懸賞に応募したら珍獣が当たったんだが

林りりさ

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【プライスレス】

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 オリーブ食べ過ぎ事件のあと、家族から食事管理を徹底された銀仁朗は、快調そのものであった。
 毛ヅヤも良く、無駄なお肉も落ちていた。以前の食生活がいかに不摂生だったかを物語っていた。
「なーんや最近、めっちゃ調子ええわ。やっぱ、腹八分目がちょうどええなぁ~」
 のんきに笑う銀仁朗に、玲がすかさずツッコミを入れる。
「今までが食べ過ぎだっただけでしょ、銀ちゃん。これからもちゃんと健康でいてもらうために、私たちがしっかり管理するからね!」
「へいへい。よろしゅう頼んます」

 そんな他愛ない会話を交わしていたその時、玲のスマホが着信音を鳴らした。
「……あ、麻美からだ。もしもーし?」
「もしもーし、じゃないよ玲! 大変だよ、超ヤバいってば!」
「えっ、なに? どうしたの、そんなに慌てて」
「ネットニュースに出てるんだよ! コアラを背負った少女の目撃情報って記事が!」
「えっ……うそ——」
「嘘じゃないって! しかも場所がそっちの近所っぽいし、写真まで出てる! 顔にはモザイクかかってるけど、知ってる人が見たらすぐに玲だってわかると思う……」

「ど、どうしよう……」
「とりま、記事のリンクをVINEで送るから、すぐ確認してみて!」
「うん……ありがとう、麻美」
「玲、何があっても、私は玲と銀ちゃんの味方だかんね!」
「うん、本当にありがとう。あとでまた連絡するね」」
「うん……きっと大丈夫だから。何かあったら連絡してね!」
「うん、ありがと。それじゃ、また」
「おぅ。じゃね!」

 通話を終えた玲は、すぐに送られてきたリンクを開いた。そこには本当に、銀仁朗を背負って自転車を漕いでいる自分の姿が、ばっちりと写っていた。
「お母さん、大変! これ見て!」」
「えっ、どうしたの? 急に大きな声出して……何この写真……って、ちょっと! これ玲じゃない⁈」」
 英莉子は目を見開いて、スマホの画面を凝視した。 
「こないだの、朝早くから公園に行った日の写真……よね」
「うん。その日しか銀ちゃん背負って自転車に乗ってないし」
「うーん……もうちょっと早く帰ってきてたら、こんな写真撮られずに済んだのかもね……」

 ただならぬ空気を察知して、銀仁朗も会話に加わってきた。
「どないしたんや? 何かあったか」
「銀ちゃん、あのね……前に玲と一緒に公園行ったでしょ? あのときの写真がネットニュースに載っちゃったの。あなたを背負ってる姿が、ね」
「ほんまかいなぁ。それはちぃとマズいんとちゃうか……?」
「そうよねぇ……」

 そこに、風呂上がりの桜がやってきた。
「お姉ちゃん、お風呂空いたよー。次入る……って、どったの? なんかみんな深刻な顔してない?」
 英莉子が桜に要約を告げた。
「それがね、かくかくしかじかで——」
「まーじか、やっちまったなー」
「ごめんね、銀ちゃん。私が甘かったよ……」

「いやいや、玲は悪ないって。頭上げてくれ。わしの方こそ、つい調子乗ってはしゃいでもうて……すまんかった」
「でも、私がもっと気をつけてたら——」
「玲はわしのために気を遣って、外に気晴らしに連れてってくれたんやろ? その優しさに甘えてもうたんは、わしの方や。ほんまに堪忍や!」
「……ううん」

「とりあえず、二人とも頭を上げて。もうすぐパパも帰ってくるから、ちゃんと家族で話し合いましょ。パパなら、何かいい方法を考えてくれるはずよ! 玲はその間にお風呂入っちゃいなさい」
「うん、そうする……」
「だーいじょうぶ! そんな顔しないで」
 責任を感じ、目を赤らめている玲の頭を、英莉子は優しく撫でた。
「……ありがと。お風呂行ってくるね」


