イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第19章 るる☆るん!小学生最後の夏休み、偶然のデート♡

ハプニングも、ふたりの思い出

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 観覧車を降りると、海風が少しひんやりしてきていた。

 私の心臓は、まだ観覧車の上みたいにふわふわしてる。



「次は……港のフードコートで軽く取材しようか。

 夜のライトアップも撮りたいし」



「は、はいっ……!」



 頭では「取材、取材」って思うのに、

 心の奥は「まだ一緒にいられる……」って喜んでる。



 フードコートで地元名物のソフトクリームを買って、

 コウさんがカメラを回し始めた。



「じゃあ、るるちゃん。食リポ、お願いしていい?」



「えっ、いきなり……!?」



「せっかくだし、夏休み特別動画の素材に使おうと思って」



 ——そうだ、これお仕事だった。

 私は深呼吸して、カメラに向き直る。



「えっと……港町限定の塩キャラメル味ソフトです!

 見てください、この……わっ、あっ……!!」



 その瞬間、ソフトクリームがポトリと私の手に落ちた。



「きゃあっ……!」



「うわ、手ベタベタだな。ほら、動かないで」



 コウさんがポケットからハンカチを取り出し、私の手を優しく拭ってくれる。

 顔が近い。指先が温かい。

 ——心臓の音、絶対聞こえてますよね……!?



「……ありがと、ございます……」



「ふふ、可愛いな」



 その一言で、頭の中が真っ白になる。



(あぁ……もう……これ、絶対デートだ……!)



 撮影を終えて、港のベンチに並んで座る。

 海面に街の光が反射して、キラキラしてる。

 隣のコウさんが、少し肩を寄せてきた気がした。



「……るるちゃん、今日の取材、いい映像いっぱい撮れたよ」



「わ、私も……楽しかったです……すっごく……!」



 本当は「楽しかった」じゃ足りない。

 胸の奥が、もう、恋でいっぱいなんだ。



 港の遊歩道に沿って、ライトがぽつぽつと灯っている。

 昼間の喧騒が嘘みたいに、夜の海は静かだった。

 潮の香りと、少し湿った風が頬を撫でる。



「るるちゃん、あっち行ってみようか」



 コウさんが指差した先は、桟橋の先端。

 街の灯りも遠くなって、ここだけ別世界みたいだ。



 夜景をバックに、カメラをセットして、コウさんが確認する。



「ここで最後のカットを撮ろう。……立てる?」



「だ、大丈夫ですっ」



 私は桟橋の手すりに寄りかかり、振り返る。

 波がゆるく打ち寄せて、足元がふわふわするみたい。



「るるちゃん、笑って」



 その声だけで、心臓が跳ねた。

 私は、ただの“仕事の笑顔”じゃなくて、

 ——本当に幸せな笑顔をしてしまったと思う。



 撮影を終えても、コウさんはすぐにカメラをしまわなかった。

 私の横に並んで、夜景を一緒に眺める。



「……こうやって見ると、海って本当に広いな」



「……はい……」



 横顔が、街灯に照らされて柔らかく見えた。

 声も、仕草も、ぜんぶ優しい。



(……これって、もう、お仕事じゃない……)



 心の奥がぽわっと温かくなる。

 この時間が、ずっと続けばいいって、思ってしまう。



「るるちゃん、寒くない?」



「……少しだけ……」



 言った瞬間、コウさんが自分のジャケットを肩にかけてくれた。



「じゃあ、これ着てて。風、冷たいから」



「っ……!」



 胸がぎゅうっと締め付けられる。

 大きなジャケットに包まれて、香りまで近くて——



(あぁ……もう……完全に、デートだ……)



 理性なんて、もうどこかに飛んでいった。



 夜景の光が揺れる海を眺めながら、私は小さく呟いた。



「……この夏……いちばんの思い出です……」



「え?」



「な、なんでもないですっ!!」



 顔を真っ赤にしてごまかす私を見て、コウさんが笑う。

 その笑顔は、花火みたいに胸の中ではじけた。
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