小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶

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三章◆旅行◆

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やって来たのは四条周辺の商店街だ。
いかにも“京都”といった感じの趣のある商店街から、流行りものを集めた感じの商店街まで様々だ。

その中でも雄大が参考に見に来たのは、町屋などを活用した古き良きを取り入れている形態のものだった。
若者や新人作家がお店を切り盛りしている。
どれも個性的なものばかりだ。

街並みを見ているだけでも大変興味深いのに、お店に入ってまた外とのギャップに驚かされたりする。
和物屋さん、ハンドメイド屋さん、カフェ。
見ているだけで飽きない。

「あっ。」

琴葉が小さく声をあげる。
視線の先を追うと、パン屋だった。
やはり同業は気になるところだ。

「入ってみようか?」

「うん。」

minamiと同じく、表には手書きのメニュー看板が立っている。
とても小さなお店だ。
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