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本編
71.不安要素
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ある組織──教室に戻る道中話を聞く。朝のもう朝礼が近い時間だからか廊下を歩く人はいない。禅羽さんは前置き通りに簡潔にそのある組織が小豆親子の脱獄を手助けした、という事を話した。
その組織に名前は無いという。裏社会を取り締まるだとかそんなだいそれた事をして勢力を伸ばしている訳ではないらしい。だからと言って小豆大福のように人身売買、薬物の取引、そんな真っ黒な事業を推奨している訳でもない。だから何故勢力が伸びているのかが疑問で、以前から楼透はその組織について調べていたと言う。今回楼透の体調が万全を期すまでは禅羽さんが引き継いだと言うが、つまりこの組織は俺に害を成すもの?
「不思議な事に、律花様に害を為した···又はその予備軍の殆どの家系がその組織と関係していたようなのです。しかし首謀者も、その規模も不明。私が引き継いだものの新たに得た情報はその組織の人間と見られる者が小豆親子と接触した···と言う不完全なもので」
俺に害を為した、又はその予備軍と禅羽さんが呼んだ人達は俺が知らない案件も含めて計二十四人ほどいるらしい。まさか、俺に挨拶しただけで害を為した事になってたりしないよな?と思うが、そこはある程度の基準で判断していたようだ。「ご希望であれば資料をお渡ししますか?」と禅羽さん、勿論お願いした。今までは俺が気づかない内に処理されてたから気にしてなかったけれどそんなにストーカーがいたなんて知ったら気持ちは良くないが何をしようとした奴なのか知っておきたい。
禅羽さんは引き続きこの件について調べていくと言う。楼透の能力が安定するまでは禅羽さんが、楼透が完全に復活した後まで調査を終えられなければ二人で追っていくかもしれない、という事だった。そしてその組織と、俺の歴代ストーカー達の殆どに浅く細いとは言えど繋がりがあった以上は俺が狙われる可能性も無いと言いきれない。勿論ただの偶然と言うだけ、と言う可能性もあるが小豆親子の脱獄を手助けしたと言うのは厳島領で起こった魔人化の件、そこに現れた魔人化の件に関連していると見られる小豆親子···これらの要素から摘発に動いた美園、厳島のどちらかを狙う又は敵視しているとも考えられる。
これからは移動教室や登下校は必ず楼透か禅羽さんが一緒にいてくれるようだ。確かにそこまで聞くと俺も怖くなってくる。護衛任務だとは分かっているが守ってくれる人が居ることが素直に嬉しい。
いつの間にか教室の前に着いていた。扉を開けると直ぐ目の前に千秋がいて丁度俺を迎えに行こうと思っていた、と。俺は禅羽さんにお礼を言ってから教室に入った。既にクラスの生徒は皆席に座っていて、朝礼の鐘がなる一分前だった。
···ある組織、か。
繋がりそうで繋がらない。禅羽さんの口からその言葉が出た瞬間、何か思い出しそうだったんだけど···。アカソマメインルートで出てきたのか···?千秋の顔を見ると、どうした?と言うように首を傾げる。
名前のない、組織······メインルートで何か──。
まるで頭の中に変な虫がいて、思い出した記憶を次々にその虫によって食われていく···そんな感じ。ツキンッと痛む顬、駄目だ···思い出せない。
「···律花大丈夫?···なんか顔色悪いよ?」
「···へ?」
俺を心配する千秋の顔が見えた。
その瞬間、俺はまたしても目の前が暗転する。最後の記憶は俺の意識を確認する千秋の声と、突然倒れた俺に驚く周囲の声だった。
次に目を開けたら保健室のベッドの上。
······いったい俺の体はどうなってるんだ。確かに昔から体は強い方じゃなかった、よく熱を出したしすぐ遊び疲れて寝てしまう···体も強くなれば体力も無かった。
それでも急に気絶した事なんて初めてだ。
一、二時間程眠っていたらしい···目が覚めてから、保健医の先生が熱を測りながら問診票を書くのに質問された。疲れが出たんじゃないか、まだ疲れが取れてないんだろうとの事だったけれど正直心的には滅茶苦茶元気だ。
「律花!」
「···兄貴」
「良かった···倒れたって聞いて」
休み時間に兄貴が来てくれた。···授業の終わりの金がなったのさっきだぞ?数秒前だ。どうやら外で課外授業だったらしく、課題を一番に終えた兄は少し早く学園に戻って来れたということらしい。
案の定、凄く心配された。早退するかと聞かれたけれどあまり休み過ぎては授業が遅れてついていけなくなってしまうかもしれないからそれは辞退した。熟睡出来て気分的には全快なんだが?
