【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

72.ミーティング大浴場(4)

そういえば、最初にこの大浴場でお風呂に入ったときは、シアユンさんと２人だった。

照てれ臭くさくて、恥ずかしくて、全然、シアユンさんの方を見られなかった。……チラチラ見てたけども。

――マレビトには純潔じゅんけつの乙女おとめの身体からだを捧ささげ、子種こだねを授さずかるべし。

というシキタリの前半部分だけでもと、真まっ赤かになったシアユンさんが大浴場に入って来てから、まだ１週間も経たってない。

モジモジと俯うつむいて俺の背中を流したいと言うシアユンさんに、「いいですよ」と応こたえたとき、パアッとなった笑顔は忘れられない。

今も、スイランさん、クゥアイに合せて両膝りょうひざを突ついて背筋せすじを伸のばしてるけど、頬ほおが赤くなってる。

俺は、頑張ってる人には、……弱い。って思っちゃって、今の大浴場ハーレム風呂がある。

右腕をむにゅう、むにゅうってしてるミンリンさんも、なんだか一生懸命いっしょうけんめいだ。……その努力どりょくの意味は理解し切きれないけど。

気恥きはずかしいし、照てれ臭くいし、フラれたのに里佳りかに悪い気までしてしまうけど、みんな、なんか頑張ってるんだし、俺も腰こしが引ひけたままでいるのはダメだな……。

と、初めて一緒に湯船ゆぶねに浸つかったときには直視ちょくしできなかった、シアユンさんのスラリとしたスレンダーな肢体したいを、……チラッと見て、思った。

「お話に横から入って、申し訳ありません」

というシアユンさんに、シーシがニシっと笑った。

「全然、問題ないのだ！」

「何か植物しょくぶつを植うえる場所を、お探さがしとか」

「そうなんです」

と、クゥアイが言った。

「それでしたら、宮城きゅうじょうの北側に張はり出す祖霊廟それいびょうの周囲に植うえ込こみがあります。そちらをお使いになっては、いかがでしょうか？」

「そ、そんな場所、使わせてもらっていいんですか？」

「ええ。今の城の役に立つ植物を育てるのでしたら、きっと祖霊それいもお喜びになります。通行の妨さまたげにならない程度なら、拡張していただいても差さし支つえないかと」

と、シアユンさんは少し寂さみしげな笑顔を浮かべた。

「元は城主の管轄かんかつで、王族おうぞく滞在中たいざいちゅうは王族が祖霊祭祀それいさいしを司つかさどるのがシキタリ。今はリーファ姫に替かわって、私が執とり行おこなっております。私の許しが出たと申していただければ、異議いぎを唱となえる者はおりません。どうぞ、存分ぞんぶんにお使いください」

「決まりなのだ！」

と、シーシが立って腕組うでぐみをして胸を張はった。に、仁王立におうだちはやめなさい、風呂場で……。

「鍬くわと鋤すきは、すぐ作るのだ！ 出来たら持って行くのだ！」

「そんな。取りにうかがいますよぉ」

と、クゥアイが恐縮きょうしゅくした。

その時、右腕から「むにゅう」という感触かんしょくが離はなれた。

「終わりました。……洗あらい残のこしはございませんでしょうか？」

と、ミンリンさんが額ひたいの汗を拭ぬぐいながら、聞いてくる。

ないですね。かなり丁寧ていねいにやっていただきましたから。丁寧過ぎたくらいですよ。とも言えず、大丈夫ですとだけ伝えると、達成感たっせいかんでいっぱいの笑顔を見せてくれた。けど俺と目が合うと不意ふいに、ポッと顔を真まっ赤かに染そめた。

きゅ、急に照てれるとか、反則はんそくです……。やっといて……。

「ニシシ」

と、シーシが笑った。

「大丈夫なのだ。出来たばかりの、みんなの家仮設住宅も見て回りたいから、そのついでなのだ」

じゃあと言いつつ、クゥアイはまだ恐縮きょうしゅくしているようだった。大浴場ここにいると、みんな素すっ裸ぱだかだし忘れがちだけど、シーシも偉えらいお役人様やくにんさまなんだよな。

鍬くわか……。棒ぼうの先に畑を耕たがやす刃はがついてる……。ん？