イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第19章 るる☆るん!小学生最後の夏休み、偶然のデート♡

胸がぎゅってなる、夏の午後

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 動物カフェを出ると、外はもう夕方の光になっていた。

 あんなに夢中で過ごしてたなんて、私……。



「楽しかった?」



「は、はいっ……! あの……すごく……!」



 つい声が裏返る。

 コウさんが横でふっと笑うから、余計に心臓が変な音を立てた。



「そっか。るるちゃんの笑顔、いっぱい撮れたし、取材は大成功だな」



「えっ……えっと……お仕事、ですもんね……」



 仕事、仕事……そう。これは取材なんだ。

 でも——心の奥で、違う言葉がひっかかる。



(でも……やっぱり、これ……デートじゃないの……?)



 だって、私とコウさんだけで、こんなにいっぱい思い出作っちゃって……。

 頭の中がくるくる回る。



 商店街を歩く途中、屋台でかき氷を売っているのが目に入った。

 夏の夕方の空気に、甘いシロップの匂いが混ざる。



「食べてく?」



「え、でも……もう夕方だし……」



「夏休みだし、いいんじゃない?」



 そう言って、コウさんが私にストロベリー味を買ってくれた。

 冷たくて甘酸っぱくて、口の中がきゅっとなる。



「……ん……おいしい……」



「ほら、口の横に……」



「えっ……?」



 コウさんの指が、私の唇の端を軽く拭った。

 その瞬間——



「っっ~~~!!」



 心臓が跳ねて、体温が一気に上がる。

 しかも、彼は何事もなかったかのように微笑んでいる。



「ストロベリー、似合うな」



(に、似合うって何ですかぁぁぁ!!)



 胸がぎゅってなるのを隠そうと、私は必死でかき氷を口に運ぶ。

 でも、もう味なんてほとんど分からない。

 ただ、さっきの指先の感触と、彼の優しい笑顔が頭から離れない。



(……こんな夏休みがあるなんて……知らなかった)



 海辺の遊歩道に出ると、夕陽がちょうど水平線に沈みかけていた。

 オレンジとピンクの光が海に反射して、きらきらしてる。



「わぁ……きれい……」



 思わず足を止めると、コウさんがカメラを構えた。

 風が私の髪を揺らして、ちょっと恥ずかしいけど……。



「るるちゃん、そのまま……はい、笑って」



「こ、こうですか……?」



 シャッター音が響くたびに、胸の奥がドキドキする。

 たぶん、海のきらめきより、私の顔が赤い。



 しばらく歩くと、小さな観覧車があった。

 夏休みだからか、人も少なくて、貸し切りみたい。



「乗ってみる?」



「えっ……ふ、ふたりだけで……?」



「せっかくの取材だし、上からの景色も撮りたいな」



 取材……うん、取材……。

 でも、観覧車って……デートの定番じゃないですか……!



 ゴンドラがゆっくり上がっていく。

 街も海も、夕焼けに包まれて小さく見える。

 私は窓の外を見て、胸がぎゅうっとなるのを隠した。



「るるちゃん、怖くない?」



「だ、大丈夫です……」



 隣の席に座るコウさんが、自然に私の手を支えてくれる。

 その手は大きくて、あったかくて——



(……あぁ……)



 このまま、時間が止まればいいのに。

 心の奥から、そんな言葉が浮かんでくる。



(……ずっと……一緒に……)



 唇が、ほんの少しだけ動いてしまう。



「ん……?」



「な、なんでも……ないですっ!」



 慌ててごまかすけど、彼の目が優しくて、逃げ場なんてない。

 夕焼けがゴンドラの中を染めて、甘い空気に溶けていく。



 観覧車が一番高い場所に来たとき、コウさんが言った。



「……るるちゃん。今日のこと、夏休みの思い出にしてくれると嬉しいな」



「っ……もちろんです……!」



 胸が熱くて、涙がこぼれそうだった。

 だって、こんな夏——きっと一生、忘れられない。
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