おにいちゃんはやんでる

あた

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義兄

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 舞い落ちた枯れ葉が、歩道を覆っている。じきに枯葉すらなくなる季節になるだろう。誠司は参考書を買いに、近所の本屋に来ていた。参考書コーナーへ向かい、よさそうなものを見繕う。

「それ、おすすめ」
 その声に顔を向けると、生徒会長の白鳥がにこりと笑った。
「藍川くんでも買うのね。参考書」
「そりゃあね。受験生だから」
「京大だものね。どう、判定は」
「A」
「さすがね」
「白鳥は?どこ行くんだ?」
「O女子大」
「へえ」

 白鳥と会話しながら参考書を見ていると、茶色い髪が視界に入った。キョロキョロ店内を見回していた瞳が、誠司と白鳥に向かい、ぎくりと強張る。
「あら、美月ちゃん」
「こ、んにちは」

 美月は本をさっ、と後ろ手にして、目をそらし気味にした。誠司は目を細め、美月が手にしている本を取り上げた。
「あっ!」
「心のかたち~心理学入門~」
 気まずそうな美月を横目で見る。

「お前はよほど僕を病気にしたいようだな」
「自覚ないの?あんたは病気よ、十中八九」
「年頃の男がセックスしたいのは当たり前だ」
「っななに言ってんのこんなとこで!」
 美月は真っ赤になって誠司から身を引く。

「お前だってこないだ自慰を」
「ストップ!なんでそんなことまで言うのよばか!」
 白鳥が呆れた声を出す。
「痴話喧嘩を鑑賞する趣味はないから行くわね」

「ち、痴話喧嘩じゃありません!」
 誠司はため息をついて、
「こんなもの買う余裕があるのか?産婦人科の代金もばかにならないのに」
「だって、この本図書館にないんだもん」
 美月はそう言って視線を床に落とす。誠司は参考書と共に本を持ってレジに向かった。

「あ、ちょっと」
「ついでだ」
「あ、りがとう」
 美月は顔を赤らめ、はにかんでいる。今すぐ抱きしめたくなったが、また怒り出すので我慢する。

 美月は言った。自分以外を好きになれと。
 まさか本当にそうする気はない。美月は誠司に対して情がある。なら、手放す理由はない。

 秋の街を歩くと、手をつないで歩いているカップルに遭遇する。
 美月は彼らを見るたび羨ましげな顔をしていた。誠司は手を伸ばし、美月の手を取った。美月がびくりとして手を引こうとする。

「ち、ちょっと」
「別に普通だろう、手をつなぐきょうだいなんて」
「そ、そう、かな」

 美月は目を泳がせたあげく、誠司の手をそっと握り返す。こんなことで言いくるめられる彼女を可愛いと思う。だからこそ、自分がいなくなったあと、彼女にちょっかいをかける男が現れたらと思うと苛立つ。そんなやつが現れたら、自分が何をするかわからない。

「誠司」
 困ったような声がして、そちらを見ると、美月が誠司を見つめていた。
「あの、家、ついたよ」
「ああ」

 誠司が手を離すと、美月は恥ずかしげに手を撫でて、靴を脱ぐ。誠司も靴を脱いで、美月の後に続いた。階段を上る際に、スカートから下着がのぞいた。
「美月」
「え?」
「下着が見えてる」
「え、や」

 美月は慌ててスカートを抑え、真っ赤になって階段を駆け上がる。一番上につくと、恨めしげに誠司を睨んでいた。

「なんだ、その目は」
「見たでしょ」
「見えたんだ」
「変態」
 誠司は肩をすくめ、自室へ向かおうとした。抵抗を感じたので振り向く。美月が服の袖を引っ張っていた。


「あとで、勉強教えて、お、おにいちゃん」
 聞きなれない呼称に、誠司は目を細める。
「どうしたんだ?美月」
「だって、おにいちゃん、でしょ」

 ずっとあんた、だの、誠司だの呼んでいたのに。恥ずかしいのか、瞳が潤んでいる。兄として見ようとしての発言だろうが、これはこれで悪くない。

「わかった。あとで部屋に来い」
 そう言うと、ほっとしたように頷いた。
「ありがと」
 自分の部屋に戻った誠司は、制服から私服に着替えた。買った参考書を解いていると、ノックの音がする。

