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1章
9.救い
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「えっ・・・?」
「佐紀さん・・・いいの?」
「いいのいいの!!あのときはほんとに助かったんだから~」
母さんと佐紀さんはなにやらゴニョゴニョと言い合っている。
どういうことだ・・・?だって佐紀さんと鳴海さんはあんなに仲良くてイチャイチャと人前でも憚らないと言うのに。
「あれはね。瑠衣ちゃんと海渡が出会って三か月くらいかしら?」
出会ってってそこまでの関係じゃないですけど・・・なんか言い方気になるなぁ。
<回想>
「海渡!!・・・また塾をさぼったってほんとなの!?」
私はイライラしてた。
会社ばかりで早く帰ってくることのない鳴海さんにも、部屋に籠ってばかりの凪にも。
だから、海渡が塾をさぼったと聞いていつも以上に強くしかりつけた。
これは三か月ほど前にも海渡をこんな風にしかりつけて追い詰めたって言うのに。
「・・・かいと・・・もうじゅくなんていきたくないよぉ」
「海渡、お兄ちゃんたちも塾に行ったの。海渡は塾の成績も一番良いのよ。だからお母さんは塾に行ってほしいわ」
「でも・・・
「でもじゃないの!!鳴海さんだって教育は大事だって言ってたのよ!!それだけでも守って!!」
海渡の意見も聞かずにただ怒鳴り付けた。
鳴海さんがこちらを向いてくれないなら子供達を将来、鳴海さんの会社を背負って立つようなそんな子達にすれば鳴海さんだっていつかはこっちを見てくれると思ったから。
「うっ・・・うっうぅ~
「海渡!!
「何をしてるんだ!!」
海渡が泣き出し私がまた怒鳴り付けたとき。
いつも帰ってこない鳴海さんがドアを開けて入ってきた。見たことないほどに乱暴にドアを開けて。
「鳴海・・・さん」
「海渡、大丈夫だ。男だろう?瑠衣ちゃんを守るんだろ?・・・だったら、泣くな」
「・・・うん」
海渡と鳴海さんは私を取り残して話をしてる。
そんな風に見えて仕方がなかった。
「・・・何があったかは知らないが子供をそんなに怒鳴り付けなくてもいいだろ?それに海渡の話も聞くべきだ。そんな一方的なことは意味ない」
・・・意味ない?
それを聞いた瞬間、私の中の何かが切れた。
私がどんな思いで子供達を教育してたかも知らずに!!鳴海さんのため、子供達の将来のため、ただ一心にそれを祈ってたのに。
確かに、鳴海さんに誉めてもらいたかった。
子供達に笑ってて欲しかった。
だから・・・・・・なのに・・・!
「・・・ハッ・・・佐紀。ごめん、言い過ぎた」
いつの間にか頬を伝い落ちる涙に私は耐えられなかった。
「っ、知らない!!・・・鳴海さんは何も分かってくれないのに!!傍に居てくれないのに!!・・・何が分かるって言うの!?」
私は食器棚の横の収納ボックスから『それ』を出した。
「・・・もう、私の欄は書いてあります」
そう言って私は家を飛び出した。
何も持たずに。
玄関のドアを開け放つと鳴海さんの声が聞こえた。
――佐紀!!
私は家を飛び出して、足が向かうまま走った。
「・・・ここは・・・」
辿り着いたのば公園゙。海渡が行きたいって言ってたから何度も来た公園。
もうすでに夕方の五時。子供の姿は見えない。
そっと公園のブランコに腰掛けた。
「鳴海さん・・・」
自分で離婚を提示したのにまだ未練がましくあの人の名前を呼んだ。
「ごめんね・・・ごめんなさい・・・」
「かいとくんのおかあさん・・・?どーしたの?」
「えっ」
すると、可愛らしい声が聞こえた。
驚いて顔をあげると目の前に瑠衣ちゃんがいた。
「・・・瑠衣ちゃん?」
「うん!!そーだよ。るいだよ」
無邪気に笑う姿に自然と顔が緩む。
「こんな時間に公園?・・・お母さんは?」
「んー?あそこ。おかあさん、おひるねしちゃったの。だから、るいひとりなの」
指を指された方向を見るとベンチに座って、瑛子さんが眠っているようだった。
「そっか。じゃあ、お母さんを起こしてあげないとね」
「・・・うん。でも、るいね?もちょっとだけあそびたいからおかあさんにおねんねしてもらってるの・・・ふふふ」
瑠衣ちゃんはそう言って人差し指を顔の前にもっていった。「しーっ、ね」と。
「かいとくんのおかあさん・・・かいとくんは?」
「今日は一緒じゃないのよ。ごめんね」
「ううん!だいじょぶ。・・・かいとくんのおかあさんはなんでないてるの?」
「っ、・・・泣いてないよ。ほらっ」
子供はときに鋭いためなんでも見抜いてくる。
「・・・でも、かいとくんのおかあさんがかなしいとるいもかなしいもん」
そう言って、しゅんとなる瑠衣ちゃん。
別に瑠衣ちゃんが悲しくなるわけないと私は笑って言った。でも――。
「だって、るいね。こないだ、かいとくんにひどいこといっちゃったの。・・・だきつかないで、むぎゅーってしたらくるしいよってそれでね『きらい』って『もうしらない』って。そしたら、かいとくんなきそうなかおしてたの」
