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恋(完)
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今まで、恋というものがなんなのか、知らなかった。
土曜日の夜、階下に降りていった誠司は、玄関で靴を履いている美月を見て足を止めた。可愛らしいワンピースとボレロを身にまとっている。
足元は下ろしたてらしいサンダル。いつもはしない化粧をしているし、髪もセットされている。
誠司は直感で、男と会うのだ、と思った。誠司に気づいた美月は、表情を硬くして扉に手を伸ばした。誠司は近づいていき、腕を伸ばしてドアを塞ぐ。美月がびくりとして、こちらを見上げてきた。
「今日は随分可愛いな、美月」
そう言って髪を撫でると、彼女は頬を赤らめる。
「そんなこと、ない」
「誰と会うんだ?」
「関係ないでしょ」
「言わないとどかない」
「合コン行くの」
「なんのために?」
「彼氏、作るの。そこどいて」
行かせるわけがない。腕を拘束したら、美月が身体を震わせた。久しぶりに見る表情だ。
「離して」
誠司が怖いくせに、逃げようとする。おそらくは、誠司自身のために。
「僕も行く」
誠司がそう言うと、彼女が目を剥いた。
「はあ?兄同伴の合コンなんて聞いたことないわよっ」
「近くで見てるだけだ」
美月は眉をしかめ、ぽつりと言う。
「邪魔したら、口きかない」
「わかってる」
扉を開け、美月の肩を抱いて歩き出した。
美月が向かったのは、安いのが売りの飲食チェーン店だった。
「こんな店で合コンするのか?」
「高校生だもん。……っていうか、いい加減離れてよ」
「普通だろ、きょうだいなら」
このきょうだいなら、という言葉は便利だ。きょうだいである限り、美月と誠司は離れることはできない。店内にいた、美月の友人たちが手を振る。
「おーい、美月ー」
「お待たせ」
「あれ、誠司先輩?」
「こんばんは」
「誠司先輩も合コン参加します?」
「しない。誠司はあっちで一人で食べて」
美月はそう言って、隅を指差した。誠司は肩をすくめ、そちらに向かう。まあいい、ここからなら、様子がよく見える。美月と美月の友人二人が談笑している。そこに、男が三人やってくる。うちの生徒ではないな。そう思っていたら、ウエイトレスに声をかけられた。
「お客様、ご注文はお決まりですか」
「水」
誠司がそう言うと、顔を引きつらせて去っていく。財布がないのだから仕方がない。そう思っていたら、隣のボックス席にいた女が、なぜか誠司の前に座った。
「君、お金ないの?」
「ええ」
「お姉さんが奢ってあげようか?」
これはナンパというやつか?
「僕は見返りに何を?」
「話聞かせてよ。さっきあの女の子と入ってきて、なんで君だけ一人で座ってんの?」
「合コンするというのでついてきたんです」
「彼女?」
「兄です」
「妹の合コンについてきたわけ?それって……キモいね」
「血はつながってませんから」
「ふうん?君はあの子が好きなんだ?」
「ええ」
「あの子は?」
「他に彼女を作れと言われました」
なぜこんなにベラベラ喋っているんだろう。
「なんで?」
「僕が病んでいるから」
「やんでるの?そうは見えないけど」
そう言って女は、肘をついた。
「っていうか、かっこいいよね、君」
「これ、ナンパですか?」
「うん。試してみたら?他の女としたら、あの子がどういう反応するか」
女が指先で誠司の手をなぞる。視線を感じて顔を上げると、美月がこちらをにらんでいた。目が合うと、ぱ、とそらす。
「効果はありそうですね」
「そう?じゃあ、行く?」
女に手を取られ、誠司は立ち上がる。美月たちのいるボックス席の隣を通り過ぎると、美月の視線を感じた。
「あの子、捨てられた子犬みたいな目してるわよ」
女はそう囁いて、誠司の腕を組む。店を出て、しばらく行ったところにあるホテルに入店した。
「どうしてご休憩なんでしょうね」