 玲がお風呂から上がってしばらくすると、健志が帰宅した。英莉子からのVINEであらましは把握済みだったため、夕食もそこそこに家族会議が開かれることになった。
「いやぁ……ちょっと面倒なことになっちゃったね」
「父上、お疲れのとこ申し訳ない」
「いや、いいんだよ。遅かれ早かれ、こういう事態には直面するんじゃないかとは思ってたしね」
「お父さん、ごめんなさい……私が軽率だったからこんなことに——」

「大丈夫だって、玲。パパに任しておきな! とりあえず、帰りの電車の中で、ネット記事の削除依頼は出してあるから」
「健ちゃんさすが、仕事が早いわね!」
「ただ、すぐに消えるもんじゃないし、一度広まったものを完全に止めるのは正直難しいけどね……」
「そうよねぇ。どうしたもんか……」

「僕に一つ、アイデアがあるんだ」
「え? どんな内容なの?」
「玲の部屋に、銀ちゃんそっくりなコアラのぬいぐるみがあるだろ。あれを使って、敢えてまた話題になるってのはどうかな?」
 それは、以前麻美からプレゼントされたぬいぐるみだった。
 健志の考えでは、それを抱っこ紐に取り付け、再び街に出ることで、あれはだったと印象づけるというものだ。

「なるほどね……でも、なんで少女がコアラのぬいぐるみ背負ってるのっ突っ込まれそうじゃない?」
「だ、だよねぇ。何か自然な理由付けが必要になるよなぁ……」
「試しにぬいぐるみを抱っこ紐に取り付けてみる?」
 玲はそう言うと、部屋から例のぬいぐるみを持ってきて、実際に抱っこ紐に装着してみた。

「うーん、やっぱり……これじゃ、ぬいぐるみ感丸出しだわ」
「これじゃ言い訳にならないね」
「だなぁ……。お、そうだ! ぬいぐるみが駄目なら、あの手でどうだろうか?」
「あの手って?」
「上手くいくか分からないから、今は内緒にしておくよ。ちょっと準備に時間がかかるかもだし」

「そっか……じゃあ、今日のところはこれでお開きにしようか。健ちゃんも疲れてるでしょ? 先にお風呂入る?」
「いや、ちょっと手回しが必要だから、英莉ちゃん先入ってくれる?」
「分かったわ。じゃあ、先入ってくるね。ありがと」


 決定的な解決策こそ見つからなかったものの、健志の中にはある作戦が浮かんでいた。
 その実行に向けて、まずはある人物に連絡を取ってみる。
「最近は連絡してなかったけど、VINEにはまだいたはず……あった!」
 アイコンはトイプードルの写真。ユーザー名は『すわぴー』。 健志の大学時代の同級生、諏訪亜美すわあみだった。
 メッセージの内容はこうだった。

『すわぴー、お疲れ。久々の連絡であれなんだけど、折り入って頼み事があります。実はちょっと家族のことで困ってて、力を貸してもらえたら嬉しいです。あ、お金の話じゃないからそこは安心して! また時間あるときに連絡もらえると助かります』


 メッセージを送ってからおよそ一時間後、諏訪から返信が届いた。
『健ちゃん、おひさ! どしたの急に? 私でよかったら相談聞くけど』
 そのメッセージを確認するなり、健志はすぐに『今電話できる?』と返信した。
 ほどなくして諏訪から着信があった。

「健ちゃん! 何があったの? いきなりあんな連絡がきたからビックリしたよ~」
「すわぴー、久しぶり! いや、ちょっと困ったことが起きちゃってさー、すわぴーのお力を借りられたら解決するかもと思って連絡したんだ。急にごめんね!」
「私で何とかなるのかな? で、何があったの?」
「ちょっと電話では伝えづらい内容で……」
「あ~、わかった! 浮気ばれちゃった系でしょ⁉ それなら私じゃ力になれないよ~」

「違う違う! 家族の問題ではあるけど、そっち系じゃないから!」
「あはは、分かってるって! 健ちゃんは浮気とかする人じゃないことぐらい知ってるよ」
「だろ~! でさ、できたら直接会って話したいんだけど……明日とか時間空いてない?」
「明日? けっこう急じゃん。切羽詰まってる感じ?」
「まぁ……うん、ちょっとね」
「OK。シフト調整して、午前中なら時間作れるかも。こっち来れる?」
「もちろん! 職場、まだ元町のファミリエ本店だよね?」