「入っていい?」
「ああ」
 美月が顔をのぞかせ、部屋に入ってくる。彼女は教科書を開き、ここ、と指をさす。座卓の前に座らせ、問う。

「どこがわからないんだ?」
「全部」
「馬鹿だな」
 そう言うと、むっとした表情になる。

「うるさいわね、早く教えてよ」
「それが人に物を頼む態度か?」
「……教えてください」
「まず式をたてろ」
「だから、その式がわからないの」
「馬鹿か?」
 美月の頰が風船みたいになった。
「放物線と曲線の交差点二つの解を……」

 教えながら、美月の横顔を見る。柔らかい茶色の髪が額に落ち、まつ毛が影をつくる。唇はリップで潤み、白い首筋は伸びた髪に覆われていた。髪をかきあげると、美月がびくりとした。

「な、に」
「いいから、解け」
 そう言いながら、耳を撫でる。美月はびくびく震えながら、シャーペンを動かそうと頑張っている。
「やめてよ、解けないじゃない」
「どうして?」
「そんな、触られたら、集中できない」
「へえ」

 触る手を止めない誠司に、美月が困ったように眉を下げる。
「やだ」
「やらしい気分になるから?」
「ならないもん、や」
 首筋に口付け、腹を撫で始めた誠司から逃げようと、美月がもがく。

「普通だろ?きょうだいなら、これくらい」
「普通じゃない、よ、ん、う」
 シャツをめくり上げ、腹に直接触れると、美月がもどかしげに首を振る。
「太ったか?」
「太ってな、いもん」
「そうか?随分柔らかいけど」
「ばか」

 美月が拗ねたように視線をそらした。
「俺は柔らかいほうが好きだよ」
「あ、っ」
 手を徐々に上げていき、ブラジャーをぱちん、と外した。胸をやんわり揉まれると、美月はびくりと身体を揺らす。
「やだ、ねえ、勉強、しなきゃ」
「解いていいよ、ほら」
 誠司は美月の手を掴み、シャーペンをもたせた。

「むり、だよ」
「きもちいいから?」
「ば、か、っ」
 乳首を撫でると、甘い声を出す。
「大きくなった。それに、感度がよくなったな」
「誠司のせい、だ」
「違うだろ?美月がやらしいからだ」
「やらしくないもん」
「やらしいよ、自分で触ってみろ」

 誠司は美月の手を掴み、胸に導く。
「やだ、こんな、の」
 目の前に手鏡を立てると、美月が真っ赤になる。
「だめ」
「乳首がたってる」
「あ、っ」

 羞恥で顔をそらす美月に、意地の悪い気持ちになった。
「ちゃんと見ろ。勉強するんだろ?」
「っふ、あ」
 乳首を摘むと、首筋が真っ赤になる。嫌がっているわけではない。感じていることに自己嫌悪しているのだ。

「やだ、やだ……っ」
「そうか」
 そう言って手を離すと、美月がこちらを見た。
「なに?」
「な、んでもない」

 そう言って、シャーペンを握りしめる。集中していないことは自明だった。息が荒いし、スカートの下の内股がもぞもぞ動いている。
「美月、腰揺れてる」
 囁くと、身体を震わせる。

「し、しない、から」
「なにを?」
「あんたと、えっちしない」
「したいくせに」
「なに言って、あ」
 スカートの下に手を潜り込ませる。
「僕はしたい。お前にいれたい」
「だめ、だって、あ」
 誠司は彼女の乳房に顔を埋めた。
「あ、や」
 乳首を舐め、吸うと、甘い声をあげる。

 抱き込んで、下着の上から柔らかくなでた。美月の下着が、じわりと濡れ、微かな水音をたてる。彼女はすがるような目を、こちらに向けた。

「ほしい?」
「だめ」
「言え、ほしいって」
「あ、あ」
 下着ごしに指を入れると、美月が誠司の服を掴む。

 潤んだ瞳にぞくぞくする。ほしいと言うまで愛撫してやろうと思う。
「っん」
 胸元を撫で、乳首をつまむ。美月の弱い部分は全て知っている。首筋を舐め、指先で下着の上から割れ目をなぞる。溢れ出した愛液が、指を濡らした。
 震えだした白い背中も、小さな喘ぎも、達してしまいそうだからだ。

「やあ、あっ」
 びくんとふるえた美月が、くたりと身体を倒す。しばらく息をついて、だるいだろう身体を起こした。ノロノロと、ずり落ちた下着を引き上げる。

「勉強、する」
「強情だな」
 誠司は手を離した。濡れた手をティッシュで拭うと、美月が小さな声で言う。
「洗ってきなさいよ」
「面倒だ」
「……あんたってほんと最低」
「あんた?」
「お兄さんなのに、最低」
「今更だな」

 再び真面目な顔で勉強し始めた美月を見て、誠司は目を細めた。
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