【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

文字の大きさ
231 / 297

228.純潔乙女会議+8

しおりを挟む
深夜にもかかわらず、ひそかに純潔じゅんけつ乙女おとめたちが俺の部屋に集められた。

眠たそうにザワザワする女子たち。

前より増えてるのは7人。薬師くすしのホンファ。リヴァントから来たアスマ、ラハマ、マリーム、ナフィーサ。それにスイランさんの妹のルオシィ。職人のジンリー。

部屋のすみに座る俺の気持ちもザワザワしてる……。

やがて、シアユンさんに付きわれたリーファが部屋に入って来た。

知らされていなかったんなは驚愕きょうがくし、たちまち、アスマたちをのぞく全員が平伏した。おどろいてキョロキョロしてたアスマたちも遅れて頭を下げた。

リーファは静かにんなと同じ高さに腰をろした。

皆様みなさま、顔をお上げください」

と、リーファの言葉に戸惑とまどいが広がる。

人獣じんじゅうたちとの激闘げきとう、ご苦労様でございました。リーファは帰ってまいりました」

深く頭を下げるリーファに、さらに動揺どうようが広がる。

「私は皆様がきずかれたジーウォ公国のことを教えていただきたく、こうして夜遅くにも関わらずお集まりいただきました」

シアユンさんが、声をふるわせながら言葉をいだ。

「リーファ姫はご自身への王族のれいはいすることをお望みです」

部屋の中を小さなどよめきが走った。

ひとえに、マレビト様の築かれたジーウォ公国を尊重そんちょうされてのことです」

シアユンさんは言葉を切った。そして、出来るだけいつものように、んなに話しけた。

「私にも戸惑とまどいがあります」

んなの視線がシアユンさんに集まった。

「しかし、リーファ姫の願いをかなえて差し上げたい気持ちもあります。また、マレビト様も同じご意向いこうです」

まだ、リーファが里佳であり、俺の『おもびと』であることを知っているのは侍女の3人だけだ。

「ただ、王都に生まれ、貴族のむすめとして育ち、王族のそばにおつかえし、れいまもり、れいしばられて生きてきた私たちリーファ姫の侍女だけでは、到底とうてい、おこたえすることの出来ない願いでもあります」

リーファがシアユンさんの方を向いた。その動きに部屋の空気全体が動くのを感じた。圧倒的あっとうてき存在感そんざいかんだった。

シアユンさんはリーファに軽く頭を下げ、話を続けた。

ともにマレビト様をおそばささえてきた、純潔じゅんけつ乙女おとめみなさんのお力を、是非ぜひともおしいただきたいのです」

シアユンさんは深々ふかぶかと頭を下げ、ツイファさんとユーフォンさんも続いた。

「どうしたら……、いい?」

と、声を発したのはミンユーだった。

あの引っ込み思案じあんだったミンユーが、シアユンさんに協力しようと真剣な眼差まなざしで見詰めている。

シアユンさんが頭を上げてこたえた。

みなであの闘いを振り返り、思い出話をしたいのです。それをリーファ姫にも聞いていただきます」

「思い出話?」

と、ユエが言った。

「はい。出来るだけ、いつもの調子で。いつものように楽しく。身分や立場でへだてることなく協力し合った私たちの姿を、リーファ姫にごらんいただきたいのです」

こんな時に率先そっせんして協力してくれそうなシーシが青くなって固まっている。身分の高い者ほど、表情が強張こわばっているのが分かる。

「リーファ姫よ」

と、アスマが立ち上がった。

「リヴァント聖堂王国よりジーウォ公の臣下しんかの列に加えていただいたアスマと申す」

貴女あなたが……」

「なんと高いこころざしであろうか! 自らの至高しこうの地位よりもたみの心を尊重そんちょうされる。民の推戴すいたいしたジーウォ公を尊重される。国はちがえど元王族の一人として深く感服かんぷくいたしました。初めてジーウォ公にお目通めどおかなった時以来の感動をおぼえております」

「おめにあずかり、いたります」

みなよ。私たちにも改めて教えてくれないか? 私たちがみなに加わる前の物語を。我らは純潔じゅんけつという一点において対等ぞ。存分ぞんぶんに語り合おうではないか」

リーファが小さく手をげた。

「わ、私も純潔じゅんけつですのよ……」

メイファンがピコンッ! という顔をした。

「シーシ様!」

「な、なんなのだ!?」

「前に私に言ってくれましたよね? 対等対等、だって!」

「い、言ったのだ」

「リーファ姫を仲間はずれにするのは、どうかと思うなあ……」

シーシがギョッとした顔でリーファを見ると、リーファは優しく微笑ほほえみ返した。

「わ、分かったのだ! み、んなで話すのだ! 最初から! ま、まずは足をくずすのだ! いつもの感じを見てもらうのだ!」

と、胡坐あぐらをかいたシーシに、んなは覚悟を決めたように、そして、なか自棄やけになったように、俺が召喚されてからの闘いの日々を語り合い始めた。

最初はオズオズと、やがてキャッキャと女子たちは盛り上がっていった。

リーファも一緒になって笑い、驚き、感心し、褒め称え、泣いて涙し、真剣な眼差まなざしで耳を傾け続ける。

初めての投石。

チンピラさんたちの投石。

布地を提供して衣服の縫製。

篝火の改良。

玉篝火サーチライトの開発。

望楼から長弓の試射。

剣士府での演説。

仮設住宅の建設。

長弓隊の斉射。

シュエンの保護。

剣士遺族へのケア。

炊き出しの開始。

鍬の製造。

薬草栽培。

槍の開発。

槍を持つクゥアイ。

短弓隊の実戦投入。

連弩の開発。

住民集会。

兵士団の復活。

重臣10名の抜擢。

ジーウォ公国の建国。

薬房の開設。

外征隊の活躍。

地下牢から救出されるアスマたち。

ヤーモンとエジャの結婚式。

アスマたちの参戦。

宮城1階の解体。

回廊決戦。

アスマとラハマのジンリー救出劇。

城壁の奪還。

そして、大浴場ハーレム風呂――。

「ほほう?」という笑顔のリーファが俺を見た頃、場はすっかりくだけ、空は朝陽あさひしらみ始めていた。

「久しぶりに朝の大浴場にんなで入るのだ!」

と、シーシが徹夜明けのテンションでさけんだ。

「リーファ姫に、ボクらがシキタリを守ってマレビト様に身体からだささげてきたところを見てもらうのだ!」

「ええ、それは是非ぜひ

と、リーファはニッコリ微笑ほほえんだ。

ま、まあ……、かくし切れるものでもないですし……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...