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二章◆お姫様みたい◆
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しおりを挟む琴葉の姿を見ても雄大は何も言わず、むしろ口元を押さえて黙りこくっているので、琴葉は居たたまれなくなっておずおずと口を開く。
「あ、あの。どうでしょうか?」
「想像以上でびっくりした。とても綺麗だ。」
自分でどうとか聞いておきながら、“綺麗だ”なんて返されて、琴葉は胸がドキドキと高鳴ってしまう。
「しまったな、個室にすればよかった。」
「?」
「こんな可愛い琴葉、一人占めしたい。」
”可愛い”だとか“琴葉”と突然の名前呼びに、とたんに頬がぼぼぼっと熱を持つのがわかって、それが更に琴葉のドキドキを加速させる。
「惚気るなら外でやってちょうだい。琴葉ちゃんお腹すくでしょう。」
綾菜が雄大をバシッと叩き、雄大は「いてっ」と毒づく。
「ああ、ごめん。それでは行こうか、お姫様。」
お姫様と呼ばれた琴葉はスマートに手を引かれ、本当にお姫様になったような錯覚を起こしたが、慌てて我に返って綾菜の方を向く。
「あ、あの、ここのお金っ。」
「いらないわよ。なんなら後で雄大からふんだくっておくから気にせずに楽しんで来てね。」
焦る琴葉とそんなことお構いなしな雄大に苦笑しながら、綾菜はヒラヒラと手を振って二人を送り出した。
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