誠司がそう言うと、女が唇を緩める。
「品がいいからじゃない?」
部屋の中はビジネスホテルとさして変わらない内装だった。ただ、ベッドが馬鹿みたいに広い。
ベッドに腰掛けると、女が服を脱ぎながら問いかけてきた。
「あなた、いくつ?」
「18です」
「女の子としたことある?」
「ええ」
美月が初めてで、それ以外の女は知らない。知りたいとも思わなかった。
「綺麗な顔」
女がそう言って、誠司の頬を撫でる。近づいてきた唇が合わさった。指先がボタンを外し、爪が首筋をひっかく。女の指がジッパーに触れようとした時、携帯が鳴った。
女が眉をしかめたが、構わずにとる。
「はい」
「あ、美月だけど」
「なんだ」
「どこに、いるの?」
「ホテル」
少しだけ沈黙が落ちた。
「ふ、ふーん、そうなんだ」
「お前は?」
「別にどこでもいいでしょ」
ふいに、外から救急車の音が聞こえる。美月の携帯からも聞こえた。
「近くにいるのか?」
「え?っ」
ガサガサと音がして、美月の声が途切れる。
「……やっ、はなして」
くぐもった声、衣擦れのような音。ガシャン、と何かが割れるような音。隣の部屋から同じ音がした。
「……まさか」
「え、ちょっと」
女を押しのけて、外に飛び出す。隣の部屋のドアをどんどん叩いた。
「おい、美月!」
がちゃり、とドアが開いて、美月が飛び出してきた。衣服が乱れている。
「誠司!」
美月を抱きとめて、部屋の中にいる男を睨む。
「な、なんだよ、その子がここ入りたいっていうから」
「そうなのか?」
誠司の問いに、美月が小さく頷く。
「帰れ」
誠司が低い声でいうと、男が舌打ち混じりに部屋から出て行く。誠司は美月の肩を抱いたまま、部屋に入った。
「あの男と、寝るつもりだったのか?」
「違う、あんたが、ここに入ってくから」
美月はそう言って、赤くなった。
「彼女を作れと言ったくせに?」
「だって」
「だって?」
「~っばか」
美月は顔を覆った。素直になれないのだ。誠司のせいで。
誠司は美月の頬をなでた。
「待ってやる。お前が僕を、受け入れるまで」
「せ、いじ」
「ちょっといいかしら?」
誠司は振り向いた。女が戸口にもたれている。
「私はどうなるの?」
「帰ってください」
「はあ?」
「全然勃ってないので」
女は眉を吊り上げ、バタン、とドアを閉めて去って行った。美月が真っ赤になって言う。
「あ、あんた、なんてことを」
「事実だ。触るか?」
「へんたい」
上目遣いでにらんでくる。
「お前は?あいつに何されたんだ?」
「き、キスだけだよ、っ」
唇を塞ぐと、美月が目をぎゅ、とつむった。唇を離し、囁く。
「消毒」
「……ばか」
美月は誠司の肩に額をつけた。
誠司の舌が、美月の全身をぬらしていく。 ホテルのベッドはやたら広くて、彼女の身体が、いつも以上に頼りなく感じられた。真っ白な美月の肢体。その中で、乳首と蜜口だけが色づいて見えた。誠司の唾液で濡れ光って淫靡だ。
愛撫に散々喘いだあとの、細い声で美月は誠司を呼ぶ。
「せ、いじ」
「なに?」
「帰ら、なきゃ」
「本当に、帰りたいのか?」
蜜口をなめあげられて、美月はかすかに鳴く。
「や、あ」
「ひくついてる」
舐めるたびに、美月が猫のような声を出す。彼女のなかはこれ以上ないくらいに濡れていた。
もっと、蕩けさせてやりたい。花芯を舌先でつついたら、美月がひく、と喉を鳴らした。
「とけ、ちゃう」
白い腹を揺らし、身じろぎする美月はいやらしい。彼女が感じるたびに、誠司も煽られた。飴でもしゃぶる様に転がしていたら、美月がびくっと震えた。溢れ出した愛液をじゅる、と啜り上げる。
「あ、いや……」
恥じらいながらも、蜜口をひくつかせている。はやく、中にはいってかき回してやりたい。誠司はベッドサイドに置かれていた箱から、避妊具を取り出した。美月に差し出して、囁く。
「つけて、美月」
彼女は戸惑いながらもそれを受け取り、誠司のものに視線を移した。恐る恐ると言った様子で細い指が触れて、ゆっくりしごきだす。
「は……」
