君は僕だけの

アラレ

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12時*

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「今日からお世話になります、月島結希です!よろしくお願いします!」




大学を出てすぐ、地元に帰って、CAとして航空会社に就職した




長年の夢が叶った




そのことがたまらなく嬉しくて、楽しいことだけ考えていた







訓練期間は大変だった


「そこ!!そんなノロノロしてたら間に合わないよ!死ぬ気でやんなさい!!」




特に一番厳しいのがこの如月教官




同期の中では鬼教官と呼ばれるほど





特に身長の低い私はよく注意された






「チビなあんたはただでさえ迷惑なんだから他で補いなさい!」





それでも




「はい!!心得ました!!」


「なにそれ、ふざけてんの?!」





いつも以上に厳しくした日には、必ずご飯に誘ってくれた





「あんた早くそれ終わらしなさい。飲み行くよ。」



「えー!いいんですか!すぐ終わらせます!」






そんな面倒見のいい如月教官が大好きだった






「あんたって変わってるわよね」


「それみんな言うんですけど、何でです?」


「…おかしいでしょ、昼間あんなに怒られた人となんて、普通仕事終わってまでも一緒にいたくないわよ」


「え?私、如月教官のこと大好きですよ?
私一人っ子なんですけど、お姉さんいたらこんなかーって」


「ほんと変なやつ
でも憎めないのよねー」


「えへへ」





私たちが仲良くなるのに時間はかからなかった






それでも訓練中はしごかれたけど笑








そして彼、早川さんと関わり始めたのもそれくらいの時期だった





彼はこの航空会社のパイロットの一人



かっこよくて、誰にでも優しくて、仕事もできて



みんなの憧れだった





「やばーい早川さんまじかっこいい~!」

「早川さん?…まぁ、たしかにね」




最初はそこまで気にしてなかった


そんなことより毎日忙しくて、訓練についていくのに必死だった


毎日いっぱいいっぱいだった



早く一人前になりたい、飛行機に乗りたいって









だけど  








「あ、いつも怒られてる子だ」




「ええ!ちょっと、…て、早川さん!?
おおおお疲れ様です!!」


自販機の前に偶然いた私に、彼は声をかけてくれた


「ああ、いいよいいよそんなの笑
いつも頑張ってるよね、怒られてばっかで辛くない?如月に俺から言ってあげようか?」



「いえいえ全然、私覚え悪くて、如月教官には迷惑かけてばっかりです。」



もっと頑張ります!そう言った私を見て少し笑ったかと思えば、そっと頭をなでて階段を降りていった




「…おお、緊張した~」


初めて話したからって言うのもあるけど、ほんとにかっこいいもんだからあせりまくって


徐々に顔に熱が集まっていくのがわかった









思えばこの時から、悪夢は始まっていたのかも














































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