしかないだろう。
扉の前に立つ緑朗太は、握り締めた短剣を大きく振り上げ、扉の鍵目掛けて振り下ろす。片手剣スキルである[スラッシュ]が斬光を帯びて鍵へと襲いかかる――だが、放った直後に半ばにして短剣の動きがぴたりと止まる。鉄製の鍵を切断するには短剣では威力が不足していたのだ。
或いはもう一発でも打てれば話は別なのだが、今の緑朗太ではもう一度スラッシュを放つことができない。使用すればMPが枯渇をしてHPを大量に消費し、意識は強制的に気絶させられてしまう。
扉に開いた穴から鍵の半ばまで斬ることが出来ているので、もう一発打てば多分鍵は開く。
最悪の事態を回避する為、緑朗太は覚悟を決めるのであった。
◇
カティは目を覚ましたとき、目の前に見知ったお客さんの顔があって一安心するのだが、全く見たことのない薄暗い部屋に閉じ込められていることを知り、恐怖で身を竦めさせている。
緑朗太はそんなカティの両肩を抱き、しっかりと自分の目を見つめるように強く言う。
「いいかい、よく聞くんだ。今からあそこの扉を開けるから、カティちゃんは開いたら一目散に逃げるんだよ?後ろは絶対に振り返っちゃ駄目だ。開いたら兎に角外に出て鎧を着た人たちに助けを求めるんだ。」
「う、うん……お客さんは…どうするの…?」
「お客さんもカティちゃんの後でちゃんと逃げるよ。カティちゃんが先に逃げるんだ。」
「やだ…お客さんと一緒がいい…」
1人で逃げるように言っても一向に言う事を聞こうとしないカティだが、緑朗太は彼女が視線を逸らすたびに自分を見るように彼女の肩ではなく顔を掴み、自分の方を向くように固定させる。
「良い?お客さんは後で絶対にカティちゃんのお店に行くから。そして、2人でお爺さんにきちんと謝らないとね。」
「……なんで?」
「お爺さんはいつも危ないから、お客さんを呼ぶのはやっちゃ駄目って言ってただろ?こうして危ない目に遭っちゃったんだ…帰ってきちんとごめんなさいを言おうね。」
緑朗太が顔を離すと、俯きながらもカティの首がコクンと頷く。頑固と思われがちだが、彼女は素直な優しい子だ。きっと大丈夫だろう。確信を得ることが出来た緑朗太に迷いはない。短剣を構え、初撃と同様に大きく振りかぶり力を籠めて――二発目となる[スラッシュ]を全力で叩き込む。一瞬硬いものが遮るが、そんなものは関係ないとばかりに強引に振り下ろし、振り下ろし終わるや扉のノブを掴んで勢いよく開け放たせる。
「走れっ!!」
緑朗太の叫びと共にカティは全力で走り出す。
後ろを振り返るなと言われた。
絶対にお祖父ちゃんの工房に行くからと約束もした。
いつもお祖父ちゃんにやめろと言われている行為が、こんなにも危険だったことを初めて知り、巻き込んでしまったのに大丈夫と言われ――
カティの頭の中では短い間に起こった出来事が次から次へと蘇り、顔中を涙と鼻水と涎で汚しながら懸命に走り続けた。外の明かりが見え、一目散に外へと飛び出した。
鎧を着た人に助けを求めないと!!
