【R18】異世界帰りのSSS級勇者、うっかりMAXにした【魅力】スキルで日常が崩壊する ~魔王は倒せたけど、ヒロイン達からは逃げられない?

のびすけ。

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第八章 ハーレムな日常と、八百階層の追憶

死闘の果て、世界が揺らぐ時

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ギゴゴゴゴ……と地響きのような音を立てて、八百階層の扉が開く。 
そこに待ち受けていたのは、漆黒の鎧を全身に纏った巨大な騎士――『アビス・ロード』だった。

(こいつは…!) 

僕の背筋に、懐かしくも冷たい緊張が走る。 
その巨体から放たれる威圧感は、以前戦ったオーガの比ではない。
本物の、死線を越えてきた者の風格だ。

「オオオオオオオオオオオッ!」

地獄の底から響くような雄叫びと共に、アビス・ロードが身の丈ほどもある巨大な剣を振り下ろす。 
ズドンッ!と床が砕け、その風圧だけで僕たちの髪が激しく揺れた。

「(陽奈美、みんな…!)」 

僕は一歩後ろに下がり、いつでも介入できるよう魔力を練りながら、彼女たちに戦場を委ねる。

「みんな、行くよ! 事前の打ち合わせ通り、プランA、開始!」 

司令塔は陽奈美だ。彼女の凛とした声が、緊迫したフロアに響き渡る。

「はいっ!」 

「承知!(アル!)(ですわ!)」

四人が、完璧なフォーメーションで散開する。 

「エレオノールさん、まずは耐えて!」 

「お任せを!――【セイクレッド・ウォール】!」 

エレオノールが神聖な光の盾を展開し、ボスの強烈な一撃を真正面から受け止める。 
キィィンッ!と甲高い音が響き、彼女の足が床にめり込むが、倒れない。

「今! 麗華!」 

「奥義!――【百裂脚(ひゃくれつきゃく)】!」 

麗華の目にも留まらぬ蹴りが、ボスの鎧の隙間、関節部分に的確に叩き込まれていく。 

「凛花さん、詠唱!」 

「承知しましたわ!――【アイス・ランス】!」 

凛花が放った氷の槍が、麗華が作った隙間に吸い込まれ、ボスの体勢をわずかに崩す。

「(いいぞ、完璧な連携だ…!)」 

序盤はまさにお手本通り。陽奈美の的確な指示と、三人の見事な連携で、確実にボスのHPを削っていく。

だが、ボスのHPが半分を切った、その瞬間。 
アビス・ロードの兜の奥で、二つの赤い光が、不気味に輝いた。

「(来る…! アルゴリズムの変更だ!)」 

僕が警告するより早く、ボスが剣を床に突き立てた。 

「なっ…!? 事前データにない動き――」 

凛花さんの声が、轟音にかき消される。

「オオオオッ!」 

ボスを中心に、黒い衝撃波が円形に広がり、続けて無数の闇の触手が床から突き出した! 

「きゃあっ!?」 

「しまっ…! 避けきれないアル!」 

予想外の広範囲攻撃に、後衛の陽奈美と凛花が吹き飛ばされそうになる。

「くっ…! わたくしが盾となりますわ!」 

その瞬間、エレオノールが二人の前に飛び出し、自らの大盾を構えた。 

「――【イージス・ディヴァイン】!」 

最大防御スキル。
だが、闇の触手の猛攻は、彼女の神聖な盾すらもミシミシと軋ませる。

「(まずい、あの一撃は重い…!)」 

僕は即座に、誰にも気づかれないよう、エレオノールの盾に一瞬だけ【物理障壁(フィジカル・バリア)】の魔法を上乗せする。 

「…ッ! なんとか、防ぎきれま…したわ!」 
(ナイスだ、エレオノール。でも、次はないぞ…!)

「みんな、立て直して! ポーション!」 

陽奈美が即座に指示を飛ばし、全員が一度距離を取る。 

「凛花さん! 今の攻撃パターン、分析できる!?」 

「…ッ! 完了しましたわ! 剣を床に突き立てるのがチャージの合図! その後、衝撃波と触手の二段構え(ツーフェイズ)です!」

「わかった…!」 

陽奈美は一瞬で思考を切り替える。
その瞳には、もう迷いはない。 

「麗華は、チャージモーションに入ったら即座にボスの背後へ回り込んで! エレオノールさんは、衝撃波に合わせて防御スキルを発動、触手は気合で避けて!」 

「無茶言うネ!」

「承知!」

「凛花さんは、あたしの回復(ヒール)が届かない麗華の補助を!」 

「最適解ですわ!」 

「よし…行くよ、仕切り直しだ!」

陽奈美の修正指示は、的確だった。 
戦いの流れが、再びこちらに傾いていく。 

チャージモーションを見極め、回避し、反撃する。 
終始、僕たち(いや、彼女たち)が優勢となり、アビス・ロードの動きが目に見えて鈍くなってきた。 
いよいよ、終盤だ。

アビス・ロードのHPが残り三割を切った、その時だった。 
ボスの動きが、止まる。 

「(…来る!)」 僕が警戒する中、アビス・ロードは持っていた大剣を捨て、その漆黒の鎧から、禍々(まがまが)しいオーラを放ち始めた。 

「アルゴリズム変更…! 防御行動を一切無視! 玉砕覚悟の、全攻撃(オールアウト)パターンですわ!」 凛花の分析が飛ぶ。 
ここからが、本当の本番だ。

「陽奈美!」 

「分かってる! 全員、強化(エンハンス)切らさないで!

