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48.わたしだけを見ていてください
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「これは驚いた……。アーヴィド殿下ではございませんか」
カミル閣下が身体のまえに差し出されたワイングラスのなかで、赤ワインの液面がはじめて波打った。
驚きは、エルンストの兵とイサクの兵のあいだにも広がってゆく。
困惑が満ちる大会堂の雰囲気を気にされる様子もなく、アーヴィド王子は舞台にのぼられ、悪戯っ子のように微笑まれた。
「水臭いな。以前のように、アーヴィドと呼んでよ」
「ふふっ。それではアーヴィド。こんなところで、一体なにを?」
「カミルの赤ワインをいただこうと思ってね」
「おや、これはヴェーラ陛下に捧げるつもりでしたが……」
と、わたしに視線をおくるカミル閣下に、優雅な微笑みを返してみせた。
――英断かもしれない……。
秘密は探りあてられたら、みずからに向かう刃となるけれど、こちらから打ち明ければ、相手の心をつかむ武器ともなる。
もっとも、その武器は諸刃の剣であるわけだけれど……。
「ヴェーラ陛下のお許しも出たので、われらの再会を祝して、わが友、アーヴィドに捧げさせていただくとしよう」
泰然と微笑まれたカミル閣下からワイングラスを受け取り、アーヴィド王子は赤ワインを一息に飲み干された。
「うん。さすが、美味しいね」
「アーヴィドが驚かせるので、液面をわずかに揺るがせてしまった。わが偉大なる曾祖母マウゴジャーダに顔向けできんことをさせおって」
「もう一回、舞う?」
「馬鹿いうな」
舞台上を彩るふたりの貴人。帝国と王国を代表する美丈夫がふたり。
みなが呆気にとられたように見守るなか、実に親しげに微笑みを交し合われている。
カミル閣下が、アーヴィド王子の肩を抱かれた。
「それで? ……俺は、父王の命をねらった大逆の謀反人を捕え、ヴェーラ陛下に突き出せば良いのか?」
「おや? そんなこと、世に名高き選帝侯カミル閣下も信じてるの?」
「いや」
と、カミル閣下は眉をよせ、気持ち良さそうに笑われた。
「アーヴィドとテオドール殿下が、ほんとうにオロフ王の御命を狙ったならば、仕損じるはずがないからな」
「ニクラス兄上もいるよ?」
「あの粗忽者が、いかほどの働きをするというのだ」
麗しいお顔から毒舌を吐かれると、より厳しく響いて聞こえる。
だけどアーヴィド王子は、平然としたものだ。兄ニクラス殿下に対するカミル閣下の痛烈な批判を、否定するでもなく一緒になって笑われた。
「それにしても、アーヴィド。ずいぶん縫製の粗い服ではないか。ながい逃亡生活の故か?」
「ひどいな、カミル。この服はね、ボクの妃になる者が、ボクのために心を込めて縫い上げてくれたんだよ?」
わたしは席をたち、ゆったりと舞台にのぼる。
そして、アーヴィド王子に寄り添った。
アーヴィド王子はカミル閣下に肩を抱かれたまま首を傾け、わたしに微笑まれる。
「カミル。ボクの妃となる者だ。名をヴェーラという。ボクの太陽だよ」
「ほう……」
カミル閣下が険しく眉を寄せ、わたしの顔をのぞき込む。
それにわたしは、満面の笑みで応えた。
わたしの心の奥底までのぞき込まれるようなカミル閣下の視線が、やわらいだ。
「ヴェーラ陛下は心の奥に、なにか重大な秘密をお持ちと拝察しておりましたが、よもや、これほどまでの宝物を隠し持たれていたとは」
「わが夫となるアーヴィドを宝物と讃えてくださる。これ以上に光栄なことはございませんわ、カミル閣下」
わたしがアーヴィド王子の隣に立ったのは、カミル閣下にわたしたちの関係を知らせるためだけではない。
居合わせるエルンストの兵も、イサクの兵も、ギレンシュテット王国の兵だ。
彼らにとっては、いまだアーヴィド王子は大逆の謀反人だ。斬りかかったり、捕縛しようとしても責められるものではない。
その彼らに、わたしの立場をすみやかに明らかにすることが必要だった。
