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第七章 王都の休日
エピローグ「旅立ちへの決意」
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王都の西側、高台にある古びた石畳の広場。
午後の陽光が赤く傾き、風に揺れる旗が音もなく翻る。
「……これで全員、揃ったな」
イッセイが静かに言うと、集まった仲間たちは一斉に頷いた。
クラリスは王立書庫から、ルーナは貴族街の施療院から、セリアは訓練場から、リリィは商会支部から、シャルロッテは精霊の森から、サーシャはヒノモトから、ミュリルとフィーナはそれぞれ教会と魔導学院から戻ってきたばかりだった。
それぞれの手には、小さな荷物と、それ以上に重みのある“想い”が握られていた。
「それじゃ……旅の前に、一つだけ言わせてくれ」
イッセイが皆を見渡す。夕陽の逆光にその瞳がきらりと光る。
「仮面の男が言っていた“魔王”。放っておけば、いずれ世界を飲み込む災厄になる可能性がある。俺たちは、これからそれに立ち向かう」
「封印……されているはずなんだよね?」リリィが眉をひそめる。
「うむ。だが問題は、その封印がどこで、誰によって、どれだけ保たれているか、だウサ」フィーナが重々しく返す。
「王立書庫では“千年前の聖女が封じた”とだけ記されていたけれど……詳細は教会の奥深くに秘匿されているらしいわ」クラリスが巻物を軽く掲げて補足する。
「だからこそ、聖教会の本拠がある聖都へ向かう。聖女、封印、魔王……真実に近づく旅だ」イッセイが頷いた。
「魔王……瘴気と同じ、いや、それ以上の禍々しさを感じるにゃ……」ミュリルがそっと口を押さえる。
「でも、行くんだろう?」セリアが少し照れくさそうに、でも凛とした声で言った。
「ええ。わたしたちは、もう止まらない」シャルロッテが目を細める。「森が、精霊たちが、世界が、ざわめいている。変わる時が来たの」
「……うむ。武の誓い、まだ果たしきっておらぬ。主よ、我も共に往かせよ」サーシャがいつもの凛然たる口調で膝をつき、イッセイの前に頭を下げる。
「って、そんな仰々しくする必要ないだろ」イッセイが苦笑し、手を差し出す。「一緒に行こう、みんなで」
「当然でありますわ!」ルーナが胸を張って言うと、皆が一斉に笑った。
──
その夜、旅立ちを控えた仲間たちは、王都外れの小高い丘に集った。
焚き火がぱちぱちと音を立て、暖かな灯りが輪をつくる。
「ふぅ……火の音、落ち着くにゃん♪」ミュリルが焚き火に手をかざす。
「また明日からは、野営も増えるでしょうね」クラリスが薪をくべながら呟く。
「ふわふわ毛布持ってきたウサ。あと、泡立ち魔道石も!」フィーナが満面の笑みで取り出すと、ルーナが吹き出した。
「なにそれ、旅の装備じゃないじゃない!」
「癒しは重要だウサ!」
みんなが笑い、火の輪に寄り添った。
「……なあ、イッセイ」セリアがふと問いかけた。「この旅、どこまで行くつもりだ?」
「うーん……まだ分からない。けど、真実を知るまで。誰かが倒れるまで、じゃなくて、全員で帰ってこれるまで」
「それが、君の“冒険の定義”か」シャルロッテがどこか満足そうに微笑む。
「だったら、私たちも、それを信じるしかないわね」クラリスがそっと言い添えた。
焚き火の火花が夜空に舞う。
その一つ一つが、まるで旅路の始まりを祝うように、煌めいていた。
──そして、翌朝。
旅立ちの朝。青空に映える王都の門を背に、イッセイたちの影が伸びる。
「じゃ、行こうか。真実の向こうへ」
「うん!」
「にゃん!」
「ウサー!」
笑い声と共に、一行は歩き出す。
それは世界の秘密を追う旅。
命と希望と、かつてない危機の向こうに続く、新たな冒険の始まりだった――。