誠司は吐息を漏らし、彼女と唇を合わせた。美月はなんとか誠司の性器に避妊具をつけようとしているが、口付けに気をとられているのか、なかなか定まらない。
彼女の指が与えるかすかな感触が、ぞくぞくとした感覚を煽る。なんとか避妊具をつけ終えた美月が、こちらを見上げた。誠司は彼女の額に口付ける。
「上手だ」
そのままゆっくり押し込んだら、美月の足先がぴん、と伸びた。彼女の胎内がぎゅうぎゅう締め付けられる。ひっ、という声。この声は知っている。軽くいってしまったのだ。
構わずに腰を揺すりたてる。
「せ、いじ」
「どうした? 美月」
「い、ってる、から」
「知ってる。もっといけ」
揺さぶるたびに、美月の胸が柔らかく揺れた。彼女がだす、切なくて甘い声に煽られる。
「あ、あ、誠司」
一度めの射精は早かった。避妊具を付け替えて、後ろから挿入する。すると、美月が小さな声で鳴いた。もっと、声を聞きたい。わざとらしくない、抑えた喘ぎ声に興奮する。
「僕は帰りたくない。ずっとおまえの中にいたい」
「だめ、だよ」
「どうして?」
「おかあさん、心配、するから」
「そんなこと、どうでもいい」
よくない。美月がそう言った。美月には大事なものがたくさんある。誠司には、美月しかいないのに。
誠司は彼女の尻穴に指を這わした。
「ふあ」
「こっちにも入れてみようか」
「だ、め」
美月が真っ赤になって震えている。その様子に、ぞくぞくする。
「まえ、がいい」
「まえ?」
「ばか」
動きを止めたら、きゅう、きゅう、と締め付けてくる。美月が欲しがっている。たまらない。腰をつかんで、動きを早くした。ぱちゅ、ぱちゅ、と身体がぶつかり合う音がする。
「あ、あ、あ、やあ」
「おまえは、後ろからがすきだな」
「すき、じゃな」
揺すりたてるたびに、美月の膣内から愛液がこぼれ落ちていた。とろとろの中を擦り上げると、はくはく息を切らす。身体を反転させ、乳房に顔を寄せ、つんとたった乳首を舐め回したら、きゅん、と中が締まる。
「あ、あ」
「は……美月」
「せ、じ」
伸ばした腕ごと抱きしめて、唇を奪う。
「好きだ」
「あ……っ」
美月がぎゅっとしがみついてきたので、抱きしめ返す。
すきだ。
傷つけて、貶めて、ずっと、彼女を苦しめてきた。だんだん、歪んだ感情がほどけていく。指を絡めて、唇を重ねあう。
「せいじ、おに、いちゃ……」
おにいちゃん。美月にそう呼ばれると、複雑になる。兄でいれば、ずっと繋がっていられる。だが、兄でいる限り、美月は誠司に好きだとは言わないだろう。
彼女が誠司以外のことを考えないよう、ずっとずっと、抱きしめていたい。だけどそれはかなわない。美月はひとりの人間なのだ。
誠司もひとりの人間だ。二人は違う人間だから、ずっと繋がっていることなど不可能だ。
「おにい、ちゃん」
いかないで。美月がそう言った気がした。
「無理だよ、美月」
もういかないと。帰りたいんだろう? 誠司の言葉に、美月が涙を浮かべた。その涙がこぼれ落ちて、シーツにシミを作る。泣かせてばかりだった。美月の泣き顔が好きだった。
いまは、なぜか喉が詰まる。
強く抱きしめて、最後の抽送をはじめたら、美月が高い声をあげた。
──あいしてるよ。絶頂の間際、そう囁いた。
***
桜の花びらが散っている。それを見上げ、誠司は目を細めた。春の陽射し。一年前に浴びたものとは、少し違って見えた。
卒業おめでとうございまーす、そう言いながら、在校生が花束を渡してくる。
「ありがとう」
笑顔でそれを受け取りながら、誠司は視線を巡らせた。
茶色い髪が、視界の隅に映る。誠司と目が合うと、ふいとそらした。
「誠司先輩、第二ボタンを……」
後輩が顔を赤らめながら言う。
「ごめん」
誠司は彼女の言葉を遮り、美月のほうに近付いた。
「帰るぞ」
「いいの?」
「何が?」
「だって、最後なのに」
「そう思い入れがあるわけでもない」
あんたってやっぱり冷たいのね。そう言って、美月は歩き出した。
