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10 初ダンジョン、inギルド
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その頃ギルドでは━━━
「レイはまだ帰ってないのか?昼過ぎには終わる依頼だったがもう夕方だ。コハクももうすぐ帰ってくるだろ」
「そうだよな、ベルグ。レイ程の実力者なら午前で終わってもおかしくない依頼だったのに」
そこへ真っ青になったギルドの事務員が駆け寄ってきた。
「あの……!私、私ミスを……この依頼書の文字を、本来東と書くところを西と書いてしまって!」
「どれだ?ああ、大丈夫だよ。こんな場所に行くバカはいない、次から気をつければいいさ」
「……まて、まさかそれをレイに渡したのか?」
「はい……っすみません!私も今気づいて……!」
まずい、非常に。
この依頼書に従えば、辿り着くのはあのダンジョン。元々は初めてのダンジョン攻略にも適した難易度の低いものとして使われていたのだが、極わずかな確率で裏ボスが出現、発覚するまでに少なくない犠牲を残し、冒険者の間ではもう知らない人は居ないほど有名なダンジョン。
だがもし、レイが知らなかったら……?
「っでも、裏ボスが出る確率なんてないに等しいじゃないか!」
「もし通常だったら、レイなら直ぐに攻略して帰ってくるはずだ」
「そんな……私が、私のせいです……!」
ギルドの空気が重く沈んでいく。
「おーい、ギルマス~レイの兄ちゃん知らないか?コハクと一緒に家に行ったんだけどいなくてよ」
「夕方までには絶対帰ってくるって言ってたんだけど……今日俺の大好きなシチュー作ってくれるんだ」
「コハク……あのな、レイは今すごく強い魔物と戦ってるかもしれなくてな。だから、少し帰りが遅くなってるだけだと思うぞ」
「……ほんと?なんか、みんな変だよ?」
下を向き、拳を握りしめる。
「ねえ!レイは?!レイは、どうなったの?!」
「落ち着けコハク、まだわからない」
「クリアして外で動けなくなってる可能性もある、直ぐに向かうぞ」
「「「「「おう……!」」」」」
「そうだ、レイなら大丈夫だ」
「ああ」
皆口々に声を上げる、たとえそれが空元気だとしても、そうでもしないと動けないのだ。
どうか……どうか生きていてくれ……!
ガタン、ギルドの扉が誰かが叩いたような音をたてて開いた。
「はあ……っただいま」
「「「「「「……え?」」」」」」
「なんだ、幽霊でも見たような顔して……確かに落ち武者みたいな格好だけど」
「レイ!血の匂いがする……大丈夫なの!?」
「コハク……心配かけてごめんな……!軽い切り傷がかなりできて、ポーションで止血はして来たけど着物が大惨事で……あとちょっと、増血剤貰えないか?クラクラするんだ」
「……よく無事で帰ってきてくれたな」
「なんか裏ボス?のでっかいドラゴンが出てきちゃって、だいぶ苦戦した」
「倒したのか?」
「額の魔石を砕いたし、報酬も出たから恐らく」
「額の魔石だと?……それは伝説級の魔物にしかない宝玉じゃないか?普通の魔石と色が違っただろ」
「確かにそうだったな、俺も必死だったけど珍しい色だったし覚えてる」
「はあ……何はともあれ帰ってきてくれて良かった、話は明日にしよう、今日はギルドで面倒見るから休め」
「レイ……触っても大丈夫?」
「怪我はいいけど、着物がほぼ血まみれのボロ布と化してるから汚れるぞ」
「そんなのいいの……!」
「コハク……」
抱きしめ合う2人を前にしたギルドの面々は、眩い光景に目が潰れる寸前だった。
「なにあれ……聖母?」
「聖戦を終えての抱擁か……?」
「尊すぎる……」
ぐらり、レイの体が傾き、コハクにもたれかかった。目を閉じ、寝息をたてている。
「レイ……!」
「お前に会えて安心したんだろ、大事にされてるな、コハク」
「ぐすっ……うん!」
「よし、ほらちんたらしてないで動け!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「レイはまだ帰ってないのか?昼過ぎには終わる依頼だったがもう夕方だ。コハクももうすぐ帰ってくるだろ」
「そうだよな、ベルグ。レイ程の実力者なら午前で終わってもおかしくない依頼だったのに」
そこへ真っ青になったギルドの事務員が駆け寄ってきた。
「あの……!私、私ミスを……この依頼書の文字を、本来東と書くところを西と書いてしまって!」
「どれだ?ああ、大丈夫だよ。こんな場所に行くバカはいない、次から気をつければいいさ」
「……まて、まさかそれをレイに渡したのか?」
「はい……っすみません!私も今気づいて……!」
まずい、非常に。
この依頼書に従えば、辿り着くのはあのダンジョン。元々は初めてのダンジョン攻略にも適した難易度の低いものとして使われていたのだが、極わずかな確率で裏ボスが出現、発覚するまでに少なくない犠牲を残し、冒険者の間ではもう知らない人は居ないほど有名なダンジョン。
だがもし、レイが知らなかったら……?
