ゾンビBL小説の世界に転生した俺が、脇役に愛され過保護される話。【注、怖くないよ】

いんげん

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皆でお食事

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その日の夕飯は、鴨だった。レッドが獲ってきて今日のために保護してた鴨だった。
この世界に来てから、牛は食べてないけれど、鳥と豚、イノシシは結構食べている、
前に柵の外に野豚が現れた時のジフの投げナイフは衝撃的だった。一発でピギャって仕留めてて、それを「やった!ジフ素敵!」となった俺も相当この世界に順応している。だって、新鮮な肉美味しいよ。
でも、なんか野豚現れてから、毎日虫除けジェルを豹兒に塗りまくられている。なんでも、俺と豹兒は、赤ちゃんのころの予防注射受けてないから、蚊にくわれるのもリスクらしい。

俺の近くに飛んできた蚊を、皆が必死で殺そうとするから、すげー突然、パチンって猫騙しみたいに手を叩かれて、超怖い。もう秋っぽくなってきて、最近見ないからほっとしている。

ちなみに、この世界の夏は、40度とかならないみたい。たぶん……そこまで上がると、ゾンビもすぐ腐っちゃうから、あれなんだろうな。大体30度くらいの夏だって。有り難いのか、有り難くないのか。

「ポチ、たくさん食べてね」
俺の右隣に座る、蒼陽が自分の鴨汁の鴨を俺のお椀に入れてくる。
蒼陽の顔は常に俺の方を向いていて、視線も五月蠅いくらいだ。何故か、ニコニコとずっと眺められている。なにが……何が楽しいのだろう。
「いや……蒼陽が食べなよ」
俺より蒼陽の方が20㎝以上大きいし、ガタイも良く筋肉量も多い。それに明日からゾンビを狩りに行くんだから、蒼陽が沢山食べるべきなのでは?
入れられた、鴨を箸にとって、蒼陽のお椀に戻そうとしたら、その手を持ち上げられて、俺の摘まんだ鴨は、蒼陽の口に入った。
ん?
え?これって……あーん、になっちゃったのでは?
「ポチ!!」
左隣に座って、ずっと俺を睨んでいる豹兒が怒鳴った。
俺の手の中の箸は、奪われ、豹兒の箸を持たされた。
「……お前、自分で食え」
豹兒が蒼陽にチクリと言ったが、蒼陽は相変わらず爽やかに笑っている。
なんだ、何なんだ、この謎の争いは。
「……お前ら…何なんだ」
前の席に座るジフが呆れたように呟いた。だよね、ジフ。俺、謎の争いに巻き込まれているから、助けて、と困った顔でジフを見上げる。
「ホラ、こっち座れポチ」
「うん!」
ジフが、隣のレッドを端に押しのけて、間の席を勧めてくれた。
豹兒と蒼陽の顔が、シンクロしてジフを見た。
「漁夫の利ならぬ、ジフの利ですね、兄貴!ありますよ、漫画だと、最終的にヒーローでもライバルでもない、第三の男がヒロインを持って行くパターン、希にあります!俺のおすすめで言う所の、ナンプラーとかすみ草って漫画なんですけどね!」
レッドが何事か早口で話している隙に、俺はお椀を持ってジフとレッドの間に座った。
ふぅ、これで落ち着いてご飯が食べられると、箸を持つ。
「……」
相変わらず豹兒は俺を睨んでいるし、蒼陽がニコニコ微笑んで見てくる。
そういえば、原作で豹兒だけは、蒼陽に恋をしなかった。
今までは、豹兒が恋愛バブちゃんだったからと思っていたけれど、もしかしたら、二人は元々馬が合わないのかも知れない。
それに、豹兒としてはジフもレッドも蒼陽に惚れてしまって、なんだか面白くなかったのかも……そう考えると、豹兒って、やっぱり可愛い。
俺は、思わず睨んでくる豹兒に微笑んだ。
「……」
目が合うと、とたんに唇を噛みしめて、豹兒は食事に集中し始めた。ガツガツと鴨を食べて、お握りにがっつく豹兒。あっという間に、食事がなくなっていく。
「豹兒、すごいね!流石、まだ身長伸びているだけある」
俺は、パチパチと手を叩いた。
「お前は俺を抜くな。ポチ、お前はもっとデカくなれ」
ジフが俺のピンクの髪をつまみ上げた。
「あのさ、毎回言ってるけど、皆、皆がデカすぎなんだよ!」
俺は三人を一人ずつ指さして言った。
「俺、三人にしか会った記憶ないから分かんないけど、他のグループの人もそんなに大きいの!?俺が小さいの?」
180㎝以上がデフォだったら、泣ける。いや、女性居ないから、外見的にどうであっても仕方ないけど、やっぱりデカい方が生きるのに有利な気がする。
ただ……さらに言うと、絶対筋肉の付きやすいDNAも、彼らにはあって俺にはないと思う。
ここにあったプロテイン飲んでるけど、全然筋肉つかない。体力は多少ついたけど、筋肉つかない!
「お前より小さい大人は、老人しか見たことがない」
またジフが口元の傷跡引きつらせて笑っている。
「老人!まじか……そうなのか」
「ポチ、下野には、ポチより少し大きいくらいの男が居たよ」
蒼陽が俺にガッツポーズをして微笑んでいる。
コミカルな動きすら絵になるから、異空間。
「少し大きいんじゃん!」
「……ポチは一番年下だから、これから伸びる」
豹兒がボソっと呟いた。
「伸びねぇだろうな」
隣でジフが鼻で笑った。
イラッとした俺は、ジフの雄っぱいを鷲づかみにして揉んでやった。前は蹴ったり叩いたりしていたけど、全然効かないから戦法を変えたのだ。
「てめぇ!何してんだ、アホ!」
「よいではないか、よいではないか」
箸を置いて腰を浮かせて、抱きつくようにジフの胸を片手で揉みしだいた。
すげぇ大胸筋おっぱいだ。
「ポチ!」
いつの間にか立って此方まで来た蒼陽が俺の顔を両手で挟んで、蒼陽の方を向かせられた。
「ん?」
「誰かに、そんな事をされたの?」
笑顔が消えた蒼陽の顔は、整いすぎていて……冷酷に見える。こ…こわっ。
「ううん、されてないけど……」
「そっか。ジフさん、嫌がってるし、俺のをどうぞ」
蒼陽の顔に笑顔が戻って、俺の頬から離れて行った手が、どうぞとばかり開かれた。
蒼陽の大胸筋の雄っぱい。あの数々の男達を魅了した、鍛えられた逞しく美しい肉体。思い起こされる2巻の上半身裸の挿絵。立派な胸。
俺の手が吸い寄せられるように、ふわーっと蒼陽の胸元へ……。

「…やめろ、変態。ポチ、近づくな」
蒼陽の首元に、鞘に収まったままの刀が押しつけられている。
それでも、蒼陽はニコニコと笑って俺を見ている。
こ…これは…どうすれば……。

「おい…お前ら、座って飯を食え」
ジフが後ろに手を払って、蒼陽と豹兒を追い払う。おぉ!さすが兄貴!リーダー!パパ!
俺は感動して、ジフに憧れの眼差しを送った。
「これは、まさか、まさか。もしやの結末?」
レッドは相変わらず、ブツブツと一人で何か言っていた。

俺は食事を再開しながら、チラリとジフと蒼陽を見た。
この二人は、どうやって恋に落ちるのだろうか?原作では……どうだったっけ?
レッドは完全に一目惚れだったけど……ってことは、既に??


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