イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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最終章 第二話 すべての“好き”が、君への道標だった

二人で描く未来予想図

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女王・不知火夜々がステージに残した、気高くも切ない愛の残響。

その感動的な空気に満たされた会場は、しかし、次の瞬間、全く別の種類の熱狂によって塗り替えられることになった。



ステージが暗転し、数秒の静寂。

その静寂を切り裂くように、軽快で、それでいてパワフルなビートがスピーカーから爆音で鳴り響いた。観客の持つサイリウムが一斉に点灯し、フロアが揺れる。

ステージの両端に、二つのスポットライトが灯った。



「みんなー!準備はいいかー!?LinkLiveの“今”を、アタシたちが創り上げてやるぜー!」



片方のライトの中に現れたのは、DJブースのようなセットの前に立つ、ヘッドセットを首にかけた葛城メグだった。

その表情は、いつもの“限界オタク”のそれではない。

数万の観客を前に、一切の物怖じも見せない、自信に満ちたパフォーマーの顔だ。



もう片方のライトの中には、複数のモニターと複雑な機材に囲まれた、真白みなとが静かに佇んでいた。アートギャラリーのキュレーターのような、知的でクールな雰囲気。

その指先は、すでにコンソールの上で、これから始まる幻想の世界を紡ぎ出す準備を整えていた。



メグの煽りと共に、フロアのボルテージは最高潮に。彼女が繰り出すアップテンポなBGMに合わせ、みなとが操るプロジェクションマッピングが、ステージ全体を、そして会場の壁面全てを、幻想的な異空間へと変えていく。



メグがドロップしたのは、俺たちの始まりの曲――ひよりとレイのユニット結成時に作られた、懐かしいジングルをサンプリングしたリミックスだった。

その音に合わせて、みなとの映像がステージに無数の“ひよこ”を降らせる。



ひよこたちはやがて光の粒子となって弾け、夜々先輩のデビュー曲のフレーズが流れると、ステージには黒い薔薇が咲き乱れ、そして美しく散っていった。



情熱的なメグの“音”と、冷静沈着なみなとの“光”。

水と油のように対照的な二人の才能が、このステージの上で、奇跡的なシンクロを見せていた。



鯨が宙を舞い、星が降り注ぎ、俺たちがこれまで紡いできた思い出の断片が、万華鏡のようにキラキラと輝きながら、会場を包み込んでいく。



ステージ袖で見守る俺は、ただただ圧倒されていた。いつの間に、彼女たちはこんなものを創り上げていたんだ。

俺を巡って、どこかギクシャクしていたはずの二人が、今は互いの才能を完璧に信頼し合い、ゼロから一つの“最高”を創り上げている。



やがて、激しいビートが少しだけ落ち着き、MCタイムへと移行する。

汗を光らせ、息を切らしながらも、メグは最高の笑顔でマイクを握りしめて叫んだ。



(ここから、メグ視点)



すごい……楽しい……。コウくんを見てるだけじゃなくて、コウくんを輝かせるだけじゃなくて……。みなとさんと一緒に、たった二人で、この広いステージを、私たちの“好き”で埋め尽くしてる。これが、アタシのやりたかったこと……?推しを支えるだけじゃない。隣に立つクリエイターとして、一緒に、未来を創ること……!



「アタシ、ずっと“推し”を支えるのが自分の役目だって思ってた!でも、違った!こうして相棒と、ゼロから“最高”を創り上げるのって、マジで最高に楽しいッス!」



続いて、みなとも静かにマイクを握る。

その声は、いつもより少しだけ、熱を帯びていた。



(ここから、みなと視点)



……合理的じゃない。葛城さんの情熱は、私の計算をいつも超えてくる。

でも、その予測不能な変数が、私の創る世界を、もっと面白くしてくれる。

……心地いい。この、不完全な調和が。一人で目指す完璧な世界より、ずっと……。



「……一人で完璧を目指すより、二人で最高の未完成を作るほうが、面白い。……そう、気づかせてもらいました。ここが、私の新しい居場所かもしれない」



二人は、視線を交わし、強く頷き合う。

それは、恋のライバルとしてではなく、唯一無二のクリエイター仲間としての、固い絆の証だった。

その光景に、会場からは温かい拍手が送られる。



ステージ袖で見ていた俺は、胸が熱くなるのを感じた。

彼女たちはもう、俺という太陽の周りを回る惑星じゃない。



自分自身の力で輝き始めた、二つの新しい恒星だった。俺がいなくても、彼女たちはもう大丈夫だ。

そう思うと、少しだけ寂しくて、でも、それ以上にどうしようもなく誇らしかった。



パフォーマンスは、最後の曲へ。二人が創り出した光と音の渦は、会場の熱狂を最高潮へと導き、そして、美しい余韻と共に幕を下ろした。

ステージの上で、背中合わせに立つ二人の姿は、最強のバディのように、輝いていた。
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