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第十二章 蒼穹の方舟と、空に還る想い
垂直の風、ヴェル=レヴァタ突入!
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「視界、ゼロだな……!」
イッセイの声が空中船ノア・スカイランダーの操縦室に響く。
目前にそびえるのは、天へ向けて果てなく伸びる風の柱《ヴェル=レヴァタ》。
空を裂き、無数の乱気流が縦方向に螺旋状の壁を作り、侵入者を拒んでいるかのようだった。
「うおおお……まるで、風の迷宮だぜ……」
ルーナが窓に張りつき、流れる風の筋に見入っていた。
「計器、完全に狂ってる。通常の航法じゃ、正確な座標が取れないわ」
シャルロッテが冷静に告げる。
「……でも、行くしかないのよね? この先に、神柱がいるんでしょ?」
サーシャが剣の柄を握る手に力を込めた。
「大丈夫、にゃ。ミュリルのヒゲが、ちゃんと風向きを感じてるにゃん!」
「ヒゲじゃなくて感応石だろ」セリアが即ツッコミを入れる。
「落ち着いて、みんな」
イッセイは《風導音叉》を取り出し、音を鳴らした。
すると、不思議なことに、風の柱の一部が――“呼吸するように”空間を開いた。
「……今、風が反応したウサ!」
フィーナが耳をピンと立てて叫ぶ。
「この音叉は“神柱たちの導き”なんだ。音に応じて、風の壁が開く。
つまり……通れる“隙間”があるってことだ」
「よーし、それなら突入あるのみだな! 次の神柱、起こしてこようぜ!」
ルーナの掛け声に、空中船が風の柱の中へ滑り込む。
その瞬間――
「うわ、上下感覚なくなるウサ! 浮いてるのか落ちてるのかわかんないウサ~!」
「にゃー!? ミュリルのしっぽが……絡まったにゃ~!」
「お前ら、騒ぐなっ!」
船内はちょっとしたパニック状態だったが、リリィだけはワクワクしていた。
「この風の流れ……回転エネルギーとして利用できるかも。風力タービン型の回転翼で……ぐふふっ、スパ飛行城が作れそう……」
「今はそれより生き残る方が大事だろう!」イッセイが鋭く突っ込む。
しかし、そんなやり取りも束の間――
「……! 見えた、あれよ!」
シャルロッテが指差した先、風の柱の最上層に、青白く光る“浮遊神殿”が姿を現した。
「……あれが、《神柱シリル》の眠る神殿──《エアリア・レクス》!」
「着陸態勢に入る! 船の魔力フィールド、最大展開!」
イッセイが叫ぶと、空中船は強烈な上昇気流を切り裂きながら神殿前に接近した。
バシュッ――!
風の抵抗が霧散するように弾けた瞬間、船体がゆっくりと石造のプラットフォームに着地した。
「よっしゃ……なんとか、着いたな」
「でも……なんだか、静かすぎるウサ」
フィーナが警戒心を強める。確かに、風の柱の中にあるはずの場所なのに、神殿の周囲には一切の風がない。
「風が……止まってる?」
ミュリルが不安げに呟いた。
「この空間だけ、風の存在が封じられている。
たぶん“神柱シリル”が眠っている影響だ」
シャルロッテが周囲を見回し、魔導スキャンを開始する。
「これは……空間封鎖結界。一定の“歌と魔力波長”がないと、封印は開かないみたいね」
「じゃあ、また“風歌”の出番ウサ?」
「……いや、エリュアはいない。代わりに歌うのは、私たちだ」
イッセイが、リリィに目を向ける。
「いけるか?」
「もちろん。これ、商機じゃないけど……魂のコラボ、してみようか!」
リリィは音叉をチューニングし、シャルロッテと共に“風の響き”を作り出していく。
「……風よ、記憶を抱きしめし者よ。汝の眠りに、声を添えん」
「……いま、目覚めのとき……風の名において、我ら呼ばん!」
音が神殿内に吸い込まれる――
次の瞬間、地響きのような風鳴が巻き起こった。
神殿が微かに震え、空間にひび割れのような光が走る。
「くるぞ……!」
イッセイが叫んだその時――
神殿の中心部から、淡い光の粒が舞い上がり、それはやがて“少女の輪郭”を形作っていく。
「私は……風柱、シリル。誰が……我を呼び覚ました?」
その声は風のささやきのように優しく、しかしどこか試すような冷たさを孕んでいた。
「私たちだ。空を、世界を守るために。風を継ぐ者として、君の力が必要なんだ」
イッセイが一歩前に出て言うと、シリルの瞳が静かに動いた。
「……ならば、覚悟を示せ。“風に選ばれし意志”を、私に見せよ――」
