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ひとしきり泣いた後、まだ布団から出る気力もなく、そのままぼんやりとしていた。気がつくと、外はもう暗くなりかけている。少し眠ったのかもしれない。時間は夕方に近かった。
薄い敷布団の下から低い声がする。真帆の部屋の真下は居間になっていた。布団に耳を押し当てると、伯父と伯母が言い争っているのがわかった。
「お前だって、ずいぶんいい思いしたはずだぞ」
「あなた、こういうことになるなんて一言だって言わなかったじゃない」
「俺のせいだって言うのかよ」
「そうよ。あなたのせいでしょ。違う?あなたが、あんな話持って来なかったら、今、こんな面倒なことになってないわよ」
「お前、よくそんなこと言えるな!配当金を自分一人でほとんど使っておいて」
「あなたがいいって言ったんじゃない!それに、あなただって、海外旅行行ったじゃない。夢だったってあの時言ってたわよ。行ってみたかったんでしょ」
「全部持って来い!あの金で買ったグッチもシャネルも全部!」
「嫌よ!」
「うるさい!調子に乗って、あの金全部使いやがって!」
「また儲かるって言ったからよ。あなたが騙されるから悪いのよ」
「お前だって、こんないい話ないって、飛びついたじゃないか」
「それは、あなたが、いいことばっかり私に聞かせたからでしょ。こんなボロの店やってたって、一生、海外旅行なんて行けないし、ブランドのバック一つだって買えやしないわよ。それがわかってたから……」
「つけこまれたんだ」
伯父の言葉の後、二人は沈黙した。夫婦の答えが出た。最後の言葉で、なぜ自分たちがこんな目に合っているのか、二人同時に答えを得たようだった。
しかし、真帆にはそんなことはどうでもよかった。結果的に被害を被るのは、伯父たちではなく、真帆ではないか。
ようやく布団から起き上がると、自分の学習机に向かった。机上の電気スタンドの明かりを点ける。蛍光灯の白色の明かりには寒々しさを感じる。椅子に座ると、一番大きな引き出しに手を伸ばす。そこには、菓子の類がしまってある。時折こづかいで買っては、溜めこんでいたものだ。朝から何も食べていない。どんな不幸な境遇に陥ろうと、空腹は耐えがたい。ビスケットの入ったビニールの口を開けると、次々にビスケットをほおばった。口の中に甘さが広がっていく。食べなければ生きられないのだ。ひどく当たり前のことを実感する。
「ぼくらはみんな生きている。生きているから、笑うんだ。」
泣きすぎて枯れたかすれ声で、聞きなれたメロディを口ずさむ。
今、自分は生きている。こんな笑えない情況でも。体に流れ込んでくるビスケットのかけらを胸らへんに感じながら、真帆は震えた。
薄い敷布団の下から低い声がする。真帆の部屋の真下は居間になっていた。布団に耳を押し当てると、伯父と伯母が言い争っているのがわかった。
「お前だって、ずいぶんいい思いしたはずだぞ」
「あなた、こういうことになるなんて一言だって言わなかったじゃない」
「俺のせいだって言うのかよ」
「そうよ。あなたのせいでしょ。違う?あなたが、あんな話持って来なかったら、今、こんな面倒なことになってないわよ」
「お前、よくそんなこと言えるな!配当金を自分一人でほとんど使っておいて」
「あなたがいいって言ったんじゃない!それに、あなただって、海外旅行行ったじゃない。夢だったってあの時言ってたわよ。行ってみたかったんでしょ」
「全部持って来い!あの金で買ったグッチもシャネルも全部!」
「嫌よ!」
「うるさい!調子に乗って、あの金全部使いやがって!」
「また儲かるって言ったからよ。あなたが騙されるから悪いのよ」
「お前だって、こんないい話ないって、飛びついたじゃないか」
「それは、あなたが、いいことばっかり私に聞かせたからでしょ。こんなボロの店やってたって、一生、海外旅行なんて行けないし、ブランドのバック一つだって買えやしないわよ。それがわかってたから……」
「つけこまれたんだ」
伯父の言葉の後、二人は沈黙した。夫婦の答えが出た。最後の言葉で、なぜ自分たちがこんな目に合っているのか、二人同時に答えを得たようだった。
しかし、真帆にはそんなことはどうでもよかった。結果的に被害を被るのは、伯父たちではなく、真帆ではないか。
ようやく布団から起き上がると、自分の学習机に向かった。机上の電気スタンドの明かりを点ける。蛍光灯の白色の明かりには寒々しさを感じる。椅子に座ると、一番大きな引き出しに手を伸ばす。そこには、菓子の類がしまってある。時折こづかいで買っては、溜めこんでいたものだ。朝から何も食べていない。どんな不幸な境遇に陥ろうと、空腹は耐えがたい。ビスケットの入ったビニールの口を開けると、次々にビスケットをほおばった。口の中に甘さが広がっていく。食べなければ生きられないのだ。ひどく当たり前のことを実感する。
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泣きすぎて枯れたかすれ声で、聞きなれたメロディを口ずさむ。
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