「律花······燈夜さん···」
「千秋」
カーテンに隠れて千秋が見ていた。おずおずと出てくると、ベッドの端っこに座った。まぁ面会者用の椅子は兄貴が座ってるから仕方が無いんだけど、兄貴はその様子を見て少しムッとしたような顔をした。俺と目が合うと直ぐに笑顔になったけど。
「······白虎祭、やっぱり辞めよう?」
「···千秋?」
静かに座っていた千秋が意を決したようにそう言った。
あれだけ一緒に出ようと言っていたのに···。
「僕、律花の負担になりたくないよ!···僕のワガママで律花は一緒に白虎祭出てくれる···でも律花が辛いのは嫌だよ。僕はいつも律花に迷惑かけてばっかだ···ごめんなさい、僕ワガママ言わないから、律花を苦しめたくないから、嫌いにならないで、······だから白虎祭も一緒じゃなくていい!」
そう俺の方へ身を乗り出して言った千秋の大きな瞳は揺れ、ぽろぽろと大粒の雫を落とした。握りしめた両手が震えている。ベッドには千秋が落とした涙の後が疎らに散り、未だに大きくなり続けていた。兄貴は何も言わないで腕を組んで俺達の様子を見守っている。
······心配、かけちゃったな。
「千秋、ごめん···」
「確かに一緒に白虎祭頑張ろうって言った。けど、それは無理して言ったわけじゃないよ。···俺が弱くてごめんな、心配かけてごめん。でもこれだけは信じて、俺は弱いけど俺が千秋達と白虎祭出たかったんだ」
勿論感想文を書くのが面倒臭いと言う理由もあって、元から白虎祭には出る予定だった。まぁ、健康上の理由で感想文も免除して貰えるようなら不参加も検討したけども世の中そんなに甘くない。千秋や楼透には二人で三人分戦って貰うようなもんだけど、俺の間違えた選択で一緒にいられなかった期間がある分···思い出を作りたかったんだ。
千秋はワガママなんかじゃない。
「···確かに俺が一緒にいたら足でまといだよな···」
「違っ」
「でも俺は白虎祭出る予定、感想文書くの嫌だし。そうなると千秋がいないのに楼透と一緒に団体なんて不公平だし、楼透には悪いけど一人で参加だから···確実にぼろ負けだな!」
「···律花?」
「ま、もし団体一緒に出ないか誘われたら一人じゃ無くなるかも」
何をしたいのか兄貴には分かったんだろう。横でクスクス笑い声が聞こえる。本人は本人なりに耐えてるんだろうけど完全に目が笑ってるわ。
千秋は状況を理解出来ていないらしく俺と兄貴を交互に見る。
「···千秋、君のしたことは律花の兄としては許せない。けれど、弟が望んでるんだ···それに律花の親友だった君の事を僕は大目に見るけれど?」
「···燈夜さん」
恐らく兄貴にはまだ千秋が俺を襲った、という話が漏れていない。あの場にいたのは俺と千秋と楼透と会長···俺と千秋が兄貴に報告しないのは分かるだろうが、楼透も会長も兄貴へ言っていないようだ。···兄貴が知ったらヤバいかもな。
そう思いつつ千秋の方へ向く。
そわそわしながら俺の顔をチラチラと見てるから「あーあー、こうしてる間に俺が千秋達と団体に出ないって噂が広まって──」って言ったら千秋は慌てて「ダメ!!」と言って距離を縮めてきた。
「ダメ!!他の人と出ちゃヤダ!律花が辛いなら、白虎祭出ない方がいいかもって思っただけなんだ···律花が目の前で倒れた時、凄く心配して···」
千秋が本心から俺を心配してくれてることは分かる。そりゃ、目の前で人が倒れたら心配するし今後無理させないようにって考えちゃうのは仕方がないと思う。心配かけたのは俺が悪いし、倒れないようにって思うんだけど何で倒れたのか俺自身が分かってない。その点については念の為近々病院には行こうと思う。でもそうじゃなくて、今欲しい言葉は──。
「それで?」
「え······っと。······ぼ、僕たちで団体戦出よう!」
「···千秋は無理してない?俺弱いから」
「無理してない!律花がいい!律花と、楼透と一緒がいい!」
うん、正解。俺も不安になって無理させてないか聞いたが、これだけ前のめりにめっちゃ必至に俺達と団体戦に出たいとアピールが始まったら疑う余地なんてない。
「頼りないけど、改めて宜しくな」
「うん!僕も、頑張るよ!」