午後の陽光が赤く傾き、風に揺れる旗が音もなく翻る。
「……これで全員、揃ったな」
イッセイが静かに言うと、集まった仲間たちは一斉に頷いた。
クラリスは王立書庫から、ルーナは貴族街の施療院から、セリアは訓練場から、リリィは商会支部から、シャルロッテは精霊の森から、サーシャはヒノモトから、ミュリルとフィーナはそれぞれ教会と魔導学院から戻ってきたばかりだった。
それぞれの手には、小さな荷物と、それ以上に重みのある“想い”が握られていた。
「それじゃ……旅の前に、一つだけ言わせてくれ」
イッセイが皆を見渡す。夕陽の逆光にその瞳がきらりと光る。
「仮面の男が言っていた“魔王”。放っておけば、いずれ世界を飲み込む災厄になる可能性がある。俺たちは、これからそれに立ち向かう」
「封印……されているはずなんだよね?」リリィが眉をひそめる。
「うむ。だが問題は、その封印がどこで、誰によって、どれだけ保たれているか、だウサ」フィーナが重々しく返す。
「王立書庫では“千年前の聖女が封じた”とだけ記されていたけれど……詳細は教会の奥深くに秘匿されているらしいわ」クラリスが巻物を軽く掲げて補足する。
「だからこそ、聖教会の本拠がある聖都へ向かう。聖女、封印、魔王……真実に近づく旅だ」イッセイが頷いた。
「魔王……瘴気と同じ、いや、それ以上の禍々しさを感じるにゃ……」ミュリルがそっと口を押さえる。
「でも、行くんだろう?」セリアが少し照れくさそうに、でも凛とした声で言った。
「ええ。わたしたちは、もう止まらない」シャルロッテが目を細める。「森が、精霊たちが、世界が、ざわめいている。変わる時が来たの」
「……うむ。武の誓い、まだ果たしきっておらぬ。主よ、我も共に往かせよ」サーシャがいつもの凛然たる口調で膝をつき、イッセイの前に頭を下げる。
「って、そんな仰々しくする必要ないだろ」イッセイが苦笑し、手を差し出す。「一緒に行こう、みんなで」
「当然でありますわ!」ルーナが胸を張って言うと、皆が一斉に笑った。
──
その夜、旅立ちを控えた仲間たちは、王都外れの小高い丘に集った。
焚き火がぱちぱちと音を立て、暖かな灯りが輪をつくる。
「ふぅ……火の音、落ち着くにゃん♪」ミュリルが焚き火に手をかざす。
「また明日からは、野営も増えるでしょうね」クラリスが薪をくべながら呟く。
「ふわふわ毛布持ってきたウサ。あと、泡立ち魔道石も!」フィーナが満面の笑みで取り出すと、ルーナが吹き出した。
「なにそれ、旅の装備じゃないじゃない!」
「癒しは重要だウサ!」
みんなが笑い、火の輪に寄り添った。
「……なあ、イッセイ」セリアがふと問いかけた。「この旅、どこまで行くつもりだ?」
「うーん……まだ分からない。けど、真実を知るまで。誰かが倒れるまで、じゃなくて、全員で帰ってこれるまで」
「それが、君の“冒険の定義”か」シャルロッテがどこか満足そうに微笑む。
「だったら、私たちも、それを信じるしかないわね」クラリスがそっと言い添えた。
焚き火の火花が夜空に舞う。
その一つ一つが、まるで旅路の始まりを祝うように、煌めいていた。
──そして、翌朝。
旅立ちの朝。青空に映える王都の門を背に、イッセイたちの影が伸びる。
「じゃ、行こうか。真実の向こうへ」
「うん!」
「にゃん!」
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笑い声と共に、一行は歩き出す。
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命と希望と、かつてない危機の向こうに続く、新たな冒険の始まりだった――。
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