茶色い髪が、風になぶられて舞う。満開の桜が、ざわざわと鳴った。二人の間に会話はない。桜並木の途中で、美月が立ち止まる。
「美月?」
「……あそこで、初めて会ったんだっけ」
美月の目線は、川に向かっていた。春の光にきらきらと輝く水面に、桜の花びらが浮かんでいる。投げ捨てた猫、跳ねる水しぶき。助けるため、飛び込んだ美月の姿。覚えている、その鋭い瞳を、今でも──。
「美月」
名前を呼ぶと、振り向く。風に煽られ、茶色の髪がふわりと浮いた。
「僕のことをどう思ってるのか、返事を」
しばらく沈黙が落ちた。美月は黙ったまま、こちらを見ている。誠司がどれだけ歪めようとしても、真っ直ぐな目でこちらを見返してきた。
どう見ても凡庸で、それなのに自分を受け入れない美月という存在が、誠司にとっては異物だった。
これまで、わからないことなど、できないことなどなに一つなかった。だからつまらなかった。何にも興味がなかった。
何かを傷つけると、少しだけ高揚した。美月はその瞬間を見て、誠司の異常さを見抜いていた。誠司を受け入れない彼女を手に入れたら、満たされる気がした。
「そんなこと、聞かなくてもわかってるでしょ」
美月はそう言って、誠司を睨んだ。
「あんたなんか、大嫌い」
ぱたぱた駆けて行った背中を見てため息をつき、足元に散った桜に視線を落とした。
*
京大に受かった、と伝えた時、美月は一瞬表情を硬くし、無関心にへえ、と言った。
「たまには帰ってくる」
「別にいいわよ、ずっと向こうにいれば」
嘘だとわかっていたが、面白くはなかった。
「いい加減素直になったらどうだ?」
美月はふん、とそっぽを向いた。
荷造りを済ませ、すべて引越し先に送り、京都に行く段になっても、美月は誠司を避けていた。母親と父親に見送られ外に出ると、美月が小走りで追いかけてきた。
「美月」
「……ひかりの散歩」
そう言って、誠司に並ぶ。犬がこちらを見上げ、わん、と鳴いた。結局、最後までいた。
美月が口を開く。
「あんた、御飯とか作れるの」
「いや。どうとでもなるだろ?」
「だめだよ、栄養ちゃんととらなきゃ」
「嫌いなのにそんな心配を?」
「あんたが倒れたら、母さんたちに迷惑かかるでしょ」
「倒れたらお前が来てくれるんだろう」
「受験生なんだから、そんなことしてられないわよ」
駅につくと、美月が足を止めた。犬を連れては入れない。
「じゃあな」
「あ……」
美月が何か言いたげにこちらを見つめてきた。
「なに?」
見つめ返すと、唇を噛む。
「す、ストレスで、周りの人に八つ当たりするんじゃないわよ」
「ああ」
「それから、落第とか、しないように」
「誰に言ってるんだ?」
「それから」
「美月、もう電車が来る」
「え、あ」
誠司は切符を入れ、改札を通った。
「また電話する」
「誠、司」
美月が誠司の持っていた鞄を掴んだ。ホームに電車が滑り込んでくる。美月は真っ赤な顔で、震えながら言う。
「私」
すきなの。
その声は、電車の発車ベルにかき消された。
ガタン、ガタン、という音を立て、電車が走っていく。誠司は、ゆっくり美月に顔を近づけて尋ねる。
「なに?よく聞こえなかった」
彼女が真っ赤になる。
「っさっさと行っちゃえ、って言ったの!」
「なら、離してくれないか?」
美月は慌てて鞄を離そうとした。その前に、誠司は美月の身体を抱きしめる。
「ちょっ」
「ちゃんと聞こえてた。僕も好きだよ、美月」
そう言って、唇を近づける。
「ど、どこだと思って、やだ、だめ」
ピンポンピンポン。音を立てる改札と、その中でキスをしている二人に、注目が集まる。
「あの、お客さん……できれば改札の外でお願いします」
苦笑いの駅員を見てますます真っ赤になった美月が、誠司を突き飛ばした。
「ばかっ」
そう叫んで、駆けていく。駅員がぬるい視線を向けてきた。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
誠司は笑って、ホームへと歩いて行った。
春は出会いと、別れの季節。次に会うのは、いつになるだろう?