「そうそう、変わってないよ。よく覚えてたね」
「そのおかげで、連絡したら力になってくれるかもって思えたんだよ」
「なんだか分からないけど……私にできることなら協力するわ。じゃあ、明日の十時、うちの近くのカフェで待ち合わせましょ。場所は後で送っとくね!」
「ありがとう、本当に助かる!」
「力になれるかはわかんないけど……ま、とりあえず明日ね」
「うん、よろしく!」


 翌日。約束の十時ちょうどに指定のカフェの近くに着いた健志は、店先に立っている諏訪の姿を見つけた。
「久しぶり、すわぴー。五年ぶりくらいかな?」
「おはよう、健ちゃん。元気そうで何よりだわ」
「いやぁ~、それがあんまし元気じゃないんだよねぇ」
「そうだったね、ごめんなさい。立ち話もなんだし、中入ろっか」

 店の扉をくぐると、そこにはまるで昭和にタイムスリップしたかのような、カフェというより喫茶店と呼ぶ方がしっくりくる懐かしい空間が広がっていた。
「いい雰囲気でしょ。ここ、すごく落ち着くのよ。あ、マスター、おはようございます」
「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ」
「奥の個室、空いてます?」
「はい、どうぞご利用ください」
「へぇ。カフェに個室なんてあるんだ」

「ちょっと前までは、喫煙者用だったみたい。条例で禁煙になってからは、商談とかに使える静かなスペースってことで人気みたいよ」
「なるほど。穴場だね!」
「マスター、ブレンドをホットで」
「僕も同じものをお願いします」
「かしこまりました」

 店の奥へ進むと、重厚なガラス扉の向こうに、いかにも昭和感のある四角い木製のテーブルと、緋色のベロア生地の椅子が四脚置いてあった。
 椅子に腰かけると、諏訪が口を開いた。
「で、話って何だったの?」
「まずは、これ見てもらえるかな」
 健志はスマホを取り出し、例のネットニュースの記事を諏訪に見せた。

「あ、これ……私も見た。結構話題になってたよね。でも、これがどうしたの?」
「……ここに写ってるの、僕の娘なんだ」
「えぇ~⁉ ホントに?」
「うん、本当」
「じ、じゃあ、この背中のコアラは、一体……」
「すわぴーを信用して話するんだけど、このことは絶対に口外しないって約束してくれないかな。お願い事をしに来た立場で、こんなこと言うのも変だけど」
「ご家族の問題なんでしょ? 誰彼に話するわけないでしょうに」

「うん、そうだね。ありがとう。じゃあ、説明するね。実は——」
 健志は、銀仁朗にまつわる出来事をすべて語った。諏訪は目を丸くしたまま、言葉も出ない様子で、話の一語一句を逃すまいと耳を傾けていた。
「……何その話……。作り話でも突拍子過ぎない?」
「僕がこんな嘘つくとは思わんでしょ?」
「たしかにそうなのよねぇ。きっと全て本当の話なんでしょうけど……頭が付いていかないわ」

「それで、今日お願いしたいことってのはさ——」
 そう言うと、健志は少し身を乗り出し、神妙な面持ちで告げた。
「マネキンを貸して欲しいんだ!」
「……は?」
 諏訪は、健志からの思いもよらぬ申し出に、さらに頭が回らなくなり、開いた口が塞がらなくなった。

「マネキンにコアラの着ぐるみを着させてさ、実はただのマネキンでしたー、っていうフェイク記事に仕立てられないかなって思ってさ」
「……あ、あぁ、そういう感じね……。でも、何でコアラの着ぐるみを着たマネキンを背負ってるのっていう疑問が浮かぶんだけど、それはどう解釈させるつもり?」