急に倒れたことは不安要素ではある。それでも千秋の意志を再確認出来たことは喜ばしい。監禁事件を未然に防げたことで千秋も反省しているのか前回よりも良い方向へ向かっているように思う。
その後、授業に出たい早退したくないと言う俺を無理矢理早退させ兄貴は病院へ連れていった。元々病院へは行く予定だったけど、兄貴の都合がつかないと急遽の事だった。
「急に倒れたんやって?災難やったなぁ、倒れた時の打撲が少々と···まぁ特に脳波にも異常は見られんし暫くは状態観察やな。一応頭痛がしてたんやろ?頭痛薬は処方しとくわ」
病院へ行ったら満星さん···満星家当主が院長先生だった。今までこの病院はかかりつけだったけど初めてみる。それを言うとどうやら昨日からこの病院に移動してきたらしい。
ローガ州ディアルタリカ中央部の近くにあるこの病院。家からもあまり遠くは無い、だいたい馬車で三十分くらいになる。
「あぁ、そうや。燈夜君も律花君も気ぃつけて欲しいんやけど、最近ここら近辺は不審者が多いんやって。被害者の中には特殊魔法式の核を壊されたっちゅう人もおってな、美園のフェニックスはかなり希少種やろ?守護獣召喚の魔法式を使う時は気をつけるんやで、ウチも慧によう言い聞かせたわ」
その組織に名前は無いという。裏社会を取り締まるだとかそんなだいそれた事をして勢力を伸ばしている訳ではないらしい。だからと言って小豆大福のように人身売買、薬物の取引、そんな真っ黒な事業を推奨している訳でもない。だから何故勢力が伸びているのかが疑問で、以前から楼透はその組織について調べていたと言う。今回楼透の体調が万全を期すまでは禅羽さんが引き継いだと言うが、つまりこの組織は俺に害を成すもの?
「不思議な事に、律花様に害を為した···又はその予備軍の殆どの家系がその組織と関係していたようなのです。しかし首謀者も、その規模も不明。私が引き継いだものの新たに得た情報はその組織の人間と見られる者が小豆親子と接触した···と言う不完全なもので」
俺に害を為した、又はその予備軍と禅羽さんが呼んだ人達は俺が知らない案件も含めて計二十四人ほどいるらしい。まさか、俺に挨拶しただけで害を為した事になってたりしないよな?と思うが、そこはある程度の基準で判断していたようだ。「ご希望であれば資料をお渡ししますか?」と禅羽さん、勿論お願いした。今までは俺が気づかない内に処理されてたから気にしてなかったけれどそんなにストーカーがいたなんて知ったら気持ちは良くないが何をしようとした奴なのか知っておきたい。
禅羽さんは引き続きこの件について調べていくと言う。楼透の能力が安定するまでは禅羽さんが、楼透が完全に復活した後まで調査を終えられなければ二人で追っていくかもしれない、という事だった。そしてその組織と、俺の歴代ストーカー達の殆どに浅く細いとは言えど繋がりがあった以上は俺が狙われる可能性も無いと言いきれない。勿論ただの偶然と言うだけ、と言う可能性もあるが小豆親子の脱獄を手助けしたと言うのは厳島領で起こった魔人化の件、そこに現れた魔人化の件に関連していると見られる小豆親子···これらの要素から摘発に動いた美園、厳島のどちらかを狙う又は敵視しているとも考えられる。
これからは移動教室や登下校は必ず楼透か禅羽さんが一緒にいてくれるようだ。確かにそこまで聞くと俺も怖くなってくる。護衛任務だとは分かっているが守ってくれる人が居ることが素直に嬉しい。
いつの間にか教室の前に着いていた。扉を開けると直ぐ目の前に千秋がいて丁度俺を迎えに行こうと思っていた、と。俺は禅羽さんにお礼を言ってから教室に入った。既にクラスの生徒は皆席に座っていて、朝礼の鐘がなる一分前だった。
···ある組織、か。
繋がりそうで繋がらない。禅羽さんの口からその言葉が出た瞬間、何か思い出しそうだったんだけど···。アカソマメインルートで出てきたのか···?千秋の顔を見ると、どうした?と言うように首を傾げる。
名前のない、組織······メインルートで何か──。
まるで頭の中に変な虫がいて、思い出した記憶を次々にその虫によって食われていく···そんな感じ。ツキンッと痛む顬、駄目だ···思い出せない。
「···律花大丈夫?···なんか顔色悪いよ?」
「···へ?」
俺を心配する千秋の顔が見えた。