おにいちゃんはやんでる/end
土曜日の夜、階下に降りていった誠司は、玄関で靴を履いている美月を見て足を止めた。可愛らしいワンピースとボレロを身にまとっている。
足元は下ろしたてらしいサンダル。いつもはしない化粧をしているし、髪もセットされている。
誠司は直感で、男と会うのだ、と思った。誠司に気づいた美月は、表情を硬くして扉に手を伸ばした。誠司は近づいていき、腕を伸ばしてドアを塞ぐ。美月がびくりとして、こちらを見上げてきた。
「今日は随分可愛いな、美月」
そう言って髪を撫でると、彼女は頬を赤らめる。
「そんなこと、ない」
「誰と会うんだ?」
「関係ないでしょ」
「言わないとどかない」
「合コン行くの」
「なんのために?」
「彼氏、作るの。そこどいて」
行かせるわけがない。腕を拘束したら、美月が身体を震わせた。久しぶりに見る表情だ。
「離して」
誠司が怖いくせに、逃げようとする。おそらくは、誠司自身のために。
「僕も行く」
誠司がそう言うと、彼女が目を剥いた。
「はあ?兄同伴の合コンなんて聞いたことないわよっ」
「近くで見てるだけだ」
美月は眉をしかめ、ぽつりと言う。
「邪魔したら、口きかない」
「わかってる」
扉を開け、美月の肩を抱いて歩き出した。
美月が向かったのは、安いのが売りの飲食チェーン店だった。
「こんな店で合コンするのか?」
「高校生だもん。……っていうか、いい加減離れてよ」
「普通だろ、きょうだいなら」
このきょうだいなら、という言葉は便利だ。きょうだいである限り、美月と誠司は離れることはできない。店内にいた、美月の友人たちが手を振る。
「おーい、美月ー」
「お待たせ」
「あれ、誠司先輩?」
「こんばんは」
「誠司先輩も合コン参加します?」
「しない。誠司はあっちで一人で食べて」
美月はそう言って、隅を指差した。誠司は肩をすくめ、そちらに向かう。まあいい、ここからなら、様子がよく見える。美月と美月の友人二人が談笑している。そこに、男が三人やってくる。うちの生徒ではないな。そう思っていたら、ウエイトレスに声をかけられた。
「お客様、ご注文はお決まりですか」
「水」
誠司がそう言うと、顔を引きつらせて去っていく。財布がないのだから仕方がない。そう思っていたら、隣のボックス席にいた女が、なぜか誠司の前に座った。
「君、お金ないの?」
「ええ」
「お姉さんが奢ってあげようか?」
これはナンパというやつか?
「僕は見返りに何を?」
「話聞かせてよ。さっきあの女の子と入ってきて、なんで君だけ一人で座ってんの?」
「合コンするというのでついてきたんです」
「彼女?」
「兄です」
「妹の合コンについてきたわけ?それって……キモいね」
「血はつながってませんから」
「ふうん?君はあの子が好きなんだ?」
「ええ」
「あの子は?」
「他に彼女を作れと言われました」
なぜこんなにベラベラ喋っているんだろう。
「なんで?」
「僕が病んでいるから」
「やんでるの?そうは見えないけど」
そう言って女は、肘をついた。
「っていうか、かっこいいよね、君」
「これ、ナンパですか?」
「うん。試してみたら?他の女としたら、あの子がどういう反応するか」
女が指先で誠司の手をなぞる。視線を感じて顔を上げると、美月がこちらをにらんでいた。目が合うと、ぱ、とそらす。
「効果はありそうですね」
「そう?じゃあ、行く?」
女に手を取られ、誠司は立ち上がる。美月たちのいるボックス席の隣を通り過ぎると、美月の視線を感じた。
「あの子、捨てられた子犬みたいな目してるわよ」
女はそう囁いて、誠司の腕を組む。店を出て、しばらく行ったところにあるホテルに入店した。
「どうしてご休憩なんでしょうね」
誠司がそう言うと、女が唇を緩める。
「品がいいからじゃない?」
部屋の中はビジネスホテルとさして変わらない内装だった。ただ、ベッドが馬鹿みたいに広い。
ベッドに腰掛けると、女が服を脱ぎながら問いかけてきた。
