【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

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251.里佳の事情⑫

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あっ――。

またひとつ理ことわりが解とき明あかされ、視界で蠢うごめく紋様もんようが増える度にまた一人、勇吾と思いを遂とげられたんだなって安堵する。

それも、残すところあと１人。

一人ひとりを大切に丁寧に受け入れていく勇吾は、ゆっくりと時間をかけて解とき明あかしていく。

それが、もどかしくもあるのだけど、全員をベッドに上げてヤッホイヤッホイするような男でなくて、本当に良かったとも思う。

「学校というのは、とてもいいのだ！」

今夜も勇吾に純潔じゅんけつを捧ささげた乙女おとめたちが、チラホラと私の部屋に集まって酒盛さかもりをしている。

「ホント、料理の学校っていうの行ってみたいなぁ」

彼女たちは日本での私と勇吾の話をせがむようになっていた。

「もう少し落ち着いたら、子ども達のためにジーウォにも学校を作るのだ」

「あ、いいわねぇ」

「最初はラハマたちの聖堂を借りればいいのだ！」

「うむ。それはいいな」

「でも、ラハマは恐い先生になりそうなのだ。ニシシ」

「心外な。我われは子どもには優しいぞ」

ひとつずつ解とき明あかされていく、この世界の理ことわり。すべてが解明かいめいされた時、なにが起きるのか、本当のところは分からない。

――神を殺してたもれ。

という天帝てんていの言葉を手繰たぐれば、また彼女たちをとんでもない闘いに巻き込んでしまうのかもしれない。

あるいは永遠の平穏を手にすることが出来るのかもしれない。

けれど、常に先の見えない中、悶もだえて悩なやみながら一歩ずつ前に進んだ彼女たちは、何も言わない。ただ、私と勇吾に寄り添って笑顔で囲んでくれる。

……ご、極楽じゃあ。

そして、私をも白くてふわふわの泡だらけに包つつんでしまう。

「シアユン様、喋しゃべれるかな？」

「いつも全身真っ赤にして固まってしまうもんね」

「ニシシッ。後でインタビューするのが楽しみなのだ」

「でも、思いを遂とげてほしいね……」

と、噂話うわさばなしにも花を咲かせる。

人口の激減したジーウォには土地が余っていたし、井戸からはふんだんに水が汲くみ上げられる。

そこで、日本の話に興味を湧かせる皆みんなが、ミンリンとシーシにせがんでプールを作った。

夏を迎えたジーウォで、水着姿の乙女たちがキャッキャとはしゃぐ姿は、女の私から見ても目の保養になるほど美しい。

――やたら美形が多いし。

と、佐藤さん初代マレビトの言葉を思い出しながら、私も一緒になってはしゃぐ。

そんな私たちを、顔を赤くしながらチラチラ見ている勇吾は、いつまでも初心うぶで可愛かわいいヤツだ。

シーシの蒸気じょうき自動車は、辺あたりをちょっとドライブ出来るくらいにテストを重ねて順調に仕上がってきている。私と勇吾の強い意向で運転は免許制にし、ジーウォ最初の学校はドライビングスクールになった。

村長むらおさのフーチャオが地じのヤンキー魂だましいを炸裂さくれつさせるように免許取得の第一号。テストを兼ねて嫁のミオンとドライブデートを楽しんでいる。

いつまでもいつまでも、この平穏な暮らしが続けばいいと思う。

だけど、人獣じんじゅうに囲まれた城に食糧という期限があったように、私リーファと勇吾の前にも圧倒的な寿命の差という期限が立ちはだかっている。

今すぐに期限が訪れる訳わけではない、というところも同じだ。

「あれ？寝付ねつけないの……？」

と、私を抱き締しめる勇吾が、青い髪をかき上げてくれた。

「ううん。目が覚めちゃった」

「そっか……。寝られそう？起きてお話でもする？」

勇吾は私の夢で目が覚めて、眠れなくなる朝を何度も過ごしたって言っていた。

私にフラれたって誤解して過ごさせたのは申し訳わけなかったけど、それだけ強く想おもってくれてたことは素直に嬉しい。

サッサと諦あきらめて純潔じゅんけつの乙女おとめの誰かに行くのではなく、未練タラタラに過ごしてたって想像するだけで、たまらなく愛いとおしい。

「ううん……。このままがいい」

と、抱き締しめると、勇吾も優しく抱き締しめ返してくれた。

そして――。

遂ついにすべての理ことわりが解とき明あかされた晩、青白く輝く112本の鎖が、スルスルと天から降おりて来るのが見えた――。

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