彼女は約束を守るべく、流れる人波を掻き分けながら言われた特徴の人を探すのであった。
◇
2人組の1人、茶色い髪の若者ことラーミンはタベス通りを歩いていた。表向きは武器を頼みに行こうとしているどこにでもいる若者であり、たとえ自身が余所者であっても、周りの人間との違いなどあるわけでもない。誘拐という犯罪を犯していても、彼の中ではそれは犯罪ではなくただの仕事、とある貴族からの正式な依頼であるという認識でしかない。その依頼もギルドを通していないので単なる口約束でしかないのだが、彼は自身が正当に報酬を受け取るであろうことを疑ってはいないのだ。
そんな彼が目的地であるガウディの工房に入ろうとした折、彼は工房内がおかしいことに気付いた。外は向かいのタカシム工房からの熱気で汗を掻くほど暑いというのに、反対側のここは嘘のように冷え切っていた。実際に冷気を感じているように錯覚するほどの怒気、威圧、殺意――彼が声を発しようとする度に喉の奥は渇き、声にならない声だけが空気となって発せられるだけだ。
その気配の主、工房の主であるドワーフのガウディは隠れることもなく、工房内の中央にて入口を睨みつけながら鎮座している。
時間は数時間前に遡る。緑朗太がカティを連れて行き、工房を見張っていた2人組がそれを追いかけた直後、ガウディは緑朗太達を追いかけようとした。だが、それを止めた者達がいたのだ。ギルドの重鎮マーヴィスと、向かいの工房長であり自らの技術も授けたことのあるシムだ。
彼らはガウディを狙うものが今のままではずっとガウディを狙い続け、そのせいでカティに命の危険が生じるであろうことを訴えた。ガウディは先日の誘拐未遂事件のこともあり、いよいよこの街を出なければならないのかと思っていたのだが、彼らはそんなことはせず、諸悪の根源を捕まえることを約束した。
だが、その為にはカティを一度誘拐されなければならぬということを聞かされ、ガウディは猛反発をしたのだ。カティの為だと説得をするシムとマーヴィスを殴り飛ばし、無理やりにでも追いかけようとするガウディに、彼らは必死に頭を下げて頼み続けた。
カティに傷をつけようものなら自らの首を差し出すとまで言われ、ガウディも納得まではせずともようやく大人しくなったのだ。
そして、マーヴィス等の話ではここに交渉役が来るはずなので、相手をして欲しい。但し、決して傷つけないようにして欲しい――と。
僅か数時間のことではあるのだが、元々がせっかちであった彼には永遠のように長く感じた事であろう。その間にも追いかけようという思いは募り、もしも危ない目にあっていればどうしてくれようか、と脳裏に浮かぶ2人組、そしてここにはいない、今回の計画をしたという緑色の髪の星の流れ者である緑朗太。この3人のうちの1人であるラーミンがノコノコと顔を見せ、しかもしてやったりとした顔でこちらを見ていた。
気に入らない。これも全てあの星の流れ者の予想通りの展開通りであるということが。こいつが来たということは、予定通りカティはあの緑朗太と連れ去られたということになる。顔を見せるやガウディの全力の威嚇がラーミンに襲い掛かり、文字通り直接的に傷つけてはいないものの、気絶をせんばかりに恐慌状態に陥っている。
「なんじゃ…言いたい事があるならハッキリ言わんか…」
「カ……ヒュ……ィィ……」
ガンを飛ばされただけでパニック寸前であるのに、その上声を掛けられようものならギリギリであったラーミンの理性はあっさりと限界を超え、呼吸すらままならなくなり、口から泡を吹き出しながら自らの喉を掻き毟り、その場で悶え苦しんで失神するのであった。
確かにガウディがラーミンを傷つけることはなかったのだが、これは緑朗太が予想打にしていない出来事の1つであり、これによって事態は思いもよらぬ方向へと移行せざるを得ないことになる。
◇
相方が1人で勝手に苦しんでいる中、青い長髪の中年ことクラヂオはファパイケの路地裏にていつもの連絡員に話をつけているところであった。今回、ガウディの孫娘であるカティの誘拐に成功をし、例の件はガウディから良い返事を確約させる旨を伝え、自分達の、最悪は自分だけの身柄の保護を求めるというものである。
だが、この連絡係は少し面倒なことになったとクラヂオに伝えた。なんでも、ギルドにてこの街でも有数の実力者であるあの黄馬拓郎が、タカシム工房の依頼を受けたというものであった。内容は、治安悪化による誘拐の捜査であり、工房の職人たちを守るためにタベス周辺の徹底した警護ということである。
聴けば、昨夜遅くにタカシム工房からの依頼として提出されたらしく、それを拓郎が今朝方受注したという形である。受けるための条件が厳しく、受けるのが元々何人かに絞っていた依頼ではないのか?ということであった。
連絡係とは違い、クラヂオは逆に運が良かったと胸をなでおろしている。もしかすると、タベスで拓郎と鉢合わせになってしまい、その結果依頼を失敗するよりも、丸腰の相手と共に人通りの少ないウォッカで捕まえることができたのだ。話が上手すぎるとさえ思う。