「あなた、いくつ?」
「18です」
「女の子としたことある?」
「ええ」
美月が初めてで、それ以外の女は知らない。知りたいとも思わなかった。
「綺麗な顔」
女がそう言って、誠司の頬を撫でる。近づいてきた唇が合わさった。指先がボタンを外し、爪が首筋をひっかく。女の指がジッパーに触れようとした時、携帯が鳴った。
女が眉をしかめたが、構わずにとる。
「はい」
「あ、美月だけど」
「なんだ」
「どこに、いるの?」
「ホテル」
少しだけ沈黙が落ちた。
「ふ、ふーん、そうなんだ」
「お前は?」
「別にどこでもいいでしょ」
ふいに、外から救急車の音が聞こえる。美月の携帯からも聞こえた。
「近くにいるのか?」
「え?っ」
ガサガサと音がして、美月の声が途切れる。
「……やっ、はなして」
くぐもった声、衣擦れのような音。ガシャン、と何かが割れるような音。隣の部屋から同じ音がした。
「……まさか」
「え、ちょっと」
女を押しのけて、外に飛び出す。隣の部屋のドアをどんどん叩いた。
「おい、美月!」
がちゃり、とドアが開いて、美月が飛び出してきた。衣服が乱れている。
「誠司!」
美月を抱きとめて、部屋の中にいる男を睨む。
「な、なんだよ、その子がここ入りたいっていうから」
「そうなのか?」
誠司の問いに、美月が小さく頷く。
「帰れ」
誠司が低い声でいうと、男が舌打ち混じりに部屋から出て行く。誠司は美月の肩を抱いたまま、部屋に入った。
「あの男と、寝るつもりだったのか?」
「違う、あんたが、ここに入ってくから」
美月はそう言って、赤くなった。
「彼女を作れと言ったくせに?」
「だって」
「だって?」
「~っばか」
美月は顔を覆った。素直になれないのだ。誠司のせいで。
誠司は美月の頬をなでた。
「待ってやる。お前が僕を、受け入れるまで」
「せ、いじ」
「ちょっといいかしら?」
誠司は振り向いた。女が戸口にもたれている。
「私はどうなるの?」
「帰ってください」
「はあ?」
「全然勃ってないので」
女は眉を吊り上げ、バタン、とドアを閉めて去って行った。美月が真っ赤になって言う。
「あ、あんた、なんてことを」
「事実だ。触るか?」
「へんたい」
上目遣いでにらんでくる。
「お前は?あいつに何されたんだ?」
「き、キスだけだよ、っ」
唇を塞ぐと、美月が目をぎゅ、とつむった。唇を離し、囁く。
「消毒」
「……ばか」
美月は誠司の肩に額をつけた。
誠司の舌が、美月の全身をぬらしていく。 ホテルのベッドはやたら広くて、彼女の身体が、いつも以上に頼りなく感じられた。真っ白な美月の肢体。その中で、乳首と蜜口だけが色づいて見えた。誠司の唾液で濡れ光って淫靡だ。
愛撫に散々喘いだあとの、細い声で美月は誠司を呼ぶ。
「せ、いじ」
「なに?」
「帰ら、なきゃ」
「本当に、帰りたいのか?」
蜜口をなめあげられて、美月はかすかに鳴く。
「や、あ」
「ひくついてる」
舐めるたびに、美月が猫のような声を出す。彼女のなかはこれ以上ないくらいに濡れていた。
もっと、蕩けさせてやりたい。花芯を舌先でつついたら、美月がひく、と喉を鳴らした。
「とけ、ちゃう」
白い腹を揺らし、身じろぎする美月はいやらしい。彼女が感じるたびに、誠司も煽られた。飴でもしゃぶる様に転がしていたら、美月がびくっと震えた。溢れ出した愛液をじゅる、と啜り上げる。
「あ、いや……」
恥じらいながらも、蜜口をひくつかせている。はやく、中にはいってかき回してやりたい。誠司はベッドサイドに置かれていた箱から、避妊具を取り出した。美月に差し出して、囁く。
「つけて、美月」
彼女は戸惑いながらもそれを受け取り、誠司のものに視線を移した。恐る恐ると言った様子で細い指が触れて、ゆっくりしごきだす。
「は……」
誠司は吐息を漏らし、彼女と唇を合わせた。美月はなんとか誠司の性器に避妊具をつけようとしているが、口付けに気をとられているのか、なかなか定まらない。