「そこも、協力して欲しい部分でさ……。実はファミリエの広告だったって感じにできないかなと思ったんだけど」
「はぁ~……。さっきから、なかなかにぶっ飛んだアイデアだね~」
「ファミリエでも赤ちゃん用の抱っこ紐とか取り扱ってるでしょ? あれの販促用ってことにすれば、少女がマネキンを背負ってたって設定も自然になるんじゃないかな?」
「なるほどね~。ただ、私の一存では何とも……。同期が今、販促課のマネージャーしてるから、ちょっと掛け合ってみることくらいはできるかも」

「マジで! めっちゃ助かる‼」
「シナリオ通りに行かない可能性の方が高いよ! でも、たしかにちょっと変わったプロモーションとしては面白いかも……」
「可能性はゼロじゃない。それで充分だよ!」
「……健ちゃんって、そんな熱い人間だったっけ?」

「家族を守るためだったら、熱くだってなるさ」
「そうだね。ごめん、愚問だった。分かった、私もできるだけ頑張ってみるよ」
「久々に会うっていうのに、こんな話をすることになって大変申し訳ない」
「いいのいいの。むしろ、頼ってもらえて嬉しいよ。とにかく、ご家族のためにも、いい着地点が見つかるようにしてあげよう」
「そうだね。今日は本当にありがとう。色々とお手数かけちゃうかもだけど、よろしくお願いします」


 諏訪との話し合いを終えた健志は、帰路の途中で近くの神社へと立ち寄り、静かに手を合わせた。
「最善かどうかは分かりませんが、今できる限りのことはやりました。家族を守る。それが僕の使命だと思っています。どうか、見守っていてください」


 諏訪からの返事は、その日の夕方に届いた。
『今朝の件だけど、SNS担当の子が面白い企画だねってすごく乗り気だったよ! もちろん、あのことは話してないから安心して。ただ、もう少し企画を詰める必要があって、稟議が通るまでちょっとだけ待ってもらえるかな?』

 そのメッセージを読んだ健志は、すぐさま返信した。
『それは朗報だ! ありがとう。くれぐれも無理はしないでね。また連絡待ってます』
 メッセージを送り終えた健志は、果報は寝て待てだと自分に言い聞かせ、昨晩ほとんど眠れなかったぶん、今夜はしっかり眠ろうと心に決めたのだった。


 翌朝。諏訪からの連絡はまだ届いていなかった。焦っても仕方がないと気持ちを切り替え、いつも通り出勤する。


 昼休憩に入ろうとした頃、スマートフォンが鳴った。ディスプレイには『すわぴー』と表示されている。
「あ、もしもし健ちゃん。今電話できる?」
「お疲れ。ちょうど休憩に入ったところだよ。何か進展あった?」
「うん、実はちょっと前向きな動きがあってね。ただ、娘さんに少しだけ負担がかかるかもしれないっていうのが、気になってて……」
「負担って、どういう意味?」

「ほら、あの記事が広告の布石だったって形にするなら、写ってる子が違う人物だったら辻褄が合わないじゃない? だから、あのままの子——つまり、玲ちゃんでいけるなら、Goサイン出していいって言われてるのよ」
「なるほど、そういうことか……。でも、顔出しは、ナシだよね?」
「それがね……できればモザイクとか無しで、はっきり顔が見えた方がありがたいっていう話になってて」
「……ってことは、いわゆるモデルデビューってやつ?」

「良く言うと、そうなるね」
「うーん……玲、そういうのすごく苦手なんだよなぁ。目立つの嫌いなタイプだから」
「ごめんね。弊社の都合を優先するみたいな形になっちゃって」
「いや、すわぴーが謝ることじゃないよ。話を持ちかけたのはこっちだし」

「気遣いありがと。玲ちゃんに、ダメ元で打診してもらえたら助かるな」
「うん、わかった。ダメ元で話をしてみるよ」
「ありがとう。無理だけはしないでね。また何かあったら連絡ちょうだい」
「了解。こっちこそ、色々ありがとう。また連絡するね」

 電話を切った後、健志は思わず天井を見上げ、大きく息を吐いた。
「玲、絶対嫌がるだろうな~」
 解決の糸口は見えてきたものの、娘に犠牲を強いる形になってしまうかもしれないことが、健志の胸を重くした。