その瞬間、俺はまたしても目の前が暗転する。最後の記憶は俺の意識を確認する千秋の声と、突然倒れた俺に驚く周囲の声だった。
次に目を開けたら保健室のベッドの上。
······いったい俺の体はどうなってるんだ。確かに昔から体は強い方じゃなかった、よく熱を出したしすぐ遊び疲れて寝てしまう···体も強くなれば体力も無かった。
それでも急に気絶した事なんて初めてだ。
一、二時間程眠っていたらしい···目が覚めてから、保健医の先生が熱を測りながら問診票を書くのに質問された。疲れが出たんじゃないか、まだ疲れが取れてないんだろうとの事だったけれど正直心的には滅茶苦茶元気だ。
「律花!」
「···兄貴」
「良かった···倒れたって聞いて」
休み時間に兄貴が来てくれた。···授業の終わりの金がなったのさっきだぞ?数秒前だ。どうやら外で課外授業だったらしく、課題を一番に終えた兄は少し早く学園に戻って来れたということらしい。
案の定、凄く心配された。早退するかと聞かれたけれどあまり休み過ぎては授業が遅れてついていけなくなってしまうかもしれないからそれは辞退した。熟睡出来て気分的には全快なんだが?
「律花······燈夜さん···」
「千秋」
カーテンに隠れて千秋が見ていた。おずおずと出てくると、ベッドの端っこに座った。まぁ面会者用の椅子は兄貴が座ってるから仕方が無いんだけど、兄貴はその様子を見て少しムッとしたような顔をした。俺と目が合うと直ぐに笑顔になったけど。
「······白虎祭、やっぱり辞めよう?」
「···千秋?」
静かに座っていた千秋が意を決したようにそう言った。
あれだけ一緒に出ようと言っていたのに···。
「僕、律花の負担になりたくないよ!···僕のワガママで律花は一緒に白虎祭出てくれる···でも律花が辛いのは嫌だよ。僕はいつも律花に迷惑かけてばっかだ···ごめんなさい、僕ワガママ言わないから、律花を苦しめたくないから、嫌いにならないで、······だから白虎祭も一緒じゃなくていい!」
そう俺の方へ身を乗り出して言った千秋の大きな瞳は揺れ、ぽろぽろと大粒の雫を落とした。握りしめた両手が震えている。ベッドには千秋が落とした涙の後が疎らに散り、未だに大きくなり続けていた。兄貴は何も言わないで腕を組んで俺達の様子を見守っている。
······心配、かけちゃったな。
「千秋、ごめん···」
「確かに一緒に白虎祭頑張ろうって言った。けど、それは無理して言ったわけじゃないよ。···俺が弱くてごめんな、心配かけてごめん。でもこれだけは信じて、俺は弱いけど俺が千秋達と白虎祭出たかったんだ」
勿論感想文を書くのが面倒臭いと言う理由もあって、元から白虎祭には出る予定だった。まぁ、健康上の理由で感想文も免除して貰えるようなら不参加も検討したけども世の中そんなに甘くない。千秋や楼透には二人で三人分戦って貰うようなもんだけど、俺の間違えた選択で一緒にいられなかった期間がある分···思い出を作りたかったんだ。
千秋はワガママなんかじゃない。
「···確かに俺が一緒にいたら足でまといだよな···」
「違っ」
「でも俺は白虎祭出る予定、感想文書くの嫌だし。そうなると千秋がいないのに楼透と一緒に団体なんて不公平だし、楼透には悪いけど一人で参加だから···確実にぼろ負けだな!」
「···律花?」
「ま、もし団体一緒に出ないか誘われたら一人じゃ無くなるかも」
何をしたいのか兄貴には分かったんだろう。横でクスクス笑い声が聞こえる。本人は本人なりに耐えてるんだろうけど完全に目が笑ってるわ。
千秋は状況を理解出来ていないらしく俺と兄貴を交互に見る。
「···千秋、君のしたことは律花の兄としては許せない。けれど、弟が望んでるんだ···それに律花の親友だった君の事を僕は大目に見るけれど?」
「···燈夜さん」
恐らく兄貴にはまだ千秋が俺を襲った、という話が漏れていない。あの場にいたのは俺と千秋と楼透と会長···俺と千秋が兄貴に報告しないのは分かるだろうが、楼透も会長も兄貴へ言っていないようだ。···兄貴が知ったらヤバいかもな。
そう思いつつ千秋の方へ向く。