「佐紀さん・・・いいの?」
「いいのいいの!!あのときはほんとに助かったんだから~」
母さんと佐紀さんはなにやらゴニョゴニョと言い合っている。
どういうことだ・・・?だって佐紀さんと鳴海さんはあんなに仲良くてイチャイチャと人前でも憚らないと言うのに。
「あれはね。瑠衣ちゃんと海渡が出会って三か月くらいかしら?」
出会ってってそこまでの関係じゃないですけど・・・なんか言い方気になるなぁ。
<回想>
「海渡!!・・・また塾をさぼったってほんとなの!?」
私はイライラしてた。
会社ばかりで早く帰ってくることのない鳴海さんにも、部屋に籠ってばかりの凪にも。
だから、海渡が塾をさぼったと聞いていつも以上に強くしかりつけた。
これは三か月ほど前にも海渡をこんな風にしかりつけて追い詰めたって言うのに。
「・・・かいと・・・もうじゅくなんていきたくないよぉ」
「海渡、お兄ちゃんたちも塾に行ったの。海渡は塾の成績も一番良いのよ。だからお母さんは塾に行ってほしいわ」
「でも・・・
「でもじゃないの!!鳴海さんだって教育は大事だって言ってたのよ!!それだけでも守って!!」
海渡の意見も聞かずにただ怒鳴り付けた。
鳴海さんがこちらを向いてくれないなら子供達を将来、鳴海さんの会社を背負って立つようなそんな子達にすれば鳴海さんだっていつかはこっちを見てくれると思ったから。
「うっ・・・うっうぅ~
「海渡!!
「何をしてるんだ!!」
海渡が泣き出し私がまた怒鳴り付けたとき。
いつも帰ってこない鳴海さんがドアを開けて入ってきた。見たことないほどに乱暴にドアを開けて。
「鳴海・・・さん」
「海渡、大丈夫だ。男だろう?瑠衣ちゃんを守るんだろ?・・・だったら、泣くな」
「・・・うん」
海渡と鳴海さんは私を取り残して話をしてる。
そんな風に見えて仕方がなかった。
「・・・何があったかは知らないが子供をそんなに怒鳴り付けなくてもいいだろ?それに海渡の話も聞くべきだ。そんな一方的なことは意味ない」
・・・意味ない?
それを聞いた瞬間、私の中の何かが切れた。
私がどんな思いで子供達を教育してたかも知らずに!!鳴海さんのため、子供達の将来のため、ただ一心にそれを祈ってたのに。
確かに、鳴海さんに誉めてもらいたかった。
子供達に笑ってて欲しかった。
だから・・・・・・なのに・・・!
「・・・ハッ・・・佐紀。ごめん、言い過ぎた」
いつの間にか頬を伝い落ちる涙に私は耐えられなかった。
「っ、知らない!!・・・鳴海さんは何も分かってくれないのに!!傍に居てくれないのに!!・・・何が分かるって言うの!?」
私は食器棚の横の収納ボックスから『それ』を出した。
「・・・もう、私の欄は書いてあります」
そう言って私は家を飛び出した。
何も持たずに。
玄関のドアを開け放つと鳴海さんの声が聞こえた。
――佐紀!!
私は家を飛び出して、足が向かうまま走った。
「・・・ここは・・・」
辿り着いたのば公園゙。海渡が行きたいって言ってたから何度も来た公園。
もうすでに夕方の五時。子供の姿は見えない。
そっと公園のブランコに腰掛けた。
「鳴海さん・・・」
自分で離婚を提示したのにまだ未練がましくあの人の名前を呼んだ。
「ごめんね・・・ごめんなさい・・・」
「かいとくんのおかあさん・・・?どーしたの?」
「えっ」
すると、可愛らしい声が聞こえた。
驚いて顔をあげると目の前に瑠衣ちゃんがいた。
「・・・瑠衣ちゃん?」
「うん!!そーだよ。るいだよ」
無邪気に笑う姿に自然と顔が緩む。
「こんな時間に公園?・・・お母さんは?」
「んー?あそこ。おかあさん、おひるねしちゃったの。だから、るいひとりなの」
指を指された方向を見るとベンチに座って、瑛子さんが眠っているようだった。
「そっか。じゃあ、お母さんを起こしてあげないとね」
「・・・うん。でも、るいね?もちょっとだけあそびたいからおかあさんにおねんねしてもらってるの・・・ふふふ」
瑠衣ちゃんはそう言って人差し指を顔の前にもっていった。「しーっ、ね」と。
「かいとくんのおかあさん・・・かいとくんは?」
「今日は一緒じゃないのよ。ごめんね」
「ううん!だいじょぶ。・・・かいとくんのおかあさんはなんでないてるの?」
「っ、・・・泣いてないよ。ほらっ」
子供はときに鋭いためなんでも見抜いてくる。
「・・・でも、かいとくんのおかあさんがかなしいとるいもかなしいもん」
そう言って、しゅんとなる瑠衣ちゃん。
別に瑠衣ちゃんが悲しくなるわけないと私は笑って言った。でも――。
「だって、るいね。こないだ、かいとくんにひどいこといっちゃったの。・・・だきつかないで、むぎゅーってしたらくるしいよってそれでね『きらい』って『もうしらない』って。そしたら、かいとくんなきそうなかおしてたの」
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