 仕事を終え帰宅すると、既に第二回家族会議の準備が整っていた。
「ただいま。玲、話はママから聞いている?」
「うん。聞いた」
「やっぱり、嫌だよね……モデルさんとか」
 健志の言葉に、しばしの沈黙が流れた。玲は何かを決意するように、静かに口を開いた。

「……私、やる」
「そうだよな~、やっぱ嫌だよ……って、え?」
「だから、やる。やりたい!」
「ほ、本気で言ってるのか? 英莉ちゃん、大丈夫なのかな?」
「玲にこの話をしたらね、ちょっと考えるって言って、さっきまでずっと悩んでたの。でも、銀ちゃんのことを守れるんだったら、自分が頑張るって結論になったみたい」

「玲、無理しなくてもいいんだよ」
「ちょっとまだ不安があるけど、自分にできることって何だろうって考えたら、これくらいのことしかできないなぁって思ったの。お父さんも、一生懸命考えてくれて、こういう流れになったんだって思ったら、私もできることをやろうって気持ちになったんだよ」

「玲……。そっか。じゃあ、先方にお願いしたいって伝えるよ?」
「うん、大丈夫。頑張る」
「すごいねー、お姉ちゃん! ファミリエのモデルさんになるんだね!」
「モデルにってわけじゃないんだけど……実はちょっとだけ、そういうの興味あったんだ。最近はファッション誌もたまに見てるし……」

「へぇ~、玲がファッションに興味持ってたなんて、パパ知らなかったよ」
「ちょ、ちょっとだけだよ。銀ちゃんが来てからさ、私に色んなアドバイスをしてくれてるんだ。その中で、何事もチャレンジするのが大事だっていつも言ってくれてて。前の私だったら、絶対に断ってたと思う。でも今は、少しでもやりたいって思えることには何でも挑戦しようって思えるようになったんだ」

 玲の心の変化を知り、英莉子は優しく微笑みながら「銀ちゃん様々ね」と言った。
「うん、本当にそうだと思う。だから、銀ちゃんのためになるなら、モデルにもチャレンジしようって思えたんだ」
 健志は、玲の決意が自発的なものだと知り、胸をなで下ろした。
「よし。じゃあ早速連絡してくるね。玲、ありがとう!」
「うん、私、頑張るから!」


 それから二日後。
 SNSマーケティングにおいては話題性の鮮度が命ということで、撮影のスケジュールはスピーディーに決まり、週末の朝に実施されることとなった。
 撮影を翌日に控えた夜、諏訪から電話がかかってきた。
「健ちゃん、明日はよろしくね。私は専門外なんだけど、一応関係者ってことで私も撮影に同席することになったから」
「いてくれると助かるよ。娘もだけど、僕らも何が何だか分からないまま、トントン拍子に話が進んでくから、ちょっと戸惑っててて……」

「でしょうね~。ほんとにごめんね」
「いやいや、前にも言ったけど、うちの都合ありきだから、すわぴーが謝ることじゃないよ」
「そうだったわね。ありがとう。じゃ、明日現場で!」
「うん。また明日」

 電話を切ると、健志は玲の部屋のドアをノックした。
「玲、今ちょっといいか?」
「どうしたの、お父さん?」
「ん? いや、緊張とかしてないかなぁ~って」
「不安はあるけど、緊張とかはしてないよ。むしろ、ちょっと楽しみかも」

「そ、そうか。ならよかった」
「お父さんこそ、顔が引きつってるよ」
「あぁ、ごめん。パパのほうが心配し過ぎちゃってるかもね、あははっ」
「ふふっ。ありがと、お父さん。心配してくれて」

「いい方向に進むといいな」
「そだね。話はそれだけ? 明日早いし、もう寝るよ」
「あぁ、そうだったね。おやすみ」
「うん、おやすみ」

 静かにドアを閉めて廊下に出ると、銀仁朗がすぐ背後に立っていた。
「うわぁ、びっくりした!」
「父上、大きい声出したらあかんがな。桜っこ、もう寝とるで」
「ご、ごめん(なら驚かさないでよ……)」
「わしがこの家に来たことで、迷惑ばっかりかけてしもて……ほんますまん」
「何言ってるんだよ、銀ちゃん。迷惑なんて一つもないよ!」