彼女の手が風の剣を形作り、瞬間、空間が一気に収束する。
「――試練、開始ウサ!」
イッセイの声が空中船ノア・スカイランダーの操縦室に響く。
目前にそびえるのは、天へ向けて果てなく伸びる風の柱《ヴェル=レヴァタ》。
空を裂き、無数の乱気流が縦方向に螺旋状の壁を作り、侵入者を拒んでいるかのようだった。
「うおおお……まるで、風の迷宮だぜ……」
ルーナが窓に張りつき、流れる風の筋に見入っていた。
「計器、完全に狂ってる。通常の航法じゃ、正確な座標が取れないわ」
シャルロッテが冷静に告げる。
「……でも、行くしかないのよね? この先に、神柱がいるんでしょ?」
サーシャが剣の柄を握る手に力を込めた。
「大丈夫、にゃ。ミュリルのヒゲが、ちゃんと風向きを感じてるにゃん!」
「ヒゲじゃなくて感応石だろ」セリアが即ツッコミを入れる。
「落ち着いて、みんな」
イッセイは《風導音叉》を取り出し、音を鳴らした。
すると、不思議なことに、風の柱の一部が――“呼吸するように”空間を開いた。
「……今、風が反応したウサ!」
フィーナが耳をピンと立てて叫ぶ。
「この音叉は“神柱たちの導き”なんだ。音に応じて、風の壁が開く。
つまり……通れる“隙間”があるってことだ」
「よーし、それなら突入あるのみだな! 次の神柱、起こしてこようぜ!」
ルーナの掛け声に、空中船が風の柱の中へ滑り込む。
その瞬間――
「うわ、上下感覚なくなるウサ! 浮いてるのか落ちてるのかわかんないウサ~!」
「にゃー!? ミュリルのしっぽが……絡まったにゃ~!」
「お前ら、騒ぐなっ!」
船内はちょっとしたパニック状態だったが、リリィだけはワクワクしていた。
「この風の流れ……回転エネルギーとして利用できるかも。風力タービン型の回転翼で……ぐふふっ、スパ飛行城が作れそう……」
「今はそれより生き残る方が大事だろう!」イッセイが鋭く突っ込む。
しかし、そんなやり取りも束の間――
「……! 見えた、あれよ!」
シャルロッテが指差した先、風の柱の最上層に、青白く光る“浮遊神殿”が姿を現した。
「……あれが、《神柱シリル》の眠る神殿──《エアリア・レクス》!」
「着陸態勢に入る! 船の魔力フィールド、最大展開!」
イッセイが叫ぶと、空中船は強烈な上昇気流を切り裂きながら神殿前に接近した。
バシュッ――!
風の抵抗が霧散するように弾けた瞬間、船体がゆっくりと石造のプラットフォームに着地した。
「よっしゃ……なんとか、着いたな」
「でも……なんだか、静かすぎるウサ」
フィーナが警戒心を強める。確かに、風の柱の中にあるはずの場所なのに、神殿の周囲には一切の風がない。
「風が……止まってる?」
ミュリルが不安げに呟いた。
「この空間だけ、風の存在が封じられている。
たぶん“神柱シリル”が眠っている影響だ」
シャルロッテが周囲を見回し、魔導スキャンを開始する。
「これは……空間封鎖結界。一定の“歌と魔力波長”がないと、封印は開かないみたいね」
「じゃあ、また“風歌”の出番ウサ?」
「……いや、エリュアはいない。代わりに歌うのは、私たちだ」
イッセイが、リリィに目を向ける。
「いけるか?」
「もちろん。これ、商機じゃないけど……魂のコラボ、してみようか!」
リリィは音叉をチューニングし、シャルロッテと共に“風の響き”を作り出していく。
「……風よ、記憶を抱きしめし者よ。汝の眠りに、声を添えん」
「……いま、目覚めのとき……風の名において、我ら呼ばん!」
音が神殿内に吸い込まれる――
次の瞬間、地響きのような風鳴が巻き起こった。
神殿が微かに震え、空間にひび割れのような光が走る。
「くるぞ……!」
イッセイが叫んだその時――
神殿の中心部から、淡い光の粒が舞い上がり、それはやがて“少女の輪郭”を形作っていく。
「私は……風柱、シリル。誰が……我を呼び覚ました?」
その声は風のささやきのように優しく、しかしどこか試すような冷たさを孕んでいた。
「私たちだ。空を、世界を守るために。風を継ぐ者として、君の力が必要なんだ」
イッセイが一歩前に出て言うと、シリルの瞳が静かに動いた。
「……ならば、覚悟を示せ。“風に選ばれし意志”を、私に見せよ――」
彼女の手が風の剣を形作り、瞬間、空間が一気に収束する。
「――試練、開始ウサ!」
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