――【フィジカル・ブースト】!【ヘイスト】!」 

陽奈美の支援魔法が、再び全員の身体能力を極限まで高める。

「分析継続…! 敵の魔力循環が一点に集中…鎧の接合部、首筋の第三頸椎! 今、そこが一番薄い!」 
凛花の的確な分析が、一瞬の急所を暴き出す。

「わたくしが道を切り開きますわ!――聖技!グラン・クロス!」 

「そこアル!――奥義! 天穿龍脚(てんせんりゅうきゃく)!」

エレオノールの聖なる光を纏った剣が、漆黒のオーラを切り裂き、麗華の龍の如き蹴りが、寸分の狂いもなく凛花が示した急所へと叩き込まれた。 

(すごい、完璧な連携だ…!) 異世界での僕のパーティーにも劣らない、研ぎ澄まされた連携。

だが、アビス・ロードは倒れない。 

「オオオオオッ!」 絶叫と共に、鎧の隙間という隙間から、無数の黒い触手が鞭のように放たれ、四方八方へと薙ぎ払われた!

「くっ…!」 「きゃっ…!」

カウンターを予測しきれなかった前衛の二人、エレオノールと麗華が、まともに衝撃を受け、弾き飛ばされる。 

「(まずい! 追撃が来る!)」 

僕の身体が、思考より早く動いていた。 
吹き飛ばされた二人の前に瞬時に割り込み、迫りくる触手の群れを、抜き身の剣で(いや、もはや手刀で)一瞬にして全て叩き斬る。

「…え?」 

「翔太(さま)…?」 

「前を向け! ボスが体勢を崩してるぞ!」

僕が介入したことで生まれた、ほんの一瞬の隙。 

(強い…! こいつは、俺が思っていたより遥かに格上だ!) 

だが、エレオノールは即座に立ち上がった。 

(わたくしたちが、超えられない壁じゃありませんわ!)

攻め、守り、そして再び攻める。 
全員が満身創痍(まんしんそうい)になりながらも、その心は折れない。 
そして、ついにその時が来た。

アビス・ロードが、残った全ての魔力を集約するように、その両手を天に掲げた。 
部屋全体が、闇の魔力で軋(きし)み始める。 

(最大の攻撃(アルティメット)が来る…!)

「みんな、ここが分かれ道だよ!」 

陽奈美も、この戦いの分水嶺(ぶんすいれい)だと悟った。 
彼女は自らのありったけの魔力を振り絞り、最後の奥義を放つ。

「あたしの全部、みんなにあげる!――【オール・エンハンスメント】!!」

陽奈美の最大付与魔法が、金色の光となって三人に注がれる。 
身体が内側から弾けそうなほどの、規格外の力がみなぎる。

「エレオノール、麗華! 最大の一撃を!」 

「承知!」 

「応!」 

「凛花! 最大の攻撃魔法、準備!」 

「詠唱(チャージ)、開始しますわ!」

アビス・ロードの最大の攻撃――漆黒の破壊光線が、解き放たれる!

「わたくしを行かせなさいッ!――【イージス・ディヴァイン】!!」 

エレオノールが、その身一つで光線の前に躍り出る。 
彼女の究極の「守り」の奥義である神聖な盾が、漆黒の破壊と激突する。

「ぐ、ううううううっ…!」 

ミシミシと、盾が、いや、空間そのものが軋むほどの力と力の衝突。 
だが、エレオノールは、その一歩も引かなかった。

「今よっ!!」 

陽奈美の絶叫が響く。

「うおおおおおっ! 奥義・真ッ! 龍王撃(りゅうおうげき)アル!」 

エレオノールが作り出した、ほんの一瞬の隙。 
がら空きになった胴体へ、麗華のありったけの闘気を込めた渾身の一撃が、光を纏って突き刺さった!

「ナイス、二人とも下がって!」 

エレオノールと麗華が、即座に離脱する。 
硬直したボスへ、詠唱を完了した凛花の、最大魔法が炸裂する。

「これが、わたくしの…『最適解』ですわ!――【天(アマツ)・ノ・裁キ(サバキ)】!!」

天から降り注いだ神罰のような極光が、アビス・ロードの巨体を直撃した。

「オオオオオ……ガ……ッ……!」

ボスが、苦悶の声を上げる。 
だが、まだだ。

「(まだ、倒れない…!)」 

僕がそう直感したのと、彼女たちが動いたのは、同時だった。 

「「「「今、ここで、決めるッ!!」」」」 

血反吐(ちへど)を吐くほど、四人が来る日も来る日も練習した、最後の切り札。 
四人の心を、技を、一つに束ねる、合体技(コンビネーション・アーツ)。

「「「「――OATH・UNDER・VICTORY(勝利への誓い)!!」」」」

陽奈美の支援、エレオノールの守護、凛花の知性、麗華の破壊。 
その全てが一つになった純白の光が、アビス・ロードを貫いた。

漆黒の騎士は、まるで奇跡でも見たかのように動きを止め。 
やがて、その巨体がゆっくりと膝から崩れ落ち、光の粒子となって、静かに消えていった。
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