「っでも、裏ボスが出る確率なんてないに等しいじゃないか!」
「もし通常だったら、レイなら直ぐに攻略して帰ってくるはずだ」
「そんな……私が、私のせいです……!」
ギルドの空気が重く沈んでいく。
「おーい、ギルマス~レイの兄ちゃん知らないか?コハクと一緒に家に行ったんだけどいなくてよ」
「夕方までには絶対帰ってくるって言ってたんだけど……今日俺の大好きなシチュー作ってくれるんだ」
「コハク……あのな、レイは今すごく強い魔物と戦ってるかもしれなくてな。だから、少し帰りが遅くなってるだけだと思うぞ」
「……ほんと?なんか、みんな変だよ?」
下を向き、拳を握りしめる。
「ねえ!レイは?!レイは、どうなったの?!」
「落ち着けコハク、まだわからない」
「クリアして外で動けなくなってる可能性もある、直ぐに向かうぞ」
「「「「「おう……!」」」」」
「そうだ、レイなら大丈夫だ」
「ああ」
皆口々に声を上げる、たとえそれが空元気だとしても、そうでもしないと動けないのだ。
どうか……どうか生きていてくれ……!
ガタン、ギルドの扉が誰かが叩いたような音をたてて開いた。
「はあ……っただいま」
「「「「「「……え?」」」」」」
「なんだ、幽霊でも見たような顔して……確かに落ち武者みたいな格好だけど」
「レイ!血の匂いがする……大丈夫なの!?」
「コハク……心配かけてごめんな……!軽い切り傷がかなりできて、ポーションで止血はして来たけど着物が大惨事で……あとちょっと、増血剤貰えないか?クラクラするんだ」
「……よく無事で帰ってきてくれたな」
「なんか裏ボス?のでっかいドラゴンが出てきちゃって、だいぶ苦戦した」
「倒したのか?」
「額の魔石を砕いたし、報酬も出たから恐らく」
「額の魔石だと?……それは伝説級の魔物にしかない宝玉じゃないか?普通の魔石と色が違っただろ」
「確かにそうだったな、俺も必死だったけど珍しい色だったし覚えてる」
「はあ……何はともあれ帰ってきてくれて良かった、話は明日にしよう、今日はギルドで面倒見るから休め」
「レイ……触っても大丈夫?」
「怪我はいいけど、着物がほぼ血まみれのボロ布と化してるから汚れるぞ」
「そんなのいいの……!」
「コハク……」
抱きしめ合う2人を前にしたギルドの面々は、眩い光景に目が潰れる寸前だった。
「なにあれ……聖母?」
「聖戦を終えての抱擁か……?」
「尊すぎる……」
ぐらり、レイの体が傾き、コハクにもたれかかった。目を閉じ、寝息をたてている。
「レイ……!」
「お前に会えて安心したんだろ、大事にされてるな、コハク」
「ぐすっ……うん!」
「よし、ほらちんたらしてないで動け!」
「「「「「「はい!」」」」」」
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