だが、誘拐が発覚して検問などがしかれるとなると、数日以内はこの街から出ることが難しくなってしまう。町を出るのは極めて急がなければならない。連絡係の男から1枚の紙を受け取ったクラヂオはそれを懐にしまうと、2人を監禁した厩舎へと足早にで戻るのであった。
数分後、厩舎に戻った彼が目にした光景は想像だにしていないものであった。
確実に閉めたであろう扉が開いていた。これだけで既に異常事態が発生している。更に、扉を開けてなかに進むと、監禁をしていたはずの部屋の鍵が壊されており、そこの扉も開いているのだ。クラヂオはすぐにでも中を確認したい衝動に駆られるのだが、扉にかけた鍵が切断されているのを確認し、中に人が隠れているのではないかという危険性に気付く。
彼は落ちぶれこそすれどもギルドメンバーであって、決して誘拐のプロではない。このまま懐の紙を使って逃げ出すか、もしくは子供だけでもなんとか確実に連れて行くかという選択肢を突きつけられ、前にも後ろにも行けない状況に追い込まれてしまった。だが、中の確認は念のためした方がいいのかもしれない。そう思い、扉の影からそっと中を覗き込む。
薄暗い房の中で彼が目にしたのはズタズタに引き裂かれた人質を入れたずだ袋と、同様に切り裂かれた縛っていたはずの縄。扉付近にはいくつもの血痕が垂れ落ち、よくみればその血痕は奥に山積みにされた干し草へと続いている。
明らかに異常事態である。彼は己の武器である腰に差したロングソードを引き抜くと、ゆっくりと干し草へと音を立てずに歩み寄る。この状況を引き起こした奴はそこにいる。確信を持ってそこへと近付き――ロングソードを突き刺した。何度も何度も何度も何度も繰り返し突き刺し続け、もしも誰かが潜んでいたとしても、確実にその息の根を止めているだろう。だが、いくら突き刺そうとも手応えはなく、血の痕がダミーであったことに気付かされる。
「糞がぁぁぁぁぁっ!!」
虚仮にされた――普段はラーミンに冷静になるように苦言しているクラヂオであったが、彼の頭に瞬時に血の気が登り、この状況を作り出したであろう男への殺意に満たされる。
意味もなく我武者羅に滅茶苦茶に干し草を切り刻み、一通り暴れ終えた後に彼はいつまでもここに居る危険性に気付き、そそくさと厩舎を後にするのであった。
彼がいなくなった後、開かれた扉の蝶番がギィと錆びた音を立ててゆっくりと扉を閉める。ようやくいなくなってくれた敵に、緑朗太は部屋の中に開かれていた扉の裏側からその姿を現した。
MP切れの症状である気絶は生半可なことで耐えられるわけではない。彼は自らの腕に短剣を突き刺したことで激痛を与えて意識を保たせ、傷口から滴り落ちる血を使ってクラヂオを騙してみせた。
部屋の薄暗さと人質に逃げられるという不測の事態がクラヂオの緊張をより高め、普段は冷静な彼の視野を狭めた。一度は獲物を見つけたと思い、確信を持ったことで緊張の糸が切れてしまったのだろう。勝ったと思い攻撃をするも、そこには誰もおらず、激昂させることで更に冷静さを失わせ、単純すぎるこの隠れ場所に気付かれないように思考を誘導させることに成功せしめたのだ。
「あとは…上手くやってくれよ…」
ここからは出たとこ勝負の大博打である。緑朗太は彼の思惑とは僅かにズレが生じていることを知らず、この後の展開を任せた友人に思いを託して、今度こそ意識を手放すのであった。
◇
厩舎を後にしたクラヂオが向かった先は彼が隠れ蓑にしている宿泊施設の一室である。本来であればラーミンを待たなければならないのだが、このままではいつ自分の方に追ってが向かってくるかわからない。もしかしたら、今この瞬間にでもきているのかもしれない。言いようのない疑心暗鬼に陥ったクラヂオが荷物を纏め終えて部屋から飛び出す。
本来、ここでラーミンをクラヂオの下に戻らせてラーミンとクラヂオが互いに互を信じられなくなるという状況を作り出すのがベストであったのだが、生憎ラーミンが余りにも気が弱く、ガウディの威圧だけで気絶をしてしまったので、クラヂオは緑朗太等の予想を超えるスピードで宿を後にし、彼の依頼主の連絡員が用意をした蜥蜴馬車に乗り込む。
彼が渡された紙というのは蜥蜴馬車の乗車券だった。通常、時間指定等されている場合が殆どであるが、今回はいくらか金を積んだこともあり前倒しでの乗車が可能とさせた。あまりにも動きが迅速すぎるということもあって、街の検問が始まるよりも早くに彼の蜥蜴馬車の出発の時間が来てしまい、クラヂオは心の中で己の身の安全を確信するのであった。
そうして彼の乗る馬車は勢いよく町を飛び出した。彼の背後に座る紫色の髪の淑女が彼を見てほくそ笑んでいることを彼を含めた乗客は誰1人として気付いていなかった。
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