――姉王太后トゥイッカに反旗を翻す。
すでに反乱をおこしたオクスティエルナ伯爵家のエルンストの兵はともかく、総督府にあったイサクの兵には、おおきな衝撃だろう。
その心を、いちはやく鎮める必要がある。
アーヴィド王子が、ご自身の美しいお顔の鼻のあたまに指を置かれた。
「だからね、カミル。君を国に帰す訳にはいかないんだよね」
「なるほど。私は飛んで火に入る夏の虫だった……、という訳だ」
「そうじゃないよ、カミル」
美しいアーヴィド王子のお顔が、麗しいカミル閣下のお顔をかるく見上げた。
「妃が、レトキの女王に即位するんだよ。カミルにはこれから執り行う戴冠式で、授冠役を務めてもらわないとね」
「また、勝手なことを」
「あれ? イヤ?」
「俺に、トゥイッカ陛下の敵に回れと?」
「カミルなら、なんとでも言い抜けられるでしょ? ……ピエカル家の威光は、トゥイッカ殿といえども無碍にはできないよ」
アーヴィド王子の肩にまわされていた腕をほどき、カミル閣下は肩をすくめた。
そして、仰々しく、わたしたちのまえに片膝を突いて胸に手をあてられた。
「玉のようにお美しいヴェーラ陛下の可憐な御髪に王冠を授ける大役とは、わが生涯において、これに勝る誉れはございますまい」
「カミル閣下。十日宴はまだ5日のこっております。どうか、最後までわれらのもてなしを受けてくださいませ」
わたしが恭しくあたまを下げると、アーヴィド王子もつづかれた。
即位式と戴冠式を、翌早朝にひらくと宣し、十日宴を再開させる。
主席で語らうアーヴィド王子とカミル閣下の親しげなお姿に、次第に兵たちの動揺が収まってくる。
踊り子たちの舞踊がはじまると、みなは沸き立ち、心の置き所を定めたようだった。
アーヴィド王子が、わたしの耳元で囁かれた。
「エ、エッチイね……」
「まっ……」
見れば、面積のちいさな布だけで舞いおどる踊り子たちを横目に見て、ほほを赤くされている。
ずいっと顔を寄せて、アーヴィド王子の青い瞳を睨んだ。
「それでは、わたしだけを見ていてくださいませ」
わたしたちの会話に、カミル閣下がニタリと麗しい、苦笑いをこぼされた。
カミル閣下が身体のまえに差し出されたワイングラスのなかで、赤ワインの液面がはじめて波打った。
驚きは、エルンストの兵とイサクの兵のあいだにも広がってゆく。
困惑が満ちる大会堂の雰囲気を気にされる様子もなく、アーヴィド王子は舞台にのぼられ、悪戯っ子のように微笑まれた。
「水臭いな。以前のように、アーヴィドと呼んでよ」
「ふふっ。それではアーヴィド。こんなところで、一体なにを?」
「カミルの赤ワインをいただこうと思ってね」
「おや、これはヴェーラ陛下に捧げるつもりでしたが……」
と、わたしに視線をおくるカミル閣下に、優雅な微笑みを返してみせた。
――英断かもしれない……。
秘密は探りあてられたら、みずからに向かう刃となるけれど、こちらから打ち明ければ、相手の心をつかむ武器ともなる。
もっとも、その武器は諸刃の剣であるわけだけれど……。
「ヴェーラ陛下のお許しも出たので、われらの再会を祝して、わが友、アーヴィドに捧げさせていただくとしよう」
泰然と微笑まれたカミル閣下からワイングラスを受け取り、アーヴィド王子は赤ワインを一息に飲み干された。
「うん。さすが、美味しいね」
「アーヴィドが驚かせるので、液面をわずかに揺るがせてしまった。わが偉大なる曾祖母マウゴジャーダに顔向けできんことをさせおって」
「もう一回、舞う?」
「馬鹿いうな」
舞台上を彩るふたりの貴人。帝国と王国を代表する美丈夫がふたり。
みなが呆気にとられたように見守るなか、実に親しげに微笑みを交し合われている。
カミル閣下が、アーヴィド王子の肩を抱かれた。
「それで? ……俺は、父王の命をねらった大逆の謀反人を捕え、ヴェーラ陛下に突き出せば良いのか?」
「おや? そんなこと、世に名高き選帝侯カミル閣下も信じてるの?」
「いや」
と、カミル閣下は眉をよせ、気持ち良さそうに笑われた。
