捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される

あさの紅茶

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4.雨の中の救世主

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「さて、ここで提案ですが、僕と結婚しませんか」

「えっ! 結婚?!」

突拍子もない言葉に驚きすぎて、先ほどまでメソメソしていた涙も引っ込んだ。目を丸くして穂高さんを見るが、彼はいつも通り爽やかに微笑む。どうやら聞き間違いではないらしい。

「結婚というのはまだまだ社会通念的に強いですし、法律の面でも何かと有利に働きます。前にもお伝えしたかと思いますが、結婚していない恋愛関係については法律による規制はありません。逆に結婚している方が法律の規制があるので、莉子さんが結婚しているという事実は彼らにとって不利になります。そうなると、彼らは莉子さんに手出しできない」

ごくり、と息を飲む。
穂高さんの口調は終始穏やかだ。でも言っていることは過激だと思う。こんなの、偽装結婚のようなものじゃないか。

「でもそんなこと……いけないのでは?」

「いけないかどうかは、僕たち次第です」

「穂高さんに迷惑をかけたくないです」

「僕は今まで莉子さんに迷惑をかけられたことはないですよ。むしろ迷惑をかけられたいとすら思っています」

「ええっ、な、なんで……」

「僕は莉子さんに助けられたことがある。だから今度は僕が莉子さんを助ける番です。いつか恩返しがしたいと思っていました」

穂高さんは顎に手をやり、妖しく笑った。そんな彼の仕草は妙に色っぽくて困る。ドキドキと鼓動が速くなっていく。

「でもそれだと穂高さんは何も得しないし、リスクが大きいのでは?」

「得しかないですし、リスクは何も無いですね。言ったでしょう、恩返しがしたいと」

そう言われても、私には何も思い当たるフシがない。私が穂高さんに助けられたことはたくさんあるけれど、私が穂高さんを助けたことなんて一度もないからだ。

だって、ソレイユのオーナーと常連客という間柄だもの。穂高さんがソレイユに来てくれて、私が接客をする。それ以上のものはないのだから。
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