彼女の指が与えるかすかな感触が、ぞくぞくとした感覚を煽る。なんとか避妊具をつけ終えた美月が、こちらを見上げた。誠司は彼女の額に口付ける。
「上手だ」
そのままゆっくり押し込んだら、美月の足先がぴん、と伸びた。彼女の胎内がぎゅうぎゅう締め付けられる。ひっ、という声。この声は知っている。軽くいってしまったのだ。
構わずに腰を揺すりたてる。
「せ、いじ」
「どうした? 美月」
「い、ってる、から」
「知ってる。もっといけ」
揺さぶるたびに、美月の胸が柔らかく揺れた。彼女がだす、切なくて甘い声に煽られる。
「あ、あ、誠司」
一度めの射精は早かった。避妊具を付け替えて、後ろから挿入する。すると、美月が小さな声で鳴いた。もっと、声を聞きたい。わざとらしくない、抑えた喘ぎ声に興奮する。
「僕は帰りたくない。ずっとおまえの中にいたい」
「だめ、だよ」
「どうして?」
「おかあさん、心配、するから」
「そんなこと、どうでもいい」
よくない。美月がそう言った。美月には大事なものがたくさんある。誠司には、美月しかいないのに。
誠司は彼女の尻穴に指を這わした。
「ふあ」
「こっちにも入れてみようか」
「だ、め」
美月が真っ赤になって震えている。その様子に、ぞくぞくする。
「まえ、がいい」
「まえ?」
「ばか」
動きを止めたら、きゅう、きゅう、と締め付けてくる。美月が欲しがっている。たまらない。腰をつかんで、動きを早くした。ぱちゅ、ぱちゅ、と身体がぶつかり合う音がする。
「あ、あ、あ、やあ」
「おまえは、後ろからがすきだな」
「すき、じゃな」
揺すりたてるたびに、美月の膣内から愛液がこぼれ落ちていた。とろとろの中を擦り上げると、はくはく息を切らす。身体を反転させ、乳房に顔を寄せ、つんとたった乳首を舐め回したら、きゅん、と中が締まる。
「あ、あ」
「は……美月」
「せ、じ」
伸ばした腕ごと抱きしめて、唇を奪う。
「好きだ」
「あ……っ」
美月がぎゅっとしがみついてきたので、抱きしめ返す。
すきだ。
傷つけて、貶めて、ずっと、彼女を苦しめてきた。だんだん、歪んだ感情がほどけていく。指を絡めて、唇を重ねあう。
「せいじ、おに、いちゃ……」
おにいちゃん。美月にそう呼ばれると、複雑になる。兄でいれば、ずっと繋がっていられる。だが、兄でいる限り、美月は誠司に好きだとは言わないだろう。
彼女が誠司以外のことを考えないよう、ずっとずっと、抱きしめていたい。だけどそれはかなわない。美月はひとりの人間なのだ。
誠司もひとりの人間だ。二人は違う人間だから、ずっと繋がっていることなど不可能だ。
「おにい、ちゃん」
いかないで。美月がそう言った気がした。
「無理だよ、美月」
もういかないと。帰りたいんだろう? 誠司の言葉に、美月が涙を浮かべた。その涙がこぼれ落ちて、シーツにシミを作る。泣かせてばかりだった。美月の泣き顔が好きだった。
いまは、なぜか喉が詰まる。
強く抱きしめて、最後の抽送をはじめたら、美月が高い声をあげた。
──あいしてるよ。絶頂の間際、そう囁いた。
***
桜の花びらが散っている。それを見上げ、誠司は目を細めた。春の陽射し。一年前に浴びたものとは、少し違って見えた。
卒業おめでとうございまーす、そう言いながら、在校生が花束を渡してくる。
「ありがとう」
笑顔でそれを受け取りながら、誠司は視線を巡らせた。
茶色い髪が、視界の隅に映る。誠司と目が合うと、ふいとそらした。
「誠司先輩、第二ボタンを……」
後輩が顔を赤らめながら言う。
「ごめん」
誠司は彼女の言葉を遮り、美月のほうに近付いた。
「帰るぞ」
「いいの?」
「何が?」
「だって、最後なのに」
「そう思い入れがあるわけでもない」
あんたってやっぱり冷たいのね。そう言って、美月は歩き出した。
茶色い髪が、風になぶられて舞う。満開の桜が、ざわざわと鳴った。二人の間に会話はない。桜並木の途中で、美月が立ち止まる。
「美月?」
「……あそこで、初めて会ったんだっけ」
