侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第十一章 異邦からの来訪者と、東京スカイツリー防衛戦

転移者たちと結晶探しの共闘①

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 王都の初夏は、いつもより少しだけ風が湿っていた。



 冒険と戦いの数々を越えたイッセイたちは、久々の平穏な日々を味わっていた。とはいえ、完全なスローライフとは程遠い。王城からの呼び出し、貴族との謁見、商会の視察、そしてルーナによる毎朝の魔導式訓練。そんな折、ギルド本部に現れた三人の“異邦の来訪者”によって、再び日常は揺れ動き始める。



「……というわけで、俺たち、帰りたいんです。元の世界に」



 ギルドの応接間。長身で精悍な顔立ちの少年が、真っ直ぐな目でそう言った。黒い短髪に軽装の旅服。彼の名は――



「綾瀬アキト、高校二年。……たぶん、転移してから一ヶ月半ぐらいです」



 彼の隣に立つのは、落ち着いた雰囲気を纏う、ストレートの黒髪が印象的な少女。



「桐原ユイナ。同じく高二。アキトとはクラスメイト……というか、理科室で一緒に吹き飛ばされました」



「で、ギャル枠の高梨マコでーす☆ てかマジ、転移とかパねぇよねー、どしたら帰れんのコレ?」



 金髪のポニーテールに、目立つアクセサリーと陽気な口調。三者三様ながらも、不思議なバランスで成り立つ高校生トリオだった。



「……帝国の西にある転移装置には、特殊な“転移結晶”が必要なんです。けど、帝国では枯渇してて……」



 ユイナが地図を広げ、細やかなルートを指し示す。その手つきは明快で、知性が宿っていた。



「それなら心当たりがある。古代魔文明の遺跡《リュミエール旧機構》……あそこなら、未発掘の転移結晶が残っているかもしれない」



 イッセイがそう口にすると、クラリスとルーナが同時に頷いた。



「前に調査したときは深層部が崩れていて、進めなかったけど……あの時と今とじゃ、私たちの力は段違いだよ、イッセイくん!」



「ふふ、異世界の高校生たちと一緒にダンジョン探索なんて、ちょっとわくわくしますわね」



 こうして、再び始まる冒険――目的は、若き転移者たちの“帰還”のために。



* * *



 遺跡《リュミエール旧機構》の入り口は、王都郊外の断崖に隠されていた。かつては魔法研究の要だった場所だが、今は魔力障壁によって封鎖され、誰も寄りつかない。



「うおっ……マジでダンジョンじゃん」



「……構造体、古代のエーテル伝導式ね。あの柱、魔素を誘導してる」



「きゃー! マコここ絶対ムリなやつぅ! 暗いし虫いるしコケて服汚れるし~!」



 アキトが興奮し、ユイナが冷静に分析し、マコは早くもテンパり始める。そんな三人を、ミュリルとフィーナがやや困った顔で見守っていた。



「にゃん……この三人、うるさいけど悪い子じゃないにゃ」



「ウサ。きっと、“帰りたい”って気持ちは本物なんだウサね」



「よし、まずは障壁解除からだ」



 イッセイが魔導式の円環を展開し、古代呪文を詠唱する。すぐに魔素が流れ、石扉が鈍い音を立てて開いた。



「行こう。転移結晶は、たぶんこの先にある」



 かくして、転移者たちとイッセイ一行による、時空を越えた共闘が幕を開けたのだった――。
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