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第十二章 蒼穹の方舟と、空に還る想い
風の記録、語られざる真実
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「ふわぁ~、やっと落ち着いたウサ……」
フィーナが風に耳を揺らしながら伸びをする。その横で、セリアが溜息をついた。
「お行儀よく。いくら平穏が戻ったからって、だらけすぎです」
「いいじゃないウサ~、方舟も無事だったんだし♪」
空中都市《蒼穹方舟》は、神柱ヴェイアの目覚めにより風の流れを取り戻し、街に再び活気と笑顔が戻っていた。
「それにしても……あの“風の巫女”ってば、本当にすごかったね」
リリィがにやりと笑う。
「風の歌、私もちょっとだけ歌ってみようかな~。商売にも使えそうだし!」
「やめてくれ。爆発しそうだ」イッセイが即座にツッコミを入れた。
そんな日常の中、シャルロッテの提案で《風精の核》に残された“記録”を読み解くことになった。
「風の精霊の力を媒介に、視覚的に記録を投影できます。古代の空の記憶、見てみたくありませんか?」
イッセイは頷く。
「過去に何があったかを知ることは、これから何をすべきかを知ることでもある」
シャルロッテが魔導端末を起動し、精霊の核に接触。風の流れがざわりと動いた瞬間――空間に淡い光が舞い、映像が浮かび上がる。
「これが……千年前の空……?」
高空に浮かぶ巨大な都市。そして、その上空で風が狂い始めていた。
「第一次崩落……ですね」シャルロッテがつぶやく。
次の瞬間、十二の光が並ぶ。十二人の男女。そのひとりひとりが風の加護をまとい、中央の巨大な存在を抑えていた。
「これが……十二神柱……?」
イッセイの口から思わず声が漏れる。
「中央の、それが……風王?」エリュアの顔色が変わる。
「……暴走しかけてるな」
「それを止めるために、十二人は自らを柱として変えた……そういうことですか」リリィが神妙に言った。
フィーナが耳を垂らす。
「風の神様……すごく、寂しそうだったウサ」
記録の映像が消える。静寂。だがその中で、次の情報が浮かび上がる。
「シャルロッテ、これは……」
「次なる神柱の在り処です。《南の断風層》……“逆流の祭壇”と記されています」
セリアが顔をしかめた。
「逆流する風の層って……普通に考えて飛行不可能では?」
「でも」リリィが得意げにペンダントを掲げる。「ヴェイア様の“風印”があれば、進入できるってことでしょ?」
イッセイが深く頷いた。
「行こう。俺たちがこの空を守るんだ」
すると、エリュアが一歩前に出た。
「……私は、ここに残ります。この方舟を守るために。私は、風と共にある者ですから」
「そうか」イッセイは微笑んだ。「なら、その風は俺たちが繋ぐ」
エリュアは名残惜しそうに音叉のような銀の装置を取り出した。
「“風を束ねる音叉”……これを、次の柱の前に。きっと導いてくれるはずです」
「ありがとう、エリュア」イッセイが受け取ると、風が優しく彼らを包み込んだ。
静かな決意の風が、彼らの背を押していた。
フィーナが風に耳を揺らしながら伸びをする。その横で、セリアが溜息をついた。
「お行儀よく。いくら平穏が戻ったからって、だらけすぎです」
「いいじゃないウサ~、方舟も無事だったんだし♪」
空中都市《蒼穹方舟》は、神柱ヴェイアの目覚めにより風の流れを取り戻し、街に再び活気と笑顔が戻っていた。
「それにしても……あの“風の巫女”ってば、本当にすごかったね」
リリィがにやりと笑う。
「風の歌、私もちょっとだけ歌ってみようかな~。商売にも使えそうだし!」
「やめてくれ。爆発しそうだ」イッセイが即座にツッコミを入れた。
そんな日常の中、シャルロッテの提案で《風精の核》に残された“記録”を読み解くことになった。
「風の精霊の力を媒介に、視覚的に記録を投影できます。古代の空の記憶、見てみたくありませんか?」
イッセイは頷く。
「過去に何があったかを知ることは、これから何をすべきかを知ることでもある」
シャルロッテが魔導端末を起動し、精霊の核に接触。風の流れがざわりと動いた瞬間――空間に淡い光が舞い、映像が浮かび上がる。
「これが……千年前の空……?」
高空に浮かぶ巨大な都市。そして、その上空で風が狂い始めていた。
「第一次崩落……ですね」シャルロッテがつぶやく。
次の瞬間、十二の光が並ぶ。十二人の男女。そのひとりひとりが風の加護をまとい、中央の巨大な存在を抑えていた。
「これが……十二神柱……?」
イッセイの口から思わず声が漏れる。
「中央の、それが……風王?」エリュアの顔色が変わる。
「……暴走しかけてるな」
「それを止めるために、十二人は自らを柱として変えた……そういうことですか」リリィが神妙に言った。
フィーナが耳を垂らす。
「風の神様……すごく、寂しそうだったウサ」
記録の映像が消える。静寂。だがその中で、次の情報が浮かび上がる。
「シャルロッテ、これは……」
「次なる神柱の在り処です。《南の断風層》……“逆流の祭壇”と記されています」
セリアが顔をしかめた。
「逆流する風の層って……普通に考えて飛行不可能では?」
「でも」リリィが得意げにペンダントを掲げる。「ヴェイア様の“風印”があれば、進入できるってことでしょ?」
イッセイが深く頷いた。
「行こう。俺たちがこの空を守るんだ」
すると、エリュアが一歩前に出た。
「……私は、ここに残ります。この方舟を守るために。私は、風と共にある者ですから」
「そうか」イッセイは微笑んだ。「なら、その風は俺たちが繋ぐ」
エリュアは名残惜しそうに音叉のような銀の装置を取り出した。
「“風を束ねる音叉”……これを、次の柱の前に。きっと導いてくれるはずです」
「ありがとう、エリュア」イッセイが受け取ると、風が優しく彼らを包み込んだ。
静かな決意の風が、彼らの背を押していた。
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