懸賞に応募したら珍獣が当たったんだが

林りりさ

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【また来てもいいですか?】

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 案の定、玲と麻美は、桜の自由研究を手伝わされる羽目になった。
 玲は、ぶつぶつ文句を言いながらも手を動かし続けた。
 その姿を横目で見ながら、麻美はふと、兄妹って不思議だなと思った。衝突することもあるけれど、やっぱりどこかで支え合っていて、かけがえのない存在なんだと、改めて感じさせられた。

「うち、ちょっと兄ちゃんの肩でも揉んできてあげよっかな~。明日も運転頑張ってもらわないとだしね~」
「あ、うん。こっちもあとちょっとで終わるから……って、桜! 今寝てたよね⁉」
「はふぇ、寝て……ない、よー」
「あんたの宿題でしょ! ちゃんと起きてやりなさい‼」
「ふふっ。んじゃ、頑張ってね~」
 笑いながらそう言い残し、麻美は階段を上って二階の遼の部屋へと向かっていった。


 睡魔に負けそうになりながらも、玲の助けもあって、桜はなんとか星空観察の自由研究を終えた。そして、満足げに、ふにゃ~と笑いながら、布団の中でスヤスヤと眠りについた。


 翌朝。朝食を終えると、玲たちはそれぞれの荷物をまとめ始めた。
「ふぅ~。やっと全部片付いたね~」
「桜、忘れ物ない?」
「だいじょぶだー!」
「じゃあ、荷物車に積んでこか」

 慌ただしくも名残惜しさの漂う空気の中、遼を先頭に、荷物とお土産を手に車へと向かった。
「あ~、帰るの憂鬱だな~」
「帰りたないって思ったっちゅーことは、それだけ楽しい旅やったって証拠やな。和昌翁、いろいろ助かったわ。ほんまありがとう」
「いやいや、儂も楽しい人生の一ページが増えて嬉しかったわい。銀仁朗君にも会えたし、麻美にこんな素敵なお友達がいることも知れたしのぉ」

 少し緊張したような面持ちで、玲が口を開いた。
「あの……また、来させてもらってもいいですか?」
「お~。玲からそんなこと言ってくるとは思ってもみなかったな~」
「あ、ダメ……だったかな」

「ううん、そうじゃなくて、引っ込み思案の玲が、自分からそう言ってくれたってことが、すっごく嬉しいよ~!」
「いつでも来たらええで。特別なことはしてやれんがな」
「桜たちにとっては、全部が特別だったよー! ここで過ごした時間が、全部ね!」
「田舎も捨てたもんやないのぉ。がっはっはー!」


 全員が挨拶を終え、車内に乗り込むと、遼がエンジンをかけた。
「ほなじいちゃん、また連絡するな」
「気ぃつけていんどかれよ」
「イ、インドカレー?」
「玲、これも岡山弁だよ~。気をつけて帰りなよって意味で言ってるんだけど、何かオモロいよね~。じゃあじぃじ、ありがとね~。また来るからね~」

「お世話になりました。本当に楽しかったです。お土産もたくさん頂いて、本当にありがとうございました!」
「和昌じいちゃん、大好き! また遊びに来るねー」
「孫が増えたみたいで嬉しい限りじゃわ。次に来るときは、婆さんにも会わせてやりたいもんじゃな」
「そうやね。ばあちゃんにもよろしく伝えておいてよ。あ、銀ちゃんのことは内緒でな」
「わかっとるわかっとる。儂らだけの秘密じゃな。それじゃ、みな元気でな!」
「ばいば~い、またね~!」


 和昌は、見送る手を高く振りながら、車が見えなくなるまでその場に立ち続けた。
 やがて車が見えなくなると、胸にぽっかりと穴が空いたような寂しさが押し寄せてくる……が、それも束の間。
「次にあの子らと会うときまで、元気でおらんとおえんのぉ!」
 気合を入れ直した和昌は、道の真ん中で屈伸運動を始めた。
「まだまだ老け込んどる場合やないわい! よっしゃ、今日も張り切って畑仕事しょーかぁ!」


 無事に小豆島から帰宅した銀仁朗は、早速お土産のオリーブの葉を手に取り、試食することにした。
「いやぁ、ユーカリ以外のもん食べるん久々やなぁ」
「もうすぐ晩ご飯だから、ちょっとだけにしときなよ」
「わかってますがな。にしても……なんや、小豆島行ってから、玲が母上みたいなことばっか言うようになったなぁ」

「何それ?」
「良いように言うと、面倒見がよぉなった」
「悪いように言うと?」
「ん? あぁ、えっと~、口うるさ——」
「あぁん⁉」
「い、いえ、何でもございませんです、はい……。ちょびっとだけ、オヤツ、いただきますねぇ」

「はいはい。で、どう味は?」
「ん! うまっ‼ なんや、新鮮やからかいなぁ? 甘みと、ほのかな苦味もあって……これはアリやな。めっちゃうまいわ!」
「よかったね。和昌さんに感謝しなきゃだね!」
「せやな。これで食糧危機も解決やな!」
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