「でも、今回の件も、元はと言えばわしが原因やろ?」
「そんな言い方しないで銀ちゃん。感謝こそすれど、迷惑だなんて一切思ってないから」
「……感謝?」
「そう、感謝だよ。玲が自分のやりたいこと言ってくるなんて、今まで全然なかったんだ。誕生日もクリスマスも、プレゼント何が欲しいって聞いても『特にない』しか言わない子だったんだから」

「物欲がないだけちゃうんか?」
「それもあるけど、玲はちょっと優柔不断なところがあってさ、自分の意思を決めたり、何かを選んだりするのが苦手なんだ。それが、きっかけはともあれ、自らの意思でモデルをやりたいって言ったんだよ。これは成長の証だ。それを後押ししてくれたのは、紛れもなく銀ちゃんなんだから!」

「……そうなんかなぁ? わしには、よぉ分からへんわ」
「分からなくてもいいんだよ。僕たちが分かってるから。それで十分さ」
「そうか……。すまん、ありがとう……。その言葉を聞けて、安心したわ……。あぁ、悪い、ちょっと顔洗ってくるわ」

 銀仁朗の目からは、大粒の涙がこぼれ落ちていた。銀仁朗もまた、様々な責任を感じていたのだ。健志の言葉は胸のつかえを取り除く一言になったのだろう。
 走り去る背中に向かい、健志はそっとつぶやいた。
「大丈夫。君も大切な家族だ。みんなで守るからね」


 撮影当日。朝日がようやく空を染め始めた頃、一家はロケ地となる公園に到着した。
「おはよう、健ちゃん。それと……初めまして。諏訪と申します」
「おはようございます。妻の英莉子と、娘の玲と桜です」
「お、おはようございます。大原玲です」
「桜です、おはようございます」

「今日はよろしくね。難しいポーズとかはしなくていいから、気楽にね!」
「はい、頑張りますっ!」
「リラックス、リラックス~。じゃ、撮影担当を呼んでくるから、ここで待ってて」
「よろしくお願いしますっ!」


 撮影場所のすぐそばには、銀色のロケバスが停まっていた。その車内で着替えやメイクなどの準備が行われる。衣装はどれも、さすが神戸を代表するブランドだけあって、洗練されたデザインばかりだ。
 玲の支度は、スタイリストの松岡さんが付きっきりでサポートしてくれていた。

「よぉーし、完っ璧! 玲ちゃん、元が可愛いから、さらに可愛くなっちゃったね~!」
「そ、そんなこと……ないです……」
「ダメよ~そこ否定しちゃ! 女の子は、みーんな可愛いの! 自信持ってこ!」
「は、はいっ!」
「よーし、それじゃあファーストカット、行っちゃいますか~!」

 撮影が始まった。最初はぎこちなく動いていた玲だったが、カメラマンの絶え間ない褒め言葉に、少しずつ笑顔が自然になり、表情にも柔らかさが出てきた。
「いいね、いいねぇ~! 初めてとは思えないよ~。玲ちゃん素材が良いから、ナイスな写真いっぱい撮れてるよ~」

 その様子を遠巻きに見ていた桜が、ポツリとつぶやいた。
「……パパよりチョロいんじゃない? お姉ちゃん」
「こら、桜! 聞こえたらどうすんの。せっかくいい感じなんだから!」
「いや、英莉ちゃん、僕のフォローは……」
「健ちゃんも、しーっ!」
「あ、はい、すみません……」


 撮影は順調に進み、ついに例のカットへと移ることになった。
「次は、例の記事のイメージカット撮っていこうか~。準備お願いしまーす!」
 カメラマンの合図で、小道具の自転車やコアラの着ぐるみを着せた赤ちゃんマネキンが運び込まれた。
 松岡さんが玲に声をかける。
「じゃあ玲ちゃん、このマネキンを抱っこ紐で背負ってくれるかな?」
「はい、分かりました」
「……しかし、なんでコアラなんだろ? まぁ、話題になればこっちのもんだね~」
 その言葉に、玲は苦笑いを浮かべることしかできなかった。