美月の目線は、川に向かっていた。春の光にきらきらと輝く水面に、桜の花びらが浮かんでいる。投げ捨てた猫、跳ねる水しぶき。助けるため、飛び込んだ美月の姿。覚えている、その鋭い瞳を、今でも──。
「美月」
名前を呼ぶと、振り向く。風に煽られ、茶色の髪がふわりと浮いた。
「僕のことをどう思ってるのか、返事を」
しばらく沈黙が落ちた。美月は黙ったまま、こちらを見ている。誠司がどれだけ歪めようとしても、真っ直ぐな目でこちらを見返してきた。
どう見ても凡庸で、それなのに自分を受け入れない美月という存在が、誠司にとっては異物だった。
これまで、わからないことなど、できないことなどなに一つなかった。だからつまらなかった。何にも興味がなかった。
何かを傷つけると、少しだけ高揚した。美月はその瞬間を見て、誠司の異常さを見抜いていた。誠司を受け入れない彼女を手に入れたら、満たされる気がした。
「そんなこと、聞かなくてもわかってるでしょ」
美月はそう言って、誠司を睨んだ。
「あんたなんか、大嫌い」
ぱたぱた駆けて行った背中を見てため息をつき、足元に散った桜に視線を落とした。
*
京大に受かった、と伝えた時、美月は一瞬表情を硬くし、無関心にへえ、と言った。
「たまには帰ってくる」
「別にいいわよ、ずっと向こうにいれば」
嘘だとわかっていたが、面白くはなかった。
「いい加減素直になったらどうだ?」
美月はふん、とそっぽを向いた。
荷造りを済ませ、すべて引越し先に送り、京都に行く段になっても、美月は誠司を避けていた。母親と父親に見送られ外に出ると、美月が小走りで追いかけてきた。
「美月」
「……ひかりの散歩」
そう言って、誠司に並ぶ。犬がこちらを見上げ、わん、と鳴いた。結局、最後までいた。
美月が口を開く。
「あんた、御飯とか作れるの」
「いや。どうとでもなるだろ?」
「だめだよ、栄養ちゃんととらなきゃ」
「嫌いなのにそんな心配を?」
「あんたが倒れたら、母さんたちに迷惑かかるでしょ」
「倒れたらお前が来てくれるんだろう」
「受験生なんだから、そんなことしてられないわよ」
駅につくと、美月が足を止めた。犬を連れては入れない。
「じゃあな」
「あ……」
美月が何か言いたげにこちらを見つめてきた。
「なに?」
見つめ返すと、唇を噛む。
「す、ストレスで、周りの人に八つ当たりするんじゃないわよ」
「ああ」
「それから、落第とか、しないように」
「誰に言ってるんだ?」
「それから」
「美月、もう電車が来る」
「え、あ」
誠司は切符を入れ、改札を通った。
「また電話する」
「誠、司」
美月が誠司の持っていた鞄を掴んだ。ホームに電車が滑り込んでくる。美月は真っ赤な顔で、震えながら言う。
「私」
すきなの。
その声は、電車の発車ベルにかき消された。
ガタン、ガタン、という音を立て、電車が走っていく。誠司は、ゆっくり美月に顔を近づけて尋ねる。
「なに?よく聞こえなかった」
彼女が真っ赤になる。
「っさっさと行っちゃえ、って言ったの!」
「なら、離してくれないか?」
美月は慌てて鞄を離そうとした。その前に、誠司は美月の身体を抱きしめる。
「ちょっ」
「ちゃんと聞こえてた。僕も好きだよ、美月」
そう言って、唇を近づける。
「ど、どこだと思って、やだ、だめ」
ピンポンピンポン。音を立てる改札と、その中でキスをしている二人に、注目が集まる。
「あの、お客さん……できれば改札の外でお願いします」
苦笑いの駅員を見てますます真っ赤になった美月が、誠司を突き飛ばした。
「ばかっ」
そう叫んで、駆けていく。駅員がぬるい視線を向けてきた。
「大丈夫ですか?」
「ええ」
誠司は笑って、ホームへと歩いて行った。
春は出会いと、別れの季節。次に会うのは、いつになるだろう?
おにいちゃんはやんでる/end
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