「アーヴィドとテオドール殿下が、ほんとうにオロフ王の御命を狙ったならば、仕損じるはずがないからな」
「ニクラス兄上もいるよ?」
「あの粗忽者が、いかほどの働きをするというのだ」
麗しいお顔から毒舌を吐かれると、より厳しく響いて聞こえる。
だけどアーヴィド王子は、平然としたものだ。兄ニクラス殿下に対するカミル閣下の痛烈な批判を、否定するでもなく一緒になって笑われた。
「それにしても、アーヴィド。ずいぶん縫製の粗い服ではないか。ながい逃亡生活の故か?」
「ひどいな、カミル。この服はね、ボクの妃になる者が、ボクのために心を込めて縫い上げてくれたんだよ?」
わたしは席をたち、ゆったりと舞台にのぼる。
そして、アーヴィド王子に寄り添った。
アーヴィド王子はカミル閣下に肩を抱かれたまま首を傾け、わたしに微笑まれる。
「カミル。ボクの妃となる者だ。名をヴェーラという。ボクの太陽だよ」
「ほう……」
カミル閣下が険しく眉を寄せ、わたしの顔をのぞき込む。
それにわたしは、満面の笑みで応えた。
わたしの心の奥底までのぞき込まれるようなカミル閣下の視線が、やわらいだ。
「ヴェーラ陛下は心の奥に、なにか重大な秘密をお持ちと拝察しておりましたが、よもや、これほどまでの宝物を隠し持たれていたとは」
「わが夫となるアーヴィドを宝物と讃えてくださる。これ以上に光栄なことはございませんわ、カミル閣下」
わたしがアーヴィド王子の隣に立ったのは、カミル閣下にわたしたちの関係を知らせるためだけではない。
居合わせるエルンストの兵も、イサクの兵も、ギレンシュテット王国の兵だ。
彼らにとっては、いまだアーヴィド王子は大逆の謀反人だ。斬りかかったり、捕縛しようとしても責められるものではない。
その彼らに、わたしの立場をすみやかに明らかにすることが必要だった。
――姉王太后トゥイッカに反旗を翻す。
すでに反乱をおこしたオクスティエルナ伯爵家のエルンストの兵はともかく、総督府にあったイサクの兵には、おおきな衝撃だろう。
その心を、いちはやく鎮める必要がある。
アーヴィド王子が、ご自身の美しいお顔の鼻のあたまに指を置かれた。
「だからね、カミル。君を国に帰す訳にはいかないんだよね」
「なるほど。私は飛んで火に入る夏の虫だった……、という訳だ」
「そうじゃないよ、カミル」
美しいアーヴィド王子のお顔が、麗しいカミル閣下のお顔をかるく見上げた。
「妃が、レトキの女王に即位するんだよ。カミルにはこれから執り行う戴冠式で、授冠役を務めてもらわないとね」
「また、勝手なことを」
「あれ? イヤ?」
「俺に、トゥイッカ陛下の敵に回れと?」
「カミルなら、なんとでも言い抜けられるでしょ? ……ピエカル家の威光は、トゥイッカ殿といえども無碍にはできないよ」
アーヴィド王子の肩にまわされていた腕をほどき、カミル閣下は肩をすくめた。
そして、仰々しく、わたしたちのまえに片膝を突いて胸に手をあてられた。
「玉のようにお美しいヴェーラ陛下の可憐な御髪に王冠を授ける大役とは、わが生涯において、これに勝る誉れはございますまい」
「カミル閣下。十日宴はまだ5日のこっております。どうか、最後までわれらのもてなしを受けてくださいませ」
わたしが恭しくあたまを下げると、アーヴィド王子もつづかれた。
即位式と戴冠式を、翌早朝にひらくと宣し、十日宴を再開させる。
主席で語らうアーヴィド王子とカミル閣下の親しげなお姿に、次第に兵たちの動揺が収まってくる。
踊り子たちの舞踊がはじまると、みなは沸き立ち、心の置き所を定めたようだった。
アーヴィド王子が、わたしの耳元で囁かれた。
「エ、エッチイね……」
「まっ……」
見れば、面積のちいさな布だけで舞いおどる踊り子たちを横目に見て、ほほを赤くされている。
ずいっと顔を寄せて、アーヴィド王子の青い瞳を睨んだ。
「それでは、わたしだけを見ていてくださいませ」
わたしたちの会話に、カミル閣下がニタリと麗しい、苦笑いをこぼされた。
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