 自転車にまたがり、ネット記事と同じアングルでの撮影が始まる。
 今回は製品の広告用ということで、遠目ではなく、はっきりと商品の見える構図でシャッターが切られた。
「いい感じに朝日が出てきたね~! 玲ちゃん、ちょっとこっちに顔向けて~……そうそう、それ! バッチリだよ~、グッドグッド!」

 絶え間なく響くシャッター音に、健志は「一度の撮影で、いったい何枚撮るんだろう」とぼんやり考えていた。そこへ、カメラマンの声が飛ぶ。
「オールオッケー!」
「お、終わったんじゃないか?」ホッ
「そうみたいね。玲もホッとした顔してるわ」
「どんな写真になるんだろねー。楽しみだなぁー」

 そこへ、諏訪が小走りでやってきた。
「健ちゃん、撮影終わったよ。玲ちゃんすごいね! 初めてなのに表情もポージングも完璧だったよ!」
「僕ら素人だから、何がどう良かったのか分からないけど……」
「ううん、絶対いい写真が撮れてる。私の勘がそう言ってる!」
「すわぴーの勘を信じるよ。本当に色々ありがとう」
「諏訪さん、私からもお礼を言わせて下さい。ありがとうございました」

 英莉子に倣い、桜も深々と頭を下げた。
「いえいえ、お礼を言いたいのはこちらの方です。また今後のことは健ちゃんに連絡するから。じゃあ私は担当者のところへ行ってくるね」
「うん。お疲れ様。またよろしく」


 ロケバスから、普段着に着替えた玲が降りてきた。近くで待っていた健志が駆け寄る。
「玲、どうだった? 疲れたろう」
「めっちゃ疲れた~」
「あ、いつものお姉ちゃんだ」
「何よ、その言い方」
「だってさ、さっきまで別人だったよ? 桜の知らない人みたいだったもん」

「確かに……桜の言う通り、私たちの知らない玲がいたわね」
「……その言われ方、なんかヤダな」
「気を悪くしなたら謝るわ。でも、ほんとにすごいなって思ったのよ。玲の新しい一面を見せてもらった気がして」

「私、上手にできてたかなぁ?」
「カメラマンさんも褒めてたし、パパのお友達もすごいって言って下さってたわよ。自信持って!」
「そっか……ならよかった」
「今日は疲れたでしょうし、このあと甘いものでも食べに行きましょうか?」
 英莉子の提案に、玲よりも先に桜が元気よく答えた。
「パフェ食べたーい!」
 その、いつもと変わらぬお転婆ぶりに、健志たちは顔を見合わせ、自然と笑みをこぼした。


 撮影から五日後の夜。夕食も片付き、家族でまったり過ごしていた時だった。健志のタブレットに、諏訪からメッセージが届いた。
『このあと八時ちょうどに、この間の撮影した写真が、例の撮影ショットが公式インストにアップされます。とても素敵な写真です。ぜひご家族でご覧ください』
 その一文を読み上げると、リビングがざわついた。
「いよいよだな!」
 健志の言葉に、玲は胸を抑えながら「なんかドキドキしてきた……」と応えた。


 時計の針が、八時を指すまでの一分がやけに長く感じられた。家族全員がタブレットを覗き込み、まるで祈るようにその瞬間を待っていた。
「まだかなまだかなぁー。お姉ちゃんの世界デビュー」
「世界デビューってオーバーな」
「でも、ネットに載るってことは、全世界の人が目にするってことじゃん。だから世界デビューだよ!」

 姉妹の会話に、英莉子も感慨深げにコメントした。
「玲が世界デビューか……。銀ちゃんが来るまでは、そんなこと予想だにしなかった事態だわね」
「わしが来てから、何かと皆には迷惑かけたな。すまんかった。そして、ありがとう」
「すまんはいらないって言っただろ、銀ちゃん。ほら、もうそろそろ……あっ、出た!」

 健志がそう言った瞬間、タブレットの画面上に、あの日の撮影ショットが映し出された。
「キ、キターーーーーー!」
 映し出されたのは、朝日を背に坂の上で自転車にまたがる少女だった。
 それは、見慣れた顔のはずなのだが、皆が一瞬、言葉を失った。
 その少女――玲は、いつもの彼女とはまるで違う表情をしていた。その顔は、強く、美しく、まっすぐに未来へ向かう意思と優しさを象徴するようだった。