そわそわしながら俺の顔をチラチラと見てるから「あーあー、こうしてる間に俺が千秋達と団体に出ないって噂が広まって──」って言ったら千秋は慌てて「ダメ!!」と言って距離を縮めてきた。
「ダメ!!他の人と出ちゃヤダ!律花が辛いなら、白虎祭出ない方がいいかもって思っただけなんだ···律花が目の前で倒れた時、凄く心配して···」
千秋が本心から俺を心配してくれてることは分かる。そりゃ、目の前で人が倒れたら心配するし今後無理させないようにって考えちゃうのは仕方がないと思う。心配かけたのは俺が悪いし、倒れないようにって思うんだけど何で倒れたのか俺自身が分かってない。その点については念の為近々病院には行こうと思う。でもそうじゃなくて、今欲しい言葉は──。
「それで?」
「え······っと。······ぼ、僕たちで団体戦出よう!」
「···千秋は無理してない?俺弱いから」
「無理してない!律花がいい!律花と、楼透と一緒がいい!」
うん、正解。俺も不安になって無理させてないか聞いたが、これだけ前のめりにめっちゃ必至に俺達と団体戦に出たいとアピールが始まったら疑う余地なんてない。
「頼りないけど、改めて宜しくな」
「うん!僕も、頑張るよ!」
急に倒れたことは不安要素ではある。それでも千秋の意志を再確認出来たことは喜ばしい。監禁事件を未然に防げたことで千秋も反省しているのか前回よりも良い方向へ向かっているように思う。
その後、授業に出たい早退したくないと言う俺を無理矢理早退させ兄貴は病院へ連れていった。元々病院へは行く予定だったけど、兄貴の都合がつかないと急遽の事だった。
「急に倒れたんやって?災難やったなぁ、倒れた時の打撲が少々と···まぁ特に脳波にも異常は見られんし暫くは状態観察やな。一応頭痛がしてたんやろ?頭痛薬は処方しとくわ」
病院へ行ったら満星さん···満星家当主が院長先生だった。今までこの病院はかかりつけだったけど初めてみる。それを言うとどうやら昨日からこの病院に移動してきたらしい。
ローガ州ディアルタリカ中央部の近くにあるこの病院。家からもあまり遠くは無い、だいたい馬車で三十分くらいになる。
「あぁ、そうや。燈夜君も律花君も気ぃつけて欲しいんやけど、最近ここら近辺は不審者が多いんやって。被害者の中には特殊魔法式の核を壊されたっちゅう人もおってな、美園のフェニックスはかなり希少種やろ?守護獣召喚の魔法式を使う時は気をつけるんやで、ウチも慧によう言い聞かせたわ」
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みんなの感想(18件)
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うわぁぁぁぁぁん!!!投稿ありがとうございます😭😭大好きです!
kas 様
ご声援ありがとうございます!
大好きとのお言葉とても嬉しいです(*´꒳`*)
更新出来なくて申し訳ありませんでした。
楽しみにして下さっている方がいる、という事に支えられてるなと本当に思います。文章やストーリーに自信が持てなくなってしまっていたのですが、このようなコメント頂けてとても嬉しかったです。拙い文章ですがこれからも宜しくお願い致します(_ _*))
続きを、続きを恵んでください…っ
ナヅキ様
ご声援ありがとうございます!
お待たせしてしまい申し訳ありません。
私自身も続きが気になる所で更新止めてしまったので早く更新を再開したい気持ちでいるのですが、なかなか納得のいく文章が書けず、楽しみにして下さっている方々をお待たせしてしまい心苦しいです(т-т)もう少々お待たせしてしまうかと思いますが、お待ち頂けますと幸いです。
何時まででも待っています(⌒ ͜ ⌒)
すいみん様
暖かいお言葉ありがとうございますㅠ_ㅠ
身の回りで色々とありまして心身共に疲労困憊でゴタゴタしてしまって💦現在更新する気力を無くしております所でした。ただでさえ更新は亀ペース(亀以下のカタツムリかもしれない···)と言うのにお待たせしてしまってごめんなさい🙇♀️🙏励みになります、頑張れます、と言うか頑張ります!!
心に染みましたありがとうございます( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )