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【敵同士→恋】4話(4)【探偵ミステリーBL】
しおりを挟む「うわっー! もうわからないことだらけで、ワジワジ(イライラ)するー!」
ホテルの一室。
陽向はクッションを抱きしめると、容赦なく締め技をかけた。
(というか、何でこんなことになったんだ!? 何だかんだいって、数日前までは平和だったのに!?)
次々にわき上がる疑問の中で、ふと、一つのことが引っかかった。
……海斗は、なぜ急に金を要求してきたのだろう?
今までは、飲みや女遊びに使う小銭くらいなら、しれっと陽向に直接せびってきていた。
あの神経の太さで、職場にまで押しかけてくるほどだ。
なのに今回は、わざわざ探偵を雇って、しかも高そうな報酬料を払い続けてまで、仲介させてきた。
その理由が、どうにもわからない。
(そもそも五十万なんて金、一体何に使うつもりなんだ……? それに、すぐに金を受け取れないと知って、何であんなに取り乱してたんだ……?)
胸の奥にざらついた不安が残る。
──これは、一度ちゃんと話し合った方がいいかもしれない。
「よし、明日、着替えを取りに行くついでに、家に寄ってみるか」
そう決めて、陽向はクッションを整えて元の位置に戻した。
思った以上に疲れていたのか、ベッドに潜り込むなり、すぐに眠りの底へと沈んでいった。
※
目が覚めると、もう昼近くだった。
「今日が、日曜でよかった……」
寝ぼけまなこをこすりながら、陽向は小さく息を吐く。
カーテンを開けると、真っ青な冬空が広がっていた。
雪は止んでいたが、街中に残る雪が陽の光を反射して、東京の景色全体が白く霞んで見えた。
のろのろと身支度を整え、アパートへ向かう。
しかし、自分の部屋の前についた時、胸騒ぎがした。
今まで、散々海斗に振り回されて培われた勘かもしれない。
玄関のドアを開けた瞬間、陽向は一瞬、我が目を疑った。
……部屋を、間違えた?
慌てて表札の部屋番号を確認する。
あっている。間違いなく、自分の部屋だ。
もう一度、中をのぞく。
……が、変わらなかった。
中は、ものの見事にもぬけの殻だった。
ほこりだけが残るフローリング。
日焼けの跡がうっすらと残る壁。
カーテンすら取り外された窓。
陽向はぽかんと口を開け、玄関に立ち尽くしたまま、しばらく動けなかった。
まるで脳が、現実を処理することを拒んでいるかのように。
一歩も踏み出せず、ただ呆然と虚空を見つめる。
陽光に照らされたほこりが、ひらひらと宙を舞い、やがて床へと吸い込まれるように消えていった。
「あれ、喜屋武さん?」
不意に声をかけられて、陽向はようやく我に返る。
声の主は、通りすがりのアパートの住人だった。
「あ、お隣の……」
「っす。そういえば、おたく引っ越すの? ずいぶん急だけど」
「え……何で……?」
「昨日、業者のトラックが来てたよ。家具を運び出してた。でも……たしか、引っ越し屋じゃなくて、『質屋』って書いてあった気がするけど……」
「……質……質屋ぁああ⁉︎」
その瞬間、脳内であらゆる点と点が一気につながった。
そして、すべての回路が過電流で焼け焦げるような衝撃が走る。
「~~ッあの野郎っ!」
「え!? ちょっと喜屋武さんっ!?」
住人の制止の声も聞かず、陽向は叫びながらアパートから飛び出した。
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ご覧いただき、ありがとうございます。
現在、中華ファンタジーBLを連載中です!
興味がありましたら、お越し下さいませ☺
■あらすじ動画(1分)
https://youtube.com/shorts/o6KYEqYVPOI
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