「か……かっこいい……」
 桜が、聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った。心からそう思ったのだろう。
「スゴい、スゴいよ、お姉ちゃん! めちゃめちゃイケてるッ‼」
 玲は、画面に映る自分の姿を見て、自然と笑みがこぼれていた。そして、ふいに目元が揺れた。
「……私、こんな顔してたんだね」
 小さな声だった。けれど、その声には確かな自信が宿っていた。

 銀仁朗は、少し離れた場所から画面を見つめていた。
「これが玲か……まるで別人やなぁ。ほんまに大したもんや!」
 銀仁朗の目もキラキラと輝いていた。
 玲の頬に、ぽとりと涙が落ちる。
 それは不安でも、悲しみでもない。
 何かを乗り越えた先で、自分を少しだけ好きになれた――そんな安堵の涙だった。

 画面の中の玲には、すでに多くの『いいね』と温かいコメントが寄せられていた。
 中には、例のネット記事を引用し『あれは今回の写真の伏線だったのか!』と驚きを記す声もあった。
 全てがシナリオ通りにいった訳ではなかったが、概ね健志の狙い通りとなったのだ。
「パパのアイデアって、こういうことだったんだねー」
「何かを守るためにつく嘘ってやつさ! でも、玲の頑張りあってこそ、だよ」
 健志の目にも、うっすらと涙が光っていた。

「やっぱり、お父さんは大原家の頼れる大黒柱だね。ありがとう!」
「大富豪ではいつも最弱だけどな。あはは」
「それはそれじゃないの。健ちゃんは、こうやって家族の危機をきちんと解決してくれる、頼もしい存在でしょ!」
「大貧民からの大逆転だー!」

 決め台詞的な感覚で叫ぶ健志だったが、すかさず英莉子にたしなまれた。
「そんな自分を卑下するような言い方はよして下さい」
「ごめんごめん」
 
「でも良かったー。銀ちゃんとお別れしないといけなくなったらどうしようってずっと考えてたから……」
 そう言うと、桜の目から、ずっと堪えていた涙が溢れ出した。玲がそんな桜の頭を優しく撫でる。
「ごめんね、私のせいで心配かけちゃって……」
 玲もつられて泣き出した。
「でも、お姉ちゃんがモデルさん頑張ってくれたから、銀ちゃんと離れ離れにならなくて済んだでしょ? ありがと、お姉ちゃん!」

 二人の姉妹は、涙ながらに見つめ合う。その様子を見て、何も言わず英莉子が二人の手をそっと握った。
 健志も、手を伸ばし、家族全員の手が重なっていく。
 健志は、笑いながらこう言った。
「今、気づいたんだけど——僕は、いつの間にか大富豪になってたんだなぁ」
「え……どういうこと?」
 英莉子が首を傾げる。

「だってさ、いくらお金を積んだって手に入らない、最高のお宝が、ここにあるんだもん」
「……? さっきからパパは何のこと言ってるのー?」
「お宝ってのは、君たちのことさ! 僕にとって、どんなお宝よりも価値のある、この世で一番のかけがえのない財産さ」
 健志の言葉に、誰もがふっと笑い、そして、また少し泣いた。
 リビングには、どんな宝石や黄金よりもキラキラと輝きを放つ光を帯びたようなぬくもりが満ち溢れた。
 それは、どんな名怪盗にも盗めない、世界に一つだけの『絆』という名の、愛の結晶であった。


 銀仁朗は、捨て台詞を残し、一人その場から立ち去っていく。
「う~わぁ、クッサ! めっちゃクッサいこと言いよんなぁ~。なんや、わしまでクッサ~なってきてしもたから、ちょっと風呂入ってくるわな~」
 家族の暖かな抱擁シーンを目の当たりにした銀仁朗は、腕で顔を拭いながら、そそくさとお風呂場へと向かっていくのだった。

 銀仁朗の目から零れ落ちた涙の味は、とても優しい、薄味だった。


 ―おわりー
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