小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶

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二章◆お姫様みたい◆

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嬉しいやら照れくさいやらな気持ちが渦巻いて胸がいっぱいになり、気持ちが溢れ出てくる。
琴葉は俯きながらも今まで誰にも言えなかった気持ちを吐露した。

「そんな風に言ってもらえて嬉しいです。私、まだまだ半人前で、本当は一人でお店をするのが怖いんです。何度も辞めようって思って、でもその度にminamiのパンが好きって言ってくださるお客様を思い出して…。半分は意地でここまでやってきました。今日、早瀬さんにそう言ってもらえて、私これからも頑張れそうです。」

ぐすっと鼻をすすりながらも笑顔を向けると、雄大は殊更優しい視線を送りながら琴葉の目尻を拭う。

「琴葉、好きだよ。」

そのまま優しい口調で言われ、琴葉は一瞬時が止まった。

「えっ、あのっ。」

「キスしたい。」

そっと耳元で囁かれたその言葉は琴葉にとっては刺激が強すぎて思わず椅子を引いて身構えるが、雄大がそれをまた強引に引き寄せる。

「い、いやいやいや。何をおっしゃっているんですか。ここではダメです。」

カウンター席なので、大将からも他の客からも丸見えだ。
そんなところに座っているのにキスとかあり得ないし、ましてや公開するものでもない。
妙な想像をしてしまい、琴葉はぐんぐんと体温が上がってしまう。

「ここじゃなければいい?」

「い、いえ、ダメです。お付き合いもしていないのに。」

「俺と付き合ってよ。」

予想だにしない雄大の告白に、琴葉は困惑した。

「えええ…どうしたら。」

頬を真っ赤に染めながらも頑なに首を縦に振らない琴葉に、雄大は苦笑いをした。

「手強いなぁ、琴葉は。」

それでもなお、優しい視線を送ってくる雄大に、琴葉は胸が張り裂けんばかりになる。
頬が熱く両手で隠すように覆うも、なかなか熱が引いてくれない。

「もう、早瀬さんが変なこと言うから。」

琴葉はぷうと膨れて見せたが、雄大にはその姿さえ可愛く見えるのだから、もう重症と言わざるを得ない。
琴葉が好きだと改めて実感したのだった。
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