イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。

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第7章『《るる☆るん!》の初恋研究レポート』

『これはまだ、秘密の好き。――でも、いつか必ず』

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日曜日の昼下がり。

晴れた空の下、洗濯物がふわふわ風に揺れている。



ベランダ越しに、空を見上げた。

真っ白な雲が流れていく。



(……このまま、どこか遠くに行けたらいいのに)



わたし、白瀬るる。11歳。小学6年生。

“天才キッズVtuber”なんて言われるけど――

わたしの中には、もっとぐちゃぐちゃな気持ちがある。



「……よし、今日も撮るかっ!」



部屋に戻って、自撮りスタンドの位置を調整する。

次の企画は“学校では教えてくれない大人の言葉講座”。

見た目はうさ耳、でも中身は真剣。

そんな“ギャップ”を武器にしてきたわたしだけど――



(あの時のるるは、ギャップでも演技でもなかった)



思い出すのは、あの日の配信。

「ただいま」の声。

「好きだよ」のセリフ。

そして――「うん、待ってるよ」って、返してくれたあの人の言葉。



……コウさん。



いや、配信中は“レイくん”だったけど。

あの時のわたしは、演じてなんかいなかった。



“嬉しい”が、“楽しい”を追い越して――

“好き”って言葉を、心の中で何度も繰り返してた。



 



学校では、相変わらずみんな子どもっぽくて、恋バナなんてからかい合いばっかり。

でも、わたしはもう知ってしまった。

もっとずっと、胸の奥を熱くしてくる、“ほんとのドキドキ”を。



(……でも、この気持ちを言葉にしちゃったら、壊れちゃう気がする)



だって、わたしはまだ11歳。

コウさんは、わたしのことを“子ども扱い”しなかったけど、

だからって“恋人”になれるわけじゃない。



でも――



「……るるは、ぜったいに追いつくって決めたんだから」



この気持ちに、ウソはつきたくない。



 



机の引き出しから、ノートを取り出す。

薄い水色の表紙。手書きのタイトル。



《初恋研究ノート》



何ページ目かに、新しいタイトルを書き足す。



《観察記録5:今の気持ちは、“好き”って言ってもいいですか?》



ノートには、きれいな字でこう書いた。



■研究対象:天城コウ(=V名義レイ)



・第一印象:落ち着いた声。助けてくれた時、すごく安心した

・再会時:優しかった。目を合わせて話してくれた

・恋人ごっこ配信:あの声で「おかえり」って言われた瞬間、心臓が暴れた

・通話:声を聞いただけで、夜が特別になった。

→【仮説】これは“恋”という感情に近い



そして、最後にこう書いた。



《まだ言わない。けど、この気持ちはきっと嘘じゃない。》



《いつか、“本当の好き”として、ちゃんと伝える。》



 



午後、配信を終えたあと、るるはもう一度X(旧Twitter)を開いた。



《#レイるる恋人ごっこ》はまだトレンド入りしていて、切り抜き動画は100万再生を突破していた。



《るるちゃん、完全にヒロインだった》

《これ、リアルに恋しちゃってるよね?》

《将来この二人がほんとに結婚してたら泣くわ》



ひとつひとつのコメントが、胸の奥に刺さる。

だけど、それ以上に――



(……わたし、ちゃんと誰かに“見てもらえた”んだ)



そう思えることが、何より嬉しかった。



 



ベッドに転がって、天井を見上げる。

目を閉じると、あの声が聞こえる気がした。



「……また、配信で会おうね。レイくん」



でもそのときには、ただの演技じゃなく――

ちゃんと“本物のるる”で、隣に立てたらいいなって思う。



わたしの“好き”は、まだ秘密。

でも、きっといつか――必ず。



 



そのページを、そっと閉じた。
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